ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
ラクスはエリーゼからの相談を受けてから数時間が経過した後でガロンから王座の間に来るようにと兵士から言伝てが来た。
ラクスは王城の廊下を歩きながら何故、自分が呼び出されたのかを考える。
だが、何も思い当たる事は無くただ、ガロンの待つ王座の間へと急ぐ。
「(まさかエリーゼ様の相談の件でじゃないよな・・・)」
ラクスはまさかとは思いつつも不安になる。
ガロンがラクスがエリーゼの相談を聞いて余計な事をしたと言う事で罷免しようとするならとんだとトバッチリを受ける事になる。
王座の間の前に着いたラクスは深呼吸しつつ大きな扉の前で声を出して呼び掛ける。
「ガロン様。お呼びだしと聞いて参上したラクスです」
「入れ」
「失礼します」
ラクスは扉を開けて中に入ると玉座に座るガロンがおりその付近にはカムイとその兄妹達が立ちガロンの横にはマクベスまでおりそして、知らないスキンヘッドの如何にも極悪人とも言える男もいた。
ラクスはそれを見てただ事ではない事を感じとりガロンの前にやって来た。
心配そうに見ているエリーゼ以外はマークス達、特にカムイを溺愛しているカミラにかなり睨まれながらも前に立つ。
「カムイよ。お前の任務にこのラクスも連れていかせる。こやつの腕はお前はもう身を持って知っている筈だ」
「はい。ありがとうございます」
カムイはガロンに頭を下げて感謝の言葉を言う。
ラクスの頭の中は混乱しており何の事か理解できていなかった。
「ラクスよ。お前を呼んだのはカムイの初任務に同行する事だ。そこにいるガンズだけでも良いが備えはある方が良いからな」
「(成る程な私は見張り役と言う訳か)」
ラクスはガロンの真意にすぐに気づいた。
ガロンはカムイを消すつもりなのだ。
消すと言うのはつまり暗殺をしようとしている事でラクスはガンズと聞いてある事を思い出した。
ガンズは暗夜を荒らし回った極悪人で噂でガロンがガンズを登用したと聞いていたがラクスは本当だと把握していなかった。
「わかりました。慎んでお受けいたします」
ラクスはそう言うと深々と頭を下げガロンも頷く。
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無限渓谷の吊り橋を渡って今回の目的である無人の砦の付近までやって来た。
ラクスはこの場所が何なのか知っていた。
ここは暗夜と白夜の不可侵の領域でそんな不可侵の領域に無人の砦等ある筈がないとラクスは考えていたがあえてカムイに伝えなかった。
「(近くにはガンズがいる。余計な事をしたら真っ先に私に矛が向くだろう。とにかく最善の注意をしなければ)」
そんなラクスの事をお構いなしにカムイ達は進む。
崖の下は何処まで続いているのかわからない程に深い所で落ちたら一貫の終わりだ。
特に馬を使っている為にバランスが取りずらいラクスとグレートナイトのギュンターには酷な事だ。
「高い所ですね・・・」
「足元にお気を付けてくだせぇ。うっかり落ちたら命はありませんぜ」
ガンズが不適に笑いながらそう呼び掛ける。
ラクスはそんなガンズに注意を向け常に警戒していた。
暗殺の危険があるカムイをできる限り守り無事に帰すと考える。
自分の過去の、カムイの父であるスメラギを目の前で殺したその過ちを償う為に。
「ガンズ。そんな事を言うな。カムイ様は初めてここを通るんだ・・・恐怖心を与えたら余計に危ない」
「すみません」
ラクスは悪びれる気配の無いガンズに溜め息をつきつつも渡り続けていると砦から大きな声が聞こえた。
「貴様達は暗夜の者か!ここは暗夜と白夜の不可侵の領域だ。即刻立ち去れ!」
「やはりか・・・!」
ラクスの考えは当たった。
無人の筈の砦には白夜兵が多く警備していてその一人にカムイ達は見つかってしまった。
「何でここに白夜兵が!」
「カムイ様。一先ずこれ以上の混乱を避ける為に退きま」
「いや、その必要は無いぜ!」
ギュンターが進言している時にガンズが早まった事に斧片手に白夜兵の元に走っていき斬り着ける。
これを見た白夜兵達はすぐに戦闘体制に入りカムイ達も応戦しなければいけなくなった。
「カムイ様。こうなれば致し方ありません・・・応戦しましょう」
「ラクスさん!」
「カムイ様。こればかりはラクス殿の言う通りです。戦うしかありません!」
カムイに対して戦う事を言ったラクスとギュンターの声にカムイは決断したのかガングレリを引き抜く。
「わかりました。でも、できる限り白夜の兵士達を殺さないでください」
カムイの命令で迫ってくる白夜兵を倒す為にガンズとは別の橋を渡って行く事を決める。
道は白夜独特の兵種である天馬武者が立ち塞がりカムイ達はなかなか進めずにいた。
そんなカムイ達を尻目にラクスは天馬武者が出撃してくる砦の一つを押さえる為に既に橋を渡りきっていた。
「暗夜めが、死ね!」
「邪魔だ」
「ぐはぁ!」
ラクスは攻撃してくる天馬武者をディアブロスで斬り裂いて突き進み続ける。
天馬武者は諦めが悪い様に無数の数でラクスを攻撃するが全く敵ではないと言わんばかりに天馬武者を蹴散らして遂に砦を押さえ天馬武者の援軍を半減させる。
「カムイ様。ラクス殿が砦の一つを押さえている内に突破しましょう!」
「はい!」
カムイ達は何とか橋を渡りきり何とか有利な戦況を作る事ができたのであった。