ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
ラクスは捕虜二人が逃げたのを見送った後、王城のラクスの執務室で書類仕事に追われていた。
普通、暗夜騎士なら書類仕事より訓練を優先されるが暗夜王ガロンの腹心ともなると書類仕事を任される事の方が多いのだ。
「今回はやけに仕事が多いな。またマクベスの嫌がらせか何かか・・・」
マクベスとは暗夜王国の軍師で見た目が不気味かつかなり非道な策を扱う。
ラクスはそんなマクベスを毛嫌いしてはいないが好きとも言えない感じだった。
マクベスは出世欲がかなり強く他者を追い落として軍師の地位に就いたが腹心の座はラクスが既に取っている為、あの手この手で追い落とそうとしてきている。
そのマクベスの追い落としをラクスは普通に避けるのでマクベスから必要に仕事を押し付けられたりする嫌がらせを受けたりする。
「まぁ、どっちでも良いがいい迷惑だな本当に」
ラクスはぶつぶつと文句を言いながら仕事をしていると扉がノックされる。
「(一体誰だこんな夜更けに・・・)どうぞお入りください」
ラクスは見上の者の可能性も考えて敬語で返答すると扉が開かれる。
そこにいたのは最近まで自分を避けていたエリーゼ本人だった。
「エリーゼ様。こんな夜更けにどうなさいました?」
「あのね相談したい事があって・・・」
いつもお転婆なエリーゼが悩み事を抱えている時は家族かその他の人物関係だと考えたラクスだがあえて聞く。
もしかしたら別の悩み事かも知れないからだ。
「それはどんな悩みですか?」
「カムイお姉ちゃんが王城に来た時の騒動を覚えてるよね。その時にお父様とお姉ちゃんが喧嘩しちゃった事も・・・」
エリーゼの悩みはあの騒動の時の事らしくガロンとカムイがいきなり意見を分けた事を悩んでいるのだろうとラクスは思った。
だが、ラクスには一つ気になる事がある。
それは何故、エリーゼは他の兄妹や臣下がいるのに自分の元に相談しに来たのかわからなかった。
だが、ラクスはあえて伏せ話を続ける。
「つまりガロン様とカムイ様の仲を直したいのですね」
「うん・・・」
エリーゼがそう頷くとラクスが考え込む。
ラクスはガロンとはもう長い付き合いでガロンの性格は把握しているつもりだった。
ガロンは残虐で手段を選ばずそして尚且つ逆らう者には容赦はしない人物だった。
そんなガロン相手にカムイの仲介は難しいとラクスは考えたが悩むエリーゼを捨て置けずここはエリーゼの性格に合わせた仲介で勝負する事を決めた。
「そうですね・・・ここは貴方様が間に入ってみれば如何でしょう?」
「間に?」
「はい。ガロン様の性格は難しいですが貴方様の笑顔を見ればきっとわかってくれます。きっと・・・」
ラクスはそう優しく言うとエリーゼは少し考える素振りをしたが決断は早かった。
「うん!ラクスの言う通りにしてみる!」
「そうですか。では、もう大丈夫ですね?」
「うん!じゃぁ、行ってくるね!」
エリーゼはそう言うと元気よく走っていく。
ラクスはその姿を呆れながら見ていた。
「・・・廊下を走らないで下さいよ」
~エリーゼside~
お父様とお姉ちゃんがけんかした日の時、私はお姉ちゃんがどうすればお父様と仲直りできるか考えた。
でも、良い方法は見つからなくてお兄ちゃんやお姉ちゃん達に相談しようと考えたけど皆忙しそうにしててなかなか言い出せなかった。
私は誰に相談すれば良いか考えていると一人思い当たる人がいたの。
その人はあの騒動の時にお姉ちゃんを剣で殴って気絶させたラクスだったの。
私はラクスが苦手だった。
昔に見た血塗れのラクスの姿を見た時にその光景が焼き付いてそれが切っ掛けでラクスをそのつもりじゃなかったけど避けてた。
でも、他に頼れる人がいなかったからラクスの執務室まで行って扉を叩いた。
「どうぞお入りください」
敬語でそう聞こえたので私は扉を開けて中に入るとそこにはラクスがいた。
全身を鎧で包むその姿に私はやっはり怖いと思ったりしたけど勇気を振り絞って相談したの。
だが、その心配を消すかのラクスは真剣に私の相談を聞いて考えてくれた。
そして出された案は私が二人の間を取り持つ事を言われ私は少し考えたけどその方が良いとすぐに思った。
この時のラクスは優しくいつも怖いと思う感じがなくなって笑顔になれた。
悩みが解決した私はラクスと別れると急いでカムイお姉ちゃんの所に走った。
~side終了~