ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
ラクスは狂気に導かれる様に馬を引いて歩き続けると、目の前に巨体な遺跡を見つけ出した。
その遺跡は長い月日が流れているのか、かなり荒んでいる。
「(・・・此処か?)」
《あぁ、そこだよ。確か中にヒント的な何かがあった筈だ》
「(・・・ヒント、か。まぁ、中に入れば分かる事だが・・・お前の策略で罠とかは無いだろうな?)」
《おいおい、俺を信じろよ俺》
信じろと言われて信じられる訳がないラクスだが、遺跡の中にはいるしかなく、ラクスは遺跡の中へと中はボロボロで埃が舞っていた。
ラクスはそんな事お構い無しに進む。
「(・・・この透魔の遺跡に何があるんだ?)」
《此処はちょっとした実験施設みたいな物さ。此処では作りの実験が繰り返された・・・透魔王国の闇が集まる場所だ》
狂気の言葉にラクスは何処にでもそんな場所がある物だと考えた。
暗夜にもノスフェラトゥ等の怪物を作る様な事もあれば、白夜にも平和を保つ為とはいえ、誘拐や暗殺を行う。
国は違えど、国には必ず何かしらの闇を抱えているとラクスは思っている。
「(そんな物に私が何の関係が・・・)」
ラクスは奥に進み切ると、そこには膨大な古い資料残されていた。
恐らく透魔がこうなってしまう前の物で、丸投げで放置されている。
「(これは・・・)」
ラクスは放置されていた資料の一部を拾い上げると、古い文字なのか透魔特有の言葉なのか分からない暗夜でも白夜でもない言葉が書かれていた。
だが、ラクスはその文字が読めた。
ラクスは見た事もない文字を読めて動揺を感じたが、それ以上に動揺した内容が資料に書かれていた。
「(人間、兵器・・・!?)」
資料の一部に書かれた人間兵器と言う単語にラクスは激しく動揺し、頭の痛みを感じた。
ラクスは頭の痛みで体勢を崩し、息を荒げた。
暫くその状態が続いたが、ラクスは徐々に落ち着きを取り戻した。
「(・・・思い出した・・・いや、思い出してしまった・・・)」
ラクスは資料を再び見た時、狂気の声が響く。
《やっと思い出したか・・・なぁ、俺?》
「(・・・思い出してしまったじゃないか・・・分からなよ。私が・・・透魔竜ハイドラ様の守護者だと言う事を・・・)」
ラクスはそう心の声で言うと、笑った。
その笑顔は狂気に満ち、他に人がいれば寒気を感じる程だ。
《楽しかったかよ?仲間ごっこは?》
「(それなりに楽しめた・・・退屈な日々、退屈な戦い、退屈な事でいっぱいだった私にとってはな)」
ラクスはそう思いながら更に笑みを深めると、狂気は愉快そうにする。
《ククク・・・さて、もうお前は元のお前に戻った。声を戻すぞ》
狂気はそう言うと、ラクスは喉に違和感を感じた。
ラクスは試しに発声した後に喉の調子を確かめた。
「はぁ・・・やはり声に出して喋った方が落ち着くな」
《そうか?》
「喋れないのは不憫だ。それで?次はなにをする?」
《・・・お前の妻を捕まえに行こうか》
狂気の言葉にラクスは無表情になるが、ラクスはすぐに狂気的な笑顔になる。
「捕まえに行くんじゃなくて、迎えに行くの間違いだろ?」
《抵抗されるに決まってんだろ?捕まえに行くがあってる》
「もう、どっちでも良い・・・さて、うちの嫁を・・・」
"迎えに、行こうか・・・"
ラクスはそう言って、歩み始めた。