ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】   作:コッコ

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腹黒の軍師の子

~とある秘境~

 

ラクスは今、ある人物と共に秘境を訪れていた。

その人物は皆さんご存知の嫌われ役の軍師、マクベスその人だった。

 

「全く・・・揃いも揃って私を秘境に連れてくる奴があるか?」

 

「しょうがないでしょうが。私の息子が貴方やカムイ殿以外に全く言う事を聞かないんですから・・・」

 

ラクスとマクベスが秘境へ訪れた理由、それはマクベスの息子の様子を見にきたのだ。

マクベスの息子は絶賛反抗期真っ只中の為、マクベスの言う事は聞かない。

流石に上の人間の言う事は聞くも、カムイやラクス以外に心を許していなかった。

 

「だからって、私は嫌なんだよ・・・だって」

 

「父さん!早く!」

 

「・・・貴方の娘が無理矢理着いて来るからですか?」

 

ラクスは溜め息を吐きながら頷く。

レーラは事ある毎にラクスが秘境へ様子見に着いて行く際に絶対に着いてくるのだ。

例えラクスが拒絶してもありとあらゆる手段を使っていつの間にか着いてくるのだ。

 

今回、レーラの使った策は母であるベルカを通して頼み込み、ベルカに弱いラクスは断り切れずに了承したのだ。

 

「・・・私はあの時、この世界で最強の存在は嫁だと思ったよ・・・」

 

「・・・それは同意ですね。最も私は意味深げの方で襲われて強制的に結婚しただけなんですがね」

 

マクベスは怨めしそうにラクスにそう言うと、ラクスは項垂れながらマクベスに言う。

 

「まさか親衛隊のメイドの一人にあそこまでの行動力があるとは思わなかったんだよ・・・」

 

マクベス結婚の理由。

 

それは、親衛隊の衛生兵として行動するメイドの一人が酔った勢いでマクベスの部屋へ乱入し、そのまま意味深げの方で襲ったのだ。

 

その後、朝に正気を取り戻して泣きながらマクベスに「責任を取れ!」と言いながら騒ぎを聞き付けたラクスが止めるまで殴りまくったのだ。

 

酔って、やっちゃって、騒ぎを起こしてだけならマクベスは結婚はしないだろうと思うかもしれない。

だが、流石のマクベスでも結婚しなければならない案件が起きてしまったのだ。

 

あの後の出来事から3ヶ月、メイドが体調を崩したり酸っぱい物を食べたがったりと、妙な行動をする様になり、子持ちの経験済みの女性人達はそれをすぐに察したりする。

 

簡単には言えば・・・デキ婚である。

 

「あの時・・・貴方がもう少し部隊管理してればデキ婚なんて一族の恥みたいな事をしなかったんですがね・・・」

 

「諦めろ・・・他の女性陣もベルカも強すぎる・・・所詮、男は嫁に勝てないし、何よりわざわざ伴侶を探す必要もなくなったから良いじゃないのか?」

 

「嫁に尻に敷かれてもか?嫁が不機嫌な度にぶん殴られてもか?嫁に何かお疲れ様と言われて頬にキスされてもか?」

 

「おい、最後のは良いじゃないか全く・・・」

 

ラクスはマクベスに呆れつつも案外上手くやれてるなと考えつつ、仲間内の結婚を考えていた。

 

「・・・結構、結婚した者が多くなったな」

 

今現在、仲間間での結婚はこうなっている。

 

カムイ×ジョーカー

 

アクア×スズカゼ

 

アサマ×エルフィ

 

ルーナ×ツバキ

 

サイゾウ×フェリシア

 

カザハナ×サイラス

 

リョウマ×カミラ

 

マークス×ヒノカ

 

タクミ×エリーゼ

 

レオン×サクラ

 

等と王族組を含めた者達が一気に国際結婚をしてしまったのはラクスも驚愕物であった。

 

「・・・これ、もう国合併してもやっていけるだろ・・・」

 

「・・・言ってはならないのですよ・・・言っては・・・言ったら最後、仕事が間違いなく増えますよ・・・」

 

二人は国際結婚で起きる惨事?を恐れつつもマクベスの息子がいる屋敷へと到着した。

 

「マクラス!いるならは返事しなさい!」

 

マクベスはそう大声で言うと、屋敷から面倒くさそうにする声が響く。

 

「僕は今、留守にしてまーす。御用の方は後十年後に御越しくださーい」

 

その返事を聞いたマクベスは相当頭に来てしまったのか屋敷に向かって怒鳴り付ける。

 

「ふざけないで出てきなさい!不本意ながらラクスもいるんですよ!次いでにレーラも!」

 

「・・・本当に?なら、行くよ」

 

そう返事が帰ると、一分もしない内に屋敷の扉が開いてマーシナリーの鎧でマクベスの髪型を整えたような髪型、血の気良い顔をしたマクベスとは逆の格好をした青年が出てきた。

 

「・・・お久しぶりですラクス卿、レーラ。次いでに父上」

 

「何で私が次いでなんですか!この二人の方が次いでじゃないですか!」

 

 

マクベスの激しいツッコミにマクラスは首を傾げながら言う。

 

「いや、父上は滅多に此処に来ないし嫌いだし・・・ラクス卿は母さんから耳にタコが出来る程に二人に尊い誠心誠意仕えろと言われいるのと、レーラは同じ軍略を学ぶの同門ですし・・・」

 

マクラス。

 

マクベスと親衛隊の衛生兵メイドのスーラとの間に出来た一人息子。

父であるマクベスから跡取りとして軍略を学び、レーラとは同門だ。

二人でマクベスから軍略を学び、磨きを掛けている。

 

「いやいや、立場的には私は同格になりますから!仕えてるのはあいつだけだから!」

 

「もうすぐ格下に左遷させられると、母さんに言われてます」

 

「あいつ・・・そんなデマを・・・」

 

マクベスは額に手を置きながら息子でありマクラスのやる気のない毒舌的な言葉に頭を悩ませる。

 

「・・・確かに左遷させられるだろうな・・・事があれだったしな・・・」

 

「ラクス、もうあれを引っ張り出さないでください。謝りますから・・・本当に謝りますから・・・」

 

マクベスは前にラクスの家族とも言える孤児院の皆を人質にしてラクス暗殺を図った経緯があった。

今は国の警備に戻した半数程の兵士達の護衛の元で孤児院に戻っている。

 

「・・・もし、左遷先が私の元だったら過労死させてやる・・・」

 

「・・・そうなったら他の仕事を探します」

 

ラクスはマクベスにまだ恨みがあるとも言える言葉を吐くと、マクベスは殺される前に辞めると豪語した。

そんな中でレーラは微笑みながらマクラスの元に来る。

 

「久しぶりですマクラス。元気にしてましたか?」

 

「今日が来るまで退屈だった。来るのは仕事から抜け出して会いに来る母さんと希にしか来ない父さん位・・・ラクス卿から剣の稽古を受けたいのにさ・・・」

 

「貴方は剣より魔法の方が才能があるでしょ?」

 

「嫌なんだよ。あんな露出高い服装が・・・下手したら変態一直線だよ。男が着たら特に」

 

マクラスはそう言って拒絶すると、ラクスの方へ振り向く。

ラクスはマクラスの目を見て剣を志す本気さを見せ付けられ、ラクスは溜め息を吐いた。

 

「・・・本当なら才能にあった戦いが良いんだがな・・・まぁ、剣の稽古ぐらい着けてやろう」

 

「ラクス」

 

「分かっているさ。別に剣だけでなく魔法も扱える兵種もある」

 

「・・・ダークナイトですか?」

 

「あぁ、ダークナイトは剣も魔法も扱える・・・それに、ご要望通り、服装はダークマージみたいな服装じゃないしな」

 

ラクスはそう言ってマクラスに剣の稽古を着けるべく広場の方へ向かっていく。

 

________

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ラクス達が広場へとやって来た時、ラクスは向こうに数人のけはいを感じ取った。

何れも殺気を宿した者達ばかりで、友好的な者だと思えなかった。

 

「・・・マクベス。気付いているか?」

 

「気付きますよ。これだけ殺気を出してれば」

 

二人は殺気を出している連中に気付き、マクラスとレーラはまだ気付いていない。

 

「ふむ・・・二人が気付く前に消すか・・・どうだ?」

 

「そうですね・・・消しておいた方が良いでしょう。大方、私へと恨みでしょうしね」

 

マクベスは暗夜の軍師。

国の方針や策を決情な手段を使って決める軍師としてマクベスは名を有名にしていた。

その為、恨みを持ち者が多く、ラクスの元に暗殺の依頼がか来てしまう程だった。

暗殺依頼の件は受けず、依頼者をラクスは殺している。

 

「全く・・・面倒な事です」

 

「お前が恨られるからだろうが・・・たく・・・」

 

ラクスはそう言って歩き出す。

 

「奴等は私一人で充分・・・お前は二人を守れ」

 

「おやおや?自慢の娘をこの私に任せると?」

 

「・・・今は、仲間だろ?」

 

ラクスはそれだけを言うと歩いていった。

その姿をマクラスとレーラは気付いた。

 

「父さん。何処に行くの?」

 

「道具を取りに行くだけだ。別に一人で済む事だ。そこで待ってろ」

 

ラクスはそれだけを言うとそそくさと歩いていった。

 

________

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__

 

 

暫く三人は待っていると、ラクスが戻ってきた。

それを見たレーラは安心した様な顔で走ってきた。

 

「父さん!・・・良かった。遅かったので何かあったかとおもいました」

 

「別に遅かっただけじゃないか・・・」

 

ラクスはそう言ってレーラの頭を撫でると、微笑む。

そんな中、マクラスは怪しむ様な顔でラクスを見ていた。

 

「・・・血の臭いがする」

 

マクラスがそう呟くと、ラクスは無表情で冷たい瞳をしながらマクラスを見る。

マクラスはそれに怯まずに続ける。

 

「・・・まさか、人を殺す程のトラブルでもあったのですか?」

 

「・・・さぁな。それより、剣の稽古だ。準備は出来てるな?」

 

「出来てますよ。・・・ラクス卿。今回、お願いがあるのですが・・・」

 

「何だ?レーラを嫁に欲しいとか言ったらぶっ殺すぞ?」

 

「と、父さん!///」

 

ラクスの言葉に顔を赤く染めて咎めるレーラ。

普通ならなごむ様な物だが、異様な雰囲気が流れている。

 

「・・・もし、剣で貴方に一本でも取れたら・・・僕もカムイ様達に同行させてくださいませんか?」

 

「マクラス・・・!」

 

「それはマクベスに言うべきでは?」

 

「貴方は軍の副官の様な人です。父上は母上にお願いして通せますがやはり、カムイ様やラクス卿の許可が無ければ入れないと思いますので・・・」

 

マクラスの言葉にラクスは暫く無言でいたが、不意に微笑むと訓練用の青銅の剣を抜いた。

 

「・・・面白い。なら、全力で掛かってこい。一本を取れるならな?」

 

「言われなくとも!」

 

そう言ってマクラスはラクスに斬り掛かる。

マクラスの攻撃にラクスは軽く受け止めると、マクラスの腹に拳を思い切り叩き付ける。

 

「ぐほぁッ!?」

 

マクラスは腹を押さえて体を屈ますと、ラクスは青銅の剣を肩に掛けて見下ろす様に見る。

その見方はまるで弱者を見下す様な冷たい目で、誰もが恐れる暗夜王の懐刀としてのラクスだった。

 

「あまいぞ・・・その程度の攻撃で私から一本を取ろうとしたのか?」

 

「・・・うおぉ!」

 

マクラスは立ち上がってラクスに攻撃するが、ラクスは何度も何度も攻撃を防ぎ、マクラスを殴る。

それを遠くから見るマクベスは平気そうにしており、レーラは心配そうにしている。

 

「い、良いんですか?訓練とはいえ、これはやり過ぎでは?」

 

「良いんですよ。マクラスには丁度良い薬・・・外の世界ではマクラスや私より強い者が山程いる。一人では到底勝てない様な者もいるとラクスは教えたいんでしょうね・・・」

 

「え?これは訓練・・・一人で挑む物では?」

 

「誰が一人でと言ったのですか?私は兎も角、貴方ならとラクスは許して参戦させると思いますよ?・・・ラクスは怪物です。ラクスの戦い方は本気の殺し合いだろうと訓練だろうと手加減はしません。むしろ、常に勝つ為に叩き潰す算段しかないでしょうね」

 

マクベスの言葉にレーラは聞いた後、マクラスとラクスの戦いを見る。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「どうした?降参するなら私は終わりにして帰るぞ?」

 

「・・・まだですよ。まだ、終わりません!」

 

「・・・全く。素直に負けを認めていれば辛くなかっただろうにな・・・なら、終わりにしてやる」

 

ラクスはそう言ってマクラスとの決着を着ける為に青銅の剣を振るった。

尋常ではない速さにマクラスは守りが間に合わない。

 

「(くッ・・・まだ、未熟だったと言う事でしたか・・・)」

 

マクラスは静かにラクスの攻撃が来るのを待っていた時、激しい金属音が響いた。

マクラスが目を開けると、そこには青銅の剣を持ったレーラがいた。

 

「・・・何の真似だレーラ?」

 

「・・・私も、久し振りに父さんに稽古を着けて欲しくなりました。マクラスと一緒に」

 

レーラの言葉にラクスは少し呆れた様な顔をして青銅の剣を肩に掛けた。

 

「レーラ・・・!これは僕とラクス卿の戦い・・・貴方が出てきても・・・!」

 

「父さんに一人で挑むのは無謀・・・と、マクベスさんが言ってました。マクベスさんの受け取りですが、一人だけで挑めとは言ってませんでしたからね」

 

レーラの言葉にラクスは聞くと、静かに青銅の剣を納めた。

 

「・・・受け取りでも、レーラだけが正解か。戦いの中で、強者と出くわす事は多いです。故にそんな奴に未熟な状態で一人で挑むのは無謀でしかない。近くにいるなら二人でも三人でも組んで戦い、集団でも敵わない、味方がいないなら逃げる・・・これも一つの戦い方だ」

 

ラクスはそう言ってマクラスを引っ張り上げた。

 

「良いか?お前は意地になって一人で戦おうとした。お前でも私が強いと分かっていてだ。一人で戦う事は勇ましくカッコいいかもしれないが・・・実力差がありすぎる相手には、失格の戦い方だ」

 

ラクスがそう言うと、マクラスは顔をうつ向かせて落ち込む。

ラクスに失格と言われた事が余程ショックだったようだ。

 

「・・・だが、剣の腕は上がっている。中々、面白い。・・・このまま腐らせてしまうよりも、連れていって鍛えてしまった方が良いかもしれないな・・・」

 

「ッ!?それじゃぁ!」

 

「・・・連れて行ってやる。だが、一様両親に話しを通してからだぞ?」

 

ラクスはそれだけを言うと、屋敷の方へ歩き始めた。

そんなラクスの背中をマクラスは見つめていた。

 

「・・・やっぱり、カッコいい・・・」

 

「本当に父さんの事が好きなんですね」

 

「昔からの憧れだったんだ。剣を取る切っ掛けでもあり、国の柱でもあるラクス卿に・・・」

 

マクラスは目をキラキラとさせてそう言うと、レーラはマクラスのその姿に少し顔を赤く染めた。

 

「・・・ふふ、父さんに憧れる・・・か。なら、私はマクベスさんに憧れようかな」

 

「いや、止めとけ。陰湿さが移る」

 

「移りません!さぁ、早く帰って軍略を頭に叩き込みますよ!」

 

マクベスがそう言って早足で帰ると、マクラスは溜め息をつきながら着いていく。

レーラはマクラスのその背中を見て、また頬を染めつつ歩きだした


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