ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
カムイ達は大地が飛び、複雑化している透魔王国の道をひたすら進み続けていた。
道中、透魔兵が立ち塞がる物の少数であった為、あまり時間を割くことはなかった。
カムイ達は順調に歩んでいた時、深そうな森が見えてきた。
「・・・アクア様。もしかして、森を通るのですか?」
「えぇ・・・危険は伴うかもしれないけど・・・今はこの道しかないわ・・・」
アクアの言う危険。
それは、奇襲の危険性だった。
視界の悪い森や山は奇襲にうってつけの地形で、道も狭く、細い陣形にもなってしまう。
ラクスは暗夜に所属して戦場で戦う時はあまり立ちは入らない様にしていた程だ
「・・・奇襲に気をつけて通りましょう。カムイ様」
「はい・・・」
カムイ達は森の中に入って行く・・・その姿を遠巻きに見ていた者がいたと気が付かず。
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森の中に入ったカムイ達は、森の予想以上の深さに困惑していた。
アクアも長い間、この地を訪れていなかったとはいえ、此所まで深いとは思わなかった様だ。
ラクスは警戒しながら進み続けていると、急に嫌な寒気を感じとり、立ち止まった。
「待て」
「どうしたのですかラクスさん?」
カムイの問いを聞いても返事を返さず、ラクスは森の奥を見ていると突然、数本の暗器が投げつけられた。
ラクスは素早く抜刀して暗器を弾き返すと、鋭い殺気を出した。
「・・・この腕。まさか、貴方なのですか?」
ラクスはそう言うと、奥からボロボロの外衣と衣服を惑った無償髭の男が現れたのだ。
その男を見たベルカは信じられないとばかりに目を見開いている。
「そうだ。よく気付いたなラクス・・・」
「お久しぶりです。師匠・・・」
「え!?ラクスさんの・・・師匠?」
ラクスから発せられた師匠と言う言葉にカムイは驚くと、ベルカを除く他の仲間達も驚きの顔になった。
「あんたはカムイだね?。いつも俺の馬鹿弟子と馬鹿娘が世話になってるよ」
「娘・・・?」
「あぁ、やはり知らないのか・・・まぁ、知らなくて当然だが・・・」
男はそう頭をかきながら言うと、ベルカは体を震わせて男を見ている。
無理もなかった。
ベルカは依頼とはいえ、育ての親をその手で殺している。
例え表に出さなくても心の奥底ではそれ相応のダメージを負っているのだ。
「ベルカ?」
震わせているベルカを見たカミラが声を掛けた時、男がベルカを見つけた。
「そこにいたのかベルカ」
「え?」
「・・・お父さん」
ベルカの言葉にラクスを除く全員がベルカの方を見た。
確かに男とベルカが親子だとは誰も思わなかっただろうとラクスは考えるが、それよりも何故、男が生きていたのかを知りたかった。
「・・・何故、生きていている?」
「そうだな・・・何かハイドラとか言う奴の眷属にされてなぁ・・・それで甦って戦う事になった。お前らとな・・・」
「ッ!?。またハイドラの眷属ですか」
「また?」
「はい・・・ラクスさんと合流するまえにシェンメイさんと名乗るアクアさんの母で、ハイドラの眷属に会いました・・・」
カムイはそう言うと、ラクスは納得した。
「成る程な・・・シェンメイ様か」
「知っているのですか?」
「知ってるも何も・・・ガロンを可笑しくさせてしまった原因で、昔にお亡くなりになったと聞いている。まさか、ハイドラとか言う奴は死人を甦らせて操るとはな・・・」
「まぁ、普通は気味悪いわな・・・分かるぞラクス」
男はそう頷きながらラクスの考えを読むように言う。
アクアは警戒しながらも、男に問う。
「貴方・・・完全にハイドラの支配下ではないの?」
「んー・・・よく分からんが、多少は俺の意志が強いようでな。まぁ、支配下ではあるのは変わらん。それより、早速たが戦うとしようか・・・ラクス、ベルカ。お前達の成長ぶりを俺に見せてみろ」
男はそう言うと、鋭い強烈な威圧と殺気を出してカムイ達を怯ませた。
「な、なんて殺気だ・・・!」
マークスがそう言った時、一人だけ怯んでいない者がいた。
それはラクスで、慣れていると言わんばかりに立っている。
「・・・流石は師匠か。その存在感は未だに健在し続けているとはな」
「・・・お前だけは怯まないのか?」
「そんな物、慣れっこだ。・・・どうやらまともに戦えるのは私だけの様だが、戦うか?」
「随分と勇ましい事を言う様になったな?。まぁ良い・・・お前を先に殺してからでもあいつに咎められたりしないだろ」
男はそう言うと、暗器を取り出して構えた。
「ラクス!」
「ベルカ。・・・そこにいろ。もう、お前に親殺しはさせはしない」
ラクスはそう言うと、剣を構えて男に対峙した。
「まるで決闘だな・・・決闘には名乗りが必要だ。・・・俺はデュラハ。暗夜最強の暗殺者だ・・・」
「・・・暗夜王の懐刀、ラクス。貴様をもう一度、あの世に送り返してやる・・・!」
デュラハとラクスの師弟対決が幕を開けた。