ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
ラクスがガロンを倒した瞬間、透明な兵士達は消え去り気配の1つもなく静な空間が流れる。
カムイ達は決着が着いたと判断して、仲間達の安否を確かめに行き、ラクス一人残された。
ラクスはそんな状況を気にせず倒れているガロンの元へ近づいた。
「・・・まだ息はあるのだろ?」
「・・・ふん、気付いておったか・・・」
「僅かに息をする行動が見えたのでな・・・ガロン。私の質問に答えろ。何故、操られてまで戦争を起こした」
「・・・抗う事が出来なかった。取り返しがつかなくなる事は分かっていた筈だったのだが、頭に響くのだ・・・。白夜を・・・暗夜すら滅ぼせと」
「ッ!?」
ガロンの言葉にラクスは驚きを隠せずにいると、ガロンは笑う。
そこには冷酷な一面ではなく、優しさの笑顔だった。
「ラクス・・・わしは何処で道を踏み外したのだろうな・・・」
「・・・ガロン、様」
「また敬称で呼んでくれるのか・・・?お前はわしにとって勿体無い臣下・・・ラクス」
「はい・・・」
「暗夜を・・・カムイ達を頼むぞ・・・」
ガロンの最後とも取れる言葉に、ラクスは深く頷いて答えた。
「了解しました・・・」
「ふッ・・・去らばだ・・・我が臣下ラクスよ・・・出切れば最後に・・・」
ガロンは最後の言葉を話す事も出来ず、泡となって消え去っていく。
ラクスはその光景をただ黙ってガロンの最後を見届ける。
そして、一人となったラクスは涙を流してカムイ達の元へ向かう。
「・・・必ず。カムイ様達を・・・」
'"守って見せますから・・・"
ラクスの胸にその一言を響かせると、まるでガロンが答えたかの様に静な風が流れた。
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戦後処理を終えて、カムイ達は渓谷の橋の上に集まりカムイの言う、真の敵のいる場所へ向かう事になった。
「・・・この吊り橋から、下に飛び降りるんです」
「此所から飛び降りる・・・?僕達に自殺しろって?」
「カムイ様。流石にこれを信じて貰うのは難しいのでは?」
確かに無限渓谷の真下は暗闇が広がる無の世界。
落ちればどうなるのかは誰にでも分かる事で、ラクスも流石に戸惑いが生まれる。
「そうですね・・・でも、それは分かっていた事です。皆、今まで本当にすみませんでした。これからずっと黙っていた真実をお話しします」
「それを聞いてもらえればら皆も飛び降りる覚悟が出来ると思います」
「待って、カムイ!何を言ってるの!?今それを話したりしたら、貴方は消えてしまうのよ!?」
アクアの言葉に、ラクスは耳を疑ってしまった。
真実を話してどうして消えてしまう事態になるのか頭が追い付かないでいる。
ラクスが混乱していると、マークスが問い掛ける。
「カムイ、どういう事だ?」
「・・・此所で本当の事を話せば、私はこの世から消えてなくなってしまうでしょうだから、吊り橋を飛び降りた後の事は・・・リョウマ兄さん、マークス兄さんそしてラクスさん。よろしくお願いします」
カムイの言葉に黙って聞くリョウマとマークス。
暫く静な時間が続いていたが、一人の声がそれを破る。
「・・・ふざけないでください。そんなのは断らせてもらいます」
「俺もそんな話はお断りだ」
「全くだ。誰がそんな頼みを聞くか」
「ど、どうしてですか?」
三人の言葉にカムイは戸惑いを見せながら聞くと、クリムゾンが答えた。
「馬鹿だね。あんたのお兄さん二人とラクスが言いたい事が分からないのかい?ちゃんと命令しろって言っているんだよ。吊り橋からとべって」
「え・・・?」
クリムゾンの言葉にカムイはまだ意味が分からないと言う表情を見せると、リョウマが先に言う。
「いいか?俺は一度信じると決めたら、何があろうと最後まで信じ抜く。それが侍の誇りだ」
「あぁ。疑うつもりなら、最初から此所には来ない」
「暫く貴方と旅をして・・・信じられる人物だと分かっている。なのに今更信じられないなんて事は致しません」
ラクスの言葉が終わり、リョウマは更に続けて言う。
「ましてや、お前は俺達の妹でラクスの主君だ。カムイ、お前を最後まで信じる」
「リョウマ兄さん、マークス兄さん、ラクスさん・・・ありがとうございます・・・」
カムイは三人の言葉に涙を流しながら感謝の言葉を言う。
「・・・さて、行きましょうか。渓谷の底にある真実へ」