ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
今日、ラクスは昼からカムイへの報告書を書いており、報告書の作成に時間が掛かって夕方になった頃。
後ろの扉が誰かに開かれるのを感じ取って振り向くと、そこにはベルカがいた。
「どうした?」
「貴方に相談があるの」
ベルカはそう言うと、一つの紙を手渡した。
ラクスは紙を受け取って見てみると、そこにはラクス自身の暗殺依頼だった。
「・・・それで。私を殺すか迷っているのか?」
「・・・」
ベルカは黙ったまま頷き、ラクスは溜め息をついた。
ラクスは徐に立ち上がると、蝋燭の火で依頼書を燃やしてして暖炉に捨てた。
「ッ!?」
「これで、この依頼は無しだ。今回は見なかった事にするから帰るんだ」
ラクスはそう言うと、報告書を再び書き始めた。
「何故、依頼書を燃やしたの?」
「あぁでもしないと、お前は迷ったまんまだったろ?私はまだカムイ様を見極めきれていない・・・見極るまでは私は死ねん」
「・・・まだ信じてなかったのね」
「あんな事を言われてすぐに信じられないさ。だが、確信は行っているがな・・・」
ラクスの言葉にベルカは首を傾げる。
「お前は知らなくて良いぞ。その内に決着は着けておくさ」
「・・・何を考えているか分からないけど、早まった行動は慎みなさい」
ベルカの言葉にラクスはまるで聞こえなかったかの様に黙っている。
ラクスは黙々と報告書を書き続け、静かな沈黙が保たれている。
「・・・黙っているつもり?」
「・・・」
「そう・・・なら、もう何も言わないから」
ベルカはそう言うと、何を思ったのか近くの椅子に座った。
「(何やっているんだ・・・?)」
ラクスは報告書を書きながらベルカの行動を考える。
たまにベルカと一緒にいたりするが、これは初めてのパターンなのだ。
ラクスはこの初めて見るパターンにどう対処するかを考える。
「・・・何故、そこに座る?」
「・・・」
「・・・黙る事はないだろ」
ラクスは溜め息をつきながら報告書を纏めると、立ち上がった。
「おい、私はそろそろ・・・ん?」
「すぅ・・・すぅ・・・」
「こいつ・・・寝てやがるな・・・」
ラクスはベルカがまさか居眠りするとは思わず、呆然とした。
ラクスはベットから毛布を持ってくると、ベルカにそっとかけてから退出した。
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「これで、報告書も出し終わったな・・・」
ラクスはカムイに報告書を提出した時は、既に暗くなっており、ラクスは暇そうに歩いていた。
ラクスは暫く歩いてあると、暗闇に何処から途もなくドンチャン騒ぎが聞こえてくる。
「この音・・・まさか!」
ラクスは走ってドンチャン騒ぎの場所に向かうと、親衛隊が酒盛りや博打をしていた。
その中に何故か、ヒナタも参加している。
「お前達、また博打をしているのか!」
「げぇ!隊長!?」
「ちょ、これには訳が!」
「問答無用!全員、正座!」
ラクスは親衛隊を全員正座させた。
かつて、ラクスが白夜の事が書かれた本を読んで正座での説教を知って、親衛隊を説教に使えると言う事で実践している。
「まぁ、待てよラクス」
「ヒナタ殿」
「こいつらは俺と親睦を深めようと開いてくれた博打なんだ。別に金なんて賭けてねぇよ」
「しかし・・・いくら親睦を深める為とはいえ・・・」
「頼む!俺に免じてこいつらを許してやってくれ!」
ヒナタが両手を合わせながらラクスに頼み込む。
ラクスは少し考えると、返答する。
「・・・分かりました。しかし、親衛隊には外周して貰いますから軽く十週」
「が、外周十週!・・・説教よりましか」
「分かったら行け!」
ラクスに促される様に親衛隊は走り出して行き、ラクスは溜め息をついた。
「はぁ、見苦しいとこをお見せしました。では・・・」
「まぁ待てよ。ラクス、俺と手合わせしてくれ!」
ヒナタの突然の言葉にラクスは反応できずにいる。
何故、手合わせなのか全く分からないし、疲れていると見えないのかと思った。
「・・・また今度、時間ができたらしましょう。まだ仕事があるので」
「そうか・・・残念だな。じゃぁ、また今度行くぜ!」
「はい・・・」
ラクスは疲れが増したと言わんばかりに、ゆっくりと歩いて去って行く。