ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】   作:コッコ

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if番外編:もしも、親世代で戦争が終結しなかったら・・・~中編~

テンジン砦。

 

 

 

そこで、暗夜軍の命運が決まった・・・

 

 

 

難攻不落と呼ばれる砦にカムイ隊を先方とした暗夜軍が攻め込み激戦を演じた。

 

両者は激しい戦いの末にカムイ隊は砦の奥深くに侵入、制圧した。

 

 

 

だが、そこに守りに付いている筈の軍師ユキムラと王女サクラがいなかった。

 

 

 

そこで、カムイ隊は気づくべきだった・・・カムイ隊は砦を落としたのではなく、砦の内部に引き摺りこまれたのだと・・・

 

 

 

暗夜軍が続々と砦に入る中で、それは起こった。

 

 

 

砦が突如、大爆発し暗夜軍は大きな被害を受けてしまった。

 

カムイは爆発からは逃れたが、爆発で飛んだ木の破片が一人の兵士に飛ぶ所を目撃。

 

カムイは兵士を庇って犠牲となり、木の破片がカムイに刺さってしまい、カムイは刺さり所が悪く死んでしまった。

 

 

 

 

 

暗夜軍はこの罠を機に撤退を開始、白夜軍の激しい築城きを受けて軍師マクベスとガンズは討死、そして・・・ラクスは爆発で負傷し戦えず、ラクスの最愛の妻ベルカがラクスの殿を務めるも白夜の忍びサイゾウによって討ち取られる。

 

 

 

ラクスはそれを知るとすぐに反転し、サイゾウに怒りの一撃を放つも、サイゾウの右腕を奪って終わってしまった。

 

 

 

 

 

この戦い以降、ラクスは療養する中で誓った。

 

 

 

 

 

"最愛の妻を奪った白夜に必ず復讐し、白夜の全てを葬りさる"

 

 

 

その誓いを抱き、ラクスは療養を終えるとすぐさま元ガロン派閥を吸収し、暗夜の内政と軍事を牛耳り暗夜を私物化。

 

白夜に対して戦争継続を宣言する事となる・・・

 

 

 

~暗夜・白夜戦争録より抜き出し~

 

 

 

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白夜王城の一室・・・レーラはそこで目を覚ました。

 

レーラは起き上がり辺りを見渡すと、暗夜とは違う造りの部屋に目を見開いた。

 

 

 

「此処は・・・!」

 

 

 

「起きられたのですか?」

 

 

 

レーラは声を掛けられた方を見ると、そこには長髪の赤い髪の少女が水のはいった桶を持って入ってきた。

 

レーラは警戒して身構えると、少女は落ち着かせる様に笑顔を見せる。

 

 

 

「そんなに警戒しなくても大丈夫です。私達は貴方に危害を加えませんから」

 

 

 

「・・・敵国の白夜が?」

 

 

 

レーラは今、自分のいる所が分かっていた。

 

だからこそ、目の前にいる少女は白夜の人間だと考えにすぐにいたったのだ。

 

 

 

「そうです。危害は加えません・・・私の名前はマトイです。貴方は・・・レーラさん、でしたよね?」

 

 

 

「・・・そうだけど何?」

 

 

 

レーラはマトイの温厚な態度に対して激しい警戒心を解かずいた。

 

 

 

マトイは白夜の人間。

 

 

 

レーラにとっては母の仇とも言える国の者を信用が出来る訳がなかった。

 

 

 

「・・・貴方は今はこうして戦いの療養をしていますが、それは貴方が目覚めて沙汰を負うまでの話です。まだ暫くは安静が必要ですが捕虜として沙汰をお待ちして頂きます」

 

 

 

マトイはそう真剣な面持ちで言うと、レーラは当然の事だと考えた。

 

白夜が怨敵とも言える暗夜の騎士を捕虜として処遇しない訳がないのだから。

 

 

 

「・・・当の昔に覚悟はしているわ。でも、一つだけ聞かせて。・・・カンナ様は・・・ご無事ですか・・・?」

 

 

 

レーラは先の戦いで忍びに襲われていたカンナの安否を確かめると、マトイは微笑みながら答える。

 

 

 

「ご安心を。カンナ様はご無事ですよ」

 

 

 

「そうですか・・・良かった・・・」

 

 

 

レーラはそう言って安堵する。

 

マトイは一通り作業をしてから退出し、レーラ一人が残された。

 

今なら抜け出せる・・・そうレーラの頭に過るが首を横に振って頭から消す。

 

 

 

「(下手に抜け出せばカンナ様が危ない・・・今は大人しくするしかないわね・・・)」

 

 

 

レーラは白夜に捕らわれている間は大人しくするしかないと言う結論に落ち着いた。

 

レーラは大人しくしていると縁側から足音が聞こえてきた。

 

レーラは縁側に視線を向けるとそこには戦場で刃を交えたシノノメがいた。

 

 

 

「お、目が覚めたのは本当だったのか!」

 

 

 

「・・・シノノメ王子」

 

 

 

レーラはシノノメを見るとすぐに警戒心を剥き出しにして見る。

 

 

 

「おいおい、そこまで警戒すんなよ」

 

 

 

「私やカンナ様を捕らえておいてよく言いますね。どうせ、私達を処刑するのでしょ?」

 

 

 

レーラは一通りの人間が危害を加えて来ないと分かっているが、まだ捕虜としての沙汰が下されていなかった。

 

白夜王リョウマが処刑と言えばすぐの頚と胴体が真っ二つになるとレーラは考え、シノノメに対して嫌味とも呼べる言葉を放った。

 

だが、シノノメはキョトンとした顔でレーラを見る。

 

 

 

「おいおい、聞いてねぇのか?マトイから聞いてるだろ。危害は加えないって」

 

 

 

「白夜王の沙汰が下されていないのに何故、処刑しないと言うのですか?」 

 

 

 

レーラの言葉にシノノメは察した様に説明する。

 

 

 

「あぁ・・・いや、今回の沙汰は俺が決める。レーラ、俺はお前を処刑したりしない。寧ろ、殺すのは惜しい程だ」

 

 

 

「惜しい?」

 

 

 

「そうだ。俺はお前の戦う姿に惚れ、じゃなかった・・・勇猛さを感じて俺はお前を臣下に加えたい」

 

 

 

レーラはシノノメの言葉に驚きを隠せず、目を見開いて驚いた。 

 

白夜の第一王子が敵対国である暗夜の騎士を臣下に加えたい。

 

実力主義の暗夜でもこれには流石に呆れしかない。

 

 

 

「何を仰っているのですか?暗夜者の私を臣下に加えたいなど・・・正気ですか?」

 

 

 

「おう、正気だぜ」

 

 

 

シノノメの言葉にレーラは溜め息をついた。

 

 

 

「私は貴方の臣下にはなりません。寧ろなるくらいなら死んだ方がマシです」

 

 

 

「そ、そこまで言わなくても・・・」

 

 

 

シノノメはそう言って軽く落ち込み、レーラはそっぽを向いた。

 

そこにドガドガと足音が立ちながら迫って来る。

 

 

 

「やべ!オボロさんが来やがった・・・すまん!押入れの中に隠れさせてくれ!」

 

 

 

「え、ちょっと・・・!」

 

 

 

シノノメはレーラの制止を聞かずに押入れの中に隠れる。

 

そして、暫くして縁側から般若の様な顔をした女性が現れた。

 

レーラはオボロの般若の形相に流石に怯えを隠せずにいると、部屋を見渡してオボロがレーラに問いかける。

 

 

 

「・・・すみません。此処にシノノメ王子が来ませんでしたか?シノノメ王子が此処へ来たと思ったのですが・・・」

 

 

 

オボロは嘘は言わせないとばかりに睨むと、レーラはその威圧に負けて押入れを指差す。

 

 

 

「シノノメ王子は押入れです」

 

 

 

「そうですか」

 

 

 

オボロはそう言って押入れの戸を開けると、シノノメは怯えた顔で屈んでいた。

 

シノノメは開けられると同時にレーラを見て「裏切ったな!」と言わんばかりの顔をしている。

 

 

 

「こらぁ!あれほど行かないように言われてたのにどうして行くの!」 

 

 

 

「い、いや・・・興味が湧いて・・・つい?」

 

 

 

「ついじゃありません!全く、白夜の王子である事を少しは自覚してください。仮にもこの子は敵国の暗夜の騎士ですよ!」

 

 

 

「うッ・・・す、すまない・・・」

 

 

 

オボロのハーメルンの形相での説教にシノノメは体を小さくして聞いていると、向こうからまた別の足音が聞こえた。

 

 

 

「あれ?母さんとシノノメ。この部屋で何してるの?」

 

 

 

「キサラギ!私はシノノメ王子を連れ戻しに来たのよ。それより、何で貴方も此処に来てるの?」

 

 

 

「シノノメが夢中になってる人がいるって聞いたから見にきたんだよ」

 

 

 

キサラギはそう言うと、レーラの方を見る。

 

 

 

「ふーん・・・この子、凄く別嬪さんだね。ねぇ、母さん?」

 

 

 

「いや、確かに別嬪だけど・・・兎に角!ほら、早く出るわよ。仮にも怪我人の部屋なんだから」

 

 

 

オボロはそう言って二人を連れて行くと、レーラは呆然とした顔で見送った。

 

 

 

「・・・別嬪、て何?」

 

 

 

レーラは別嬪の意味を知らずただ、頭に突っ掛かる思いに陥った。

 

 

 

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その頃、白夜王城の玉座の間では現白夜王リョウマが二人の捕虜について考えていた。

 

 

 

一人はカンナ。

 

 

 

カムイと似た容姿と性格を持つ、カムイの実子。

 

そんなカンナを戦場で捕らえて連れて来られた時、リョウマはカンナを亡きカムイに姿を合わせた事で手厚くしている。

 

 

 

もう一人はレーラ。

 

 

 

リョウマの父であるスメラギを撃ち取り、戦争を継続し続ける元凶、ラクスの実の娘。

 

気を失っていた為、沙汰は目覚めて完治しだい下すつもりでいた。

 

 

 

この二人の捕虜にリョウマはどうするべきかを考えていると、そこへ一人の口元に仮面を付けた男が現れた。

 

 

 

「リョウマ様」

 

 

 

「サイゾウか。すまないな・・・右腕を失ったお前をこき使う事を・・・」

 

   

 

「いえ、これが俺の仕事ですから・・・」

 

 

 

サイゾウはテンジン砦の戦いで、ラクスとの戦いによって右腕を失っている。

 

妻のカゲロウに右腕の負担を支えて貰いつつ、忍びとしての仕事を全うしていた。

 

 

 

「それで暗夜は何か動きはあるか?」

 

 

 

「はい。暗夜ではラクスが血眼にしてカンナ様やレーラの行方を追い掛けています。白夜にも多数の密偵を送りつけてきている事から既にラクスは白夜にいると感付いているのでしょう」

 

 

 

「そうか・・・もし、奴が二人が囚われていると知ればすぐにでも兵を送り込んでくるだろうな・・・」

 

 

 

リョウマは難しい顔でそう言うと、サイゾウは申し訳なさそうにうつむく。

 

 

 

「俺が・・・奴の伴侶を殺していなければ・・・」

 

 

 

「お前のせいではない。あの時、あの様な策をとらなければ・・・カムイも、死なずに済んだのかもしれない・・・」  

 

 

 

リョウマはそう言うと、サイゾウは更にうつ向く。

 

カムイの死はリョウマ達に大きなショックと変化を与えた。

 

 

 

カムイの死後、リョウマは交戦ではなく講和を模索する様になり、タクミはカムイへの憎悪が嘘の様になくなり、ヒノカはよりいっそう稽古に打ち込む様になり、サクラは基本的に民や兵への治療を行ったりしているが自身も戦えて身を守れる様になる為に弓を取り始めた。

 

 

 

こうした変化をもたらしたカムイの死にリョウマ達は変わった・・・変わってしまったのだ。

 

 

 

「・・・明日、レーラを此処に呼べ。捕虜としての沙汰を出す」

 

 

 

「・・・処刑するおつもりですか?」

 

 

 

サイゾウの問いにリョウマは無言を貫く。

 

サイゾウはそれを見ると、玉座の間から立ち去った。


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