ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】   作:コッコ

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七重の塔の試練~前編~

カムイ達とラクスは七重の塔の内部に入ると、何処から途もなく声が聞こえた。

 

「よく来たな・・・異邦の者達よ。虹の賢者に会いたくば七つの試練を突破し、最上階にある扉を開くがよい・・・」

 

「やはり塔の中に試練があった様ですね・・・」

 

「油断してはいけまけんよ。この塔は無数の幻影兵が守りを固めています。簡単には進めません」

 

ラクスの言葉にカムイは疑問に思った。

何故、始まってすらいない試練の内容を知っているのかとカムイは聞こうとしたが、ラクスはディアブロスを引き抜いて構えた。

 

「では、行きましょう」

 

「は、はい・・・」

 

カムイも夜刀神を引き抜いて構えると同時に戦闘が始まった。

多数の幻影兵がカムイ達の元に向かって進んでくるのが見える。

カムイは別動隊に分けて進む事にして、右側の通路をラクスと共に進む。

 

「はぁ!」

 

ラクスはディアブロスを振るって幻影兵を蹴散らしていく、前に、横に、後ろに迫る敵を容赦なく斬り伏せる姿はまさしく死神そのものだった。

 

「いつ見ても凄いわね・・・」

 

「カミラ姉さん。ラクスさんの戦っている姿を見た事があるのですか?」

 

「えぇ・・・昔、内乱鎮圧の際にまだ経験の浅いマークス兄様と初陣だった私とラクスで出撃したの。その時にラクスの戦いを見たの」

 

「どんな戦いだったのですか・・・?」

 

「・・・殆ど虐殺よ。指揮官はマークス兄様たったけど、経験が浅いと言う理由でラクスが指揮を取ったの。私達は後方で待機させて何もさせずラクスは前線に出た。遠くからでも見えたわ・・・ラクスの異常なまでの指揮と戦いで反撃を殆ど許さず戦いを終わらせたのだから」

 

カミラの言葉にカムイは唾を飲んだ。

ラクスの強さは昔からの物だったのだ。

誰よりも経験深く、誰よりも強く、誰よりも冷酷、それがラクスの本質とカムイは理解した。

 

「ラクスさん・・・」

 

カムイは呟くと、ラクスを見る。

ラクスはディアブロスを片手に幻影兵を倒していき、道を開けた。

 

「さぁ、次の階へ行きましょう」

 

「はい・・・」

 

カムイ達とラクスは階段を昇ると、小さな少女がいた。

 

「・・・」

 

「な、なんですか?子供?ここにいたら危険ですよ。私達が保護しますから、此方に」

 

「いらないわ、保護なんて。私は子供ではないもの」

 

カムイの差し出された手を取る事はなく、少女は保護を断った。

 

「え?でも・・・」

 

「お嬢ちゃん、耳が遠いの・・・?必要無いといっているでしょう」

 

「お、お嬢ちゃん!?どう見ても私の方が年上ですよね!?」

 

「面倒事はごめんだわ・・・私にもう関わらないで。私はただ、誰の目にも触れず一人で生きていきたいだけなの・・・」

 

少女の言葉にカムイは疑問を浮かべた表情で、少女に問う。

 

「一人?貴方、一人何ですか?ご家族は?」

 

「えぇ。そんなもの・・・とっくの昔にいなくなったわ。皆、私の事を気味悪がって離れていった・・・だから、私は一人よ。今でも、これからも、ずっと・・・」

 

「そうですか。じゃぁ、私達と一緒に来ませんか?」

 

ニュクスの言葉を聞いたカムイはニュクスに一緒に行かないかと誘った。

ニュクスは呆れる様にカムイを見る。

 

「はぁ?何を言っているの?人の事情を知らない癖に仲間に招き入れるなんて、貴方正気?」

 

「はい。確かに貴方の事情は分かりませんが・・・それでも、仲間にはなれるでしょう?誰にだって人には言えない事情や秘密がある物ですよ」

 

「・・・ふうん。若いのに、知った風な口を聞くじゃない」

 

カムイに対してニュクスは皮肉を言う様に話すがカムイは諦めない。

 

「そうですよね・・・私にもありますから。人には言えない、大きな秘密が。でも、それでも仲間はいます。同じようにしてくれる人だって。だから私も、貴方が何者であろうと一人にしておきたくないんです」

 

「・・・」

 

「それに・・・やはり子供を放っておけませんし」

 

「もう・・・だから私は、子供ではないと・・・・・・でも、そうね・・・悪い話ではないかもしれないわ。貴方なら、私の事を理解してくれそうな気がするもの・・・良いわ。わたし、貴方に付いて行く。この力、好きに使うといいわ」

 

こうしてカムイの軍にダークマージの少女(?)ニュクスが加わった。

ラクス達は更に幻影兵を打ち倒して、先に進み続ける。


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