ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】   作:コッコ

119 / 174
遭遇戦

ラクスは地図を見ながらカムイの同行を探って移動していた。

村での戦闘以来、あちこちで現れているらしいがそれでも簡単に掴めない。

 

「困った物だ・・・奴等の動きを把握できぬとはな・・・」

 

「最後に目撃されたのはテンジン砦だそうですよ?」

 

「テンジン砦だと?白夜の軍事的要所で?」

 

ラクスは疑問に思いながら聞くと、親衛隊兵士から信じられない言葉を聞く。

 

「そうなんですよ。何でも、白夜王国のサクラ、て言う王女とその臣下を仲間にしたらしいんですよ」

 

「何だと?白夜王国の王女が何故・・・」

 

「仲間にした後、黄泉の階段の方面に向かって行ったとも、情報がありましたよ」

 

それを聞きラクスは考え込んでいると、カムイの行き場所に気づいた。

 

「・・・イズモ公国か」

 

「え?」

 

「白夜から黄泉の階段を使うのは大抵はイズモ公国へ向かう時だ。そこからまっすぐ進めばイズモ公国」

 

ラクスは確信めいた言葉で馬を進め様としたが、前方に土煙が見えた。

 

「武装した軍隊です。旗は白夜ですね」

 

「ほぉ、我々に気づいたか?」

 

「隊長!好き勝手に暴れて良いですか!」

 

「久々に腕が鳴るぜ!」

 

親衛隊は其々の得物を持って興奮気味に騒いでいる。

ラクスは溜め息をつきながら頷く。

 

「・・・程々にな」

 

「よっしゃーー!行くぞ!」

 

親衛隊はラクスを置いて次々と白夜軍に向かって行き、襲い掛かった。

戦闘は戦いとは呼べないくらい悲惨な物だった。

親衛隊は圧倒的な戦闘技術で白夜軍を蹂躙するが、他にもわざと急所を外して楽しむ様な者がいる。

 

「程々にしろと言ったのに・・・」

 

ラクスは頭を抱えながら呆れ返る。

親衛隊はそんな事も気にしていないのか、白夜軍を襲い続ける。

中には言えないぐらいに残虐な手段で殺す様な者もいる。

 

「そろそろ止めるか・・・」

 

ラクスはそう呟いて向かって行く。

ラクスが来ると、白夜軍の士気は完全に無くなっており後ろに徐々に下がりながら震えている。

そんな白夜軍に不気味に笑いながら迫る親衛隊。

 

「そこまでだお前ら」

 

「隊長!」

 

「あと少し!あと少しだけ!」

 

「馬鹿か。これ以上、時間を掛けるな。カムイに逃げられるだろう」 

 

ラクスの言葉に親衛隊は非難する様な目で見てくるが、ラクスの睨みで無くなる。

 

「さて、白夜軍よ。私達はお前達をこれ以上は殺さない・・・だが、また会えば次は無いぞ」

 

「ひ、ひぃッ!」

 

ラクスの言葉を聞いて白夜軍は全員逃げ出していく。

 

「ふぅ・・・では、行くとするかイズモ公国へ」

 

ラクスは再び馬を歩かせると、親衛隊も後ろから続く。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。