ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
ラクスは出撃までかなり時間がある為、王城の図書室で本を読んでいた。
王城の図書室にある本は膨大で、何年掛けても全て読み終わるのに時間が掛かると言われている。
ラクスが人気の無い所で、兜を脱いで本を読んでいると、足跡が聞こえラクスは素早く兜を着けた。
「誰だ・・・?」
ラクスはそっと覗き込むと、そこにはエリーゼが本を探していた。
ラクスはエリーゼが本を探しに来たのだと分かると、覗き込むのを止めて兜を着けたまま読むのを再開しようとしたが、足跡がラクスの元に来ていた。
「あ、ラクス・・・」
「エリーゼ様。如何なさいましたか?何か本をお探しでも?」
「・・・」
エリーゼが黙り込んでしまいラクスは困り果てた。
言ってくれなければどうしようもなく、ラクスは溜め息をついて、エリーゼに再度問う。
「黙っていては分かりませんよ?悩みがあるのですか?」
「・・・ラクス。カムイお姉ちゃんを殺そうとしているのは本当なの?」
「・・・カムイの事は忘れてください。もう、貴方の姉ではないのですよ」
「嫌だよ・・・カムイお姉ちゃんの事を忘れろなんて無理だよ・・・」
エリーゼは泣き出してしまい、ラクスはいよいよどうして物かと考え始めるが、現実をエリーゼに突き付けるしかなかった。
「カムイは謀反人ですよ。何で姉としか見れないんですか?奴を殺さなければ暗夜が危険に立たされるかもしれないのですよ?」
「ッ!?ラクスの馬鹿!!」
エリーゼはそう叫ぶと走り出してしまった。
ラクスは一人になると、机を思いっきり殴り付けた。
大きな音が図書室に鳴り響く中で、ラクスは椅子に座って落胆した。
「(他にどうしろと言うのだ・・・!カムイは暗夜王国を捨てたんだ。絶対に生かしてはならない・・・暗夜王国の為にも・・・!)」
ラクスは決意を固めると、椅子から立ち上がり図書室を出ていく。
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ラクスは王城前に来ると、親衛隊の兵士、騎士達が整列もせずに酒盛りやら、博打やらと好き勝手していた。
「・・・この、馬鹿共!!!」
ラクスの怒鳴り声に親衛隊一同はビクついた。
「ら、ラクス・・・これはその・・・」
「呼び捨てにするな・・・後、何だこれは?此所はいつから宴会場やら博打場になったんだ?」
「あ、あのですね・・・私達、ずっと待っていんてすがあまりに暇でして・・・」
衛生兵役のメイドが必死に弁解しようとしたが、無駄だった。
「貴様、他に準備とかがあるだろ?その時間が暇潰しに宛がうとは余程、鍛え直されたい様だな?」
「ひッ!す、すみません!」
「ラクス、じゃなかった隊長!自分達が悪いですが大人げないので威圧は止めてください!」
兵士の言葉にラクスは威圧を出している事に気づき押さえる。
威圧を押さえた事により、親衛隊の一同は安堵する。
「何は途もあれ、お前達・・・帰ったら説教だ」
ラクスはそう言うと馬に跨がり、親衛隊一同は意気消沈している。
ラクスは頭を抱えながら悩む。
「(こいつら全く変わらん・・・ガロン様を筆頭とした王族や高官に対しての無礼、軍内部の風紀を乱したりもする・・・ガロン様達は広い心で許してくれているが、甘やかしてはいかん。何としてもこいつらを正さなくては・・・)」
「どうしました?」
「いや、何でもない・・・では、出発だ」
ラクスは不安を抱えながら、カムイ討伐に動く。
その行軍は狼の群れの如く、鋭い殺気を纏いながら進んでいく。