ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
カムイによって退かされたラクスはマークスの元に向かった。
指示を仰ごうとしたが、とてもそんな状況ではなかった。
マークスは辛い顔をして、カムイを見ている。
「・・・くッ。何故だ、カムイ。何故暗夜に刃を向けた。例え血は繋がらなくとも、私達は本当の家族ではなかったのか?」
「マークス兄さん・・・!私はただ、話を聞いてもらいたいんです!」
カムイの言葉にマークスはもう聞く気はないのか黙っている。
「カムイ・・・どうして白夜を裏切った。お前の正義とは、一体、なんだったのだ・・・」
「違います!リョウマ兄さん!私は白夜を裏切った訳ではありません!」
リョウマも同じなのか、マークスと同じ様に黙り込む。
ここでマークスが口を開いた。
「私は・・・ずっとお前の事を、本当の兄妹だと思って・・・・・・っ。・・・全軍に通達。カムイは暗夜を裏切った。以降はカムイを敵とみなす。速やかに捕縛せよ!」
「そんな・・・!」
「カムイ・・・お前が連れ去られた時の身の裂ける思いは今も忘れていない。共に過ごせなかった時間を取り戻す事もできない・・・だとしても・・・俺はお前をもう一度、家族として・・・いや。・・・それはもう夢物語なのだな。・・・皆に伝えろ。カムイは白夜を裏切った。敵に回るのならば・・・戦うしかない!」
「リョウマ兄さん!私は・・・私は・・・!」
二人の言葉を聞いたカムイは悲痛な表情をしている。
ラクスも内心ではかなり辛い物で、兜の下ではカムイと同じ悲痛な表情をしている。
だが、ラクスはそれを圧し殺して全軍に命じた。
「・・・全軍、マークス様の言葉通りカムイを・・・捕縛せよ!」
「ラクスさん・・・!」
「待って、カムイ。今は無理よ。三人に貴方の言葉は届かないわ。一先ず此所を離れましょう。捕まる訳にはいかないもの」
「マークス兄さん・・・リョウマ兄さん・・・ラクスさん・・・」
カムイはそう言い残すと、逃げ出した。
「追え!決して逃がすな!!」
ラクスの命令で暗夜軍の一部がカムイ達を追いかける。
ラクスは追撃を命じた後、マークスを見ると辛そうに顔をうつ向かせている。
「・・・辛いのは分かりますが、今は目の前の戦いに集中してください。言っても、両軍はカムイによって崩されて士気ががた落ちしてお互いに戦いになりませんが・・・」
「・・・士気が下がった以上は仕方がない。全軍、退却だ!」
マークスはそう命令すると、速やかに暗夜軍は退却し始めた。
白夜軍に動きはなく、それ所か同じく退却していく。
「(今回は引き分けか・・・まぁ、兵糧が少ないから丁度良いが・・・カムイ。貴様は絶対に殺しておかなければならんな)」
ラクスはそう思いながら、馬を走らせる。