ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】   作:コッコ

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時代の流れと歴史

戦争終結から月日が経ち、ラクスは騎士としての仕事から一線を引いて書類仕事に明けくれていた。

羽ペンで次々と書類に名前を書いたりしていると、扉がノックされた。

 

「父さん。レーラです」

 

「入って良いぞ」

 

ラクスが許可をすると、レーラは大量の書類を持って入ってきた。

ラクスはそれを見て溜め息をつく。

 

「全く、誰がこんなに仕事を貯めたんだ・・・」

 

「父さんだと母さんが言ってました」

 

「・・・そうか」

 

ラクスはまた溜め息をつくと、仕事を再開する。

 

「所でお前、ジークベルト様の臣下だろ?離れていて良いのか?」

 

「大丈夫です。むしろ、父さんが仕事辛さで脱走しない様に見張ってくれと言われました」

 

レーラはニコやかにそう言うと、ラクスは苦笑いをした。

ジークベルトは最近になって厳格とは言わないが、マークスに似てきていた。

真面目な所にも助すけられているのかカリスマ性も高まっている。

 

「まさか、あの自信の無さが出ていたジークベルト様が頭角を現すとはな。うれしい限りだ・・・」

 

「そうですね」

 

ラクスはふと、レーラの薬指を見ると指輪が光っていた。

ラクスはそれを見て、固まってしまった。

 

「父さん。どうしました?」

 

「・・・れ、レーラ。その薬指の指輪は?」

 

「え?あ、はい・・・実は・・・プロポーズされました」

 

「だ、誰にだ?」

 

「・・・ジークベルト様」

 

ラクスは自分の娘にプロポーズした相手がジークベルトと聞いて更に固まる。

ラクスは何も聞いてはおらず、何故今更そんな報告をするのかと頭でいっぱいになる。

 

「ほぉ、そうか・・・何で報告しなかった?」

 

「ジークベルト様がもう少し覚悟してから行きたいと言うので・・・」

 

「(まぁ、妥当だろうな・・・レーラに手を出そうとした奴を叩きのめしてる所を近くで見てたからな)」

 

ラクスはそう思いながらも言わなかった。

自分の娘が結婚するかもしれないし、何よりジークベルトなら任せられそうだったからだ。

 

「はぁ、本当に結婚するのか?指輪を付けているが・・・」

 

「はい・・・この指輪を受け取った時から覚悟しています・・・」

 

「・・・そうか。じゃぁ、ジークベルト様の覚悟ができたらもう一回、二人で報告に来い。いいな?」

 

ラクスはそう笑いながらレーラに言うと、レーラは泣きながら頷くと部屋を退出した。

 

「・・・寂しくなるな」

 

「貴方もやっぱりそう思うのね」

 

「ベルカ、いつ入ってきたんだ?」

 

「少し前よ」

 

ベルカがそう言うと、側にあった椅子に座る。

 

「戦争が終わってからかなり月日が経ったな・・・」

 

「えぇ・・・マークス様とリョウマ王子の戴冠式とか平和条約の締結とか国の建て直しと貧困問題の解決とか忙しそうにしていたものね」

 

「だが、それでも短い物だったよ・・・」

 

ラクスは懐かしそうに外を見ると、賑わう外の城下が見える。

あちこちに灯りが着いていて幻想的な街並みで、暗夜王国の名物になりつつあった。

 

「短いと言ってもここまで立て直せるとは思わなかった」

 

「まぁ、私だけでなくこの国の王であるマークス様とその王妃カムイ様と共に頑張ったからだよ。それと、他の仲間達も」

 

「・・・そうね」

 

ラクスとベルカは笑いながら話していると、ラクスが徐に時計を見ると立ち上がる。

 

「すまない次の仕事の時間だ。また一緒にゆっくりと話そう」

 

「うん・・・楽しみにしてるわ」

 

 

~とある歴史書~

 

数百年前に起こった暗夜王国と白夜王国の戦争は英雄カムイと両王族達が納め終結させた。

英雄カムイの性別は分からないが、マークス王の妻と記されている事から女性である説が根強く学者達に残されている。

そんな、英雄カムイの元には決して光に照らされる事のなかった英雄が一人いた。

 

その名はラクス。

 

かつて暗夜王国の暴君ガロンに仕えた冷酷な騎士として、歴史に深く刻まれているが真実は定かではなく、諸説では反乱を引き起こし、ガロンを討つ為の戦いをしたと言う記録があるが何故かこの部分は全て破り捨てられた後があり、知る事はできなくなっている。

 

謎の多い騎士ラクスは、かなり愛妻家で仕事に時間が空いたら常に夫婦で過ごしていたとされるが、その妻も不明で本当は結婚してはいないのでは、と言われている。

 

だが、ここで驚きの真実が明らかになった。

 

それは、現暗夜王には騎士ラクスの血を受け継いでいると語って貰え、一つの文章が渡された。

それは、暗夜王国初の女騎士団長でラクスの娘とされているレーラの書き記した物で、そこにはラクスについての記録が沢山記されていた。

 

その中の一部に、誰よりも勇敢で賢い父親たが、結婚報告に来たジークベルト様を叩きのめしたと、恨み事を吐く様に書き記していた。

 

ラクスはかなり親バカなだけだと思われたが、書き記していた文章の注目する所はそこではない。

 

ジークベルト。

 

この名前は歴代暗夜王のマークスの息子で、マークスから王座を譲り受けた暗夜王の一人なのだ。

 

その人物を叩きのめしてるのはともかく、ジークベルトとレーラは結婚報告をラクスにしたと言う事は、二人は夫婦である事が分かり、ラクスが結婚をしていたと言う事と現暗夜王の言っている事の証拠でもあった。

 

謎の多い騎士ラクス。

 

まだまだ、追及すべき内容は多く残っている。

 

その答えがいつ明らかになるかは・・・まだ不明である。

 

【暗夜ルート編 完結】


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