ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】   作:コッコ

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タクミの異変

ガロンを討ち倒したカムイ達は、反乱を起こしたラクスの処遇を話し合っていた。

共にカムイ達と戦ったとはいえ、反乱を起こしたのは事実なのだ。

 

「・・・ラクスさん。貴方が反乱の首謀者だと言う事は間違いないですね?」

 

「はい・・・もう覚悟はできております。どうぞ、お斬りください」

 

「・・・ラクスさん。私は、貴方を斬る様な事はしませんよ」

 

「・・・何故?」

 

「私は貴方に言いましたよね?仲間だと・・・だから、仲間であるラクスさんを斬ったりしません。それに貴方には家族がいるではありませんか」

 

カムイはそう言うと、ラクスは振り向くと不安そうに見つめるベルカとレーラがいた。

 

「ですが、私のした事は暗夜王国への反逆であるのは許される物では・・・」

 

「貴方が何と言おうと、斬りはしません。これはこの軍のリーダーとして、暗夜王国の王女としての命令です。生きてくださいラクスさん・・・」

 

カムイはそうラクスに告げると、ラクスは頭を下げた。

 

「・・・寛大なご処置ありがとうございます」

 

「はい・・・では、ラクスさんの件はこれで終わりです。後は反乱兵達の戦闘停止させるだけです」

 

ラクスがそう言った瞬間、突然、何処からともなく不気味に光る矢がカムイに襲い掛かる。

カムイは間一髪避け、飛んできた方向を見るとそこには不気味な光を纏ったタクミだった。

 

「タクミさん・・・!?生きていたのですか、タクミさん!!でも、その姿はいったい・・・」

 

「・・・殺してやる・・・」

 

「え・・・?」

 

「殺してやる!!カムイっっ!!!!」

 

タクミはそう言うと、再びカムイに弓を引いて矢を放った。

その攻撃は三回あり、最初は避け、二回目は防ぎ、最後はカムイの腕に掠めた。

 

「お前なんか、殺してやる・・・殺してやる、殺してやる、殺してやる・・・」

 

「タクミさん!攻撃を止めるのです!ガロン王はもういません・・・戦争は終わったんです!これ以上無意味な戦いをする必要はありません!」

 

「殺す・・・お前だけは僕が殺す・・・そう決めていたんだ・・・」

 

タクミは虚ろな目で、カムイに殺気を向け続ける。

カムイはどうにかタクミを止めようと、説得を続ける。

 

「くッ・・・!話を聞いてください、タクミさん」

 

「待って、カムイ!説得が通じる相手ではないわ!信じたくはないけれど・・・彼もガロン王と同じように、何者かに囚われている」

 

「何ですって!?」

 

「残念だけど・・・あの姿は、もはや手後れよ・・・おそらく、スサノオ長城から身を投げた時に、タクミはもう・・・」

 

「そんな・・・!」

 

アクアの言葉にカムイは打つ手がない事に悲痛な表情をする。

 

「では、倒すしかないと言うのですか!?お父様と同じ様に!」

 

アクアは黙ったままになり、カムイはその意味を理解したのかタクミを見る。

タクミは今にも攻撃を仕掛けてくる気配を出しており、危険な状態だった。

 

「お前のせいだ・・・お前のせいで、白夜王国は・・・僕達の国は・・・滅茶苦茶になってしまった・・・お前させいなくなれば楽になれる・・・こんな思いもしなくて済むのに・・・!お前さえ・・・いなくなれば・・・!」

 

「それは違うぞタクミ」

 

その声は、王座の間の扉から聞こえた。

そこには、リョウマ、ヒノカ、サクラの三人がいた。

 

「リョウマさん!ヒノカさん!生きていたのですね!」

 

「ふ、そこにいるラクスに一時的に死ぬ様に言われてな・・・戦争を長引かせるのを俺も避けたいと思い、ラクスの策に乗ったんだ」

 

リョウマはそう言うと、タクミに向かって叫ぶ。

 

「しっかりしろタクミ!お前は本当にそれで良いのか!カムイは確かに俺達の手から離れはしたがそれでも、カムイは戦争をどうにかしようと頑張ってきたと、ラクスから聞いた」

 

「黙れ・・・!」

 

「カムイは両国の為に平和を取り戻そうと長い旅を続けてきた。俺達と戦う事になっても諦めずにだ!お前は諦めるのか・・・操られたままで終わる気か!」

 

「黙れッ!」

 

タクミはそう言うと、弓を引いてリョウマに矢を放とうとしたがその腕は掴まれた。

腕を掴んでいるのはラクスだった。

 

「何!?」

 

「いい加減に・・・しろ!」

 

ラクスはそう叫ぶと、タクミの顔をおもいっきり殴った。

タクミは堪らず吹き飛び、ラクスは吹き飛んだタクミの胸ぐらを掴んで叫んだ。

 

「お前は操られているとはいえ、何も聞こえないのか・・・カムイとリョウマ王子達の悲痛な叫びが!聞こえないなら、また殴ってやる!聞こえるまで何度でもだ!」

 

ラクスはそう言うと、タクミは悶え苦しみながら暴れる。

 

「・・・僕は・・・僕は・・・!」

 

「ッ!?今なら!」

 

アクアはそう言うと、歌い出した。

その歌はとても綺麗な物で心が洗われる様な感覚だった。

タクミは暴れるも、ラクスに押さえられた。

 

「離せっ!!!!」

 

「離さん!お前が正気に戻るまでは離さんぞ!」

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 

「お前の心の中にあるタクミとしての人格を思い出せ!タクミ!」

 

ラクスはそう叫ぶと、タクミはいきなり倒れラクスは慌てて支える。

 

「タクミさん!」

 

「タクミ!」

 

カムイ、アクアとリョウマ達は急いで駆けつけると、そこには穏やかに寝息を立てるタクミがいた。

 

「気絶しているだけです」

 

「・・・良かった・・・タクミさん」

 

「まさか、貴方の叫びで手遅れだったタクミの意識を取り戻すなんて・・・」

 

「私は心の奥底で叫んだだけだ・・・むしろ、カムイ様とリョウマ王子達の思いの方が通じたのだろうな」

 

ラクスはそう言った時、後ろからとてつもない気配を感じとりラクスは素早く振り向いた。

そこには、黒いフード付のコートを着ている男が立っていた。

 

「お前はあの時の!?」

 

「誰ですか・・・?」

 

「・・・私の母を殺めた男です。気を付けてください・・・あの方は、私でも強いと感じます・・・」

 

「・・・この道はイレギュラーに邪魔をされたか・・・まぁ良い、次の道で殺してしまうまでだ・・・」

 

「待て!それは何の事だ!イレギュラーとは何だ!!!」

 

「くく、いつか分かる・・・去らばだ、イレギュラーよ」

 

男はそう言うと、消えていった。


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