ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】 作:コッコ
暫くした後、ラクスはガロン達と共にテンジン砦に入城した。
中では既にカムイ達が捕虜達を隠して出迎えていた。
「此度の戦は見事だったなカムイ。ラクスから全て聞いたぞ。多少の遅れはあったが、捕虜は捕らずに皆殺しにしたと聞いて、本当に誇りに思ったぞ」
「ありがとうございます。お父様」
ガロンの言葉に合わせる様にカムイは言うと、ガロンは次の命を下した。
「次はスサノオ長城を攻め落とす。今回もお前に先鋒を任せる・・・それと、ラクスは一時的にお前から離脱させ白夜王都へ攻め入らせる」
「ラクスさんをですか?」
「そうだ。ラクスの腕は知っておろう・・・知勇に優れた我が懐刀をお前に貸したが、やはり早期決着にはラクスの腕が必要であるからな」
ガロンの考えを聞いてカムイは顔を少し歪めたが頷いた。
「分かりました・・・」
「うむ・・・ラクス。進軍の準備をして命じた通りに行け」
「分かりました」
ガロンはそう言うと、テンジン砦内に向かう。
残されたラクスとカムイ達はすぐに話し合った。
「どうするのカムイ姉さん。今、ラクスに抜けられたら指揮系統が大きく崩れるよ?」
「あぁ・・・ラクスは今までカムイの副官の様な存在だったからな。此所で抜けるとなると」
「それにベルカとレーラはどうするつもりなの?彼女達も連れていくか、置いていくか・・・」
「・・・どちらにしろ命令は絶対・・・なら、私と言う空白はレーラに任せてみたい」
ラクスはそう言うと、レーラを指名した。
カムイとマークス達は考える。
「確かにレーラはお前に劣らない所を持っている・・・だが、彼女はまだ未熟だぞ」
「分かっています・・・ですが、今は指揮系統を崩すのは良くないです。それに、マークス様達が幸いにも付いておられますから・・・では、カムイ様と娘をよろしく頼みます」
ラクスはそう言うと、一礼して立ち去った。
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スサノオ長城の道から大きく擦れて、山奥を進むラクスの率いる暗夜軍の大軍が行軍していた。
ラクスの軍は警戒しつつ素早く移動する。
「急げ。ガロン様がスサノオ長城を攻め落とす前に奇襲成すのだ」
ラクスはそう言うと、更に急がせると山を抜けた。
山を抜けた先には、白夜王都が見えており白夜軍も少数だ。
「やはりスサノオ長城に兵を割いていたか・・・これより奇襲を決行する!私に続けぇ!!!」
「「「「「うおぉぉぉぉぉぉッ!」」」」」
ラクスの言葉に暗夜兵は雄叫びを挙げ、ラクスは馬を走らせると同時に暗夜軍も続く。
~リョウマside~
俺は暗夜軍に大しての軍議をしていた時だった。
一人の伝令が慌てた様子で襖を開けて入ってきた。
「申し上げます!暗夜軍の奇襲!この王都に迫っています!」
「何!?スサノオ長城を掻い潜ったのか・・・敵の将は誰だ!」
「暗夜王の懐刀、ラクスです!」
俺は伝令から聞いた将の名前を聞いて納得がいった。
奴は常に白夜軍と対峙する際もカムイの側で指揮を取っている事が分かっている。
奴は武勇だけでなく知略にも長けた名将だ。
暗夜軍の軍師はマクベスと言う男だが、本当の軍師と呼べるのは奴の事だ。
自ら前線に出て、戦い、的確な場所を突いて指揮をする。
正しく敵にしたくない相手だ。
「今すぐに兵を纏め撃退するぞ!出陣の用意だ!!!」
「「「「「は!」」 」」」
俺がそう言うと、白夜の将達は一斉に退出していった。
残された俺は奴と、どう戦うのかを考える。
~side終了~
ラクスは王都から離れた平原で、白夜軍と対峙した。
数こそ少ないが、白夜兵一人一人が絶望など無い、と思わせる目をしている。
「流石は王都を守る兵だ。例えこの数でも相手にしてやろうと言う事か・・・」
「ラクス様。ご命令を」
「・・・全軍、故郷の民の為に剣を振るえ!王都に侵入したら略奪、虐殺等の横暴は許さん!正義を持って戦え!行くぞ!!!」
「「「「「うおぉぉぉぉぉぉッ!」」」」」
ラクスは先頭で馬を掛けると、その回りに親衛隊の騎士と普通の騎士達が槍を持って続く。
その後ろに無数の暗夜軍が駆けた。
白夜軍もそれに合わせて走りし、騎士が槍を突き出すのと同時に両軍は激突した。
「はぁ!」
ラクスは両軍が激突した後、白夜軍を斬り捨てて戦っていると、奥から見知った紅い白夜風の鎧を着た人物が現れた。
「ラクス・・・」
「これはリョウマ王子。貴方も戦場で剣を交えに?」
「そうだ・・・貴様を倒し、白夜の平和と父上の仇を取る!」
「・・・やはり恨んでおられるか」
「・・・恨んでいないと言えば嘘になる。イズモ公国の際は世話になったが、こうして敵としてくれば刀を交えるしかない」
リョウマがそう言うと、ラクスは静かにディアブロスを構えた。
「なら、来れば良い・・・私は国と民の為にこの刃を貴方に向ける。なら、貴方も国と民の為に私に刃をを向けろ。迷うな・・・全力で掛かってこい」
「言われなくとも!」
リョウマはそう言うと、ラクスに向かっていく。
リョウマは雷神刀をラクスに振るうと、ラクスはディアブロスで防ぐ。
両者の刃は激しい音を立てて突風を起こした。
リョウマは素早く後ろに下がると、驚いた顔をした。
「雷神刀と互角・・・何だその剣は・・・!」
「この剣は宝剣ディアブロス。神器と引けを取らない名剣だ」
「成る程な・・・だからお前が来たのか。神器に対抗する術のある武器を手にしているお前が」
「リョウマ王子の言う通りこの剣は確かに強力な物だ。だが、この剣は相応しい実力が無ければ逆に命を取られかねない代物でもあるがな」
「そうか・・・だが、今はそんな事を構っている暇は無い!」
リョウマはそう言うと、ラクスに攻撃する。
ラクスはリョウマの攻撃を受け止めると、リョウマに攻撃し、リョウマはそれを避ける。
「何故だ。何故、お前の様な誇りを知る者が暗夜の侵略に荷担する!」
「私とてやりたくない・・・だが、この侵略を成功させるば多くの暗夜の民が救える。だから、私は今までの横暴にも目をつむり時には自らもその横暴に加担した・・・それが民を飢えから救う唯一の道だと!」
「それで民達はお前の行動を理解するのか!ただ、恐れられ、憎まれるだけの存在になっているお前の!」
「それでも・・・民に安息が来ればそれで良い。民の飢えの苦しみが無くなるなら・・・どんな手段でも使ってやるさ」
ラクスはそう言うと、左腕を挙げると大量の矢がリョウマに降り注ぐ。
リョウマは素早く走り抜けて矢を避けて、ラクスを睨む。
「貴様・・・!」
「お前には分かるまい・・・暗夜の者はこんな汚い手段を使わなければ生き残るないと言う事」
「貴様にも何が分かる!白夜は平和を愛していた。その平和を壊され何れだけの白夜の民が嘆いたか!」
「・・・どちらにしろもう引き返せない。さぁ、決着を着けようリョウマ王子」
ラクスとリョウマは再び対峙すると、白夜の伝令が現れた。
「ご報告します!暗夜軍がスサノオ長城を陥落させました!暗夜軍はまっすぐ此方に向かっています!」
「くッ・・・ラクス。決着は次の機会にだ。全軍撤退だ!」
リョウマがそう言うと、後ろを向いて走っていく。
そのリョウマを追撃しようと暗夜兵達が走ろうとしたが、ラクスに止められた。
「捨て置け・・・どうせ逃げたりせず籠城を選んでくるさ」
ラクスはそう言うと、白夜王都へゆっくりと進軍する。