Fate/Grand order 人理の火、火継の薪   作:haruhime

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後二話くらいで冬木が終わるのか?

再びスッカスカの戦闘描写がががががががっが

ソウルに関する独自設定があります。(変えないとは言っていない。)




炎上汚染都市 ー冬木ー 堕ちた聖剣の主

三騎のサーヴァント、霊基反応と外見からシャドウサーヴァントと名付けられたそれらを退けた俺たちは、所長の命令に従い武家屋敷まで撤退した。

 

あの戦いの後、骸骨の群れにたかられそうになっていたのを、この冬木の聖杯戦争に呼ばれていたキャスター、クー・フーリンに救われていたからだ。

 

正直なところ、救援はありがたかった。ハードな戦いを乗り越え疲労が心身にたまっていたのは間違いない。

 

マシュにも疲れが見えていたし、クラーナの戦闘能力も低下していた。

 

ただ、火継の薪は万全どころか戦闘前よりもその圧力が高まっている気がする。

 

しかし、彼一人の調子が良くても、複数の敵に襲われればどうしようもない。

 

あのままで無理をしても良い結果は得られないだろう。

 

一刻も早くカルデアに戻りたいだろうに、やはり所長は魔術師としても指揮官としても一流というところか。

 

『先ほどの戦闘、お疲れ様。現代においてみることができないだろう超常の戦いだったね、思わず興奮してしまったよ。』

 

「俺も途中から見ていたが、坊主もなかなかやるじゃねえか。」

 

クー・フーリンが肩を叩いてくる。なんだかずいぶん親しみやすい、兄貴分のような人だ。

 

「ちゃんと記録は取ってある?」

 

『もちろんさ、データの収集解析も進めている。ダヴィンチがいろいろいじっているみたいだけど。』

 

『ふふふ、万能の天才たる私にかかればカルデアのシミュレーターで再現できるようになると思うよ。トレーニングにお勧めだね。』

 

ずいぶんとご機嫌のダヴィンチちゃん。なんだか久しぶりに会った気がする。

 

『それよりも火継の薪クン、私は君に聞きたいことがある。』

 

【何かね、万理の才知よ。】

 

ダヴィンチちゃんが火継の薪に質問する。すでに彼は最初の監視者装備に戻っていた。

 

『先ほどの交戦、いやそれ以前から君と魔女クンは青白い靄を取り込んでいるね。』

 

「あれについては、俺も気になってたんだ。なんだい、あれは?」

 

ダヴィンチちゃんの疑問はもっともだ、あの時見た光景には不思議な感覚を覚えた。もっとも、同じものが自分に入ったときはもっと驚いたが。

 

『それに合わせて、君たちの霊格が向上している。これは一体どういうことだい?』

 

【説明するのは長くなるな。簡単にまとめよう。】

 

そういいながら火継の薪はクラーナの肩に手を置く。

 

「私が説明するのか!?」

 

【私に知識はないからな。】

 

「馬鹿者め!」

 

―――説明してやろう。

 

一通り罵倒したクラーナ曰く、あの青白い靄はソウルという。

 

ソウルは万能の燃料であり、魂の器を満たすことで己の位階を高めることができる。

 

ただ、ソウルと呪いは表裏一体のそれであり、己の器を超えて注ぎ込めば不死となるだろう。

 

また、より多くのソウルを貯めこんだもののソウルには記憶や人格の一部が取り込まれていることがある。

 

これらを利用して彼らの持つ武具や術を再現することもできる。

 

それを用いるためには元のソウルの持ち主に認めてもらわねばならず、未熟者では使うこともできなくなる。

 

俺はこのソウルを取り込み、少なくとも呪術の火に耐えられるだけの力を得なくてはならないらしい。

 

どうやら俺にはソウルを扱うに足る器があるらしい。

 

『待ってくれ!まさかソウルって言うのは魂のことなのかい!?』

 

【何ともいえぬ、どちらかといえば人間性の方が近い気もするが。】

 

火継の薪は胸にソウルの渦を生み出すと、その中から不思議なものを取り出した。

 

白と黒のぼやけた像。俺はあれを見た事があるはずだ。

 

彼はそれをすぐに仕舞ってしまった。何かがわかる気がするんだけど。

 

「その二つを合わせたモノと考えるのがわかりやすいと思うぞ。本質とはズレている気がするが。」

 

「俺も何体か蹴散らしたが、ソウルってやつは取り込めなかった。どうなってやがる。」

 

『そのあたりの検証はおいおいするとしよう。』

 

クラーナの回答にクー・フーリンが頭を掻きむしり、ダヴィンチちゃんが質問を打ち切る。

 

「バカ弟子二号、見たところ、さっきの戦いである程度のソウルは得たらしいな。」

 

俺をじろじろ見ながらクラーナが言う。

 

【篝火があるここでならば、火守女がいれば強化できるのだがな。】

 

「私にはできんぞ、妹ならできただろうが。」

 

そのクラーナに火継の薪が視線をやる。

 

しかし、クラーナは首を横に振った。

 

【クラーン様を召喚するわけにはいかんだろう。】

 

「……そもそもあれを呼べるのか?」

 

火継の薪の答えにクラーナは虚を突かれたように返した。

 

【やろうと思えばできる。しかし、混沌の筆頭従者として姫への不忠は為せぬ。】

 

「ふん、あれなら答えそうなものだがな。」

 

姫ってだれだ、会話の流れ的にクラーナの関係者ポイのはわかる。

 

え、クラーナってお姫様なの?

 

「何を考えた。」

 

急にクラーナがこちらを向いた。声に棘が混じった感じがしたけど、何がトリガーなんだ。

 

【この場でどうにかできる問題ではないのは確かだ。この先火守女に会ううか、召喚する事もできるだろう。】

 

【その時までは、ソウルを蓄えよ。カルデアに戻ってからになるであろうよ。】

 

 

 

 

 

 

 

 

4時間ほどの休憩、俺や所長の仮眠とクラーナの呪術の蓄積、魔力の補充を完了させたのち、クーフーリンから得た情報を基に、大洞窟に向かう。

 

その時に、火継の薪はねじくれた大剣を引き抜き、篝火を消していく。

 

入り口周辺まで近づいたところで、赤い外套の男が立っているのが見えた。

 

「いいか、この先に聖杯を持つセイバーがいる。そして入り口にはそのお守り役のアーチャーがいやがる。」

 

「俺とあいつは因縁があるらしくてな、これまで幾度もの聖杯戦争で戦ってきた仲だ。」

 

「シャドウサーヴァントとしてステータスが低下し持ち味が生かせない今、俺なら確実に奴を取れる。」

 

「だからお前たちは先に行き、セイバーとの決戦に挑め、手が空いたら助けてやるよ。」

 

そういって、彼は入り口に陣取っていたアーチャーに突っ込んでいった。

 

「また貴様か、ってなんだその杖は!」

 

「親切な奴が貸してくれてなっ!あと槍だこいつは!」

 

その手に火継の薪から借りた月光蝶の角を携えて。

 

兄貴はキャスターじゃなかったのか。

 

「ずいぶんと古いものを!」

 

「重さといい長さといい、手になじみやがるなぁ!」

 

ルーン魔術による強化されたステータスから繰り出される武技は正しく神技というべきものだった。

 

兄貴はキャスターじゃなかったのか。

 

「いけぇ!こいつはとっと片付ける。セイバーをぶちのめしてこい!」

 

「応!」

 

「先輩!?」

 

「待ちなさいよ!?」

 

兄貴の声に答え、全力で洞窟に駆けだす。

 

皆も走ってついてきてくれた。

 

轟音。

 

背後に目をやれば、火継の薪がその手の大剣で奇妙なねじくれた矢を弾いていた。

 

危ない、後ろから射抜かれるところだったのか。

 

【私が殿を務める、光輝の神子よ、もう射させるな!】

 

「すまねぇ!てめぇ俺とやりあってるのによそ見とは!」

 

「キャスターになって知力が上がったのではないのかね?マスターを狙うのは当然だろう?」

 

アーチャーはキャスターの連撃をいなしつつ、手に持っていた黒弓を捨て黒白一対の剣を取り出して打ち合い始めた。

 

あいつもアーチャーじゃないのか。

 

「ぼさっとするな!急ぐぞ!」

 

クラーナに頭を叩かれる。

 

確かに、足止めしてくれている以上、ここでとどまる理由はない。

 

大洞窟の奥に向け、キャスターを置いて駆けていく、ここが正念場だ!

 

 

 

 

 

 

 

どれだけ進んだのだろうか、少なくともキャスターとアーチャーの戦う音が聞こえない程度は奥に来ている。

 

到底自然にできたとは思えない鍾乳洞を、ひたすら奥に進んでいく。

 

奥から漂ってくる風には、何か不快な感情を想起させるものが混じっていた。

 

【深淵があるとでもいうのか?】

 

「何を言っている。」

 

【嫌な気配がするのでな、知っているもののように感じたのだが、何か違う。】

 

火継の薪が警戒するほどの何かがあるとでもいうのだろうか、気を引き締めなくては!

 

「何がいるって言うのよ!?」

 

「クーフーリンさんは、誰でも知ってる剣の持ち主って言ってました。」

 

『そこまで有名な剣というと、エクスカリバーかバルムンクか、それともデュランダルといったところかな?』

 

『どれも大英雄の持ち物だね、それが敵になるとは恐ろしい。』

 

「騎士王に竜殺し、聖騎士なんて冗談じゃないわよぉ!?」

 

ああ、また所長が泣き崩れている。

 

「頑張りましょう、ね!」

 

マシュに抱えられ、ぐずぐず鼻を鳴らしながら歩く所長。

 

移動速度は急激に落ちたが、目的地まではほんのわずかだった。

 

洞窟が突然開けた。

 

地下とは思えないほどの大空洞。

 

広大な空間の先には、異常な空間があった。

 

高台の上、俺ですらわかる強大な魔術炉心が存在した。

 

黒い極光の魔力を生成する、超抜級の魔力炉心。

 

「なんでこんな極東に超抜級の魔術炉心があるのよ。」

 

『製作者は錬金術の大家アインツベルン。ホムンクルスで構成された独立系の家ですね。流石に千年級の家系だ、これだけの魔術炉心を構築するとは。』

 

鼓動する魔力の柱。

 

黒い光という矛盾した存在が、大空洞を照らしていた。

 

「嫌な、気配がします。」

 

マシュの言葉にうなづく。声が出せないほどに、口に渇きを覚えた。

 

【深淵の気配、やはりか!こぼれた闇に注意せよ!】

 

火継の薪がその戦意を全開にする。

 

全身に怖気が走る。

 

「どうした!?」

 

【恐るべき闇の気配だ!飲まれれば深淵に落ちる!】

 

「来たか、カルデアの者たちよ。」

 

火継の薪はある一転から、全く目を離さない。

 

高台の端に、人影があった。

 

魔術炉心の光に飲まれ、見えていなかったのか。

 

小柄な重装備の騎士。

 

その手に握るのは、堕ちた聖剣。

 

それはそうだ、クーフーリンがああ言うのも頷ける。

 

見ればわかる、あれは聖剣だ!

 

「我が名はアルトリア・ペンドラゴン。」

 

黒の装束で身を鎧。

 

「堕ちた聖剣、エクスカリバーの担い手。」

 

堕ちた漆黒の聖剣をその手に握る。

 

「人理救済の道を征く者、貴様らを見極めるために、私はここにいる。」

 

竜の心臓が、聖杯からの魔力供給と合わせ、膨大な魔力を垂れ流させる。

 

「見せてみよ、貴様らの覚悟と力を、その意思を!」

 

腰だめに構えた堕ちた聖剣に、黒の極光が宿った。

 

「私程度を超えられぬなら、人理修復など不可能と知れ!」

 

極光はセイバーの背を超え、周囲に暴風を生み出していた。

 

「構えろ、そこの娘。その宝具を託されるに足るか否か、この剣で確かめてやろう!」

 

無造作な振り上げ。

 

音が消えた。

 

極光が地を裂き、俺たちに向かってくる。

 

「はぁ!」

 

マシュが地面に盾を突き立て、極光と衝突した。

 

極光がはじける。解き放たれた黒い魔力が風の刃となって暴れ、マシュの盾にぶち当たる。

 

壮絶な破壊の後を周囲に刻み、黒の極光は残滓を残して空に溶けた。

 

「いけます、これなら!」

 

「今のは小手調べにもならんぞ!」

 

先の一撃が二度、三度と連続で振るわれる。

 

それを振るいながら、とんでもない速度でセイバーが突っ込んできた。

 

『気を付けろ!そのセイバーは足裏から莫大な量の魔力を放射して加速している。魔力ロケットみたいなもんだ!』

 

マシュが構えた盾に、振り上げた斬撃を加えようとしたタイミングで、

 

「土産だ、食らっていけ。《混沌の大火球》」

 

クラーナが事前詠唱による術式貯蔵を解凍し、大呪術を発動した。

 

シングルアクションでの大魔術の行使、正しくキャスターの特権ともいえる一撃。

 

迫る深紅の火箭を見たセイバーは、その余裕の表情を崩し、魔術を回避する。

 

「私の対魔力スキルを突破してくるとは、やるではないか。」

 

その頬をわずかに赤くしたセイバー、その表情に先ほどまでの侮りはなかった。

 

【汝、深淵に飲まれたか、ならば死ね。】

 

最初に出会った装備を持った火継の薪が前に出る。

 

【我ら深淵の監視者、深淵を狩るもの。】

 

弓を引き絞るように右手の大剣を引き付けると

 

【闇に飲まれた騎士王よ、その首を以て汝の罪を贖うがいい。】

 

神速の一撃を以て、セイバーを崖に吹き飛ばした。




クラーン様は蜘蛛姫様とか卵姫様とか呼ばれてる火守女だよ。

病み村のために色々背負っちゃうマジ聖女だよ。

名前は一応公式設定のはず、たぶん。

火継の薪さんは、例の人間性300000個以上捧げた真の混沌の従者さんを設定として取り込ませていただいています。

あの人マジ混沌の筆頭従者。エンジーさん思わずにっこりするレベル。

ちっぱい姫様かわいい(ボソッ


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