Fate/Grand order 人理の火、火継の薪   作:haruhime

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蛮族、偉大なるローマ帝国皇帝に謁見す。

そしてぐだ男微妙に目覚める


永続狂気帝国 ―セプテム― 謁見

「面をあげよ。」

 

頭上から聞こえてくるのは、ローマ帝国皇帝の声。

 

先ほどから、磨き抜かれた大理石の上で、俺は耐えている。

 

なんで脳みそ溶けそうな声してるんだ。

 

ネロって男じゃなかったのか。

 

声に従い、顔をあげる。

 

巨大な謁見の間、ローマ帝国の威信を見せつけるために帝国の粋を集めた壮麗な儀式場である。

 

その最も奥まったところに置かれた玉座に腰掛けるのは、この時代の服装に会わないデザインの赤いドレスを纏った小柄な少女だった。

 

まて、どういうことだ。

 

あれ男装なのか。

 

ローマ人はどうかしている。

 

その顔立ちと言い髪型といい、冬木のセイバー、アルトリア・ペンドラゴンとよく似ている。

 

ドレスの胸元を押し上げる巨大な二つの山を除いて。

 

すごいな、あれがついてても男だって言い張れるのか。

 

やはりローマはすごい。

 

「陛下、今回の戦勝誠におめでとうございます。」

 

「おめでとうございます!」

 

ゲルマニクスが戦勝を称えるのに合わせ、俺も慌てて頭を下げる。

 

「うむ!ローマ市民の力添えと、異国の将軍たちのおかげで勝ってきたぞ!」

 

むふー!と鼻息荒く、腕組みしながら胸を張っていた。

 

かわいい。

 

「皇帝陛下のために我がスッラ家より、鎧1,000領、槍5,000本の貢納をいたします。お納めください。」

 

「うむ、其方の忠誠、しかと受け取った。後で武具の買い付けについて、財務官より話があるのでまだ帰らぬようにな。」

 

「ははっ。」

 

彼が再び、膝をついた。

 

俺は膝をつきっぱなしだが。

 

「ところでゲルマニクス。そこの男は何だ、見たことがないが、新しい奴隷か?」

 

「違います陛下。高地ゲルマニアで私の命を救ってくださった方でして、遥か東方より陛下に謁見したいとのこと。恩義を返すために、本日の謁見に連れてまいったのでございます。」

 

「そうか、あの者たちと同じく東方から参ったか!我が名はネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス。この者を救ってくれたことに感謝しよう!褒美に余をネロと呼ぶが良い!」

 

「お初にお目にかかります、陛下。東方より参りました藤丸立夏と申します。」

 

「ネロでよいぞ。」

 

なんだかとっても不満げであらせられる。

 

ゲルマニクスに視線を飛ばすと、視線をそらされた。

 

玉座に侍る側近のおっさんたちも目を合わせようとしない。

 

え、どうするのが最適なの。

 

「リッカよ、余がネロでいいと言っておるのだ、そう呼ばぬか。」

 

なんだか随分とフレンドリーなんだが、罠?

 

え、不敬罪で死刑とかにならない?

 

大丈夫?

 

「不敬などとは言わせぬ!……なんだその目は!ほんとだぞ!」

 

どうも不信感が出ていたらしい、念押しされてしまった。

 

むむむ、ってうなり始めたし、ちょっと涙目入ってきてるし、あんまり長引かせるのもな。

 

「わかりました、ネロ、これでいいかい?」

 

「それでよい、むしろ、その口調がよい。其方、なかなか分かっているではないか。」

 

一瞬で太陽のような笑みを浮かべる皇帝陛下。

 

まさしく童女のごとき女性である。

 

「ゴホン、陛下、それでは陛下の威信というものがですな、」

 

それに水を差すように、玉座の右に立っていた老人が説教を始める。

 

「ええい、いつも小言がうるさいぞセネカ!余は皇帝だぞ!」

 

「ご自覚があるから反発されるのでしょう?」

 

セネカ、ネロの家庭教師を務めた哲学者か。

 

かなりの年齢であるはずだが、筋骨隆々で健康そうだ。元兵士でも通じるかもしれん。

 

「そ、そんなことはない、……ないぞ!」

 

ネロはセネカからの追及に、冷や汗を流しながら目をぐるぐるさせている。

 

かなりわかりやすい娘だ、皇帝的に大丈夫なのか?

 

「強情っパリですな。この後でお説教です。」

 

「某からもあるのでお覚悟を。」

 

「ブッルス、貴様もだと!?英雄たちと語らい、酒食を楽しむ余の楽しい夜の時間が無くなってしまうではないか!?」

 

突如割り込みをかけてきた、セネカと反対側に立つ鎧の男。

 

セネカと対照的に、陰のある細身の男だった。

 

極限まで絞り込まれた肉体は、豹のような印象を与えてくる。

 

「あるわけないでしょう。朝までお説教とお仕事です。」

 

「遠征中の政務だけではなく、軍務関連の決済も溜まっております。説教と同時進行で行きますので。」

 

「」

 

両方向から挟み撃ちにされたネロは、口をパクパクさせ、言葉が出てこないようだった。

 

先ほどまでの太陽の笑みは陰り、悲哀さえ感じるほどに打ちひしがれていた。アホ毛も一緒に。

 

感情表現機能でもあるのか、あのアホ毛は。

 

「うむ、では本日の謁見は以上である。それとリッカよ、明日もまた謁見の時間をとる。また来るが良い、其方を探していた者たちがいるのでな。」

 

「は、必ず。」

 

「うむ。そのあたりの差配は任すぞ、セネカ。」

 

「承知いたしました。ではまいりましょうか陛下。」

 

「余は行きたくないぞ?」

 

セネカに、満面の笑みを送る皇帝陛下。

 

「某は行きたいので強制連行です。行きますぞ陛下。」

 

「ええいやめよ!荷物のように担ぐでない!貴様余の扱いというものがわかって、……馬鹿者!余は猫ではない!小脇に抱えるのはやめるのだ!」

 

玉座からひょいと抱え上げられ、抗議する陛下。

 

持ち方を変えさせるも、猫のように小脇に抱えられて退出していく陛下。

 

使いを送るので、今日は退出せよと命じて、あとを追いかけるセネカ。

 

後の残されたのは、何とも言えない表情をしているゲルマニクスと俺、そして衛兵たちだけだった。

 

「帰りましょうか。」

 

「帰りましょう。」

 

ただの謁見だったはずなのだが、違う要因で疲れた気がする。

 

 

 

 

 

 

宮城からゲルマニクスの家に戻り、風呂にだけはいって今日は寝ることにした。

 

疲れすぎていて何もやる気が起きん。

 

ちなみに、シフは今日も食っちゃ寝していたらしい。

 

 

 

 

 

 

翌日、早朝に皇帝陛下直筆の招待状が届いた。

 

曰く

 

頭痛がひどい。

 

今日の謁見はなし。

 

アンツィオ(アンティウム)の別荘で静養するのでそちらに来るが良い。

 

シフとやらもつれてくるが良い!

 

待っているからな!

 

ローマ帝国第五代皇帝ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス

 

代筆セネカ

 

追記

 

ご迷惑をお掛けしますが、どうかいらしてください。

 

泣くので。

 

とのことだった。

 

泣くのか、皇帝陛下。

 

 

 

 

 

招待状片手に、シフと共に単騎駆けしていく。

 

ローマ周辺だけあって、盗賊は掃討されているらしく、出てくることはなった。

 

予算追加したかったのに。

 

 

 

 

 

 

アンツィオに着いて一目でわかる陛下の別荘。

 

なぜかって?

 

巨大な陛下の石像が立ってるからだよ!

 

あんなのどこからでもわかるわ!

 

門の前に立つ親衛隊の兵士に招待状を見せる。

 

二人とも百人隊長の格であろう鎧を纏っていた。

 

「御客人だ!」

 

空いている門の中に、一人が叫ぶ。

 

パタパタと足音が響き、一人の男が駆け寄ってきた。

 

「お待たせしましたお客様、皇帝陛下がお待ちです、どうぞこちらへ。」

 

ローマ人らしい服装の美青年が、俺を別邸の中へいざなう。

 

この時代のローマ様式とは異なり、ローマンコンクリートを多用した内装は、かなり新鮮さを感じさせる。

 

内壁の感じから、まだ建造されてそれほど時間がたっていないのだろう。

 

植物と噴水に彩られた中庭を抜け、最奥の主人の居室へと案内される。

 

垂れ下がっているエジプト織の薄布をくぐると、皇帝の居室が目に入る。

 

正面には明らかに執務する気がない、寝椅子と小さな円卓だけが置かれた部屋。

 

右手には開放感のある崖に面した柱廊の向こうに、アンツィオの町と地中海が広がってる。

 

左手には、何重にも薄絹が下ろされ、その先を見通すころはできない。

 

そんな部屋の寝椅子に我らがローマ皇帝が寝そべっていた。

 

全裸で。

 

正確には要所を布で覆っている。

 

覆っているだけだが。

 

「待っていたぞ、リッカ。」

 

俺を認めると、彼女は何気なく立ち上がる。

 

当然その身を隠していた布は滑り落ちるが、周囲の侍従たちが手早くトーガを纏わせていく。

 

すぐさま視線をそらしたので何も見ていない。

 

ぽよんて弾んだのは見たが、先端とかは見てないぞ!

 

なのでセーフ!

 

「ん?……ほほう、其方余の美身に見惚れたか。」

 

「よい、許す。というより芸術品のごとき余を見てしまうのは人の道理というもの。それを咎めはせぬ。」

 

何ともご機嫌な感じで対応してくる皇帝陛下。

 

それでいいんですかね?

 

豪奢な赤紫の地に金の縁飾りが施されたトーガを、大きな黄金の留め具で固定した皇帝陛下が、俺の前に立つ。

 

「さて、今日其方を呼んだのはほかでもない。其方を探している者たちが余の下におるからだ。」

 

「さぁ!来るが良い。我が親しき勇者たち!」

 

大仰な手振りと共に、演劇者のごとく高らかに歌い上げる皇帝陛下。

 

演劇とか歌が大好きと聞いていましたが、特徴的なお声ですね。

 

右手の薄絹が侍従たちによって持ち上げられると、俺の仲間たちがやってきた。

 

火継の薪以外はみなトーガを纏っている。

 

「どうだ、オルガマリーよ、其方らの探し者はこやつか?」

 

「はい、仰せの通りにございます、皇帝陛下。」

 

「ええい、他人行儀な答えを返すでない!……余は寂しい。」

 

所長のこめかみに青筋が走る。

 

最近分かりやすく感情を出すようになった所長だが、面に出しすぎでは?

 

「まぁよい、その件はおいおいということでな。」

 

「リッカ、そしてシフであったか。……おお、なんという触り心地。」

 

皇帝陛下はシフの前にしゃがみ込み、ほおずりし始めた。

 

「神祖様を養育した狼もこんな感じだったのだろうか。……うむ、よい、じつによい。」

 

お子様か。

 

かわいい。

 

「ふぅ、堪能したぞ!リッカよ、このローマに至るまでの話を聞かせよ!この後の宴でな!」

 

「では余は入浴してくる。其方らも適当に過ごせ。」

 

一通り堪能したのち、突如としてキリっとした声と表情になった皇帝陛下。

 

俺たちに口をはさむ隙も与えず、実に暴君らしい采配でもって今後の予定を差配し、自分は浴室に向かっていった。

 

暴風のような自由人であらせられる。

 

見送っていた俺の背後から、すさまじいプレッシャーが襲い掛かってきた。

 

振り向きたくないが振り向かないとたぶん死ぬ。

 

そこには可視化した黒い魔力を纏い、髪の毛を揺らした所長が立っていた。

 

魔物にでもなったのか?

 

クーフーリンがドン引きしている。

 

「さて、藤丸立夏。」

 

「そこに座りなさい。」

 

所長の指示に従い、即座に土下座フォームに移行する。

 

大理石は固いので、結構痛い。

 

皮のサンダルの音がする。目の前に所長が立った。

 

「すぅ。」

 

所長の息を吸う音が聞こえる。

 

全員が慌てて退室していく音も聞こえた。

 

そりゃそうだよね。

 

「前回に続いて二度目でありながら!今度は現地を満喫していたそうじゃない!他人に心配かけておいてそれはどうなのよ!というより!……!……!……!」

 

嵐のような罵倒が吹き荒れる。

 

おっしゃる通りですはい。

 

ただ、こっちも必死で生き残ってきたわけですし、少しは楽しんでも

 

「あ”?」

 

「何でもないですごめんなさい。」

 

すみませんでした、許してください。

 

 

 

 

 

 

あの後、女性陣からローテーションで叱られた。

 

どうやらローマ市観光の件が漏れている。

 

そりゃ怒られるよね。

 

ただ君たちも、アンツィオで地中海バカンスを楽しんでいるみたいだけど?

 

え、それとこれとは別?

 

でもマシュ、ちょっとおなかに肉ついて

 

すみませんでした。盾は勘弁してください。

 

 

 

 

 

 

スペシャルに痛いやり方で、魔力供給が再開された。

 

あのエロいオペレーターが、さらに負荷のかかるやり方を発掘してきたらしい。

 

かなり痛かった。

 

けれども、おかげで最大供給速度か向上した。

 

無理矢理取り入れ口を拡大した痛みだったらしい。

 

……それ、下手したら爆散しない?

 

 

 

 

 

 

 

「宴会だぞ!って、どうしたのだリッカ!?なぜ拷問を受けている。」

 

「お仕置き中ですので。」

 

「そ、其方らも容赦ないな。」

 

飛び込んできた陛下が、俺を見て驚愕した。当然だと思う。

 

ちなみに俺は大理石の上に正座しつつ、重り代わりにマシュの盾を持たされている。

 

これ、ソウルで強化してなかったら、人間には持てないんですが。

 

すでに足の痺れが全体に回ってかなりの時間がたっている。

 

俺の足、大丈夫だろうか。

 

陛下、ニマニマしながら足の裏をつつくのはやめてください、しんでしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

特別にあつらえられた宴会場。

 

多くの人々が囲めるように、背の低いイスとテーブル、寝椅子と円卓が用意されていた。

 

「其方らはローマ式の食事に成れていないと聞いたのでな、イスを用意させておる!好きなように飲み食いするが良い!」

 

「リッカとシフは余の傍で話を聞かせよ!」

 

皇帝陛下は豪奢なトーガを脱ぎ捨て、もっと薄く軽いものに着替えていた。

 

陛下が身じろぎするたびに、ゆるく羽織られたトーガの色々な隙間から、魅惑の谷間や艶めかしい太ももが零れそうになっている。

 

会話している以上、陛下を視界に入れない訳にはいかないが、見とがめられたら女性陣による処刑が待っている。

 

「そんな大きなイノシシだと!ゲルマニクスめ、あとで毛皮を持ってこさせねばな!」

 

目をキラキラさせながらこちらににじり寄らないで下さい!

 

トーガが脱げかけてます!

 

ええい、なんだこのむりげーは!

 

トーガですら隠し切れないマシュマロボディのマシュからの視線が痛い。

 

むくれるマシュかわいい。

 

ちなみに皇帝陛下のクッションと化しているシフは、ネロのおっぱいを頭にのせて、赤髪の美人奴隷に牛肉を食べさせてもらっていた。

 

くそ、そこ代われ!

 

 

 

 

 

 

 

「うむ、名残惜しいが今日はここまでとしよう。」

 

「ガリア遠征を完全なものとし、連合ローマ掃討に向かう。」

 

「明日はパレードだ。準備をしておくがいい。」

 

天国と地獄が同居した宴会は、食事の味を楽しむこともできずに閉幕した。

 

熱気のこもった部屋から退出し、柱廊の柱に身を預け、薄めたワインを月と星。夜の海を見ながら飲んでいる。

 

「先輩。」

 

マシュに呼びかけられた。

 

松明の火に照らされたマシュは、美しかった。

 

「先輩。」

 

正面から抱き着かれる。

 

彼女の、常より高い体温と心拍を感じる。

 

不思議と安心を覚えた。

 

「心配、したんですよ。」

 

「ごめん。」

 

前回に続き、音信不通で一月以上だもんな。

 

「無事でよかった。」

 

「マシュもね。」

 

君が、本当に無事でよかった。

 

他の連中は殺しても死ななそうだし。

 

「私たちの話を、聞いてくれますか?」

 

「ああ、マシュがどんな冒険をし、どんな出会いを得たのか聞かせてくれ。」

 

「はい!」

 

彼女は語り始める。

 

ネロとの出会い。連合ローマの脅威、ガリア遠征、女神の難題、皇帝たちとの闘い。

 

どれを語るときも、嬉しそうに、あるいは悲しそうに彼女の感情は大きく揺れていた。

 

本当の感情の動きを、発露できるようになっていた。

 

良い旅だったのだろう。

 

良い出会いが彼女を変えたのだろう。

 

そこに、自分がいなかった。

 

関われなかったことに、小さな羨望を覚えた。

 

彼女の物語は、途切れていた。

 

「先輩。」

 

松明の明かりに照らされ、揺れる瞳に吸い寄せられる。

 

彼女は、もう一度深く抱きしめてきた。

 

耳元で、囁く。

 

「明日からは、また一緒です。」

 

「先輩と一緒に、旅ができます。」

 

「苦しいかもしれません。」

 

「つらいかもしれません。」

 

「けど、きっといい思い出になるでしょう。」

 

「先輩と一緒なら。」

 

「だから」

 

彼女が身を起こす。

 

印です(マーキング)

 

柔らかいものが、頬に触れる。

 

いまのは。

 

「私わかったんです。」

 

火の色か、顔が真っ赤だった。

 

「先輩は、私のものです。」

 

銃の形に右手を変えて。

 

「逃がしませんよ?」

 

ばん、と撃って逃げていく。

 

きゃー、という声が聞こえた。

 

呆然とする。

 

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そこまで行きつくは、まだ先の話だと思っていた。

 

その感情が触れ合っている時間が下手をすると一番短い俺に向いているというのは、どうかと思うが。

 

頭を掻き、その手に器がないことに気づく。

 

気づかないうちに落としていた盃に、もう一度ワインを注ぐ。

 

あの全天を覆う奇妙な光輪に、捧げよう。

 

盃を掲げ、一息に飲み干す。

 

意識を、切り替える。

 

 

 

 

 

 

 

名も知れぬ愚か者に、感謝する。

 

貴様の計画がなければ、彼女はこうも成長できなかっただろう。

 

ゆえに

 

我が全身全霊を以て、貴様の計画を焼き潰し。

 

貴様を灰燼に帰することを誓おう。

 

その計画が偉大であれば、遠大であればあるほど、彼女の生は尊いと証明できる。

 

人理焼却という、素晴らしい計画とやらを使わせてもらう。

 

彼女の生きるための人理を守るために。

 

そのためならばこの命惜しくはない。

 

この身が滅びようとも、彼女だけは救うのだと。

 

あの瞬間に願ったのだから。

 

胸の内に、小さな火が灯る。

 

暖かな闇色の火が。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――小さな闇の火を得た。




話の前後でテンションを大きく変えていくスタイル。

オリアイテムも出すよ!


小さな闇の火

願いのために犠牲を出す決意。

その表れとして生み出される蟠った小さな闇の火。

その火は何も燃やせない。

ただ、持ち主を照らし、より大きな闇を呼び込むのだ。

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