私の名前はラベンダー   作:エレナマズ

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第十六話 カチューシャと深水トモエ

「ごめんね……。私が判断を誤ったから負けちゃった」

 

 白旗を上げたクルセイダーの隣で、みほはローズヒップとルクリリに頭を下げる。まほの泣き顔を見たことで頭が混乱し、ルクリリへの指示が遅れたのは弁解の余地がない。

 涙を流さないように耐えていたみほであったが、頭を下げた瞬間、瞳に溜まっていた涙が一粒地面に落ちていく。

 

「ラベンダーのせいじゃない。指示を待ってるばかりで何もしなかった私の責任だ。私が早く撃てばよかったんだ……」

 

 沈痛な面持ちで自らを責めるルクリリ。涙は見せないものの、その表情には悲愴感が漂っている。

 

 一度しかない砲撃のタイミングを決めるのはみほの役目だ。ルクリリは車長の指示に従っただけでなんの非もない。

 いつも自分を心配してくれる優しいルクリリに、悲痛な思いを味合わせてしまった。それが深い後悔となって、みほの心に重くのしかかってくる。

 

「ルクリリさんは何も悪くない! 私が全部悪いの!」

「違う! 私が悪いんだ!」

 

 責任の所在をめぐって、みほとルクリリは口論になってしまう。大好きな友達と言い争いになったことでみほの涙腺はついに決壊し、止めどなくあふれる涙が頬を濡らしていく。

 自分が責任を取ろうとする二人の悲しい争い。そんな争いを終わらせたのは、額に手を当ててずっと考えごとをしていたローズヒップであった。

 

「お二人とも、こんな言葉をご存知でございますか? 『我、事において後悔せず』。」

 

 ローズヒップの発言にみほとルクリリは思わず顔を見合わせた。格言を使ったこの独特な言い回しは嫌というほど覚えがある。

 

「今のは剣豪、宮本武蔵の言葉ですわ。失敗したのを後悔しても無意味ですの。大事なのは失敗を反省し、次に同じ失敗をしないこと。わたくし達の戦いは、まだ始まったばかりでございますわよ」

 

 二人を諭すローズヒップはまるで本物のダージリンのようだ。みほとルクリリは口論するのも忘れてローズヒップの言葉に聞き入っていた。

 

「だから喧嘩はやめてくださいまし。お二人が言い争う姿を見るのは悲しいですわ……」

「ローズヒップ……。そうだな、お前の言う通りだ。ラベンダー、この話はもうやめにしよう」

「うん。不安な気持ちにさせてごめんね、ローズヒップさん」

 

 ローズヒップのおかげで三人は仲良しトリオに戻れた。積み重ねてきた絆はそう簡単に途切れはしない。

 

「わかってくれたらいいんですの。そうだ、仲直りの記念にみんなで肩を組んで帰るでございますわ」

「そ、それはさすがに恥ずかしいよぉ」

「そんな姿を見られたらダージリン様に怒られるぞ。あなた達、肩を組んで歩くなんて下品な行為は優雅とは言えませんわよってな」

 

 ローズヒップに触発されたのか、ダージリンの口調を真似ておどけるルクリリ。言葉づかいだけでなく、表情もダージリンを模した自信満々のどや顔だ。少し演技が過剰気味なところはあるものの、特徴はしっかりと捉えている。

 それを見たみほは笑みをこぼしそうになったが、すんでのところで持ちこたえた。ルクリリの背後に立っている人物に気がついたからだ。

 

「ルクリリ、いったい誰の真似をしているのかしら?」

「もちろん、ダージリン様……」

「あら、私はそんな顔をしていましたのね。いい勉強になりましたわ」

 

 ルクリリに向かってニッコリと微笑むダージリン。

 ダージリンの姿を見たルクリリは、まるでヘビににらまれたカエルのように固まってしまう。表情は笑顔でも、ダージリンの目はまったく笑っていなかった。

 

 よく見ると、その場にいるのはダージリンだけではない。どうやら、本丸まで生き残ったメンバーは全員ここに集まっているようだ。

 その中の一人であるダンデライオンは、まるでこの世の終わりが来たような顔でアッサムにしがみついていた。

 

「ダージリンさんの悪い癖がローズヒップちゃんに移った……。あ、悪夢です。アッサムさん、あたしはこれからどうしたらいいんですか?」

「タンポポ、そんなに悲観することはありませんわ。今回のようにプラスの作用をもたらすなら、いっそ諦めて許容してしまうという手も……」

「あたしには無理っ! 格言とことわざはもうお腹いっぱいですー!」

「待ちなさい、ダンデライオン。まだ試合終了のあいさつが残っていますよ」

 

 アールグレイの制止の声が聞こえなかったのか、ダンデライオンはキンキン声を張り上げながら走り去ってしまう。体が小さくすばしっこいので、ダンデライオンの姿はあっという間に見えなくなってしまった。

 

「アッサム、ダンデライオンを連れ戻してください。聖グロリアーナの生徒が礼を怠るわけにはいきません」

 

 礼節を尊ぶのは聖グロリアーナの戦車道の根幹。どんな形で試合が終わっても、それを疎かにしてはならない。

 対戦相手、審判団、観客。そのすべてにあいさつを終えなければ、聖グロリアーナでは試合が終わったことにならないのだ。

 

「わかりましたわ。あなた達も手伝ってちょうだい」

「はい。隊長のことなら私達に任せてください」

 

 アッサムが手伝いを頼んだのは、ダンデライオンのクルセイダーに搭乗していた生徒達であった。彼女達はアッサムと同級生だが、ニックネームを持っていないのでアッサムには敬語である。

 

「それにしても、隊長はダージリンさんの癖が本当に苦手なようですわね。一年生のときにがんばりすぎたのが、まだ尾を引いてるみたいですわ」

「隊長はダージリンさんとずっと張り合ってましたからね。お二人でよく一緒にお泊り会をしていたみたいですし……」

「ダージリンさんのあの癖が原因でお二人が親密な関係になれないと思うと、残念でなりませんわ」

「無駄話はそこまでにして、早く探しに行きますわよ」

 

 クルセイダーの乗員を引き連れて、アッサムはダンデライオンの捜索に出発。

 その姿を見送ったアールグレイは、次にみほ達のほうへと体を向けた。

 

「最後に悔いのない良い試合ができました。ありがとう、これもあなた達のおかげです」

「アールグレイ様……。あの、勝てなくてごめんなさい」

「ラベンダー、どうして謝るのかしら? 聖グロリアーナの戦車道は結果がすべてではない。私はそう教えてきましたわよ」

「でも、黒森峰に勝つのはアールグレイ様の夢だったのに……」

「そのことなら別に気にする必要はありません。私は今まで、黒森峰のフラッグ車に近づくことすらできませんでしたが、あなた達がそれを覆してくれました。それだけで十分です」

 

 柔和な笑みを浮かべるアールグレイの表情はとても満足そうだ。その笑顔は、同性であるみほが思わずドキッとしてしまうほど美しかった。

 みほ達に感謝の言葉を述べたアールグレイは、最後にダージリンの正面に立つ。顔は穏やかなままだったが、目にはどこか真剣な色が宿っている。

 

「ダージリン、あなたは私よりも優秀な隊長になれるはずですわ。来年は私もOG会に入りますので、多少の融通は利かせられます。戦車の車種と戦術に関しては難しいですが、それ以外はあなたの好きなようにやりなさい」

「アールグレイ様のご期待を裏切らないよう、精一杯務めさせていただきますわ」

 

 ダージリンの返答に大きく一つうなずいたアールグレイ。

 それはアールグレイの戦車道が終わりを告げた瞬間であり、新しい聖グロリアーナの戦車道がスタートした瞬間でもあった。

 

 

 

 

 準決勝の勝敗は決したが、観客席にはまだ多くの観客が残っていた。

 大勢の観客が残っている理由。それは聖グロリアーナ女学院のあいさつを見届けるためである。聖グロリアーナの全生徒が一列に並んで礼をする光景は壮観であり、それを目当てにしている戦車道ファンも多いのだ。

 

 そんな観客席の中に異様に目立つ二人組がいた。一人は小学生ほどの背丈しかない金髪の少女。そして、もう一人は背が高い黒髪の無表情な少女。

 この二人がなぜ目立っているかというと、それは黒髪の少女が金髪の少女を肩車しているからだ。

 

「聖グロは厄介な相手になりそうね。ダージリンがあのラベンダーって子を使いこなしたら面倒だわ」

「もう来年のことを考えているのですか? まだ決勝戦が残っていますよ」

「試合中に泣き出す隊長がいる学校に、このカチューシャ様が負けるわけないわ。今年の優勝はプラウダがもらったようなものよ」

 

 金髪の少女の発言からは自信と余裕が感じられる。カチューシャという名のこの少女は、Bブロックを制して決勝進出をはたしたプラウダ高校の副隊長を務める二年生であった。

 

「サンダースのファイアフライに追い回されて、泣きそうになっていたのは誰ですか?」

「なんでノンナがそれを知ってるのよ!」

「カチューシャと同じ戦車に乗っている同志から聞きました」

「あの子達ー! あとでシベリア送りにしてやるんだからー!」

 

 ノンナと呼ばれた黒髪の少女は、カチューシャの同級生。砲手としての能力が高く、他校からも警戒されている優秀な戦車乗りだ。身長が低いことにコンプレックスを抱いているカチューシャを肩車するなど、常日頃から献身的に彼女を支える姿はプラウダでは有名である。 

 

「カチューシャ、ダージリンさんには会っていきますか?」

「今日はやめておくわ。今度会ったときにカチューシャが優勝した姿を見せつけて、目いっぱい悔しがらせてやるから」

「では、今日はもう帰りますか?」

「その前に黒森峰のところへ寄っていくわ。カチューシャの恐ろしさを連中の胸に刻んであげるの」

「わかりました」

 

 カチューシャとノンナは観客席をあとにすると、黒森峰の生徒が集合している場所へと向かった。

 

 

 

 黒森峰女学園が拠点にしていたのは試合会場近くの森の中だ。

 試合が終わった今、森では黒森峰の生徒達による撤収作業が行われていた。

 

「ごめんなさい。西住隊長は気分が優れないらしくて、誰にも会いたくないそうです」

 

 カチューシャの前にやってきた副隊長の深水トモエは、謝りながら何度も頭を下げている。

 謝罪を繰り返すトモエに対し、ぶすっとしたような表情で腕組みをしているカチューシャ。意気揚々とやってきたのに肝心の隊長が出てこないのだから、カチューシャの機嫌が悪くなるのも当然である。

 ちなみに、カチューシャはノンナに肩車をしてもらっていない。トモエがすぐに頭を下げるせいで、カチューシャはつねにトモエを見下ろす状態になっているからだ。

 

「聖グロリアーナの方々が先にここへ来たはずですが、まほさんは誰ともお会いにならなかったのですか?」

「はい。西住隊長は試合が終わってからずっとテントにこもってしまって……。聖グロリアーナに通っている西住隊長の妹さんは会いたがっていたんですが、隊長は会いたくないの一点張りでした」 

 

 困惑したような顔でノンナの問いに答えるトモエ。

 そんなトモエに向かって、カチューシャは不機嫌そうな顔のまま質問を投げかけた。

 

「あなたはティーガーⅡの車長をやってた副隊長よね? ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

「なんでしょうか?」

「聖グロのクルセイダーに突破されたあと、どうしてそのまま門の前に残ってたのよ? もう門を突破しようとしてくる敵がいないぐらいわかったはずでしょ。あなたもⅢ号戦車と一緒にクルセイダーを追いかけるか、本丸に突入でもすればよかったじゃない」

「あの、私は西住隊長から門を守るように命令されていたので……」

「バッカじゃないの! あんたの頭はなんのために付いてるのよ! 命令されたことしかできないなら、田んぼに立ってるかかしと変わんないわ!」

「ご、ごめんなさい! ごめんなさい!」

 

 カチューシャに怒鳴られたトモエは涙声で再び頭を下げる。

 その姿を見たカチューシャの表情はさらに険しさを増していく。異様に腰が低いトモエの態度は、カチューシャの怒りに火を注いでしまったようだ。

 

「そのペコペコ頭を下げるのもやめなさい! あんたは副隊長なんでしょ! そんなみっともない姿を見せるんじゃないわよ!」

「ひっ! あ、あの、ごめんなさ……」

「ノンナ!」

「はい」

 

 ノンナはトモエに素早く近づくと後ろから羽交い締めにした。ノンナに体を拘束されたことで、トモエは身動きができなくなってしまう。

 突然動きを封じられパニックになるトモエであったが、助けを呼ぶことはできなかった。トモエの体の自由を奪ったノンナは、次に言葉で彼女の抵抗する意思を奪ったのだ。

 

「静かに。騒ぐと痛い目を見ることになりますよ」

 

 自分よりも背が高く、力も強い相手にトモエはあっさり屈服。

 そのままノンナに言われるがままにトモエは地面に膝をつく。立膝になったトモエとカチューシャの頭の高さは同じになり、二人は真正面から視線を合わせることになった。

 

「いい、副隊長は部隊の中で二番目にえらいのよ。その副隊長があんな情けない姿を見せてたら、部隊の士気に関わるわ。次からは簡単に謝らないこと。わかったわね?」

 

 カチューシャの言葉にトモエはコクコクとうなずいた。カチューシャの言葉が柔らかくなったことで、引きつっていたトモエの表情も徐々にほぐれていく。

 

「それと、隊長の命令に従うのはたしかに大事だけど、思考を停止していいわけじゃないわ。優秀なカチューシャのようになれとは言わないけど、ある程度は自分で考えることも必要よ」

「……あの、どうして私にアドバイスをしてくれるんですか?」

「そんなの決まってるじゃない。カチューシャの晴れ舞台の相手が泣き虫ばかりじゃ締まらないからよ。隊長はどうしようもないみたいだから、あなただけでもしっかりしなさい」

 

 自分の意見を包み隠さず話すカチューシャの物言いは、ともすれば相手を不快にさせてしまうようなものだ。彼女は好かれる人にはものすごく好かれるが、嫌われる人にはとことん嫌われるだろう。

 カチューシャの前でひざまずいている深水トモエは前者であった。

 

「カチューシャさんってカッコいいですね」

「カッコいい……カチューシャが?」

「はい。今まで私のことをそんな風に叱ってくれる人はいませんでした。自信あふれる態度も、自分の意見をはっきり言える意思の強さもステキです。それに加えて、こんな怖い人まで従えちゃうなんて憧れちゃいます」

 

 先ほどの一件のせいで、トモエからすっかり悪いイメージを持たれてしまったノンナ。それでも、ノンナの表情にいっさい変化はなく、ずっと無表情を貫いたままだ。

 一方、トモエから尊敬の視線を浴びることになったカチューシャ。その表情はさっきまでとは違い、思いっきりゆるんでいた。

 

「そ、そう。あなたなかなか見所があるじゃない。名前は深水トモエだったわよね?」

「はい。私の名前をご存知だったんですね」

「黒森峰の副隊長の名前だもの、事前に調べておくのは当然よ。よし、今日は気分がいいから特別にあなたに愛称をつけてあげるわ。えーと、トモエだから……トモーシャなんてどうかしら?」

「愛称までいただけるなんて感激です。ありがとうございます!」

 

 トモエはうっとりしたような表情でカチューシャを見ている。最初にあれだけ怖がっていたのが嘘のような変わりようであった。 

 

「カチューシャ、そろそろ帰るお時間です」

「わかったわ。トモーシャ、決勝戦でカチューシャの本気をあなたに見せてあげるから」

「私もカチューシャ様に失望されないようにがんばります。あ、少々お待ちください」

 

 カチューシャ達を待たせたトモエは近くのテントに入っていく。少ししてテントから戻ってきたトモエの手には、大きめの袋が握られていた。 

 

「これをどうぞ。黒森峰名物のノンアルコールビールです」

「あら、悪いわね。そうだ、今度プラウダの学園艦にいらっしゃい。おいしいロシアンティーをごちそうしてあげるわ」

「はい! 必ず伺わせていただきます」

「いい返事よ。それじゃ、決勝戦でまた会いましょう。ピロシキ~」

 

 ロシア料理の名前を別れ言葉にして、カチューシャは大きな袋を手に去っていった。袋が重いせいなのか歩きかたはぎこちないが、表情は満面の笑みだ。

 えっちらおっちら歩くカチューシャの背中をトモエが見送っていると、その場に残っていたノンナが深々と頭を下げてきた。

 

「先ほどは手荒な真似をしてしまい、申し訳ありませんでした」

「私なんかに謝る必要はありませんよ。あれはカチューシャ様のご意向だったんですから」

「今の言葉をカチューシャが聞いたら怒りますよ。自分を卑下するな、と」

「ご、ごめんなさい! 今の話はカチューシャ様には内緒でお願いします」

 

 慌てた様子でノンナに頭を下げるトモエ。あれだけカチューシャに怒られても、身に染みついた癖は簡単には抜けないようだ。  

 ノンナはそんなトモエの手をつかむと両手で固く握手を交わした。突然の事態にトモエは一瞬固まってしまうが、ノンナの真剣な眼差しを見てすぐに表情を引き締める。

 

「同志トモーシャ。これからもカチューシャと仲良くしてあげてください」

「も、もちろんです。私のほうこそ、カチューシャ様に愛想をつかされないようにがんばらないと……」

「カチューシャがあなたを見限ることはありませんよ。彼女をあれだけ素直にほめ称えたのは、あなたが初めてですから。では、до свидания(ダスビダーニャ)

 

 ロシア語で別れのあいさつを口にしたノンナは、カチューシャの元へと走っていく。その足取りは、彼女の機嫌がいいことが遠目からでもよくわかる軽快なものであった。

 

 

 

 カチューシャはノンナと一緒に学園艦への帰路についていた。

 トモエからもらったノンアルコールビールが入った袋は、今はノンナが持っている。

 

「ノンナ、学園艦に戻ったら今日の試合を参考に作戦を練り直すわ」

「優勝はもらったようなものではなかったのですか?」

「前言撤回よ。トモーシャの前でカッコ悪い姿は見せられないわ。最高のカチューシャ戦術を編み出して、黒森峰を圧倒するんだから」

「わかりました。私も全力をつくします」

 

 ノンナの言葉に満足げにうなずくカチューシャ。表情は活力にあふれており、彼女のやる気が満ちているのは誰の目にも明らかだ。

 Bブロックの準決勝ではサンダースのファイアフライに油断して不覚を取ったカチューシャであったが、もう同じ轍は踏まないだろう。

 

 

 

 

 第六十二回戦車道全国大会決勝戦。黒森峰女学園とプラウダ高校の一戦は、プラウダ高校の圧勝という結果で幕を閉じた。

 

 十連覇がかかっていた黒森峰女学園であったが、プラウダ高校の巧みな戦術の前に翻弄されてしまい大混乱に陥ってしまう。とくに隊長の西住まほの動揺ぶりはすさまじく、試合終了間際は完全に恐慌状態であった。

 副隊長の深水トモエを中心とした一部の部隊は意地を見せるものの、試合の形勢を逆転するまでには至らず、黒森峰女学園の十連覇の夢は絶たれた。

 

 黒森峰の栄光に泥を塗り、全国に無様な姿を晒してしまった西住まほ。彼女は即座に実家に呼び出され、そのまま黒森峰女学園に戻ってくることはなかった。


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