ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 特別編   作:ヴァルナル

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お待たせしました!

今回はアリスグループVSラファエル!


異形なる天使 Ⅸ

[アリス side]

 

 

目映い光に包まれた次の瞬間、私は今の今までいた場所とは違う場所に立っていた。

雰囲気としては、さっきの場所と似てるけどイッセーがいない。

 

…………強制転移、か。

 

私以外でこの場にいるのはリアスさん、朱乃さん、小猫ちゃん、ロスヴァイセさん、リーザさん、フィーナさん、シェリルさん、タオくん。

 

そして、私の正面に―――――ラファエル。

 

手には鎌槍、両足はギロチンのような形状。

全身が赤色。

 

絵に描いたような化け物ね。

 

これで実は心優しい………とかだったら良いんだけど、考えていることは最低最悪。

 

千年王国とかいう、自分達の都合のいい国を作ろうとしている。

 

…………元とはいえ、王女だった私には許せないことね。

 

そりゃあ、自分が立派に王女やってましたなんてこと言うつもりはないわ。

書類仕事はニーナに投げてたし。

たまに城を抜け出して、遊びに行ったこともあるし。

昼まで寝てる時もあったし。

 

あれ………サボってた思い出の方が多くない?

 

いやいやいやいや…………それでも私、頑張ったもん。

交渉とかは私だったし。

 

うん、大丈夫。

ノープロブレム。

 

と、とにかく!

 

私は槍の切っ先をラファエルに向けて告げた。

 

「あんたらのバカみたいな夢は崩させてもらうわ。国を作りたいなら、まずは民を想う心から学びなさいな」

 

《我らが神を否定するか》

 

「信仰を強制するなって言ってるのよ。何を信じるかは人それぞれでしょ」

 

《では………貴様は何を信じる?》

 

私が信じるもの………?

 

なるほど、そう返してきたか。

 

少し前なら立場的にも国と国民って答えてたかも。

 

でも、今は王女じゃない。

私はただのアリス。

 

だから―――――

 

「自分と仲間。そして、私の夫を信じるわ」

 

私はハッキリとそう告げた。

 

すると、後ろの方から、

 

「あ、もう夫なんですね………」

 

「なんというか、こっちのイッセーさんって肉食なんですね。いや、僕達の方でも大概のスケベだったけど………」

 

「………」

 

フィーナさんとタオくんが何か言ってる。

シェリルさんは無言だけど、視線が何か言ってるわ。

 

…………私、何か変なこと言ったかな?

 

「………やっぱり、敵わないわね」

 

「あらあら………」

 

「流石です………」

 

リアスさん、朱乃さん、小猫ちゃんも何とも言えない表情だった。

 

「お、夫…………ふ、不純異性交遊はダメですからね!?」

 

ロスヴァイセさんは慌ててるけど………ふっ、もう遅いわ。

 

もう…………イッセーとは色々しちゃったもん。

いっぱい可愛がってもらってるもん。

寝る前だってキスしてくれたし………朝もおはようのキスしてもらったもん。

 

『アリスさん!? なにニヤけてるの!?』

 

「え、あ、あれ!? 私、ニヤけてた!?」

 

私が聞き返すと皆が同時に頷いた!

 

え、ぇぇ………そんなに顔に出てた?

 

こ、これはマズい………。

 

私は一度咳払いした後、改めてラファエルに槍を突きつける。

 

「と、とにかく! これ以上の会話はなしよ! シリアスを壊す前にあんたを倒す!」

 

『もう壊してますけど!?』

 

ツッコまれてしまった…………。

 

私の言葉を受けて、ラファエルからどす黒いオーラが滲み始める。

敵意、殺意が籠められた目だ。

 

リアスさん達も陣形をとる。

 

ラファエルが言う。

 

《悪魔とそれに加担する者たちがこれほどいるとは………嘆かわしい事だ。このラファエル、患いを癒そう》

 

刹那、ラファエルの体から暴風が吹き荒れる!

重たい風が私達を叩きつけるようにして、あらゆる角度から飛んでくる!

 

タオくんが叫ぶ。

 

「皆さん! ラファエルには風を無効化する力があります! こちらの放つ風系統の技や術は通じません!」

 

「了解よ!」

 

朱乃さんやロスヴァイセさんは風系統の魔力、魔法も使えるけど、それ以外も使えるから問題ない。

私は雷属性だし。

 

リアスさんが後ろに下がって、手元に滅びの魔力をチャージし始める。

 

「あれを準備するわ! 皆、少し時間を稼いでちょうだい!」

 

消滅の魔星(イクスティングイッシュ・スター)を放つ気なのね。

あれなら耐性、防御関係なく消し飛ばせる。

 

皆もリアスさんに頷きを返して、ラファエルの包囲にかかる。

 

前衛は私、リーザさん、タオくん、フィーナさん、シェリルさん。

私と平行世界組という組合せ。

小猫ちゃんとロスヴァイセさんは中衛、朱乃さんが後衛。

リアスさんはチャージ完了まで最後尾で待機。

 

「では―――――」

 

「いきます!」

 

初手はフィーナさんとタオくん。

フィーナさんが剣を振るい、タオくんは棍と拳を駆使してラファエルに攻撃を仕掛ける。

 

フィーナさんの放つ高速の斬戟の後にタオくんこ棍が打ち込まれるが、ラファエルはそれを鎌槍で捌いていく。

 

二人の攻撃を避けきった後にできる隙をついて、シェリルさんと私が仕掛けるが――――

 

《遅いッ》

 

「っ!」

 

私達の攻撃は吹き荒れる風で防がれてしまう。

 

鎌槍と風の鋭いコンボで、私達を凪ぎ払い傷をつけていく!

 

以前、戦った時にも思ったけど、ウリエルはパワータイプ、ラファエルはテクニックタイプのようね。

 

こちらの連携をいとも簡単に捌いてくる。

 

おまけに圧倒的な風の力も有している。

 

―――――やりにくい。

 

《今度はこちらからいくぞ―――――神の竜巻》

 

ラファエルを中心に荒れ狂う竜巻が発生!

一直線にこちらへと向かってくる!

 

「任せてください! ラウンド・シールド!!」

 

フィーナさんが前に出て構えると、光の障壁が生まれて竜巻を防いだ。

 

しかし、今の一撃でフィーナさんが張った光の障壁にヒビが入り、砕けてしまう。

 

《今のを防ぐか。だが、更に威力を上げればどうなる?》

 

「まだ上があるというの…………!」

 

ラファエルの言葉にフィーナさんは目を細め、頬に冷や汗を流していた。

 

ラファエルの周囲に先程のものよりも巨大な竜巻が現れる。

それも三つ。

 

《くらうがいい》

 

号令と共に三つの竜巻がうねり、急接近してくる!

 

流石に防ぎきれない!

 

だったら―――――

 

「本体を直接狙うまで!」

 

私は白雷を纏って飛び出していく!

 

襲いくる風の刃を槍で斬り裂いて、ラファエルへと迫る!

 

《やらせると思うか?》

 

「やってやろうじゃない!」

 

 

ギィンッ! ギィィィィィンッ!

 

 

互いの得物がぶつかり、激しく火花を散らす。

 

「はっ!」

 

槍の穂先に白雷を纏わせて、破壊力を爆発的に上げた一撃を繰り出す!

 

ラファエルが後ろに跳んでよけたことによって、地面に巨大なクレーターができる。

 

漆黒の鎧を身に包んだ騎士―――――シェリルさんが飛び出していく!

重たい鎧を装着しているというのに、俊敏な動きでラファエルに斬りかかる!

 

すると、ラファエルの鎌槍の先端が光り、緑色のオーラを発した。

 

光の中から現れたのは―――――一匹の蛇。

緑色のオーラを放つ蛇だ。

 

蛇は速く動き大きな口を開けて、シェリルさんを呑み込もうとする。

 

だけど、あの程度の攻撃なら問題ないだろう。

 

シェリルさんは大剣を豪快に振るって、蛇を両断する。

そして、そのままの勢いでラファエルに迫ろうとした。

 

 

その時だった――――――。

 

 

突如、シェリルさんは膝をついてしまった!

肩を上下に動かしていて、苦しそうにしている!

 

何が起こったというの!?

 

ラファエルは鎌槍を回して、私達の疑問に答えるように言った。

 

《シェオルの蛇――――我が蛇に触れし者は、体力と魔力を奪う。斬り捨てようとしてもだ》

 

「なにそれ、ズルい!」

 

直接的な防御じゃ防げないってこと!?

 

えぇい、面倒な能力ね!

思考も最低だと思ったら技もひねくれてる!

 

ラファエルは鎌槍を横凪ぎにして、膝をつくシェリルさんを壁に叩きつけた!

 

「カハッ…………!」

 

叩きつけられたシェリルさんの兜が砕けてしまう。

更にはその場に倒れ伏し、血反吐を吐いてしまった。

 

「小猫ちゃん! シェリルさんをお願い!」

 

「はい!」

 

猫又モードの小猫ちゃんがシェリルさんを抱えて、一度後方に下がる。

 

ラファエルは逃がすまいと攻撃を風の刃を飛ばしてくるが、それは朱乃さんとロスヴァイセさんの魔法で防がれる。

 

《中々にしぶとい。だが―――――》

 

ラファエルの鎌槍が再び輝きを放つ。

 

緑色のオーラが周囲に広がり―――――

 

『シャァァァァァっ!』

 

『キシャァァァァァッ!』

 

さっきと同じ蛇が何体も現れた!

その数は十や二十じゃきかない!

この広間の床半分を埋め尽くすほどの数!

 

ロスヴァイセさんが魔法陣を展開する

 

「魔法ならどうでしょう!」

 

「直接触れなければ良い話ですわ!」

 

魔法のフルバースト、雷光の龍が蛇を駆逐する!

 

しかし…………この時、二人の援護攻撃の的がラファエルから外れることになる。

 

そして、それを狙っていたかのように、ラファエルが間合いを詰めてくる!

 

《まずは―――――》

 

ラファエルの鎌槍がタオくんに迫る――――――。

 

その時だった。

 

「完成したわ! 皆、離れてちょうだい!」

 

リアスさんの合図が届いた!

 

後ろを振り返えると、その手には凶悪な魔力が渦巻く球体!

 

リアスさんの合図を受けて、前衛組は散開。

 

滅びの球体が放たれる!

 

《そのような遅い攻撃、当たるとでも―――――》

 

ラファエルが後退しようとするが、それを阻止するものがあった。

 

紫色のなにかがラファエルの両手足を縛り上げていた。

 

紫色のものを辿ると―――――シェリルさんが髪を伸ばして、ラファエルの身動きを封じていた!

 

「あれがシェリルの力よ。彼女は髪を操れるの」

 

リーザさんが驚く私達に説明をくれる。

 

髪を操る能力!

 

「なんて便利な! みつあみとか簡単に出来るじゃない!」

 

「アリスさん、そんなこと言ってる場合じゃないです」

 

小猫ちゃんからのツッコミを貰っちゃった!

 

リーザさんはリアスさんの横に立つと手元に火を生み出す!

 

「私も紅のお姫さまに便乗するわ。―――プロミネンス!!」

 

青白い炎を放ち、リアスさんが放った消滅の魔星と融合。

動きを封じられているラファエルを呑み込んでいく!

 

火炎がラファエルの体を焼き、滅びの魔力が肉体を残らず消し飛ばしていく!

 

《グッ………おのれ…………っ!》

 

それでもなお逃れようとするラファエル!

風を操り、魔星の重力からの脱出を試みる!

 

「逃がしませんわ!」

 

「あなたにはここで倒れてもらいます!」

 

雷光龍、魔法のフルバースト、がラファエルを襲い、風をかき消した!

 

「ここで消します!」

 

小猫ちゃんも白音モードとなって、強力な気弾を打ち込んだ!

 

…………揺れてる。

小猫ちゃんが成長するとあんなになるんだ…………。

あれ、おかしいな…………涙出てきた。

 

ラファエルの背後にひとつの影―――――

 

タオくんが棍で連続突きを繰り出し、右の拳を後ろに引いて――――。

 

「破山掌撃!!」

 

 

ドンッ!

 

 

掌底がラファエルの背中に打ち込まれ、辺りを揺らすほどの衝撃波が生み出される!

 

《グゥ…………!》

 

効いてる!

衝撃が肉体の内側からダメージを与えたんだ!

 

シェリルさんが動きを封じ、リアスさんとリーザさんの合わせ技。

朱乃さんの雷光龍、ロスヴァイセさんのフルバースト、小猫ちゃんの気弾。

そこにタオくんの強力な掌底が加わり、ラファエルは完全に動きを止めた。

 

 

――――今こそ。

 

 

私とフィーナさんは頷き、駆け出した。

 

私は白雷の出力を最大まで高めて、全身に纏う。

フィーナさんも眩い光を全身から放ち、剣に力を集中させた。

 

白雷と光が混ざり、莫大なエネルギーの塊となる。

 

そして―――――

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

私達の刃がラファエルの体を貫いた――――――。

 

ラファエルの巨体にできた大きな穴。

穴を中心に赤いヒビが入り、全身に広がっていく。

 

フィーナさんが笑む。

 

白閃の一撃(ライトニング・スマッシャー)といったところでしょうか。―――――あなたは終わりです、ラファエル。あなた方の夢も」

 

フィーナさんは剣を振るい、鞘に収める。

 

キンッという金属音と共にラファエルの肉体が崩壊し始めた。

全身のヒビが大きくなり、表面から朽ちていく。

 

ラファエルが途切れ途切れの言葉を発する。

 

《な、何故……我らに仇をなす……。我らはケガレを駆逐し……癒すだけなのに……》

 

「最期の最期まで分からないようね。あんた達がしてるのは自己満足。人からすれば迷惑極まりないことよ。神様をただ信仰する……そんなの国でもなんでもないわ」

 

 

そして―――――

 

 

「神がいなくても世界は廻るのよ。覚えておきなさい」

 

私の言葉と同時にラファエルは完全な塵と化した。

 

 

 

 

ラファエルが消滅した後、私達はヘナヘナとその場に倒れこんだ。

 

つ、疲れた…………。

 

前衛組はボロボロ。

後衛組もところどころに傷がある。

 

「あんなのがまだいるなんて…………」

 

「まぁ、鋼弥やドルキー達もいるますし」

 

「イッセーとアザゼルもいるでしょうから、大丈夫だとは思うけど…………」

 

リアスさんも息を吐く。

先程の一撃に全てを籠めていたようで、魔力の消耗が激しいらしい。

 

アーシアさんがこの場にいてくれたら、すぐに回復できるんだけど………。

 

まぁ、いないものは仕方がないか。

 

フィーナさんが言う。

 

「まずは回復させましょう。今の状態で加勢にいっても足手まといになる可能性が大きいです。特にシェリルは体力を殆ど奪われたようですから」

 

シェリルさんの方に視線を向けると、横になってぐったりしていた。

 

「シェリルさん、鎧取らないの? お風呂の時もそうだったけど………」

 

彼女はなぜかお風呂に入るときも鎧を取らない。

 

疑問に思ってたことを何となく聞いてみたのだけど、シェリルさんは頬を染めてあっちを向いてしまった。

 

リーザさんが苦笑する。

 

「彼女、素顔や体を見られるのがダメで、風呂に入るときも鎧を脱ぐことはないの」

 

シャイ過ぎない!?

それで全身鎧なの!?

 

すると、フィーナさんが私に訊いてきた。

 

「こんな時に訊くのはどうかと思ったんですけど…………アリスさん」

 

「どうしたの?」

 

「…………夫を持つってどんな感じですか?」

 

「え………」

 

「私も魔界では一国の姫なので…………。好きな男性の元に行くというのはどんな感じなのか気になって…………」

 

フィーナさんは魔界にある国の一つ、風と森林の国を治めてる姫らしい。

立場的には少し前の私と同じ。

 

それで気になったのだと思うけど…………。

 

「「「「…………」」」」

 

うっ…………。

リアスさん達も興味津々…………真剣な表情でこっちを見てきてる!

 

ロスヴァイセさんも何気に興味持ってるよね!?

その手に持ってるメモ帳はなに!?

 

この場にいる唯一の男性であるタオくんは―――――苦笑いしながら、何とも言えない顔をしていた。

 

…………タオくんって、向こうでも木場くんポジションだよね。

そう思えてならない。

 

「え、えっと………帰ってからで良い?」

 

「よろしくお願いしますね♪」

 

 

[アリス side out]


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