ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 特別編   作:ヴァルナル

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久し振りに番外編投稿~


ゲート処理は丁寧に

『朝、目が覚めたらそこには美少女がいました』なんてシチュエーションは全国の男子にとって憧れの展開だ。

その美少女が自分に抱き付いていたら、それはもう朝からエンジン全快、フルスロットルになるだろう。

当然、少しは戸惑うかもしれない。

でも、美少女がそこにいるだけで、全て許せるのだ。

むしろお礼が言いたくなる。

 

いつも美羽達と寝ている俺は毎朝お礼を言いながら、彼女達の寝顔に癒されている。

そりゃあもう幸せな気分になれる。

今日も一日頑張ろうってなる。

だが―――――何事もいきすぎ、やりすぎは良くない。

 

「ぐぇぇぇ………ぜ、ゼノヴィア、死ぬ………。俺、このままだと死ぬ………!」

 

朝起きたら首にゼノヴィアの足が乗っかっていました。

喉仏を押し込み、奥を圧迫していて、かなり苦しいです。

ゼノヴィアの足の感触はスベスベで柔らかくて、いつまでも堪能したいと思えるほどだが、今のこれはよろしくない。

俺、このままだとマジで死んじゃう!

アセムとの戦いから生還したのに、ゼノヴィアの寝相の悪さで天に召されるぅぅぅぅぅ!

 

そこまで苦しいなら足をどければ良いじゃないか。

そう思ったそこの君は考えが甘いな。

 

「うぅん………イッセーさん………あーん、ですぅ」

 

左腕はガッチリアーシアにホールドされ、全く動かすことが出来ないのだ。

いや、寝言も寝顔も可愛いけどね?

アーシアちゃん、ちょっとだけで良いから、俺の腕を離してくれないだろうか。

 

「イッセー………そこ、ダメよ………」

 

俺の右側を抑えるのはリアス。

こちらも俺を抱き枕にでもするかのように、抱き付いてくれていた。

うん、こんな状況じゃなかったら、リアスのおっぱいを堪能していたところなんだが………。

 

左も右も抑えられた。

ならば、下半身を上手く捩ってこの状況から抜け出そうと思った。

けど、それは無理だった。

足を動かそうにも、小猫ちゃんとイリナがいて全く動かせそうにない。

 

他にも朱乃、レイヴェル、レイナ、アリスといったメンバーがベッドの上にいて、全く、どうやっても抜け出せそうにない。

 

………詰んだ。

俺が諦めかけたその時―――――

 

「うぅん………」

 

のそりと上半身を起こしたアリス!

この危機的な状況に目を覚ましてくれたか!

 

「アリス! 頼む、ヘルプ! ゼノヴィアの足をどかしてくれぇ!」

 

苦しみながらも頼む俺。

こうなったら、アリスにこの足をどかしてもらうしかない!

 

俺のお願いにアリスは目蓋が空いていない状態で、

 

「イッセー………? もう、しょうがないわねぇ」

 

アリスはそう言って近づいてくると―――――俺の頭を抱き締めてきた。

 

「ぐはっ!? ちょ、ア、アリスさん!? 俺、助けてって言ったんですけど! トドメさしてくれとは言ってないんですけど!」

 

「えへへ………赤ちゃんイッセー、可愛い………」

 

「あぁ!? こいつ、寝やがった!」

 

しかも、変な夢見てるし!

完全に俺が幼児化した夢見てるだろ!

 

ていうか、この角度で頭を抱き締められるとヤバいんですけど!

首がかなり苦しいんですけど!

アリスのおっぱいは嬉しいけど、このままだと息ができないんですけどぉぉぉぉぉ!

 

「スピー………」

 

ダメだ、詰んだわ、これ。

今日この日、俺は死んだ。

 

 

『兵藤一誠の死因:おっぱいで窒息死』

 

 

 

 

「生きてるじゃねーか」

 

耳をほじりながらどうでも良さげに言うアザゼル先生。

俺は今、アザゼル先生のラボを訪れていた。

俺は半目で問う。

 

「なんですか、俺が死んでも良いと?」

 

「乳で死ねるなら本望だろ」

 

いやね、それはそうなんだけど………。

 

あの後、目覚めたレイヴェルが助けてくれたので、俺はギリギリのところで助かった。

レイヴェル曰く、俺は泡を吹いて白目を剥いていたらしい。

朝からホラーなものを見せてゴメンね、レイヴェル。

 

隣でお茶を啜るアリスが言う。

 

「ゼノヴィアさんの寝相の悪さにも困ったものよね」

 

「いや、おまえ、トドメさそうとしてたよね? 一回起きたのに、また寝たよね? どいうこと?」

 

「気のせいよ」

 

なんてやつだ。

今度すごい目に合わせてやろうか。

 

美羽が苦笑しながら言う。

 

「やっぱり寝る順番決めても意味ないよね。誰かしら抜け駆けするし」

 

「そう言う美羽ちゃんは昨日いなかったけど、どうしたの?」

 

「漫画読んでて寝落ちしてた」

 

美羽、おまえよく寝落ちするよね。

まぁ、何となく分かっていたけど。

 

それはともかく、最近、女性陣の間で俺と寝る順番を本格的に決めようかという話になったそうだ。

それで一応の順番は決めたのだが………それはあまり守られてはいない。

結局は部屋の大ベットを埋め尽くさんばかりに家の女子達が侵入してくる。

俺としては、女子と寝れて嬉しい。

ただ、今朝みたく、寝相で死にかけるのは勘弁してほしいところだよ。

 

美羽が言う。

 

「いっそのこと、お兄ちゃんの分身を作って全員に配ってみようか?」

 

「美羽、おまえ正気か?」

 

「え、なんで?」

 

「考えてみろ、俺が何人もいる状況………頭が痛くなるぞ」

 

「そうかな? ボクは普通に嬉しいけど。………た、たくさんのお兄ちゃんに囲まれた生活」

 

「おい、なぜそこで顔を赤くする。明らかに変なこと考えてるよね?」

 

「か、考えてないよ? たくさんのお兄ちゃんに○○○(ぴー)されたりとか×××(ぴー!)するとか考えてないよ?」

 

考えてんじゃん! 

そんなシチュエーションで妄想してたの!?

俺限定とはいえ、エッチ過ぎると思うんだけど!

これって俺の影響なの!?

そろそろシリウスに謝った方が良いのかな、俺!?

 

アリスが目元をひきつらせながら言う。

 

「ま、まぁ、美羽ちゃんがエッチなのは前々からだから良いとして。イッセーの分身を配るのはアリかも。今朝みたいなこともあるし。ほら、抱き枕ってあるじゃない? あんな感じのやつがあれば、少しは落ち着くと思うのよ」

 

俺がプリントアウトされた抱き枕………なんかヤダ。

だけど、可愛いアイドルやキャラクターの抱き枕が良いというのはなんとなく分かる。

俺の抱き枕があれば、皆、少し落ち着いてくれるのかな?

 

すると、アザゼル先生が「しょうがねぇな」と言って研究室の奥に行ってしまった。

戻ってきたアザゼル先生が持ってきたのは大きな箱だった。

 

「抱き枕じゃないが、おまえ達の要望に添えるアイテムがあるぞ」

 

「え、マジであるんですか」

 

「ああ。おっぱいドラゴン関連で商品化しようとしていたものの一つでな。まだ試作段階だが、お試しで使ってみてくれ」

 

そう言って、先生が箱の蓋を開けた。

中を覗くとそこには―――――ギッチリ詰められたパーツの数々。

 

俺は少し無言を貫いた後、口を開いた。

 

「………これは?」

 

「プラモデルだが?」

 

「は?」

 

「正確には『1/1スケール 兵藤一誠組み立てキット』だ」

 

うん、ちょっと意味わかんない。

なぜにプラモデル?

なぜに俺がプラモ化してるわけ?

 

アザゼル先生が言う。

 

「最近、人間界でこういうキャラもののプラモも増えてるだろ? おっぱいドラゴンのフィギュアは販売してるが、プラモはまだ商品化してなかったことに気づいてな。まずは素のおまえを作ってみようってなったんだよ」

 

なるほど。

まぁ、人間界にもそういう商品はあるよね。

特撮もののフィギュアでも最近は変身前の素の姿が販売されてるし。

 

でもね?

まず最初に言わせてほしいことがある。

 

「こんなの作るなら、俺の義手を作ってくれませんかね!?」

 

「こんなのとはなんだ。ここまで作るのに結構時間かかったんだぞ」

 

「その時間を義手に回してくれよ!」

 

「ちなみにイッセーのプラモ化には、シーグヴァイラが協力してくれている」

 

「無視か!?」

 

シーグヴァイラさん、プラモ………というかロボ好きだもんね。

うんうん、そっかそっか。

ついに俺もプラモ化か………あれ、なんだか泣けてきたぞ。

 

美羽が組み立て説明書をパラパラ捲っていく。

 

「うわぁ、説明書分厚いね。パーツもかなり多いし。服は駒王学園の制服なんだ。制服は本物使ってるの?」

 

「いんや、そうすると高くつくんでな。コスプレ衣装みたいな安い生地で作ってる。パーツに関しては、リアルなイッセーを作ろうとしたら増えてしまったんだよ。流石に初心者には難しいと思って、今はパーツを減らそうと試行錯誤している。あ、監修はイグニスだな」

 

おい、今、かなり不穏な名前が出てきたんだけど。

監修がイグニスだと?

それってまさか………!

 

美羽が顔を赤くして説明書のあるページを指差した。

 

「お兄ちゃんの………も作るんだ………」

 

「やっぱりかよぉぉぉぉぉぉ!」

 

説明書には俺の息子の組み立て工程まで乗せられている!

なんで、そんなところまで作ろうとしてるの!?

完全にアウトじゃん!

 

「子供たちに何を作らせようとしてんだ!」

 

「ナニだな」

 

「バカなの!? PTAから苦情来るぞ!」

 

「1/1スケールだからな。リアルなイッセーを追及しないとダメだろ」

 

「そんなリアルはいらん!」

 

「まぁ、実は会議でもそういう話になってな。ここはもっと簡易化して、ピンポン玉二つと牛乳瓶で良いかなって」

 

「そこまで手抜きするなら作るなよ!」

 

ピンポン玉二つと牛乳瓶って!

酷すぎるだろ!?

つーか、ピンポン玉はともかく、牛乳瓶のチョイスが謎過ぎる!

 

「あそこが牛乳瓶で出来た俺を見てあんたは何も感じないのか!?」

 

「爆笑ものだろ」

 

「分かってやってるよ、このマッドサイエンティスト!」

 

ツッコミが止まらないでいると、実体化したイグニスが現れた。

 

「私はミートボールとソーセージ、お稲荷さんの皮、あとヒジキでも良いんじゃないってアドバイスしたんだけどね」

 

「おまえは食べ物で何を作らせようとしてんだぁぁぁぁぁ!?」

 

「ナニよ」

 

「うるせぇよ! なにキメ顔で言ってるの、こいつ! 腹立つんだけど!」

 

食べ物を粗末にするな!

あと、そうなるとプラモでもなくなるからね!?

    

イグニスが言う。

 

「これが完成したら凄いのよ? 遠くから見たらそのままのイッセーだもの。それに全身が動くから色々なポージングもできるの」

 

と、そう言って、このプラモの完成品を研究室の奥から持ってくるイグニス。

それは確かに俺、兵藤一誠だった。

肌の質感もプラモとしては良くできているし、飛び蹴りのようなダイナミックなポーズもとれる。

プラモデルとしてのクオリティはかなら高いのだろう。

近くで見るとプラスチック感があるけど、作り手次第でそこは何とかなるかも。

 

アザゼル先生が訊いてくる。

 

「どうだ? こいつを作れば、リアルなイッセーが完成するぜ? 数を作れば、おまえ達全員にこのリアルプラモデルイッセーが行き渡るぞ」

 

アザゼル先生の問いに美羽とアリスは互いの顔を見合わせると、完成品をマジマジと眺め―――――

 

「「なんかヤダ」」

 

お気に召さなかったらしい。

 

 

 

 

翌朝。

俺の分身を女性陣に配るという話が流れた結果、今日も俺は―――――

 

「ぐぇぇぇ………た、頼むから起きてくれ、ゼノヴィア………ァ! 足で俺の顔を挟まないでくれぇ………!」

 

「うーん………」

 

「あ、朱乃も今、上に乗られるマジでヤバイんですけど………! あっ、ちょ、アリスもそれ首が逝くから、待っ………!」

 

女の子と寝るのも命がけだった。

 

 


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