ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 特別編   作:ヴァルナル

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ゴリラ炎上編最終回!

《警告》
頭を空っぽにして、何も考えずに読んでください。
考えたら負けです。

チャーラー! ヘッチャラー!




7話 コンドーを継ぐ者

部下をビチグソ丸によってモザイクまみれにされて、激怒したイサオさんの体に変化があった。

普通、こういう場面ってさ、もっとまともな変身があると思うんだ。

髪が黄金になって逆立ったり、内に眠る力が解放されたりあると思うんだ。

 

でもね―――――

 

「おいぃぃぃぃぃぃ! なんで、股間だけ光ってんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

全力のツッコミだった!

 

確かに黄金に光輝いてるよ?

でも、なぜに股間!?

なぜにそこだけ!?

なぜに勃ってるの!?

スーツがモッコリしてるんですけど!

 

ビチグソ丸がイサオさんの姿に唸る。

 

「ウホゥ(訳:ふむ、これが機動戦士ということか………)」

 

「どういう意味!?」

 

「ウホ!(訳:機動戦士チ○ザム!)」

 

「ただの下ネタだろうがぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

いい加減にしろよ、このクソゴリラ!

汚物のスパーキングだけでもツッコミが絶えないってのに、ここにきて更に下ネタぶちこんでくるのかよ!

ああ、そうだね!

確かに股間だけは機動戦士してるわ、そういう意味なら!

でも、ここには女子もいるんだよ!

やめくれませんかね!?

 

イサオさんの姿を見て、バナナスムージーまみれのアザゼル先生を介抱しているレイナが言った。

 

「あれは四年に一度現れるという、伝説の超ゴリラ。またの名を―――――ゴールデンゴリラよ!」

 

「オリンピック!? つーか、そのまんまじゃねーか!」

 

四年に一度現れるってオリンピックですか!?

つーか、そんな短スパンで股間を黄金に輝かせるゴリラが出現すると!?

この世界はどうなっているんだ!

どこに向かっているんだ!

 

レイナが真剣な顔で続ける。

 

「あれは穏やかな心を持ちながら、激しい怒りによって目覚める伝説のゴリラよ。皆も聞いたことはあると思うけど………」

 

いえ、聞いたことないです。

二十年生きてきたけど、そんな話は初耳です。

 

リアスが目を見開いて叫んだ。

 

「そんな………! 伝説のゴリラが目の前で誕生するなんて! 噂には聞いていたけれど、まさか本当に………」

 

リアス、君はなんで知ってるんだよ?

そんな噂があったと?

どこで?

冥界ですか?

それとも人間界ですか?

 

木場が目を細めて呟く。

 

「あれが黄金のゴリラ、か………」

 

そうだねー。

黄金のゴリラだねー、股間だけ。

 

ねぇ、君達?

なんで、そんなシリアスな顔してるの?

やっぱり、俺がおかしいのか?

俺がダメなのか?

君達が俺のツッコミも聞かずに、そんな顔するなら、帰っちゃうぞ?

割りとマジで。

 

股間を黄金に輝かせるイサオさんが前に出る。

 

「ウホウホ(訳:よくもやってくれたな………だが、貴様の企みもここまでだ)」

 

「ウホ(訳:ゴールデン化したことは誉めてやろう。しかし、その程度でこの私に勝てると?)」

 

睨み合う二人の間の空気が変わる。

巨大なプレッシャーとプレッシャーの衝突が周囲に影響を及ぼし始め、地面に亀裂が入り、木々が激しく揺れた。

吹く強い風に一房のバナナが木から千切れた―――――

 

その瞬間、二人の姿がその場から消えた!

同時に聞こえてくる衝突音!

見上げると、この島の上空で二頭のゴリラが激しい殴り合いをしていた!

 

「ウホッ!(訳:はっ!)」

 

振り上げた豪腕を叩きつけるようにして、ビチグソ丸に打撃を与えるイサオさん。

爆音ともとれる凄まじい打撃音が響く!

ただの拳打でこれか!

超ゴリラは伊達じゃない!

 

ビチグソ丸は両腕でガードするが、衝撃までは防ぎきれなかったらしい。

口元が少し血で滲んでいる。

 

「ウホ(訳:想像以上にパワーが上がっているな。だが―――――)」

 

ビチグソ丸はイサオさんの腕を掴むと、自分を軸にして独楽のように回り始める!

その回転力でイサオさんを地面めがけて投げ飛ばした!

だが、イサオさんは地面と衝突する直前で身を捻り、上手く着地を決める!

あの体勢からよく立て直せたな!

 

イサオさんは自分の拳を何度か握ったり、開いたりすると頷いた。

 

「ウホ(訳:なるほど。これが今の俺の力………。だが、全てを発揮するには今の姿ではダメだな。窮屈すぎる。全てを奴にぶつけるためには―――――)」

 

イサオさんはボロボロのスーツに手をかけると、脱ぎ捨てた―――――下も!

 

「ウホゥ!(訳:全てをさらけ出すしかあるまい!)」

 

「全てをさらけ出すってそういう意味ぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

窮屈って下のことですか!?

いや、確かにそういう時あるけども!

ポジションに困ることもあるけども!

どこまでさらけ出してんだ!?

 

スーツはおろか、下着すらも脱ぎ捨てたイサオさんを見て、ビチグソ丸は口元を笑ました。

 

「ウホホ(訳:そちらがその気ならば―――――)」

 

ビチグソ丸は自身が着込んでいる魔王っぽい衣装に手をかけると、イサオさんと同じく脱ぎ捨てた。

その下まで!

 

「ウホゥ!(訳:私の全てを見せてやろう!)」

 

「いや、あんたが見せたの本当に全部だからぁぁぁぁぁぁ!」

 

なんで下まで脱ぐの!?

なんで、股間のバナナぶらぶらさせてるの!?

なんで、あんたも機動戦士してるの!?

それがゴリラなの!?

ゴリラ流の作法なの!?

俺にはもうゴリラが何なのか分からないよ!

 

ビチグソ丸が言う。

 

「ウホウホ!(訳:私のバナナとおまえのバナナ。どちらが強いか勝負といこうか!)」

 

「ウホッ!(訳:望むところだ!)」

 

その場から二人は駆け出し―――――

 

「「ウホッ!(訳:伸びろ如意棒! 伸びろマイバナナ!)」」

 

「如意棒、卑猥過ぎるだろ!? よくそんなに伸びるな! 普通の刀くらいあるじゃねぇか!」

 

それからさ―――――。

 

 

ブゥゥゥン!

バシュッ!

バシュッ!

ブゥゥゥン!

ブゥゥゥン!

 

 

「なんで、ライトセイバーみたいな音してるの!?」

 

どんなジェダイ!?

もしかして、フォースの力使える!?

つーか、互いのバナナをぶつけ合うとか、気持ち悪いんですけど!

何回も言うけど、ここには女子もいるんだからね!?

やるなら、せめて動物園の檻の中でしろぃ!

 

 

シャキーンッ!

ブゥォン!

ジャキーンッ!

ジャキーンッ!

 

 

「ライトセイバーはもういいって言ってんだろうが!」

 

しかし………俺のツッコミは届かない。

超変態ゴリラジェダイの戦いは続き、周囲ではゴリラ共の汚物が飛び交っている。

どうしてこうなった?

どうして俺のツッコミが届かない?

 

こんな世界間違ってる。

誰もツッコミを聞いてくれない、そんな世界なんて………。

ぶち壊してやる。

誰にもツッコミが届かない世界なんて消え去ってしまえば良いんだ。

 

そう思ったとき、俺の中で何かが切れた―――――

 

 

「我、目覚めるはツッコミの理を神より奪いし赤龍帝なり」

 

「お兄ちゃん、それ何を発動しようとしてるの!?」

 

「シリアスを嗤い、ボケに走る」

 

「それ、ツッコミしてないよね!? 完全にボケに回ろうとしてるよね!? ツッコミ諦めてない!?」

 

「我、赤きハリセンの王となりて」

 

「もう呪文の内容、無茶苦茶だよ!? ハリセンの王ってなに!?」

 

美羽のツッコミをスルーして、俺は最後の呪文を唱えた。

 

「汝を抗えぬシリアルへと沈めよう」

 

「結局、シリアルゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!」

 

さぁ、貴様ら覚悟しろ。

今から――――――。

 

 

 

『相棒、そんな思い付きの呪文を唱えられても困るのだが………』

 

だよね………分かってる。

無理言って、ゴメン。

でもね、神器って所有者の願望に答えるって言うからさ。

こう籠手がハリセンになって、十秒ごとにツッコミが倍加していかないかなって。

 

『無茶を言わないでくれ………』

 

ほんっとゴメン。

 

俺の願いが神器にスルーされている間にもイサオさんとビチグソ丸の卑猥な戦い(本人達は大真面目)は激しさを増していく。

二人の衝突で生み出される衝撃波は辺りを壊滅させ、近くにはいられないほどだった。

 

そんな激戦の中でビチグソ丸が叫ぶ。

 

「ウホゥ!(訳:イサオよ、ゴリラ13よ! なぜ、歯向かう! なぜ、我らと同じ道を歩まない! 紛い物とはいえ、貴様も我らと同じゴリラだろうに!)」

 

「ウホッ!(訳:では、逆に聞く! 貴様はなぜ、世界征服を企む!)」

 

「ウホホゥ!(訳:決まっている! 我が同胞を守るためよ! ゴリラは年々数を減らしている………このままではいずれ絶滅するのだ! だから、私は動いた! ゴリラ帝国を築き、ゴリラの楽園をこの世界に作ってみせる! 私は同胞を守るためなら、この身をバナナに捧げよう!)」

 

「ウホッ!(訳:そうか………そうだったのか。だが、関係のない者までビチグソまみれにする貴様のやり方は認められん! 俺は俺自身をバナナに変えても貴様を倒す!)」

 

互いに互角。

後ろには一歩も下がらず、ただただ前に出ていく。

どれだけ傷つこうとも、膝をついたりはしない。

二人には譲れないものがあるのだろう。

守りたいもの、守りたいゴリラ、守りたいバナナがあるのだろう。

 

二人の攻撃が互いに届いた後、あれほど激しかった戦いがピタリと止まった。

ビチグソ丸の攻撃がイサオさんの胸を貫いたからだ。

苦悶の声と共にイサオさんが膝をつく。

 

「ウホウホ(訳:やはり、貴様ではこの私に勝てない。そして、『D×D』の諸君。君達も終わりだ。―――――時間だ。)」

 

ビチグソ丸の視線が、あの巨大なゴリラ像―――――ゴリラの神コンドーの力が封じられているという像に向けられる。

ビチグソ丸に釣られて、俺達もそちらを向く。

すると、ゴリラ像にヒビが入っているのが見えた。

そのヒビは少しずつ全体に広がっていき―――――最後はガラスが割れるような音と共に弾けた!

目映い光が周囲を照らす!

 

ビチグソ丸が高らかに笑う!

 

「ウホウホウホ!(訳:見ろ、我らの神の力が解き放たれた! ついにコンドーの力が私のものになるのだ!)」

 

その言葉に目を見開く俺達。

 

なんてこった!

間に合わなかったというのか!

もし、ゴリラの神の力とやらが、ビチグソ丸に受け継がれたりしたら………!

 

「皆、あれを攻撃して! ビチグソ丸にコンドーの力が渡ったら、世界は終わりよ! どんなツッコミも受け付けなくなってしまうわ!」

 

「今なんて? 最後なんて言った?」

 

レイナの指示に、俺達は一斉攻撃を仕掛けようとする。

しかし、俺達の動きは周りにいたビチグソ丸の配下ゴリラによって阻まれてしまう!

何度倒しても、何度も起き上がってくる!

こいつら、玉砕覚悟だってのか!?

 

光の塊が空から降りてくる。

それはビチグソ丸のもとに――――――はいかず、倒れているイサオさんの前で止まった。

そして、その光はイサオさんの中へ入っていく。

 

 

………え?

ちょっ………は?

見間違いじゃ………ないよね?

他の皆も呆気に取られてるし。

周りのゴリラも、ビチグソ丸ですら状況を理解できずに呆然とイサオさんを見ていた。

 

ビチグソ丸が口を開く。

 

「ウホ………ウホ!?(訳:馬鹿な………馬鹿な馬鹿な馬鹿な! コンドーは私ではなく、貴様のような紛い物ゴリラを選んだというのか!?)」

 

コンドーがビチグソ丸ではなく、イサオさんを選んだ?

どういうことだ?

ビチグソ丸はコンドーの力を手に入れるために色々と準備をして、確信を持った上で動いていたはずだ。

それが失敗した?

いや、それ以前に、なぜコンドーの力がイサオさんに?

 

そんな疑問を抱く俺達の視線を受けながら、イサオさんは立ち上がる。

傷だらけだが、彼からは今まで以上の覇気を感じられて、

 

「ウホ………(訳:そういうことだったのか。ビチグソ丸、おまえは失敗した。コンドーの意思はおまえを否定したんだ。コンドーは俺を選んだ)」

 

「ウホ!?(訳:まさか………!? そんなはずはない! なら、貴様はコンドー・イサオとでも言うのか!)」

 

「ウホ!(訳:そうだ!)」

 

「ウホ!?(訳:ならば、貴様のケツ毛はボーボーだと言うのか!?)」

 

「ウッホゥ!(訳:その通りだ!)」

 

ちょっと待って! 

あんたら何の話をしているの!?

なんで、ここでケツ毛の話になるの!?

なんで、イサオさんは誇らしくしてるの!?

 

すると、いつの間にか俺の横に立っていたヴァーリが呟いた。

 

「そうか。コンドーのケツ毛はボーボーだったと聞く。それでイサオは選ばれたということか」

 

「ちょっと待てぃ! そんな理解しないで! 俺でも理解できるように噛み砕いて!」

 

「イサオはケツ毛が凄い。だから、コンドー・イサオになった。よく見ておけ、兵藤一誠。あれがゴリラの中のゴリラ。真のゴリラ―――――『G×G(ゴリラ・オブ・ゴリラ)』」

 

「『D×D(ドラゴン・オブ・ドラゴン)』みたいに言うなよ! 泣くぞ、グレートレッド! つーか、俺に関してはもう泣きかけてるよ! 状況に理解が追い付かなくて、涙が出てるよ!」

 

「コンドー・イサオ………か。フフフ、また戦いたい相手が増えたな」

 

ダメだ、こいつは本当にダメだ!

だって、目を輝かせてるもの!

バトルマニアも大概にしとけよ!?

 

ビチグソ丸が絶叫に似た叫びをあげる。

 

「うっほぉぉぉぉぉぉぉぉ!(訳:認めん! 認めんぞ! こんなことがあって良いものか!)」

 

ビチグソ丸の全身から凄まじいオーラが発せられる!

奴は両手にオーラとビチグソを集中させていく!

 

「ウホ!(訳:コンドーの力で世界を変えるために! ゴリラ帝国を築くために! ソロモンよ、私は帰ってきたのだぁぁぁぁぁぁぁ!)」

 

「おまえ、それ言いたかっただけにこの島選んだだろ!?」

 

「ツッコミしてる場合じゃないよ、イッセー君! あれを放たれたら、島ごと消されてしまう! ここは逃げるんだ!」

 

「木場ァ! おまえ、今回の件で一回もツッコミしてねぇぞぉぉぉぉぉぉ!」

 

木場に文句を言いながら、島からの脱出を試みる俺!

他の皆も島から飛び上がり、距離を置いていく中、イサオさんだけはそこに止まった。

 

「ウホ(訳:ビチグソ丸。おまえの気持ちは分かった。だが、罪は罪。潔く縄につけ)」

 

「ウホ!(訳:黙れ! 貴様を殺して、私がコンドーになる! 私はコンドー・ビチグソ丸になるのだぁぁぁぁぁぁ!)」

 

放たれる滅びの閃光(ビチグソ)!

あんな波動を放つビチグソを投げるなんて………この島どころか、周囲の島までビチグソまみれになるぞ!

知らんけど!

 

しかし、ビチグソが迫っていても、イサオさんはその場から動かない!

 

「ウホウホ!(訳:ビチグソ丸! 俺は今日ここで、おまえを止めてやるぞ!)」

 

イサオさんは足を振り上げ、まるでピッチャーのような構えを取り―――――。

 

「ウッホォォォォォォォォォ!(訳:ファイナル・バナナ・クラッーシュ!)」

 

全力のスパーキングをビチグソ丸に叩きつけた。

 

 

 

 

三日後―――――。

 

イサオさんの渾身のスパーキングを受けたビチグソ丸は倒され、グリゴリ施設に収容された。

イサオさんに完全敗北したせいか、今のところ大人しくしているという。 

 

「一度大人しくなったゴリラはバナナさえ握らせておけば何とかなる。暫くは様子を見つつ、ミカエル達と今後について話し合っていくさ」

 

と、全身の穴という穴からバナナスムージーを噴出するはめになったアザゼル先生が言った。

先生はビチグソ丸の手によって、無事に回復して

 

「先生、バナナ食べますか?」

 

「や、やめろ! 暫く、バナナは見たくない………」

 

回復してなかった。

あの攻撃はアザゼル先生にトラウマを刻んだようだ。

 

そうそう、あの戦いの場所になったソロモン諸島だが、結局、あたりは二人のスパーキングの余波であちこちに二人のビチグソが降り注いだそうだ。

後処理にはかなりの人員と時間が必要なようで、被害は思っていた以上に大きい。

 

ゴリラ神コンドーの力を手に入れたイサオさんはというと、

 

「ウホ(訳:俺はゴリラ達と今後について話をつけてくる。互いが平和な道程を歩めるようにしてみせるさ)」

 

そう言い残して、彼はゴリラと共に姿を消した。

ジャングルの奥に。

バナナを握って。

 

こうして、今回の一件は終わりを迎えた。

 

 

 

「なぁ、美羽。最後に一つだけ良いか?」

 

「うん。ボクも同じこと考えてたから」

 

俺達は頷くと息を吸った―――――

 

「「結局、ゴリラってなんだったんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」

 

 

 


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