ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 特別編 作:ヴァルナル
イッセー「過激武闘ゴリラ組織『
美猴「死んでねぇし! なに、勝手に俺っちを殺してるんでぃ!? 」
ヴァーリ「美猴、おまえは良い奴だったよ(笑)」
美猴「二天龍で俺を弄るの止めろぃ! つーか、(笑)ってどういうことだ、ゴラァァァァッ!」
バルムンクが放ったヘルズ・ファキナウェイが美猴の顔面を捉えた―――――。
倒れる美猴にアザゼル先生が叫ぶ。
「しっかりしろ、美猴! おい! くっ………ダメだ、顔面がモザイクだらけでどれが美猴でどれがウ○コなのか、区別がつかねぇ………!」
「それは俺の顔面がウ○コって言いたいのかい!?」
顔にモザイク修正が入ったまま抗議する美猴。
今のはアザゼル先生の発言が酷い。
モザイクまみれだとしても、流石に美猴の顔くらいは………あっ、ダメだ。
顔面の全面積をモザイクが埋め尽くしているから、顔の判別が出来ないや。
「おぃぃぃぃぃぃ! 美猴って書いて、モザイクって呼ぶの止めろよ! なんなんだよ、おまえら! もう、俺っちは返るぞ!?」
すると、ヴァーリが冷静な口調で美猴に言った。
「それは困るな。
「ウ○コ投げられ機ってどういう意味だゴラァッ!? ヴァーリ、おまえ、そんな風に俺っちを見てたのかよ!?」
「まぁ、以前にゴリラ達と戦った時がそうだったからな」
そういや、ここに来る前に美猴と黒歌は嫌そうな顔をしていたっけな。
やっぱり、前にもゴリラ達と戦ったことがあると?
疑問に思う俺に黒歌が耳打ちする。
「伝説のドラゴンが眠っているって情報があって、とある山に行くことになったんだけど、そこにいたのはドラゴンじゃなくて、ゴリラだったのよね」
「その時に戦ったのか?」
「そうそう。ヴァーリは戦闘バカだから、嬉々として飛び出していったんだけど、いつの間にかゴリラの標的が美猴になっててね。全弾、美猴に投げつけられたにゃ」
「それでウ○コ投げられ機………」
あらら………。
ゴリラからの集中攻撃とはお気の毒に。
なぜにターゲットが美猴?
美猴にはゴリラを刺激する何かがあるということなのかね?
つーか、ヴァーリも中々に酷い名前をつけるもんだな。
投げられ機って………。
ヴァーリが言う。
「上級ゴリラと最上級ゴリラ。ゴリラの精鋭達がこれだけの数がいるとなると、
「なるほど。つまり、美猴を囮に彼らの首魁を倒す。こういうことね?」
「そういうことだ」
リアスの確認に頷くヴァーリ。
………美猴ってこんなに扱いが酷いポジションだっけ?
まぁ、ヴァーリ、アーサー、黒歌、ルフェイがスパーキングされるところなんて見たくないけどさ。
となると、やっぱり、美猴はスパーキングされる運命だったということか。
アザゼル先生が言う。
「
「置くなよ!? つーか、今、何て言った!? 逆で言ったよな!?」
「気を付けろ。奴らのオーラが高まってやがる。少しでも油断すれば
「無視するなよ!? そろそろ、俺の呼び方くらい統一しねぇ!?」
ビチグソ丸の背後に群れているゴリラ達は眼光を輝かせ、完全に戦闘体勢に入っている。
既にバルムンクがヘルズ・ファキナウェイを命中させたためか、あちらの士気は高いように感じられる。
士気が高まった敵軍は強大だ。
どれほどの攻撃を浴びせようとも、どれだけ味方が倒れようともその勢いが衰えることはない。
士気が高まった軍を撤退させる近道があるとすれば―――――
「ウホウホ(訳:相手の頭を叩く。ビチグソ丸を倒すしかない)」
イサオさんがビチグソ丸を睨みながらウホウホ言った。
「ウホ(訳:このまま奴を放っておけば、奴は取り返しのつかないことをしてしまうだろう。ならば、今ここで確実に奴を捕らえるしかない)」
イサオさんのその言葉にビチグソ丸は不敵に笑む。
「ウホホ(訳:ほう、この私を捕らえると言うのか。身の程を知るがいい、元人間の転生ゴリラよ。いかに貴様が強かろうとも、所詮は紛い物よ。真のゴリラたる私に………いや、ゴリラ神コンドーを継ぐ者である私に勝てるはずがない)」
「ウホウホウホ(訳:そいつはどうかな。紛い物が本物に負けると誰が決めた?)」
両者の視線がぶつかった瞬間、イサオさんとビチグソ丸のオーラが膨れ上がる!
二頭のゴリラの波動を受けて、興奮したのか、ビチグソ丸配下のゴリラ達が両足で立ち上がり、胸を叩き―――――ドラミングを始めた!
ドラミングの音がジャングルの奥地に響いていく!
一定のリズムで鳴らされる音はゴリラ達のオーラに変化をもたらしていて、
「なんだ、こいつら!? さっきよりも強いオーラを………!?」
そう、ドラミングによって、ゴリラ達の力が明らかに増していた。
その疑問にアザゼル先生が言う。
「あの動作は奴らの力を高めていくのさ。叩けば叩くほど、奴らは強くなっていく。ま、赤龍帝の籠手みたいなもんだな」
「なにそれ!? あのゴリラ達の存在そのものが神滅具とでも言うの!?」
「いや、個体にもよるが流石にそこまでじゃない。確かにパワーアップはするが、隙がデカい上にパワーアップにかかる時間も決して早いとは言えんからな」
木場が言う。
「では、あれを続けさせるわけにはいかないのでは?」
「ああ。おまえ達、奴らを止めるぞ! ゴリラ共の野望を打ち砕いてやれ!」
『はい!』
先生の言葉にこの場の『D×D』メンバーが気合いを入れる!
そうだ、こんな野性動物との戦いなんて早く終わらせるに越したことはない!
もう俺はツッコミに疲れたんだ!
こんなシリアスなのかシリアルなのか良く分からん相手にこれ以上、時間をかけてられるか!
『そこなのか』
ボソリと呟くドライグ。
あー、そうだよ!
俺は早く帰って、美羽達を愛でたいの!
撫で撫でモフモフしたいの!
普通に平和な時間を過ごしたいんだよ!
だからさ―――――
「かかってこいやぁぁぁぁぁぁぁ!
「イッセー先輩がかつてないくらい荒れてますぅぅぅぅぅぅ!」
ギャスパーの叫びを横に俺は気を高めて、鎧を纏う!
「ウホォォォォォ!(訳:かかれぇぇぇぇぇ!)」
『ウホォォォォォォォォォォ!(訳:おおおおおおおおおおおおお!)』
▽
ビチグソ丸の号令に合わせて、配下のゴリラ達が雪崩のような勢いで向かってくる!
「先に行くぞ」
隣に立っていたヴァーリも純白の鎧に身を包み、前に飛び出していった!
光速でゴリラの群れに突貫するヴァーリの前に―――――バルムンクが現れ、ヴァーリの行く手を遮る。
バルムンクは腰に帯びていた漆黒の剣を引き抜き、ヴァーリ目掛けて振るう!
ヴァーリは籠手で剣を受け止めると、楽しげに笑んだ。
「俺の相手は漆黒の風か。相手にとって不足はない!」
「この俺と戦って無事に済むと思うなよ、白龍皇」
その時、俺は目を見開いた。
あ、あいつ………!
「バルムンク、普通に喋れるのかよ!?」
てっきり、バルムンクも『ウホ』って言うと思ってたのに!
微妙にこっちの期待を裏切ってきやがった!
驚く俺に声をかけてきたのは『光の皇子』ことアイザックだった。
「僕達は人間態の時は普通に人間と同じ言葉を話せるのさ」
「な、なるほど………。つーか、ウ○コ投げつけてくるゴリラのくせに爽やかな笑顔してるんじゃねーよ! おまえは木場か!?」
「それは僕に対して酷いと思うんだけど!?」
ゴリラの攻撃を避けて、聖魔剣で立ち向かう木場の抗議!
ゴメンな!
イケメンを見てるとつい!
背中の剣を抜いて、鋭い動作で迫ってくるアイザック。
俺は軽く身を捻り、アイザックの剣を避けた直後に拳を撃ち込む。
だが、アイザックも流れるような動きで、こちらの攻撃を受け止めて見せた。
アイザックが俺の拳を押し返しながら言う。
「フフフ、流石は赤龍帝。一発が想像以上に重い」
「そうかい!」
俺は拳を引いて、アイザックの体勢を崩すと、そこへ蹴りを放つ。
しかし、これにも余裕で対処されてしまう。
ったく、嫌になるぜ!
ゴリラなのに、こいつら滅茶苦茶強い!
単純なパワーもそうだが、技術面でも高いレベルを持っていやがる!
ゴリラ部隊と戦闘中の他のメンバーも、相手の実力に驚愕し、ギリギリの攻防を繰り広げているような状況だ。
つーかさ………
「ウッホォ!」
「イヤァァァァァ! こいつら、メチャクチャ汚物投げてくるんですけど!? どうしたら良いのよ!?」
鎧を装備したゴリラの攻撃に悲鳴をあげるアリス。
そう、奴らの基本的な遠距離攻撃の方法は毎度お馴染みスパーキングだった。
それはもう大量に、絶え間なく投げ続けている。
アリスが泣き叫ぶ。
「なんでそんなに出せるの!? ゴリラだから!? ゴリラだからなの!?」
すると、その疑問にアイザックが答える。
「快便の秘訣はバナナさ。青く若いバナナは食物繊維が豊富でね。腸内環境も良くなるんだよ」
「へー、そうなんだー………」
「ちなみに、時間が経ち熟れたバナナは免疫力を高めることができる。そうして、僕達はこの力を手に入れたのさ! 見よ、この肉体を! ハァァァァァァァ!」
アイザックが全身に力を入れ、凄まじい波動を放っていく!
こいつ、何をするつもりだ!?
身構える俺。
刹那、アイザックの体を光が包み―――――そこに新たなゴリラが現れた。
「ウッホホホホゥ!(訳:この姿こそ、アイザック・シュナイダーの真の姿さ!)」
「ただのゴリラじゃねぇか!」
人間に変身していたゴリラから純度百パーセントのゴリラになっただけじゃん!
いや、予想はしていたけどね!
ふと、ヴァーリの方を見ると、バルムンクの方もゴリラの姿になっていて、
「ウホウホ!(訳:ゆくぞ、アイザック!)」
「ウホ!(訳:よし、いこうか兄さん!)」
バルムンクとアイザックが地面を蹴ると、ジャングルの上空まで飛び上がる!
奴らは俺とヴァーリに狙いを定めると―――――
「「ウホホホゥ!(訳:バッドコミュニケーション!)」」
そう叫んで、無数の汚物を投げつけてきた!
まさにウ○コの弾幕………って、よくもここまで出せるな!
おまえらの腸内はマジでどうなってるんだ!?
俺とヴァーリは高速で降り注ぐ汚物の弾幕を潜り抜けていくが、奴らのウ○コが着弾したところを見ると、地面には巨大なクレーターが出来ていて、
「威力半端なさすぎだろぉぉぉぉぉぉぉ!?」
ほとんど砲弾じゃん!
あれに当たれば精神的にだけでなく、物理的にも死ぬということか!
ドゴォォォォォォォン!
突如、このジャングル一帯に轟音が鳴り響く。
振り返ると、多くの樹木が薙ぎ倒されており、地面は深く抉れていた。
そして、その中心にはアザゼル先生とイサオさんが倒れていた!
アザゼル先生が土を払い除けながら舌打ちする。
「ちっ、あの野郎、昔よりも遥かにパワーアップしてやがる………!」
アザゼル先生は飛び起きると同時に濃密な光力を籠めた槍を投げる。
だが、ビチグソ丸はそれを人差し指一本で無効化してしまった!
マジか!?
堕天使元総督の一撃だぞ!?
それを指一本で霧散させやがった!
驚く俺を他所に、イサオさんは土砂を巻き上げながら、飛び出し、ビチグソ丸に殴りかかっていく。
「ウッホゥ!(訳:どれほどの力があろうとも、俺達は必ず貴様を倒してみせる! ビチグソ丸!)」
「ウホッ(訳:威勢だけは良いものだな、紛い物よ。だが―――――)」
ビチグソ丸はイサオさんの拳を掴み、そのまま地面に叩きつけ、凄まじい連打をイサオさんの腹に撃ち込んできく!
離れていても伝わってくるこの衝撃!
一撃一撃が常軌を逸している!
「イサオ! ちぃっ!」
アザゼル先生がすぐにイサオさんの救出に向かう。
しかし、先生の放つあらゆる攻撃をビチグソ丸は易々と受け止め、倍返しと言わんばかりに強烈な一撃を食らわせていた。
ビチグソ丸の拳がアザゼル先生の肉体にめり込んでいく!
「ガッ! なんだ、この馬鹿げた力は………!?」
「ウホッ(訳:無駄だ。今の私は貴殿が知っている私ではない。果てのない研鑽の上に今の私はあるのだ。そして―――――)」
ビチグソ丸はアザゼル先生の腕を掴むと上へと放り投げる。
そして、両の拳を引いて、腰を深く沈め―――――。
「ウホホホホホホホホホホホ!(訳:アタタタタタタタタタタタ!)」
目にも止まらぬ早さでバナナをアザゼル先生に投げつけていった!
半分剥かれたバナナが全てアザゼル先生の口に入れられていく!
「ウホ(訳:バナナ神拳奥義―――――バナナ百烈拳)」
口に大量のバナナを投入されたアザゼル先生は力なく地面に膝を着いてしまった。
次の瞬間、アザゼル先生の体が膨らみ始めて、
「ウホホ(訳:………バナナはもう剥いている)」
「ひでぶっ!?」
悲鳴と同時にアザゼル先生の全身から黄色い何かが噴き出していった!
なんだ、あれ!?
血じゃないけど………。
すると、イサオさんが苦し気な表情で言った。
「ウホホ!(訳:あの技を受けた者は全身の穴という穴からバナナスムージーを噴き出して戦闘不能になる! アザゼルさんはもう………!)」
「それもう、えげつないバナナスムージー製造機! どんな技だよ!? 堕天使元総督はそんな技でやられたの!?」
なんだよ、バナナ神拳って!?
バナナ百烈拳ってなに!?
バナナを無理矢理捩じ込んでるだけじゃん!
確かに全身からバナナスムージーを噴き出すのは恐ろしいと思うけどね!
ビチグソ丸は戦闘不能になったアザゼル先生から視線を外すと戦闘中の俺達に視線を向けた。
俺達は目の前のゴリラ達で手が一杯だ。
仲間は何頭かのゴリラを倒したようだけど、向こうにはまだまだ余力がある。
そして、こちらは予想以上に消耗してしまっている。
そんな中でアザゼル先生はバナナスムージーの向こうに消えてしまった………!
どうする………!?
ビチグソ丸が言う。
「ウホウホウホ(訳:さて、このまま終わりにしてしまっては良いが、余興としては些か物足りないな。………そうだな、一つ試してみるか)」
ビチグソ丸が指を鳴らす。
すると、木々を押し退けて、複数のゴリラが新たにこの場に姿を見せた。
見ると、二頭のゴリラが一人の堕天使を抑えつけている。
その堕天使は既ボロボロで、肩で息をしていた。
その光景にイサオさんが目を開く。
「ウホ!?(訳:そんな………なぜ、おまえが………!?)」
驚くイサオさんにビチグソ丸が笑いと共に返した。
「ウホホ(訳:こやつは貴殿の仲間なのだろう? 我々をこそこそ探っていたようなので、拘束させてもらった)」
そうか、あの堕天使はイサオさんの部下で、ビチグソ丸達を探っていたのか。
探る内に、奴らに見つかり、捕まってしまったと。
ビチグソ丸がイサオさんに言う。
「ウホ(訳:この者を消してしまえば、貴殿は私を楽しませてくれるだろうか?)」
「ウホウホウホホ!?(訳:貴様、何をするつもりだ!?)」
「ウホ………ウホホ!(訳:なに………こうするのだ!)」
ビチグソ丸はイサオさんの部下である堕天使の腕を掴むと空高くに投げる。
刹那、ビチグソ丸のオーラが段違いに膨れ上がる!
「ウホホ!(訳:やめろ、ビチグソ丸ぅぅぅぅぅぅ!)」
何かを察したのか、イサオさんが叫ぶ。
だが、その声を無視してビチグソ丸は放った―――――
特大のスパーキングを。
「ウホォォォォォォォォォッ!(訳:トシィィィィィィィィィ!)」
汚物まみれになって、落下するイサオさんの部下堕天使―――――トシ。
トシの元にレイナが駆け寄るが、レイナは目を瞑り、首を横に振った。
「もう全身にモザイクがままっているわ。これではもう………」
「なんでだよ!?」
なんでモザイクまみれになっただけで、死人扱い!?
いや、精神的には死ぬかもしれないけどさ!
全身モザイクと化したトシは震える声でイサオさんに言った。
「す、すまねぇ。ドジ踏んじまった………。イサオさん、俺は―――――」
トシが伸ばした手は途中で力尽き、イサオさんに触れる前に落ちてしまう。
イサオさんはトシの手を握り、肩を震わせた。
「ウホ………(訳:許さん………よくも………よくもッ!)」
突如、イサオさんから異質な力が溢れ出した。
この一帯を覆うほどの激しい熱気。
彼の力に呼応するように木々が激しく揺れる。
空を暗雲が支配し、雷すら落とし始めた。
「ウホ?(訳:ほう、これは………)」
先程まで余裕の表情だったビチグソ丸も、イサオさんから解き放たれる力を前にして、目を細めた。
イサオさんはゆらり、ゆらりと不安定な足取りでビチグソ丸に近づいていく。
そして―――――。
「ウホォォォォォォォ!(訳:貴様だけは許さねぇぇぇぇぇぇぇ!)」
叫びと共にイサオさんの体を光が包み込む!
発せられる眩い光に周囲のゴリラでさえも戦闘を止め、光の方に目を向けていた。
やがて、眩い光が止み、視界が戻ってくる。
目を開くと、そこではイサオさんが―――――黄金に輝いていた。
………股間が。
「なんで股間だけぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
へっ、汚いゴリラだ………