ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 特別編 作:ヴァルナル
「神々も恐れた最強のゴリラ。その名は―――――コンドー」
ヴァーリが口にしたその名に戦慄が走る。
アザゼル先生は冷や汗を流し、あの美猴もゴクリと喉を鳴らしている。
リアスやレイヴェルもその名前を耳にしたことがあるのか、信じられないと言った表情だ。
ああ………確かにその名前は予想外だったよ。
信じられないよ。
なぁ、ヴァーリ。
俺のライバル、最強の白龍皇よ。
―――――ツッコミして、いいよな?
「コンドーってなんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
俺はゴリラの石像を指差して全力でシャウトした!
「『コンドー』ってなんなんだよ!? 『近藤』だろ!? なぜに日本の名前!? なぜにゴリラから崇められてるの!?」
俺のツッコミに対して、ヴァーリは「落ち着け」と言いながら続けた。
「詳しくは俺も知らない。だが、コンドーは日本出身のゴリラだと聞いている」
「日本出身のゴリラってなに!? 日本に野生のゴリラっていたっけ!?」
「分からない。だが、ホモ・サピエンスの更に昔。人類がまだ四足歩行をしていた頃から奴は存在していたと聞く。もしかしたら、コンドーは全ての人類の始祖―――――」
「やめろよ! 泣くぞ!」
俺が!
意味わかんないんだけど!
なんで、あのゴリラが人類の始まりなんだよ!
もっと他にあるだろ!
つーか、完全に別物だろ!?
だって、ゴリラだもの!
完成形のゴリラだもの!
パーフェクトゴリラなんだもの!
人類とは別進化してるものぉぉぉぉぉぉぉぉ!
すると、ビチグソ丸が両手を広げて、
「ウホホゥ!(訳:そうだ、我らが偉大なる神コンドーは、完成形のゴリラ! パーフェクトゴリラなのだよ、赤龍帝!)」
「人の心の中、勝手に読んでるんじゃねぇよ! ぶっとばすぞ!?」
毎度毎度ウホウホ言いやがって!
いい加減にしないと、赤龍帝の力を爆発させちゃうぞ!?
天龍舐めんなよ!?
俺がツッコミに息を荒げていると、美羽がアザゼル先生に尋ねた。
「えっと、神が恐れたってことは相当強かったんですよね? 今は亡きってことは………」
「コンドーは遥か昔に消滅したと言われている。なんでも、バナナの食い過ぎで腹を下したみたいでな」
「どんな消滅の仕方!? 神の最期じゃないよね!?」
「勘違いするな、美羽。その程度で神が消滅するかよ。奴はトイレに籠った後、そこから出られなくなって、それで―――――」
「どっちにしても酷すぎるよ!」
本当に酷い!
トイレに籠ったまま消滅する神ってなに!?
『神』じゃなくて『紙』の間違いないだろ、それ!
「奴も哀れなもんだ。まさか、紙が切れていたとはな………」
トイレットペーパーが無くて消滅する神ってなんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
確かに、トイレした後でトイレットペーパーが無かったら、ちょっとした絶望しちゃうけど!
トイレあるあるだけども!
「しかも、そこのトイレはエコの観点から芯のあるタイプじゃなかったらしい。つまり、芯をふやかして尻を拭くことも出来なかったんだよ」
「最近!? 最近だよね、それ!?」
もしかして、このゴリラの神様、最近まで生きてた!?
てっきり数百年前とか相当昔の話だと思ってたんですけど………。
先生がビチグソ丸に問う。
「ビチグソ丸! そのコンドーの力が眠っている石像をどうするつもりだ!」
問われたビチグソ丸は地面に降り立つと、コンドーの石像を見上げて言う。
「ウホ(訳:―――――この石像に眠る力を我が物にする)」
「っ! そんなことが可能なのか?」
「ウホウホ(訳:時が満ちたと言ったはずだ。偉大なる我らが神の力はもうすぐ解き放たれる。私はコンドーを継ぐ者となるのだよ。このタイミングで貴殿らと相対するのも、コンドーの力を得た時の実験台にするためよ)」
「舐めたことを言ってくれるな。俺やこいつらを甘く見るなよ? かつて、こいつらを舐めてちょっかいをかけてきた奴らは痛い目を見ている」
俺達に視線を送りながら、先生は不敵にそう告げた。
ここにいるメンバーは激戦を潜り抜けてきた猛者ばかりだ。
禍の団の旧魔王派も英雄派も俺達とやり合った結果、壊滅している。
俺達を舐めた結果だ。
ヴァーリチームにしても、各勢力の追撃をかわし続けた連中だ。
特にヴァーリは長時間の解放は厳しいとは言え、極覇龍という最上級死神すらも瞬殺するレベルの力を有している。
そして、今ではこの場の全員がテロ対策チーム『D×D』の一員、精鋭として十分な実力を持っているんだ。
しかし、先生の言葉にビチグソ丸は口元を笑ました。
「ウホホゥ(訳:舐めてなどいないさ。コンドーの力を得ずに一人で貴殿らと真正面からやり合えるとは思っていない)」
そう言うと、ビチグソ丸はパチンッと指を鳴らした。
次の瞬間、奴の背後から幾つもの気配が現れる。
ゼノヴィアがデュランダルを構えて言った。
「十………二十………いや、もっとか」
茂みを揺らしながら姿を見せたのは―――――数十体のゴリラ。
戦意に満ちた目をこちらに向けながら悠然と前に出てくる。
このゴリラ達、並の実力者じゃない。
その身から放たれるのは強者のそれだ。
アザゼル先生が現れたゴリラの集団を見て、目を細めた。
「このオーラ、上級ゴリラといったところか」
「ウホゥ(訳:ただの上級ゴリラと思わないことだ。彼らは私自らが鍛え上げた精鋭ゴリラなのだからね)」
「ちっ………気を付けろ、おまえ達。奴ら、リゼヴィムの作る量産型の邪龍なんぞよりもよっぽど強力だ」
と、ここで俺の視線はあるものへと向けられる。
ゴリラ部隊の中に二体、他のゴリラとは一線を画するオーラを持つ―――――人間がいた。
一人は金髪の優男で、白い鎧を身につけ、背には長い剣。
もう一人は長い黒髪をした鋭い目付きのイケメン。
左目に大きな傷があり、こちらは黒い鎧を身につけている。
なんで、ゴリラの集団の中に人間がいるんだ………と、思った俺だったが、よくよく二人の気の質を見極めてみると、他のゴリラと似た気の質を有していた。
ヴァーリが言う。
「人間態に変化できるゴリラか。珍しいものが見られたな」
「というと?」
「ゴリラは悪魔のような魔力を持たず、また他の種族よりも魔法への適性が低い。そんな中で、あのように姿を変化させるゴリラというのは、かなり稀有な存在なんだ。恐らく、魔法も使えるのだろう」
まぁ、ゴリラって魔法よりも物理攻撃してきそうだしな。
つーか、ほとんどスパーキングしてくるみたいだし。
あの二人の美男子(ゴリラ)はあのゴリラ部隊のリーダー的存在なんだろうな。
すると、ビチグソ丸が二人を見ながら言った。
「ウホウホゥ(訳:そうだな、折角の機会だ。我が息子を紹介しておこう。黒い鎧がバルムンク・フェザリオン、白い鎧がアイザック・シュナイダーだ)」
その名を聞き、アザゼル先生が目を見開く。
「おいおい、マジかよ………。漆黒の風と光の皇子。ラグナロックシェパード戦役の二大戦士様がご登場か………!」
「すいません、先生。ラグナロックシェパード戦役ってなんですか?」
「あの黒い鎧―――――バルムンクには気を付けろ。額の第三の眼が開眼すれば、セフィロスの惨劇が繰り返されるぞ!」
「無視か!? つーか、セフィロスの惨劇ってなに!? まず、そこの説明からお願いします!」
ラグナロックシェパード戦役ってなに!?
セフィロスの惨劇ってなに!?
すると、ヴァーリが俺の肩に手を置いた。
「ジャンプを読めば分かる」
「なんでだよ!?」
ジャンプに記されてるの!?
そんなの聞かされて理解できると思ってるの!?
余計に謎が深まっただけなんですけど!
ん………ちょっと待って。
バルムンク、めっちゃこっち見てるんですけど。
バナナ、くちゃくちゃ言わせながらめっちゃ見てるんですけど。
つーか、第三の眼開いてるんですけど!
リアスが叫ぶ!
「いけない! 第三の眼が………このままじゃ、セフィロスの惨劇が繰り返されるわ!」
バルムンクが右手を天に翳すと、掌に暗黒に満ちたオーラが集まっていく!
第三の目に怪しい光を宿らせていく!
「ヘェェェェェルズゥゥゥゥゥゥ…………!」
アザゼル先生が叫ぶ!
「マズい! ヘルズ・ファキナウェイを放つつもりだ! おまえ達、全力で防御障壁を張れぇぇぇぇぇぇ!」
「いや、そもそもヘルズ・ファキナウェイってなに!?」
先生の指示に俺達は防御体勢に入ろうとした。
しかし、バルムンクの行動は俺達よりも素早く―――――
「ファキナウェェェェェェェェイッ!」
バルムンクの放った砲撃―――――ウ○コが美猴に炸裂した。
「なんでだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? なんで、バルムンクもウ○コ!? ゴリラとやってること変わらねぇじゃん!」
「それは奴がゴリラだからだろう。姿形は人間でも、中身はゴリラだ」
冷静にそう告げてくるヴァーリ。
そして―――――
「おまえらぁぁぁぁぁ! 俺っちに対する心配はねぇのかよぉぉぉぉぉぉぉ!?」
美猴が抗議の声をあげた。
ヘルズ・ファキナウェイの直撃を受けた美猴の顔は、それはもう残念なことになっていて………モザイクがかかるほどだった。
ちなみに、俺は見ていた。
黒歌が美猴を盾にするところを。
「黒歌ぁ! てめ、なに俺っちを盾にしてやがるんだぃ!」
「だって、あんたが良いところにいたから」
「やって良いことと悪いことがあるだろぉ!?」
「えっ、やって良いことじゃないの?」
「なに、当たり前みたいな顔してやがるんでぃ!」
「ねね、赤龍帝ちんは私と美猴、どっちがモザイクまみれになるべきだと思う?」
「美猴だな」
「即答かよ!?」
「さっすが、赤龍帝ちんはわかってるにゃん♪」
そう言って、俺の腕に抱きついてくる黒歌!
おっぱいが押し付けられて、むにゅうって…………!
服の隙間から覗かせる谷間もまた………眼福です!
やはり、こんな状況にあっても、おっぱいはおっぱいだということか。
ただ、黒歌とこういう絡みをしていると、小猫ちゃんが不機嫌になってだな。
「姉様、イッセー先輩から離れてください」
「えー。白音にはこういうのは出来ないでしょ?」
イタズラな笑みを浮かべた黒歌が、腕をおっぱいで挟んで来るぅぅぅぅぅぅ!
やっぱりエロいね、この猫又のお姉さんは!
俺が黒歌のおっぱいの感触を楽しんでいる横では、事態は進んでいて、
「ぶべっ!? なんで、俺ばっかりなんでぃ!」
美猴が二発目のヘルズ・ファキナウェイをくらっていた。
バッドコミュニケーション♪