ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 特別編   作:ヴァルナル

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ゴリラ炎上編、二話目スタート!




イッセー「ゴリラ炎上編ってなんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


2話 コードネームは

「ただのゴリラだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

全身全霊のツッコミだった。

 

グリゴリから派遣されたエージェント。

変わった人だと聞かされていたが………そもそも人じゃなかった。

そう、俺達の前に現れたエージェントは正真正銘、どこからどう見ても―――――ゴリラだったのだから。

 

「マジでか! マジでこのゴリラがエージェントなの!?」

 

ゴリラを指差して言う俺に対し、先生はやれやれと言う。

 

「なんだ、イッセー。おまえは人を見た目で判断するような奴だったのか?」

 

「いや、見た目でしか判断できねぇよ! ゴリラじゃん! それ以外の何なんだよ!」

 

確かにスーツは着ているし、スーツの上からでも分かる体のゴツさはエージェントと呼ばれても不思議はない。

でもね、首から上が全てを無にしてるんだよ。

完全なるゴリラなんだよ。

しかも、このゴリラ、さっき『ウホ』って言ったよね?

どう考えてもゴリラだろ。

 

先生がゴリラの肩を叩きながら言う。

 

「まぁ、見た目はゴリラだから仕方がないか。だがな、一応言っておくが、こいつは元人間だぞ?」

 

「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」

 

先生の言葉に目が飛び出るほど驚く俺達!

マジか!

このゴリラ、元人間なの!?

 

「何があったら、人間からゴリラになるんですか!?」

 

俺の問いに先生がゴリラを一瞥して答えた。

 

「実はな、こいつはとある組織の実験の被検体だったんだよ」

 

「―――――っ」

 

実験の被検体………。

そうか、この人も好きでゴリラになったわけじゃないだな。

きっと無理矢理、実験に付き合わされてそれで………。

 

それを見た目で判断して、『ゴリラ』と連発してしまった………!

俺は最低だ!

 

先生が言う。

 

「こいつは実験によって、姿を変えられ、言葉も『ウホ』しか話せなくなってしまったんだ」

 

「そんな………一体、その実験ってなんなんですか? その組織は何をしようとしていたんですか?」 

 

その実験は人の姿を変え、言葉すら奪ってしまった。

他人をこんな目にあわせて、そいつらは一体、何を成そうとしたのか。

 

アザゼル先生が遠くを見ながら口を開く。

 

「こいつはある物を口にしたせいで、身も心もゴリラになってしまったんだ」

 

「ある物?」

 

木場が聞き返すと先生は頷いた。

 

「食せば、適正の無い者でも異能を―――――悪魔達が持つような特殊な特性を得られる果実。こいつが食ったのはその試作品。その名も―――――『ウホウホの実』だ」

 

 

 

…………え?

 

 

 

「今、なんと?」

 

「『ウホウホの実』だ」

 

聞き間違いではなかったらしい。

 

うん、落ち着け俺。

もう一度、頭の中で整理してみよう。

 

食せば、悪魔達の持つような特性を得られる?

ウホウホの実?

それって――――――。

 

「ただの悪魔の実だろうがぁぁぁぁぁぁぁ! パクっただろ!? 明らかにパクっただろ!? その組織の連中は何のためにそんなのを作ろうとしたんだよ!?」

 

「違うんだ。実は幹部共の間でジャンプを回し読みしていたら、『これ、うちでも作れるんじゃね?』みたいな感じになってさ」

 

「『ウホウホの実』作ったのあんたの組織だったんかいぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

何してるんだよ、グリゴリ!

最低すぎるだろ!

つーか、幹部達の間でジャンプ回し読みしてるの!?

学生か!?

 

すると、今まで黙っていたリアスが口を開いた。

見ると、リアスの頬には冷や汗が流れていて、

 

「アザゼル、あなた………もしかして、人をゴリラにする技術を産み出したと言うの?」

 

「ん? まぁ、そうだな。こいつは世界初の転生ゴリラになる」

 

「なんてことを………! ゴリラを増やせば、世界のパワーバランスが崩れてしまうわ! それを理解していたの!?」

 

ごめん、何か真剣な話をしているみたいなんだけど………転生ゴリラって、なに?

ゴリラ増えたら世界のパワーバランスが崩れるって、なに?

リアス、君は一体何を言っているんだ?

俺には理解できないよ………。

 

困惑する俺に木場が言う。

その声には緊張が感じられて、

 

「イッセー君。この世界で最強の生物はドラゴンだと言うことは知っているよね?」

 

「ああ、そりゃな」

 

俺の中のドライグなんて、神すら超える最強クラスのドラゴンだしな。

他にもティアやタンニーンのおっさん、ファーブニルのように龍王と呼ばれる強力なドラゴンだって知ってる。

下級のドラゴンですら、その逆鱗に触れた時は凄まじいと聞く。

ドラゴンはそれだけ強力な種族だ。

 

俺の返事に木場は、

 

「ゴリラはね、ドラゴンに継ぐ強力な種族なんだ」

 

「なんでだぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

聞いたことねーよ、そんなの!

なんで、ドラゴンの次にゴリラ!?

ゴリラってそんなに凄い種族だったの!?

 

驚く俺にアザゼル先生が説明をくれる。

 

「ゴリラはな、普段は温厚なんだが、その逆鱗はドラゴンに匹敵すると言われている。特にバナナを横取りされた時の怒りは抑えきれるものじゃない。大昔、ゴリラ共からバナナを奪った国はことごとく滅ぼされた程だ」

 

「ゴリラ半端なさすぎだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

「そうだぞ、ゴリラは半端ないぞ。握力マジでヤバイからな」

 

そりゃ、そんなの増やされたら恐怖するわ!

なに、この人、ゴリラ増やして堕天使の戦力アップとか考えてたの!?

 

アザゼル先生がリアスに言う。

 

「安心しろよ。別にゴリラを増やそうとか考えてないからよ。リアスの言う通り、この研究は世界のバランスを崩しかねないとして、研究は中断、データも全て廃棄した。それから一応言っておくが、こいつも自ら進んで実験に協力してくれたんだ。強制はしていない。もちろん、ゴリラになってしまった時の保障や手当は出してる」

 

その言葉に胸を撫で下ろすリアス。

まぁ、ドラゴンに継ぐようなレベルの存在を量産できるかも、なんて聞いたら焦るわな。

今は研究してないらしいけど。

 

というか、よくよく考えたら、この人は戦争よりも実験室に籠って研究することが好きなオタク堕天使だったわ。

要らぬ心配だったか。

 

「なんだ、イッセー。おまえ、失礼なこと考えてるだろ」

 

「いえ、別に」

 

と、ここで先生の後ろで立っていたゴリラが前に出てくる。

ゴリラは手を上げて、

 

「ウホッ」

 

と、元気な声で言った。

 

彼の声に顔を見合わせるオカ研部員の面々。

どうやら、皆もあのゴリラがなんと言っているのか分からないようだ。

小猫ちゃんもゴリラの言葉は理解できないようで、首を傾げていた。

 

皆が返答に困る中、美羽が耳打ちしてくる。

 

(あれ、多分、あいさつじゃないかな)

 

(あいさつ?)

 

(ほら、どことなく笑ってるし。初対面であることを考えたら………ね?)

 

あー、なるほど。

仕草と状況からゴリラの意思を読み取ると。

 

すると、隣にいたレイナが言った。

 

「『やぁ、皆。今日も元気にバナナしたかなー?』………だって」

 

「レイナちゃん!? 君、ゴリラの言葉が分かるの!?」

 

「だって同僚だもの。言葉が分からなかったら仕事にならないし」

 

そりゃ、そうだけども!

でもね、ゴリラの言葉が必要になる職場って変だと思うんだ!

つーか、『バナナする』ってなに!?

どんな動詞!?

そこは訳されても理解できません!

 

ゴリラが言う。

 

「ウホ、ウホホ」

 

レイナちゃんが言う。

 

「『おっと、自己紹介がまだだったな。俺の名前はイサオ。周りからはゴリラ、もしくはゴリさんと呼ばれている。君達も好きな方で呼んでくれ』だって」

 

結局ゴリラ呼ばれてるんかい!

つーか、この人、受け入れてる。

ゴリラの自分を受け入れてるよ!

 

「ウホ」

 

「ウホッ」

 

「ウホホ」

 

「ウホ、ウホホ」

 

「ウッホウ!」

 

「うん、とりあえず直訳すると―――――『よろしく頼む』だって」

 

「今のやり取りの中に意味それだけ!? あと、レイナちゃんも普通に通訳しないで! どう反応すればいいか分からなくなるから!」

 

俺がツッコミを入れているとゴリラが言った。

 

「ウホ」

 

「あ、今のはね―――――『好物はフィリピン産のバナナだ。熟しているのも好きだが、どちらかと言えば、青く若いバナナが良い。皮を剥いた時の感触と食感が好きでな。あと、バナナジュースも美味い。あの喉越しがたまらないんだ。バナナで困ったことがあったら、何でも聞いてくれ。大抵のバナナには答えられるだろう』だって」

 

「今の一言にそれだけの意味が籠められてたの!? あと、ほとんどバナナのことしか語ってねーじゃん! なんだよ、大抵のバナナって!? 意味分からないよ!」

 

元人間って言ってたけど、本当に身も心もゴリラじゃないか。

バナナのことしか頭にないじゃん!

ゴリラ生活満喫してるよ!

 

アザゼル先生が腕を組んでニヤリと笑みを浮かべた。

 

「ちなみにこのゴリラ、イサオは裏の世界では名を知られていてな。ゴリラの中のゴリラ―――――『ゴリラゴリラゴリラ』と呼ばれている」

 

「やっぱり、ゴリラだろうが! どこまで行ってもゴリラじゃねーか!」

 

 

 

 

「ウホ(訳:では、俺の調査の報告をする)」

 

それから落ち着いた俺達は今回の事件について、ゴリラ―――――イサオさんからの調査報告を受けることになった。

ちなみに、自動翻訳機が用意されたので、レイナが訳さなくても良いようになっている。

………美少女がウホウホ言ってるところなんて、これ以上、見たくないからね。

 

イサオさんが魔方陣を展開し、そこに映像を映し出す。

そこにはこれまでに起きた事件に関するデータが描かれていた。

 

「ウホウホウッホ(訳:被害者は三大勢力の関係者が狙われていることは知っていると思う。そして、全員が汚物まみれで見つかったことも。犯人は全て背後から接近し、相手が振り返ったところを、顔面にウ○コを投げつけ、一撃で仕留めている)」

 

その報告にアリスが口を開いた。

 

「あのさ、もしかして、犯人って………あんたじゃないわよね?」

 

アザゼル先生が言う。

 

「心配するな。イサオは犯人じゃない。糞のDNAが違った」

 

「思いっきり疑われてるじゃない! 身内から疑われるとか信頼なさすぎでしょ!?」

 

「昔………ちょっとな………」

 

「なにがあった!? 昔になにがあったのよ!?」

 

すると、イサオさんは朗らかに笑いながら言った。

 

「ウホッウホホホ(訳:昔、アザゼルさんにバナナを食べられたことがあってね。つい投げつけてしまったんだ。いやー、バナナを盗まれたとは言え、やりすぎだったと反省しているよ。確か、全治六ヶ月だったかな)」

 

ボコボコにされてるじゃないですか! 

え、このゴリラ、そんなに強いの!?

堕天使の総督をボコボコにするくらいの強さなの!?

というか、バナナ食べられたくらいで、そこまでする!?

 

アザゼル先生が苦い表情で言う。

 

「こいつは元は人間だが、今となっちゃ数少ない最上級ゴリラの一人だ」

 

「「「なっ!?」」」

 

驚愕するリアス達。

 

最上級ゴリラって………なに?

今日は初めて聞く単語ばかりで、俺、困っちゃうぜ☆

 

リアスが言う。

 

「最上級ゴリラ………! ゴリラの中のゴリラ、エリートゴリラ! まさか、伝説クラスのゴリラだっただなんて!」

 

レイヴェルが冷や汗を流しながら言う。

 

「しかし、噂で聞いたことがありますわ。グリゴリに凄まじいゴリラがいると。確かコードネームは―――――」

 

 

 

 

「ウホッ(訳:そう、俺が―――――ゴリラ13(サーティーン)だ)」

 

 

 

 

 

 




ウホッ!(訳:次回も読んでくれよな!)

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