ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 特別編   作:ヴァルナル

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メッッッッッチャ久々の原作篇!

………わ、忘れてたわけじゃないよ?


5話 パンツを被ったという事実

「痛ってぇな! いきなり何すんだよ!? 俺、なんかした!?」

 

赤く腫れた頬を押さえて抗議するアザゼル先生。

………と言っても、俺が知っているアザゼル先生ではなく、こちら側―――――平行世界(多分)のアザゼル先生だが。

 

俺はこちらの世界のアザゼル先生に謝罪する。

 

「すいません。全ての元凶、諸悪の根源と同じ顔が現れたのでつい………」

 

「謝ってる割には随分な言いぐさだなオイ」

 

いやいや、この気持ちに嘘はないですよ。

確かに同じ顔、同じ人物とは言え、平行世界のアザゼル先生は無実だ。

そんな人に俺は理不尽にも怒りの飛び蹴りをくらわせてしまった。

これは反省しなければいけないことだ。

 

ドライグが訊いてくる。

 

『本音は?』

 

「………実は半分くらいはスッキリしてる」

 

「おいコラ」

 

俺がついうっかり漏らした言葉を嗜めるアザゼル先生。

 

すると、こちらの世界のリアスが俺に言ってきた。

 

「良いのよ。私も少し気持ちがスッキリしたから」

 

「おい、リアス!? 少しは先生を労ってくれよ! つーか、おまえら! なに、しれっと親指立ててんだ! グッジョブじゃねぇよ!」

 

見れば、こちらの世界の俺を含め、アーシア以外のメンバーはとても爽やかな表情で親指を立て、『よくやった!』と目で俺に言ってきていた。

 

ふむふむ、どうやら、平行世界でもアザゼル先生はアザゼル先生らしい。

こっちでも俺達はアザゼル先生のしでかすことに振り回されているようだ。

恐らく、こちらの世界でも俺は実験台として使われているのだろう。

 

「俺………皆とも仲良くできそうだ」

 

「「「「よろしくね!」」」」

 

「おまえら、俺を媒介に仲良くしてんじゃねぇ!」

 

アザゼル先生の叫びを他所に、俺達は固い握手を交わした。

 

 

 

 

「平行世界から来たイッセー………。しかも、異世界で勇者になって元の世界に帰ってきた? 異世界の魔王の娘も連れて? 更にはその娘を妹にしたと? なんだなんだ、こっちのイッセーも滅茶苦茶だな」

 

遅れて入室してきたアザゼル先生にこれまでの経緯を説明した。

どうやら、俺が平行世界から来たことよりも異世界に渡っていた点に思考が持っていかれているらしい。

まぁ、確かに俺自身、無茶苦茶だとは思うけど。

そもそも、各神話でも未知とされていた異世界に、元々は普通の日本人だった俺が渡ったのは色々とおかしい………というか謎過ぎる。

 

アザゼル先生の言葉にこちらの世界の俺が言う。

 

「こっち()ってなんですか。こっち()って」

 

「そりゃあ、乳で色んな奇跡起こしてるんだ。それに、おまえは世界で唯一の存在になってるんだぞ? 色んな奴から危惧されてるっての」

 

俺はアザゼル先生に問う。

 

「世界で唯一の存在? おっぱいドラゴン的な?」

 

「まぁ、それだけでも無茶苦茶だがな。こいつはな一度死んで、肉体が滅びたんだよ。そうしたら、こいつ、無限と夢幻―――――オーフィスとグレートレッドの力を借りて復活しやがったのさ」

 

「………ほぇ?」

 

フリーズする俺。

そんな俺を見て、気持ちは分かると言わんばかりに苦笑を浮かべる皆。

 

え、一回死んだの?

俺も一回死んで、生き返ってはいるけど………問題はその後の言葉。

オーフィスとグレートレッドの力で復活した?

ちょっと待とうか。

 

一回考えただけでは理解できず、何度も思考を繰り返した俺。

アザゼル先生の言葉をようやく理解した時―――――

 

「『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』」

 

俺とドライグはシャウトした。

 

ドライグが困惑に満ちた声で言う。

 

『待て待て待て待て! どういうことだ!? 生き返ったのは良しとしても、オーフィスとグレートレッドだと!?』

 

すると、こちらの世界のドライグがこちらに聞こえる声で答えた。

 

『以前、相棒はオーフィスをかけて、旧魔王の血族と戦うことがあってな。その際にサマエルの毒を受けてしまい一度、肉体が滅びたのだ』

 

オーフィスを守るとき?

そういや、シャルバのやつがサマエルの血を塗った矢を持ってたな。

なるほど、その辺りの展開は俺の世界とこちらの世界で違うようだな。

そして、矢を受けるか受けないかで分岐していると。

流石は平行世界、様々な可能性を考えさせられる。

 

つーか、あの矢を受けてたら俺も肉体が滅びていたのね。

あの時は難なく避けることが出来たけど、くらった時のことを想像すると………嫌な汗が出てくるな。

 

こちらの世界のドライグが話を続ける。

 

『その時、偶然にもグレートレッドが通りかかってな。グレートレッドの肉とオーフィスの力で肉体を再構築して、復活を果たしたのだ』

 

『いや、おかしいだろう!? 意味が分からん!』

 

『それが当然の反応だろう。普通に考えれば、あり得ないからな。だが、事実は事実。今の相棒はオーフィスとグレートレッド、龍神と真龍の力を宿す世界で唯一の存在になったと言うわけだ』

 

「『………』」

 

開いた口が塞がらない俺とドライグ。

 

おかしい。

絶対におかしいよ、それ。

えっ、世界最強の二体のドラゴンの力を宿すって、それだけ聞けば単純に最強じゃん。

 

そんな俺の思考を呼んだのか、こちらの世界のドライグが苦笑交じりに言う。

 

『まぁ、元々が大したことないので、今のところ基礎能力が少し上がった程度だ』

 

「歴代最弱だからな」

 

「悲しいこと言わないでくれよ」

 

ドライグとアザゼル先生の言葉にトホホと肩を落とすこちらの俺。

なるほど、才能がなかったという点も俺と同じようだ。

 

しかし、と俺の中のドライグが言う。

 

『それでも未知の可能性を秘めていることには変わりあるまい』

 

俺はその意見に頷いた。

 

「だよな。というか、さっき戦った時に受けた攻撃もかなりの威力があったし、今でも十分強いだろ。あんな形態の鎧は初めて見たけど、あれは赤龍帝の力を昇華させたもの………もしかして、『悪魔の駒』の特性を掛け合わせたものだったりするのか?」

 

倉庫で見せたあの二つの形態。

一つは鎧がパージされ、スピードが急激に上昇した。

二つ目は逆に鎧が分厚くなり、あれだけの破壊力を持った拳を打ち出してきた。

まるで『兵士』の駒の特性であるプロモーションを使ったかのように。

 

俺の推理にこちらの世界の俺は頷いた。

 

「『赤龍帝の三叉成駒《イリーガル・ムーブ・トリアイナ》』。ベルゼブブ様の調整によってドライグの力と『悪魔の駒』が融合し完成した能力だよ。略してトリアイナって呼んでる」

 

「『王』の認証なしにプロモーションできるから、レーティング・ゲームの枠外の能力になるがな」

 

と、こちらのアザゼル先生が補足をくれる。

 

なるほどなるほど。

発想は俺の昇格強化に近いけど、あれは少し強引に調整したものだ。

先程戦った時の感触だと、そのトリアイナの方が力の引き上がり幅は大きいように思える。

 

真龍と龍神、二つの最強遺伝子の融合に独自の力。

こうして聞く分には十分おかしい存在だ。

色んな奴から注目されるわけだ。

 

こちらのリアスが言う。

 

「姿も同じで同じ赤龍帝なのに、こうして話を聞くと色々と違うところがあるのね。でも、こうなるとそちらの世界の私についても知りたくなるわね」

 

あー、そりゃそうなるよね。

似ているけど違う世界。

その世界で自分はどんな性格で、何をしているのか。

気になるのは仕方がないだろう。

 

俺はリアスのことを思い浮かべながら彼女のことについて話していく。

 

「えーと、まず基本的なところだけど、グレモリー家の次期当主で、『紅髪の滅殺姫』の二つ名を持っていて、皆のお姉さま的存在で―――――」

 

俺がリアスの基本情報を続けていこうとした―――――その時。

 

「イッセーとの初体験はロスヴァイセちゃんを交えた3(ピー)で、イッセーと寝るときには毎日おっぱいを揉まれたり吸われたりで、後は―――――」

 

不意に聞こえる女性の声。

その声にこの場の皆が固まった。

俺がギギギと錆びたネジのように首を回して、後ろに視線を向けるとそこには―――――

 

 

な ん か 出 て き て た。

 

 

「ベッドの上のリアスちゃんって、結構甘えん坊で~。イッセーに抱きついて、いっぱいキスしちゃったりしてるの♪ でも、イッセーを抱き締めたりして、イッセーを甘えさせてあげたりもしてて、本当に可愛い女の子なのよ」

 

この空気を全く読まずにうんうんと一人で頷きながら語る駄女神。

俺は立ち上がると、すぐに己の役目を果たしにいった。

 

「おまえは登場早々に何を話してんだぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

勢い余ってハリセンを放つ俺!

しかし、駄女神は軽いステップでハリセンをかわしてしまう!

 

「だって、私達の世界のリアスちゃんのことを知りたいって言うから、まずは入り口、玄関からかなって」 

 

「どこの入り口!? 玄関突き抜けて、窓から飛び降りてるレベルだろうが! 最後まで語ってんだろうが!」

 

「何を言っているの! まだイッセーとリアスちゃんの○○○(バキューン!)×××(ズキューン!)を語ってはいないのよ!? 話すべきことは山ほどあるわ!」

 

「やめてくれませんかね!? ガチで最後まで話す気満々じゃねーか!」

 

「最後までエロたっぷり!」

 

「お菓子感覚やめろや、駄女神!」

 

この女神はホンッッッッッッット駄女神だな!

平行世界に来ても全く変わらないのは流石ですね!

違う世界に来たのにツッコミを休む暇がねぇ!

 

リアスが口を開く。

 

「え、え、え……え? は、ははははは初体験? そ、そそそそそそそそそれは、どどどどどどういうこと!?」

 

困惑を隠しきれないリアス!

口が上手く動かせない上に目が点になってる!

説明する前からパニックになってる!

そうなるよね!

普通に平行世界の自分について知ろうとしたら、深すぎるところまで案内されたんだもの!

誰だってそうなるわ!

 

リアスの言葉に首を傾げるイグニス。

イグニスはこの世界のリアスと俺を交互に見ると、何かに気づいたのかポンッと手を叩いた。

 

「こっちのあなた達はまだ大人の社会見学が出来ていないのね。なるほどなるほど」

 

イグニスの言葉にこの世界の俺が反応する。

その動揺っぷりはリアスの比ではなく………

 

「オオオオオオオオオオトナノシャシャシャシャシャシャカイケンガククククククク!? ナ、ナンデスカソレハ!?」

 

片言になってる!

物凄く動揺してる!

 

動揺する二人にイグニスは人差し指を立てて告げた。

 

「そのままの意味よ♪ このイッセーはもう大人の社会見学済みなの。リアスちゃんとは既に夜の合体を繰り広げる中だわ」

 

「「「「ええええええええええええっ!?」」」」

 

イグニスの発言に目玉が飛び出そうなくらい仰天するオカ研一同!

 

こちらの俺がイグニスに問う。

 

「マジですか!? そっちの俺、リアスとエ、エエエエエッチした………?」

 

「マジよ。というか、リアスちゃん以外にもイッセーの股間にあるハイパーメガランチャーで何人の女の子が撃墜されているわ。今となっては三大勢力の種馬とも称されてるほどよ」

 

「マジでもう黙ってろや、駄女神ぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

こいつ、余計なことしか言わねぇ!

つーか、三大勢力の種馬ってなに!?

初耳なんですけど!?

俺、そんな風に言われてるの!?

 

木場が口を開く。

 

「え、えっと、イッセー………君で良いのかな? でも、こっちのイッセー君と被るし………」

 

「年上だし『イッセーさん』とかで良いんじゃないか?」

 

ゼノヴィアがそう言うが………ゼノヴィアとか木場に『さん』付けで呼ばれるのは何か違うと思う。

 

「あの、それだと私はどうすれば良いのでしょうか?」

 

アーシアはこっちの世界でも『さん』付けで呼んでるみたいだから、ややこしくなるよね。

 

イグニスについて聞く前に俺の呼び方で悩むオカ研の面々。

すると、イグニスが人差し指を立ててこう言った。

 

「『大人イッセー』もしくは『種馬』でいきましょう」

 

「前者と後者で差がありすぎる!」

 

「じゃあ、間とって『イッセー(子作り中)』?」

 

「どこの間!?」

 

「それじゃあ、『イッセー(アーシアちゃんのパンツ装着ver)』」

 

「事実だったけど、却下だ! つーか、やらせたのおまえだし! 別の案!」

 

「えー………『二十歳イッセー(高校二年生青春真っ只中)!』は?」

 

「それは悲しくなるからやめてくれぇ!」

 

この後、イグニスの紹介をする前に俺の呼び方の議論が始められた。

 

 

 


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