ハイスクールD×D 異世界帰りの赤龍帝 特別編   作:ヴァルナル

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異形なる天使 Ⅹ

光が止んだと思ったら、美羽達を含めた数名のメンバーとウリエル、ラファエルの姿が消えていた。

 

鋼弥が言う。

 

「おそらく場所を変えたんだろう。この広間で俺達全員を相手にするには狭すぎる、そう考えたんだろうな」

 

なるほどね。

 

あいつらって力業多いし、広範囲の攻撃も多いからな。

下手すれば味方の攻撃を受けるとかも考えたんじゃないだろうか。

 

まぁ、俺達としては組まれるよりは単体の方が楽で良いんだけどね。

 

この場にいるのは 俺、木場、アーシア、レイヴェル、鋼弥、リオさん、アルスさん、カナンさん、望紅さん、紫さん。

 

で、俺達の相手は―――――

 

「くっ………! 俺は………俺は天界一のおっぱいを守るぞ! あんなのガブリエルさんじゃない! ガブリエルさんのおっぱいはなぁ、至上のお乳なんだぞ! あんなクリーチャーであってたまるかぁぁぁぁぁぁ!」

 

心からの叫び!

 

そう、俺達の相手はガブリエル!

黄土色の肌に右腕が剣、左手が顔つきの盾!

こっちの世界のガブリエルさんとは全く別物のクリーチャー!

しかも、考えてることは最悪!

 

これはおっぱいドラゴンの名にかけて、マジでいかせてもらうぜ!

 

つーか、ガブリエルさんのおっぱい見たい!

揉みたい!

吸ってみたいぃぃぃぃぃ!

 

「もう! イッセーさん!」

 

「イッセーさま! 後でいくらでも………していいですから! 今は目の前の敵に集中してくださいまし!」

 

おぉう!

アーシアとレイヴェルに怒られた!

 

って、レイヴェルさん!?

後でしちゃって良いんですか!?

な、なんて、大胆な娘なんだ!

 

ヤバい………あの時のレイヴェルの姿が脳内でリピートされて…………!

くっ…………レイヴェルめ、可愛すぎんだろ!

 

「こっちのイッセーも大概だな………」

 

「やっぱり、そっちのイッセーくんもこんな感じなんだね」

 

「いや、こっちの方が進んでいる分、質が悪いかもしれない」

 

「「はぁ…………」」

 

鋼弥と木場が盛大にため息を吐いた!

 

そうですか、俺の方が質が悪いですか!

ごめんね、スケベで!

 

ん………?

リオさんがレイヴェルに近づいて何か聞いてる。

レイヴェルが顔を赤くしながらモジモジしているところを見ると…………。

 

………リオさん、あなたも結構ムッツリだったりします?

 

「む、ムムムムッツリじやありません! す、少し興味かあるだけです!」

 

「興味津々じゃないですか! つーか、俺の心の声、読まないでくださいよ!」

 

「おいおいおい! リオまでシリアスブレイカーになってんぞ!? うつった!? イッセー達のがうつったのか!? 早く元の世界に帰らねぇとシリアスブレイカーのお持ち帰りになっちまうぞ!」

 

望紅さんの悲鳴だった。

 

シリアスブレイカーのお持ち帰り…………初めて聞いたわ、そんな言葉。

 

 

 

 

気を取り直してガブリエルと対峙する俺達。

 

周囲に冷気が漂い、床や壁に霜ができ始める。

吐く息も真っ白で、極寒の地にいるような気分だ。

 

盾の顔から言葉が発せられる。

 

《悪魔と悪魔にくみする者達よ。どこまでも私たちの邪魔をするというのですか》

 

鋼弥が言う。

 

「当たり前だ。こちらは魔界の依頼できている。それにおまえ達の企みを野放しにしておくわけにはいかない」

 

《そうですか。ならば―――――》

 

広間の温度が更に下がり始める!

見も心も凍てつくようなオーラが吹き荒れた!

 

《悔い改めて死を受け入れなさい》

 

俺達はすぐさま陣形を取り、ガブリエルと対峙する。

 

相手は一人!

しかも、前回と違ってここでは好き暴れられる!

こっちも全力で潰させて貰う!

 

近接戦を得意とするメンバーがかけ出した。

 

その時、ガブリエルの持つ剣、その切っ先に黒い文字が螺旋を描きながら現れる。

 

ガブリエルは剣を望紅さんとカナンさんに向けて――――

 

《受難告知》

 

黒い文字がうねりながら、二人に急接近していく!

二人は何とか避けようとするが、文字は二人を追いかけていった!

 

「ちいっ! 何かよく分からねぇが!」

 

「この程度!」

 

二人は迫り来る黒い文字を撃退しようとするが――――黒い文字は二人の体に絡み付いた。

 

直後、黒い文字が二人の肌に染み付いたようになる。

 

「な、なんだ………!?」

 

「体が…………!」

 

二人は苦しそうに膝をつく!

見れば、大量の汗をかいていて、服がびっしょり濡れていた。

 

二人を…………戦闘不能にした!?

呪いの類いか!?

 

「回復を!」

 

アーシアが望紅さんとカナンさんに回復のオーラを放つが…………効果はない。

依然、二人は苦しそうだった。

 

リオさんが叫ぶ。

 

「烙印も付加されているわね……。これが消えない限り、回復はできないわ……!」

 

やっぱり呪いの類いかよ!

 

鋼弥が言う。

 

「ガブリエルの受難告知は対象の肉体に異常を起こさせる。急激な疲労、激痛が体に走る。………烙印が消えるのは五分。それまで耐えなければ二人は危険に晒される」

 

「ガブリエルの受難告知が発動されたら、視界に入らない様に避けるしかない」

 

「つまり敵の視線を見て、回避しつつ攻撃しろってか!」

 

いきなり二人をやられた………!

厄介な能力持ってるな、こいつ!

 

鋼弥に続き、アルスさん、俺、木場がガブリエルに仕掛けていく。

 

ガブリエルの視界に入らないように動く…………。

つまり、高速戦闘に持ち込むのが一番ってな!

 

「禁手第三階層(ドライ・ファーゼ)―――――天翼(アイオス)!」

 

俺は通常の禁手から鎧を天翼に変更して、フェザービットを全基展開!

 

八基のビットが勢いよく翼から飛び出て、あらゆる角度からガブリエルへ砲撃を放つ。

 

《そのような攻撃、私には通じませんよ》

 

ガブリエルの周囲に分厚い氷の盾が宙に現れる。

氷の盾はまるでビットのように動き、砲撃を全て防いでいた。

 

《凍てつきなさい》

 

ガブリエルが手を振るうと、冷気が放たれて、飛び交うビットを氷付けにしてしまう!

 

俺達が同時に直接攻撃を仕掛けようとしても、分厚い氷の壁がそれらを弾いてくる!

俺と鋼弥の拳でも割れない!

 

鋼弥が言う。

 

「あの氷はガブリエルが特殊な術で生み出したもの。並の強度じゃない!」

 

「だったら出し惜しみはしていられないね!」

 

木場の体を黒と白のオーラが覆う。

聖魔剣から解き放たれる莫大な魔の力と聖の力。

相反する力が木場を包み込み――――――。

 

現れるのは黒いコートを纏う一人の騎士。

 

木場の禁手第二階層(ツヴァイセ・ファーゼ)――――――双覇の騎士王(パラディン・オブ・ビトレイヤー)

 

この姿に鋼弥が目を見開いた。

 

「こちらの祐斗も新たな次元に到達しているというのか!」

 

「そういうこと!」

 

閃光となった木場は氷の盾の内側に入り込み、ガブリエルを斬りつける!

急激なスピードの変化に対応出来なかったガブリエルは肩から腹にかけて大きな斬り傷が生まれた!

 

《くっ………! ディアラハン》

 

ガブリエルが何かを唱えると木場につけられた傷が塞がっていく。

回復能力も持っているのか………!

 

だけど、隙は出来た。

その隙を俺達は逃さない。

 

「ぬんっ!」

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

アルスさんはサーベルを抜き、百、千を超える連続突きでガブリエルの体を貫く!

鋼弥は肘打ち、裏拳、三連蹴り、正拳突き、そして鋭いアッパーをガブリエルに撃ち込み、上へと打ち上げた!

 

俺は浮いたガブリエルの元に瞬時に詰めより―――――

 

「だぁぁぁぁぁぁっ!」

 

宙返りによる遠心力を利用した踵落とし!

 

くの字に曲がった体を思いきり地面に叩きつけた!

 

地面に咲く巨大なクレーター。

舞う土煙。

 

傷を回復できても、体力までは回復できないだろう。

ようするにアーシアの神器と同じ能力。

 

今の一撃は相当効いたはずだが…………。

 

 

その時だった―――――。

 

 

《ぬぅぅぅぅぅぅっ!》

 

唸り声と共に砂煙の向こう側から光の斬撃波がいくつも突き抜けてきた!

 

まともに受けた俺達は吹き飛ばされてしまう!

 

「ぐっ………まだ立てるのか!」

 

「流石は異形の天使………四大天使の一人。そう簡単には負けてくれないか」

 

俺達の視線の先には体を修復しているガブリエルの姿。

緑色の目が怒りに輝き、こちらを睨んでいた。

 

広間を再び強烈な冷気が包み込む。

 

《――――神の雹撃》

 

ガブリエルが右腕を掲げると巨大な氷塊が天井を埋め尽くし―――――落ちてきた。

凍った空が落ちてくるような感覚。

 

まずいと判断した俺達は一斉に上へと砲撃を放つ。

 

すると、アルスさんのサーベルから炎が奔り――――。

 

「フォルテ・フランメ!!」

 

幾重の火炎の斬撃刃を放つ!

 

放たれた火炎でいくつかの氷塊が蒸発するが、それでも完全とは言えない!

ガブリエルが新たな氷塊を作り出して増えたくらいだ!

 

このままでは、俺達はあの氷の塊に押し潰される!

 

 

だったら―――――

 

 

「皆、退けぇぇぇぇぇ!」

 

『っ!』

 

俺の叫びに全員が後退する!

 

リオさんやアーシアに召喚されたファーブニルが防御魔法陣を展開。

 

俺はそれを確認すると同時にイグニスを呼び出し―――――

 

「消し飛べぇぇぇぇぇ!」

 

刀身から放たれる灼熱の斬撃がこの空間を埋め尽くす!

落ちてきていた氷塊は一瞬で蒸発、広間を覆っていた冷気も完全に消え去った!

 

灼熱の嵐が広間を焦土へと変えた―――――。

 

「イッセー…………おまえ…………」

 

「やりすぎです! 私達も危なかったじゃないですか!」

 

鋼弥とリオさんからの抗議!

 

俺もすかさず反論する!

 

「防御魔法陣張ってたよね!?」

 

「張りましたよ! でも、もう少しで燃え尽きるところでした! 余波でこれってどんな性能ですか!?」

 

うぉっ!?

リオさんがお怒りだ!

 

どんな性能といわれましても…………イグニスだし。

 

あのピンチを脱するにはイグニスさんの力がてっとり早かったんだよね…………。

ま、まぁ、皆が一ヵ所に集まってて、全員で防御に徹してくれたおかけで使えたんだけど…………。

 

余波で魔法陣が燃え尽きそうになりましたか…………。

やっぱ、イグニス半端ねぇ…………。

 

「でしょ☆」

 

「あんっ………いつの間に後ろに!? って、胸を揉まないでくださいっ! ふぁぁっ」

 

あ、いつの間にか実体化してたイグニスがリオさんのおっぱい揉み始めた…………。

ガッツリ揉み揉みしちゃってる…………。

 

…………なんて羨ましい!

 

「そんなこと言ってる場合か!? やるなら今だぞ!」

 

鋼弥に言われて、振り返ると―――――ボロボロのガブリエルがそこにいた。

 

全身が焼け焦げ、かなりのダメージを負っているようだった。

 

《なんです…………今のは…………!?》

 

さっきの炎に巻き込まれたか。

流石のガブリエルもイグニス姉さんの力には抵抗すら出来なかったらしい。

 

それでも持ちこたえたのは流石としか言いようがない。

 

回復の呪文を唱えているが、回復が遅い。

 

―――――やるなら今だ!

 

俺達は一斉に飛び出すと、ガブリエルに連撃を加えていく!

 

木場とアルスさんの剣戟がガブリエルを貫き、後衛のリオさん達が魔法、魔力による攻撃を食らわせる。

 

鋼弥が跳躍し、両手に気を溜めて――――真紅に染まる。

 

真覇裂空波(しんはれっくうは)ッ!」

 

波動弾が放たれて、ガブリエルに直撃すると大きく後退した!

 

鋼弥が叫ぶ!

 

「今だ! イッセー!」

 

「おう!」

 

『BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBoost!!』

 

加速した倍加が俺の気を一気に高める。

 

 

キィィィィィィィィィンッ!!

 

 

甲高い音が俺の右手から鳴り響き、赤い光が周囲を照らす―――――。

 

「くらいやがれぇぇぇぇぇ!! アグニッ!」

 

放たれた極大の閃光がガブリエルを覆った―――――。

 

 

 

 

皆の連続攻撃、トドメとして俺の全力のアグニを受けたガブリエルの肉体は回復せず、崩壊し始めていた。

 

全身に亀裂が入り、そこから赤い光が漏れだしていた。

 

《なんという……おぞましき力。我らが敗北するなんて……、神よ……この者たちに罰を……》

 

ガブリエルは崩壊しながらも、自分達の神に何かを訴えかける。

自分の敗北が信じられない、そんな表情だ。

 

鋼弥が言う。

 

「罰か。罰を受けるのは関係ない人達を自分勝手に巻き込もうとしたおまえ達だ。―――――滅びろ、ガブリエル」

 

《…………ッ!!》

 

鋼弥の言葉に反応するガブリエルだが、既に何かをする力は残っていない。

 

ガブリエルは何かを言おうとして、そのまま塵と化した。

 

俺は鋼弥に言う。

 

「ようやくか」

 

「ああ。ガブリエルは『我ら』と言っていた。つまり、他の二体もカタがついたんだろう。後は―――――」

 

もし、本当にウリエルとラファエルが倒されたとするなら、三人の異形の天使を倒したことになる。

 

そして、敵は四人―――――。

 

《三人の天使を倒すか……ならば、このミカエルが引き受けよう》

 

低い声音が響く。

その言葉と共に激しい熱風が巻き起こった。

 

現れたのは一体の異形。

 

両腕は頭についており、付け根には爬虫類の目。

両耳には短剣を模したピアスを付け、口からは炎が漏れている。

頭の回りには緑色の鱗を持つ蛇がうねっていた。

 

鋼弥が言う。

 

「大天使ミカエル。―――――異形の天使共の親玉だ」

 

 


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