一週間以上更新できなくてすみません!
なかなか筆が進まず、この時間となってしまいました。
今回はオリジナル回です。
楽しんでもらえると幸いです。
『もうお腹の子の名前は決めてあるのかい?』
『ええ。決めてあるわ、総ちゃん。名前は『八幡』よ』
『ほう。いい名前じゃないか。元気に産まれることを祈ってるよ』
『ありがとう。総ちゃん』
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さて、月日が流れるのも早いことで一足早く暑さが訪れる中、期末テストの時期がやってきた。
最近では、岬の岬による岬のための岬会議(岬と分身による会議である)にアドバイザーとして引っ張り出されたり、突然櫻田家意見調査会とか言う謎の会が始まったりしたもののこれといった大きな事件もなく平和に過ごしていた。
現在は一週間後に迫った期末テストに向けての追い込みの為の勉強をしている。家で。図書館にでも行こうかと思っていたが今日は家の気分なのだ。
ちなみに櫻田兄妹の成績だが、当然のごとく葵姉さん、奏姉さんは学年でもトップクラスの成績をとっている。ついでに遙も。
次点で、茜、俺、修、岬だ。
最も怪しいのは光である。
さらに、俺の成績を詳しく言うと国語は学年1位をとったおり、数学以外は平均点以上を取っている。数学?数学は一桁の点数を取っているよ?なにあれ、マジでわからん。
どうせ、社会に出ても使わないしやらなくてもよくね?こらそこ、どうせ社会に出ないだろうとか言わない!
ま、そんなこんなで数学は捨てて他の教科をやらねばな。
〜☆〜
と、思ってた時期が私にもありました。
「ほら、八くん!集中切らさないで頑張って解いて」
「…はい」
俺の目の前には数学の参考書が広げられ、俺の横には葵姉さんが居座っている。
ドウシテコウナッタ。
以下、回想
『ふ〜。そろそろ休憩するか〜』
『ねえ、八くん。聞きたいことがあるんだけど…』
『葵姉さん?なんかあった?』
『八くんが数学のテストで赤点取ったってホント?』
『……ま、まっさかぁ!そんなとるわけないじゃないでしゅか』
『そっか…。じゃあ、これは何かな?』
『何それ?…えっと?成績表?』
『そう。これは八くんのだよ』
『………なぜ、姉さんがもってるのん?』
『茜がね。学校で八くんの机から持ち帰ってきたの。置いてるのを見たからって』
『oh…』
『で、この成績表の数学には9点って書いてあるように見えるけど…?』
『や、それは『いいわけしない』…はい』
『私が見てあげるから頑張ろう?』
『いや、それは姉さんにわr『しよ?』…らじゃー』
以上、回想
女性から「しよ?」とか言われたら胸がときめきシチュエーションではあるのだが、いかんせんハイライトさんが仕事してなかったから恐怖しか感じないわ。
そうして俺は、強力なプレッシャーに耐えられず数学という名の拷問を受けているのだった。とりあえず、茜は許さん!
少し前の家の気分なんだとかいってた俺を殴りたい…。家の方が危険地帯だったじゃん…。ちなみに部屋は俺と茜と光の所でやっている。
なんだよ…xをyに代入?なんで代わりに入れるんだよ!x!お前数少ないyの仕事どころか居場所を取ってるんじゃねぇよ!
yへの親近感を沸かせていると
「そこ間違ってるよ?あと、他のこと考えながらやってない?」
何回も言うが、なんでわかるの?ここまでいくと俺がサトラレになってるんじゃないかと思うんだけど。本当にわかってるのか確かめようか。とか思ってもリスクリターンが計算できると評されている俺はやらない。
や、だって今回の場合リスクの方がでかいし…決してビビったわけではない。いいね?
〜☆〜
「うん。だいぶ出来てきてるみたいだし、今日はこのくらいにしましょうか」
その後も姉さんから解き方などを教えてもらう内に時間はだいぶ経っていた。ふぅ。
というか、この部屋に誰も来ねぇよ…。それも、この部屋で葵姉さんと勉強している間ずっとだ。
同室の光と茜すら来ないというのはどういうことなの?
もしかして、逃げた?…ありそうだ。
あとで、問い詰めよう。
ガチャ
と、ドアが開かれる。
「姉上!兄上!母上が夜ご飯が出来たので降りてきて、だそうです!」
「あら、もうそんな時間?」
時刻は7時を回っていた。嘘やん。どれだけ長くやってたんだ?誰か褒めてよ…。
「兄上…?お疲れ様です!下に行きましょう!」
「おう。呼びに来てくれてありがとうな、輝」
「そうね。ありがとう、輝」
「いえ!このくらい大したことはないです!」
輝は元気だなぁ。その元気を1割ほど分けてもらいたいレベル。輝を先頭に俺たちは部屋を出る。廊下に出ると魚の焼いた香りが漂っていた。ああ、ハラヘッタ。
その後、一家揃って晩飯を食べ終わり、風呂に入ったり、テレビ見たり、やはりというか勉強会に巻き込まれたくないがために部屋に近寄りもしなかった光に葵姉さんを始めとした女性陣の勉強会をプレゼントしておいた。
光の成績のことを言ったら一発連行だったぜ。やれば出来る子なんだけどな。優秀な血が流れておるわ。俺にもそんなのが欲しかったわ。
さてさて、葵姉さんとのマンツーマンの勉強会が終わった翌日から俺は苦手な数学にも取り組むことにした。あのプレッシャーを浴びるのはもう充分ですよ。
そうして、挑むこととなった試験では一桁という別の意味での快挙を成し遂げていたが、なんと!平均点レベルまで点数が上昇していた。これで、変わらないとかなってたら笑い事では済まされないことになってたからすごい良かった。葵姉さんさまさまである。
こうして、心地いい気分で夏休み前のテストが終わったのであった!
余談だが、光の成績も上がったらしい。勉強会の後しばらくの間、勉強机に向かい震えている光が目撃されていたとかなんとか。
…すまない。光よ。
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ホンジツハセイテンナリホンジウハセイテンナリ。
はい!今日はららぽーとに来ています!いやー!家族連れが多いですね〜!微笑ましいですね。中にはカップルのような男女もいますよ!
…ちっ、弾け飛べ。
無理やりテンションを上げるのもそろそろしんどくなって来たからやめだ。
そう。俺は先ほども言ったようにららぽーとに来ている。嘘かと思った?残念!本当に来ています!いや、ホントなんできてるんだろ…。
今日は何故か家族全員で来ている。あ、ごめんなさいね。国の重要人物が大型ショッピングモールでご迷惑おかけしております。
ちなみに今日来た理由は、栞の一言だった。
『これ、見たい』
そう言って、取り出したりますはららぽーとのチラシ。中には【プリキ○アがやってくる!】との文字が。どうやら、ショーを行うようだ。栞もニチアサの良さがわかって来てくれたようで何より。
俺は起きれないことも割とあったりするので録画している時もあるが、その時間に起きれた場合はよく栞と見ている。あと光と茜も時々。輝もいることがあるが、ライダーや戦隊を見だ後の延長としていることが多いのだ。
閑話休題。
そんなこんなで栞が珍しくも言ってくれたワガママによって家族全員が出動して、現在に至るわけだ。うちの家族、栞のこと好きすぎるだろ…。
とはいっても、流石にいい歳した家族全員でショーを見るわけにはいかないので栞、光、茜、葵姉さん、母さんのショーを観に行く組と俺、修、奏姉さん、輝、岬、遙で店を回る組に分かれた。父さん?仕事です。やっぱり働きたくないね!
「そういえば、八兄はショー見に行かなくて良かったの?」
「いや、さすがにな…」
「ま、それもそうだね。流石に兄さんと同じような年齢の人はショーとかは観に行かないだろうね」
「それもあるんだけどな、プリ○ュアのショーって着ぐるみ着てやってるんだよ」
「それがどうかしたか?」
「いやな、デフォルメされたキャラクターとか運命の国とかの動物をモチーフにしたやつは特に問題ないんだけどな
正直なこと言うと、プリ○ュアの着ぐるみって人型だから顔も変わらないし、アニメと違って変に身体がデカイから不気味なんだよな…」
『ああ…』
わかるか?電気のネズミとかの着ぐるみは特に顔が変わらなくても問題はないんだ。元がカワイイキャラだからな。
ただ、人を二次元から三次元の着ぐるみにするとどうしても中に人が入るためにデカくなる上に終始笑顔のため、恐怖を感じるレベルである。
それならまだ、コスプレとかの方がいいんじゃないかと思わんでもない。ま、俺がそう感じるだけだから小さい子とか他の大きなお友達がどう考えるかは分からないけどな。
「まあ、その話はいいわ。いろいろ見て回りましょうか」
外行きモードの奏姉さんが指揮をとる。バラバラで動くわけにも行かないしな。一応、王族だからな。SPさんの手を煩わせるわけにも行かないしな。
「はーい!私は服見に行きたい!」
「僕は本屋かな」
「僕は玩具が見たいです!」
「どこでもいい」
「右に同じ」
「あなた達は…はぁ」
解せぬ。集団行動における他の人が気になるところ行こうよ!作戦の何がいけないのか。邪魔になるわけでもないし、問題はないだろう。
「ん〜。ショーって何時まででしたっけ?」
「お昼までだな。昼ご飯は合流して食べようって母さんは言ってたな。で、現在時刻は11時」
「ならさ〜、私と奏姉と八兄、修兄と遙と輝で別れようよ」
「ちょっと?なんで俺はそっち側なの?」
「重い荷物をか弱い女子に持たせるつもりなの?」
かよわい…ねぇ?まあ、いいか。こっち側の方が目的の物があるだろうしな。
「んじゃ、一時間後にまたここに集合だな」
「では、また後で会いましょう!兄上、姉上!」
「ほっ…(付き合わされなくて良かった…)」
「輝のことよろしくね?」
「さあ、行こうよ!」
「はいはい…(後で遙泣かす)」
〜☆〜
2人に引き回され、色々な服屋やらを巡りました。ファッションショーかよ!ってぐらいには試着したのを見せられた。しかも、姉と妹は美人の部類に入るから何着ても似合うんだよなぁとか思ってたら、2人とも顔を赤くして購入していた。試着したら買わなくてはと思うのは男特有のものかと思ってたけどそうでもないのか?
女性の買い物について行っただけあって目当てのものも買えたし、結果だけ見たら良かったのだろう。
ショーを観ていた組と兄弟(俺を除く)とも合流し、そこらのレストランへと入る。サイゼではないのは残念だが…。
ここで疑問に思う方もいるかもしれないが我が櫻田家では、基本的にフレンチだとかいわゆる高級店には行かない。父曰く、王族だからこそ普通の生活を知らなければならないとの事で生活している。父さんが子供の頃は王宮に住んでたみたいだけどね。
実際のところ、この生活を満喫している。むしろ、これから王宮に住むぞとか言われても困惑して拒否するレベル。
と、そんなわけでほとんど王族というより、一般人の生活をしているのだ。テレビに映される以外は。
『本日の櫻田ファミリーニュースです。今日は、ご兄妹そろって大型ショッピングモールに遊びに行かれたようですね』
『そうみたいですね。どうやら栞様の御意見で女児向けアニメのショーにご覧になったようですね』
『可愛いですね〜』
『その間、修様、遙様、輝様は書店や玩具店などを奏様、岬様、八幡様は衣料品を回っていたようです。本日も兄妹仲はよろしいですね』
『では、本日の櫻田ファミリーニュースは以上です。また明日お会いしましょう』
ピッ。
テレビの電源を消す。
これ見てて楽しいのかね?
さて、そろそろ用事を済ませようかね。
俺は自分の部屋に一度戻り、ある人の部屋をノックする。
『どうぞ?』
許可がもらえたので中に入るとしよう。
「あれ?八くん、どうかした?」
中には風呂上がりだろうか。髪がしめって、頰がわずかに上気している葵姉さんがいた。まあそりゃ、どうぞって言われてるんだからいるわな。いなかったらどんなホラーだと。
そんなことより、なんかエロくね?ちょっと直視出来ないんだけど…。
「あ、ええっと、その…」
「ふふっ。何か用?」
「そにょっ、げふん。その、アレだ。この間、数学教えてもらったことといつも世話になってるお礼…」
今日のららぽで買ったものが入っている紙袋を姉さんにそっぽ向きながら出す。
くそッ。噛みまくりじゃないか!ああ、恥ずかしい。今度は恥ずくて直視出来んわ。
……?待てども待てどもなんか受け取ってもらえないんだが…。もしかして、キモいからいらない的な?ははっ、死んでこよう。
「ちょっ、どこ行くの?」
「ああ、ちょっとカッターないかなーって」
「なんでカッター?」
「いやちょっと頸動脈切るのに使うので」
「ええっ⁉︎なんでそんなことを⁉︎」
「キモい奴からプレゼント渡されても邪魔なだけだろうからなーと思ったので、ほんとすみません。ちょっとこれから、旅立ってくるよ」
「その旅、行ったら帰ってこれないよね⁉︎邪魔なんてとんでもないよ!ただ、戸惑ってただけだから!」
戸惑うレベルで嫌だったんですね。わかります。
「八くんがお礼なんてしてくれるなんて思わなかったからビックリしちゃって」
ごふっ。俺は家族に一体どう思われてるんだ。お礼ぐらいはするぞ?
俺が落ち込んでいると空気を変えるためか、姉さんが声を上げる。
「そ、それじゃあ。これ、開けてもいいかな?」
「…どうぞ。いらなかったら捨てて」
「貰ったものを流石にそんな風には扱わないから!私、八くんにどう思われてるの?」
ノーコメント。
ガサガサと袋から取り出している姉さんの目が見開かれた。え、なんかそんなヤバイもん送ったっけ?と思うぐらいには。
「これって…?」
「いや、その、なんつーか。葵姉さんは髪が長いから料理する時とか、風呂上がりとか、髪結ぶときにどうぞ?」
俺が姉さんに買ったものはオレンジのシュシュだ。ららぽで買い物に付き合ってるときに見つけた。割と即決で。奏姉さんや岬にバレないように買わなければいけなかったのが大変だったが…。
だって、見つかったら私も欲しいとか言い出すだろうし。俺の財布にダイレクトアタックが来るから流石にな。
「ありがとう、八くん」
いい笑顔です。この目が浄化されるレベルだわ。ふわっと笑う感じ?すごいオーラだ。
「いや、お礼だし、喜んでもらえたなら良かった。じゃ、戻るわ」
そそくさと退散だー。いやいや、こうしっかりと贈り物を面と向かって渡すのは恥ずいな。これは逃走ではない。戦略的てっt「八くん」い…。呼び止められてしまった。これでは逃げられない!
「これ、つけてくれないかな?」
えぇ…。
「そこで嫌そうな顔するのが八くんだよね。それじゃ、お姉ちゃんからのお願い。ダメ、かな?」
くっ…そんなこと言われたらやらざるを得ないじゃないですか!
葵姉さんの元へ行くと、はいと手に俺がプレゼントしたシュシュと櫛が渡される。…櫛?
「せっかくだから髪を梳いて貰おうかなって」
「はぁ…。仰せのままに」
「ふふっ」
こう幸せそうな顔をされたら断れるものも断れないな。どうせ断れないだろとか行ったやつ出て来いヤァ!
とりあえず、光が小さい時とかにやったことあるし、無心でやろう。無心で。神からいい匂いが香ってきても無心で。梳きながら姉さんが「…んっ」とか言ってても無心で…出来るか!こちとら、健全な…健全かどうか怪しいが男子やぞ!内心テンパりながらも作業を終える。ふぅ。
「どう、かな?似合ってる?」
「おう。ちょー似合ってる。から、もう帰る」
「む。適当だなぁ。ありがとうね」
「いや、さっきも聞いたから」
「違うよ。プレゼントのこととは別のこと」
「…なんのことだか。じゃ、おやすみ」
「うん。おやすみなさい」
パタン。
ふう。ま、たまにはこういうことがあってもいいんじゃないのかね?寝よう。
side 葵
今日は嬉しいことがあった。弟の1人からプレゼントを貰ったのだ!
あの子がくれるだなんて天変地異の前触れか!とか修ちゃんは言いそうだけど、あの子の善意は解り辛いだけで割と単純なのだ。今日もプレゼントをくれた後に、少しわがままを言ったら嫌そうな顔をしながらも聞いてくれた。嫌そうな顔は演技とかではないんだろうなぁ。
彼は、何故か時々甘えさせてくれるのだ。私は、それが嬉しい。
だから、あなたも私に甘えてくれていいんだよ?
side out
オマケ
「あれ?お姉ちゃん。そのシュシュはどうしたの?」
「これ?プレゼントして貰ったのよ」
『えぇ〜!』
「葵ちゃんにプレゼント⁉︎」
「それは同級生⁉︎」
「誰!私達の知ってる人?」
「ふふふ。ひ・み・つ♫」
「いったい誰が!探し出してやる!」
「あれ、兄さん?顔が青いけどどうかした?」
「いや…これから起きる不幸に嘆いているだけさ」