櫻田家の八幡   作:璃羅

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…お久しぶりです。
あと1ヶ月で更新が1年止まるところでした。
待っていた方とかいらっしゃるんですかね…?



櫻田ハルマゲドン

 

「ふぅ…」

 

時刻は朝10:00。俺は学校までの道のりを歩いていた。なぜ学校へ向かっているかだって?それはな、、、今日が平日だからさ!

 

そう、ただの遅刻である。王族としてどうよ…と思うかもしれない。だが、言い訳をさせて欲しい。これには理由があるのだ。

 

昨日の夜、俺は新しく買った本を読み漁っていた。ついつい興が乗ってしまい、気がついたら…!3時を回っていたのだ!いや〜、神秘を見ましたね。時間がこんなに早く進むなんて。

 

で、そこから寝て、起きたのが30分ほど前で、パンをくわえながら登校している最中だったというわけだ。言い訳も何もないですね。

ちなみに、光などが起こしに来たそうだが俺は全く記憶にございません。悪いことしたな…。

 

そのまま1人で通学路を歩いていると突如風が強く吹き、俺の顔になんか飛んで来た!なんだこれ…?

 

「………」

 

うちの学校の女子が履くような体操服の下側の服、つまるところのブルマ的なやつだった。洗濯する時に見た記憶が割とある。いやこれ詰んだわ〜。

 

男+女性物の服+監視カメラ=死罪

 

ははっ。罪と詰みを掛けてみました。俺の人生 は まっくら に なった!まあ、落し物だしね?確認とかしないといけないよね?と、誰に確認をしてるのかもわからないが、名前が書いてあるであろうところを見てみる。いやー仕方ないなー落し物だもの(棒)。

 

[櫻田 茜]

 

?ちょっと目が悪くなったかな。え?腐ってるって?はは、なにそれウケる。もう一度見てみる。

 

[櫻田 茜]

 

おっとー?妹のじゃないですか。残念とか思ってないよ?ほんとほんと。ま、茜のなら机の上とかにおいておけばいいだろ。というか、なんでこんなところまで飛ばされてきてるんだ?履き替えようとでもしたのか?

いくらドジな茜さんでもそんなことするわけないよな〜。はっはっはっ。

 

〜☆〜

 

「次は遅刻しないようにしろよ」

 

いやまさか遅刻でこんなに絞られるとは思いもしなかったわ。まさか、「王族としての意識が〜」とか言われずにこのあいだの課題について延々と話されるとは思わなかった。なんか、「どうせ王族は結婚相手も選び放題だろ⁉︎」とか涙目で言ってきたし…。良い人なんだけどな…。生徒指導のアラサー。

 

そんなわけで学校に来たものの先生に捕まり、現在は2限が終わり、休み時間である。今の時間のうちにこっそり教室入って茜の服返すか。というか、学校全体がなんか騒がしいような気がするな。

 

「「あ」」

 

職員室から出るために、扉を開けようとしたところ勝手に開いた。いつから自動ドアになったのか、嘘です。1つ上のお姉さまが開けました。何故ここに?はっ!まさか俺が遅刻したのを罰しようと来たのか!この鬼め!

 

「あら、何か失礼なこと考えていませんか?」

 

にっこり。そんな擬音が似合うような笑顔を浮かべている。笑顔って威嚇の意味もあるんだね。学んだわ。落ち着け、俺。

 

「い、いえ、べちゅにしょんなことにゃいですよ?」

 

しまった。動揺し過ぎだろ、俺。

 

「流石に動揺し過ぎじゃないかしら…?…後でお話しね?ちょうど良かったわ。一緒に来て」

 

最後のセリフ俺にしか聞こえないように言ったわ。笑顔だけど目が笑ってないよ〜。と考えながら手を引かれる。連れてこられたのは校舎裏でした。あれ?ボコられるのかな?

 

「それで?あなたは何でここにいるのかしら?茜は大丈夫なの?」

 

「はい?」

 

何のことだ?俺がここにいることと茜が大丈夫とか関係なくね?

 

「ほら、今いろんなところで噂されてることよ。あなたなら何か行動すると思ったのだけど…。落ち着いてるってことは大丈夫なのかしらね」

 

なんだそれ。ああ、だから校内がなんかざわついてるのか。なんの噂かは知らんけど。どうせ茜についてだし、なんかやらかしたとかだろ?

ほら、この間とかテレビでパンツ晒してたしね。

 

「いや、今さっき来たばっかだからなんのことだからさっぱりなんだが?なに、茜がなんかしたの?」

 

「今かなり聞き捨てならないことをいったのだけど…。それについては後で聞きましょう。茜がスカート穿いてないって噂が出てるのよ。私にも直接確認しに来たし…。はぁ…」

 

えー。流石に穿いてないなんてことはないだろ。だって茜だぞ?仮に穿いてないなんて気付いてたらそもそも登校しないだろ。でも、そこまで噂立ってるならほんとに穿いてないのか…?

 

「だったら電話とかしたらどうだ?茜だって携帯持ってるだろ?」

 

「それがあの子出ないのよね…。携帯なんだから、携帯しなさいよ」

 

俺の携帯なんてほぼメールはAmazonとスパムで目覚ましが主な機能ですけどね。

 

「あ、でもあんたたち確か今日体育あったわよね。それなら、スカート穿いてなくても体操着があるか」

 

その言葉を聞いて冷や汗が出てきた。あれ、ヤバくね?

 

「急に黙りこくってどうしたのよ。あとなんか汗が凄いわよ?」

 

「いや、それが…。今朝とんでもないもの拾ったんですけど…」

 

と言いながら、バックに入れておいたあのブツを取り出す。

 

「あんたそれ…!ついに犯罪に走ったの?捻くれててもそんなことはしないって信じてたのに…!」

 

「こらこらこらこら。『ついに』てなに?やると思ってたわけ?信じてないじゃん…。あとこれは盗んだわけではなくて、風で飛んできたんだよ!」

 

「でしょうね。あんたがそんなことできるわけないし。やってたらあなたを殺して私も死ぬし」

 

ひぇっ。目がマジですよ。冗談であってほしいなぁ…。

 

「んで、なんであんたが女子用のズボンを持って…、あら?これの名前…」

 

……。

 

沈黙がその場を支配していた。

 

《2年の櫻田茜さん。至急、生徒会室までお越しください。繰り返します…》

 

校内放送が鳴り響く。あ、これ葵姉さんだな。電話も繋がらないし、噂の確認のために呼び出しでもしたんだろう。これで解決かな?

 

「ねぇ、八幡。あんたの教室って何階だった?」

 

うん?なんでそんなことを急に?

 

「そりゃ、1年なんだから1階だろ。2年は2階だし。なに、急に?」

 

「生徒会室は?」

 

「別棟の2階…」

 

まさか…!

 

「気付いたようね…。噂してる連中なら茜の下着を見に行くでしょうね。…階段の下から」

 

それを聞いた俺はその場から駆け出す。さすがにそれをやったら死ぬぞ(茜のメンタルが)!

校内を駆け抜ける。途中誰かになんか言われた気もするが、そんなことより妹の社会的危機である。

 

1年の廊下に到着すると、異常な数の男子が廊下に出ていた。大名行列かよってぐらいには人がいる。1年の全部の男子生徒が出てきてるのでは?

 

そんなむさい集団の先頭の方によく見る赤い髪が。この集団超えていくの?キツくね?

 

「おい、不味いぞ。櫻田がきたぞ!」

「なに!櫻田さんの噂を聞きつけたか!」

「さすがのシスコンだ!」

「妹さんをください!」

 

男たちが俺を前に行かせまいと壁を作り始める。コイツら!とりあえず、シスコンといったやつボコる。それと、いい加減に滅ぼさなければならない奴がいるな。

 

密度が濃すぎて前に行けそうにないな…。邪魔くせぇ。お、あれは福…重か?先頭集団のさらに前におり、それらを牽制しているように見える。…見えるだけだな。あれは煩悩に染まってる顔ですわ。

 

しかし、どうしようか。このままではこの煩悩どもに茜が黒歴史を刻むことになってしまう。流石に家族としては、同世代に下着を見せるとかいう行為はNGだ。テレビで晒したことあるじゃんなんて言ってはいけない。

 

ジリジリと壁連中と攻めあぐねていると、先頭の集団で変化があるのが見えた。あれは…!葵姐さんか!

 

「茜…本当にスカート穿いてないじゃない。まったくもう…」

 

「お姉ちゃん!やだなぁ〜ちゃんと体操着履いてるよ!…だから男子がこんなに…」

 

待って!履けてないから!茜さん!くそっ、ここでは声も通らない。俺が聞き取れているのは、108ある能力の1つによって兄妹の声は喧騒の中でも聞き分けることができるのだ!ちなみに、小学生の頃に光がショッピングモールで迷子になって身につけた。

仕方ない、テレパシー使うか。…茜の自爆防止のためばかりに能力使ってるように思うのは気のせいではないはず。

 

とりあえず集中…!

 

「まずい…!櫻田が能力を…!」

「止めろ!俺たちの桃源郷のために!」

 

君たち同級生を階段の下から覗くのに必死すぎじゃないかい?という思考をよそに壁を作ってた奴らが物量で襲いかかってくる。普通に怖いんですけど!インドアを生き甲斐にしている俺には流石に運動部には勝てなかったよ…。と、組み敷かれた。普通に痛い。

 

その一瞬が明暗を分けてしまった。

 

先頭の方から聞こえる。うおぉぉぉ!というどよめき。なんでぇぇぇ!!という涙が混ざった叫び。

 

 

 

 

………オーケー。久々にキレちまったよ。

 

 

 

———————

side other

 

その日、この高校の1年の廊下ではいろんな意味で盛り上がっていた。

 

「もう死んでも構わん!」

「うぉおおお!」

「生きててよかった…!」

 

目の前に起きた奇跡に誰もが感動していた。

そう、この時までは。

 

「ちくしょー!俺も見たかっ…」

 

ドサッ。

 

賑わう廊下に響いた1つの物音。本来の高校生特有の休み時間の賑やかさであるならば、ほとんどの人が気にもしなかっただろう。だが、今はその何かが倒れた音で誰もが静まり返った。

 

倒れていたのは彼らが求めるもののために身を挺して足止めしていたものだ。それが今、なんの前ぶりもなく倒れたのだった。

誰もが、息を呑む。それは、防ごうとしていた何かが動き出したということなのだから。

 

しかし、彼らはその何かを認識できない。いや、恐怖から認識したくないと防衛本能を働かしているのかもしれない。その何かが動いたと思った瞬間、彼らは意識を手放した。

 

この日、修羅が降臨した。

 

 

 

目が覚めた男子高校生たちはこの日のことを覚えておらず、思い出そうとすると震えが止まらなくなってしまったという。

 

 

〜オマケ〜

 

帰宅中

 

「……」

 

「………」

 

「…………」

 

「……………ねぇ」

 

「……………………はい」

 

「……あれはちょっとやり過ぎ」

 

「……はい」

 

「……でも」

 

「はい?」

 

「私のためにあそこまで怒ってくれたんでしょ?」

 

「………」

 

「それは、嬉しかった。ありがとう」

 

「……あぁ」

 

「…………」

 

「……ところで、さ」

 

「……なに?」

 

「そろそろ降りてもらっても良いですかね?おんぶもそろそろきつくなってきたんだが」

 

「やだ!」

 

「やだってお前…」

 

「なに?八幡は私が重いって言うの?」

 

「そうだなって痛いので首に力入れるのやめて」

 

「良いじゃん!家までお願いね!」

 

「……わーったよ。仰せのままに」

 

「うむ。苦しゅうない!」

 

——少女の顔には笑顔の花が咲いていた。

 

 

〜さらにオマケ〜

 

生徒会

 

「はぁ、流石に一年男子のほとんどが覗きにきてるとか頭痛いわ…」

 

「お疲れ様、奏。お茶飲む?」

 

「ありがとう。葵姉さん。いただくわ」

 

「それ、なんの資料?」

 

「…ほぅ。ああ、それ?今日の騒ぎに参加してた奴らの名簿」

 

「あー…。まさか、あんな騒ぎになるなんて…」

 

「流石に公序良俗に反するわ。よって、騒動に参加した男子は明日の課題が倍ね」

 

「あはは…」

 

「私の可愛い妹の下着みるなんて万死に値するわ」

 

翌日、私刑が降った男子たちの悲鳴が上がったのだった…。

 

 

 




次回、未定!
また会う日まで!

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