櫻田家の八幡   作:璃羅

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めっちゃお久しぶりです。

書く気力が失われていました。
ひさびさですので言葉が変なところあると思いますが悪しからず。




正月の回

 

 

 

『さぁ、盛り上がってまいりました!『正月特別番組櫻田家ファミリー対抗!タマを探せ!』現在、奏様のチームと茜様のチームが激しくぶつかりあっております!』

 

街中に実況が響き渡っている。五月蝿い…。隣で大声で叫んでいるからすごい耳が痛いんだけど…。

 

『葵様のチームは先ほどの2チームとは違う行動をとっていますがどういったかんがえなんでしょうか?特別解説の八幡様!』

 

なんで俺が世の中が三が日という会社や学校は休みである日にこんなことをしなければいけないんだ。あと野外だからすごい寒い。

 

『八幡様?』

 

『あぁ。何か考えるのがあるんじゃないですか?葵姉さんのことですからね、何か気づいたんじゃないでしょうか?…早く終わらせてー』

 

俺の眼前にあるモニターの先には3組に分かれた兄妹たちが写っている。あっちとこっちはたしてどっちがマシだったんだろうか…?

 

 

〜1月2日〜

 

「「「あけましておめでとうございます!」」」

 

「ああ、おめでとう皆、今年もよろしく頼むよ」

 

王家の正月は2日から始まる。本来の正月である昨日は国王に新年の挨拶をするためパーリー(巻き舌)が開かれていたからである。ちなみに俺は最初だけ顔を出し、後は栞と輝と家で過ごし、テレビ見たり寝ていた。お年玉は貰えた。

 

そんなわけで今日は櫻田家としてのお正月な訳だ。

 

「突然だが、みんなには明日テレビに出てもらう」

 

「「「えぇーー!!」」」

 

こんなノリ春先にもした気がするな。その父さんの衝撃的な発言(去年もあった)により、テレビに映りたがる好奇心旺盛な岬、光、輝はやる気を出しているようだ。栞は興味があるようだ。

一方で、茜、遥、奏はげんなりした顔をしている。尚、前者はテレビに映りたくない奴で後者はそもそも外に出たくない人である。修と葵姉さんはどっちでも良さそうだ。俺?聞く必要ある?

 

「では、今回の企画について説明するぞ」

 

そういった父さんは全員が揃っているテーブルに一枚の写真を出してきた。真ん中にお爺さんと鷹が写っている。って、鷹を飼ってる人がいるのか?こんな街中で?何それ怖い。

 

「今回はこの岩谷さんのペットであるタマをみんなに探してもらいたい」

 

「鷹なのにタマってどうなの?」

 

「この街に鷹なんて飼ってる人いるんだね〜」

 

「カッコいいです!」

 

「どうでもいいわ…」

 

上から茜、岬、輝、奏である。俺も人のこと言える義理ではないが奏さんやる気なさすぎない?というか、マジで鷹にタマって名前付けてんの?………あ。

 

「ちなみに、3チームに分かれるんだが、見事探して見つけたチームには総選挙に一万ポイントをやろう」

 

「やるわ!」

 

えぇー。選挙に関わると知って見事に手の平を返した奏にも驚きだが、そんなゲームみたいなポイント制でいいのか?この国の選挙ェ…。

 

「うむ。やる気になってくれたようで嬉しい。では、チームを作るからくじを引いてくれるか?」

 

「ここにやる気がない人がいますよー?」

 

「そーだ!そーだ!」

 

「諦めなさい、八幡、茜。この世の意思決定は多数決なのよ!」

 

多数決でも少数の意見にも耳を傾けることが大事ですよ。ここ、テストに出るぞ。

 

意思を封殺された俺と茜は嫌々ながら奏に促され、くじを手に持つ。因みにくじは王様ゲームのような感じの割り箸の先に数字がついてるものだ。父さんの準備が早い。ノリノリか。

 

「せーので引くわよ?せーのっ!」

 

奏の掛け声に合わせて全員が選んだ棒を引く。さて、俺の番号は、と?

 

「私、3番」

 

「僕は1番です!」

 

「私も3番だ!」

 

「私は2番だね」

 

「あ、僕も2番か…」

 

「私も2番だ…やりたくないよー…」

 

「私は1番ね。やるからには勝つわ」

 

「ん、俺は1番だな。人使い荒らそうだ」

 

「私は3番かな。八くんは?」

 

皆さんはもうお気付きだろうか?そう、この兄弟は10人という父、母がハッスルした結果である(俺は違うが)。それを3チームに分けるというのだから当然、1人ハブられるのは明白。つまるところ、俺のくじには何も書かれていなかったのだ!やったぜ!これで俺は参加しなくていいんだろ?(フラグ)やった!やった!ドン勝つだ!

 

俺が嬉しさを噛み締めていると兄弟たちが俺のくじを覗いてきた。

 

「あれ、ハチくんのやつ数がない!」

 

「て、ことは今回は不参加か?」

 

「八幡!私のくじとそのくじ交換しテェェーーー!」

 

「や☆だ」

 

会話の中に☆が付くくらいにはテンションが上がるのは許してほしい。いや、キモいのはわかってるよ?さいっこうにハイってやつだ!

 

「お、数なしは八幡か。ちょうどよかった」

 

「父さん、どういうこと?」

 

「いや、1人には実況か解説してもらおうかと考えてたからな。年少組には難しいだろうし、落ち着いている八幡が当たってくれてよかったよ」

 

は?

 

「ちょ、」

 

「ぷっ、まあ頑張りなさいよ?解説者さん?」

 

「まっ」

 

「か、解説者かぁ。私には出来ないし、体動かす方がスキダシ、ヨカッタナー」

 

「ぇ」

 

「頑張りましょう!兄上!」

 

「兄様もがんばろう…?」

 

「……はい」

 

天使2人に言われたらやらざるを得ないよね…。

あと、先にそれ言ってよ…。

 

〜現在〜

 

あー、誰でもいいから早く終わらせてくれないだろうか?実況もてっきり室内でやるもんだと思ってたらこの寒空ですよ。死ぬわ。

 

『さあ、いよいよこの特番も終盤にかかってきた頃でしょうか![櫻田ファミリー対抗!タマを探せ!]ご兄弟の皆様もかなり熱が入られています!』

 

いやぁ、ちょっと必死すぎて怖いわ笑。現在、奏姉さんのチームと茜のチームがしのぎを削り合っている。チームバランスは割と悪いんだけどな。ここまで引っ張るとは(この特番)。

 

チームバランスが悪いというのも、奏のチームには言わずもがな奏(ブレイン)、修(テレポーター)、輝(怪力)と頭脳、機動力、パワーが揃ってしまっている。

 

一方で茜のチームは、茜(空飛べるけどカメラを気にして全力を出せない)、遥(ブレインだけど奏には劣るだろう)、極め付けに岬(このイベントで一切活躍していないいわゆるお荷物)だ。茜のチームには頭脳、機動力、パワー、お荷物と備わってはいるものの奏チームには一歩及ばないのだ。

 

…岬が可哀想に見えてくるな。

 

そんな両者はぶつかり合いながらも一羽の鷹を目指して、進む。あと少しでこの特番も終わるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葵姉さんのチームの勝利で。

 

『さあ、長かったこのゲームも優勝チームが決定しました!葵様、光様、栞様のチームが見事に指定されたものを持ってきたので、葵様チームの勝利です!』

 

「「「「はぁ〜〜〜〜〜⁉︎⁉︎⁈!」」」」

 

寒空に2チーム分の声が響いたのだった…。

 

〜☆〜

 

「どういうこと!!」

 

テレビの放送が終わり、家に帰ると奏が迫ってくる。ちょ、顔近いぃぃ…。

 

「にゃにがだよ?」

 

「タマってあの鷹じゃなかったの⁉︎」

 

周りの鷹を追っていた人たちはウンウンと頷いている。いや、そもそも鷹を追ってどうするんだよ…。一部に有利すぎるだろう。

 

「いや、父さんだって鷹がタマだなんて一言もいってないし…」

 

「だけど、なんで猫なのさ!写真に写ってなかったじゃん!」

 

今度は茜が迫ってくる。あの、追いかけてた努力がパァになったからといってこっちに迫ってくるのやめてもらえません?

 

「いや?写ってたが?というか、写ってだからこそ葵姉さんが捕まえられてるわけだしな。あ、写真ってまだある?」

 

「おお、あるぞー」

 

父上さんよ、なぜ俺が受け答えしなきゃいけないんですかねぇ?あなたの仕事では?と、ジト目で見ながらにこやかに笑っている父さんから前日に見た写真を受け取る。

 

「ほら、ここ」

 

「「「どこ⁉︎」」」

 

すずいっと岬も増えた姉妹たちが顔を近づける。俺が指を指してるのは、真ん中にいる鷹を抱えたおっさんの左のほうだ。そこには一匹の猫がこっちに背を向け塀の上を歩いている。

 

「「「わかるか!!」」」

 

俺を責めたって何も変わらないですよ?実際、葵姉さんだってわかってるし。

 

「はっはっは、みんなしっかり引っかかってくれたな!葵と八幡はすぐわかったみたいでつまらなかったが…」

 

えぇ…。洞察力を褒めて欲しいレベルなんですけど。なんで、答えがわかったのつまらないっていわれてるんだ。あれか、みんな必死に考えてる中で1人だけ『それ、答え知ってる〜』て白けさせるやつか。

 

「まあ、気付いてくれた八幡が解説でよかった、よかった」

 

行き当たりばったりなのが驚愕だよ。くじ何分の1だと思ってんだ。

 

「そんな行き当たりばったりだったの⁉︎他の人に当たってたらどうするつもりだったのさ!」

 

当然の疑問を岬が放つ。その言い方はどこか荒々しい。うん、今回目立たなかったから荒れてますね。…あ、こっち睨まないで!

 

「ふっふっふっ!」

 

父さんが意味深に笑っている。

 

「まさか!くじに何か細工が!」

 

「いや、何もない!」

 

えぇ…(2回目)。遥さん完全に黒歴史じゃないですか笑。顔真っ赤になっちゃってますやん。奏姉さんとかいいネタ貰ったみたいな顔して含み笑いしてますよ?

 

「仮に葵か八幡以外に当たってたら交換させてたさ。流石に輝や栞に任せるわけにはいかないしね」

 

我が父はかなり幸運であるということが判明した正月休みだった。

 

学生の時、学校から抜け出せてたのは運が良かったから…?いや、お付きの さんが抜けていただけか。

 

〜☆〜

 

「あ、ポイントはどうする?」

 

「あ〜、私の分は奏に」

 

「「よっしゃあ!」」

 

ポイントの譲渡は1人だけなのに何故か2人が声をあげたのだった。

 

 

あれ?俺のポイントは?

 

 

 

 





字数が少ないぃ…

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