捻くれた先輩   作:超素人

4 / 16
今回、八幡の出番は全くありません。
急な設定で申し訳ないのですが、生徒会の書記ちゃんが文実にいた設定になっております。
オリキャラを考えたほうがいいかと思いましたが、どうしても書記ちゃんの姿しか浮かんできませんでした。

後々のストーリー的にも、文実に書記ちゃんがいたほうが進めやすいのです。
全て僕の事情で申し訳ありませんが、読んで頂けるとありがたいですm(_ _)m


3.真実を知りたい後輩①

「ふぁ〜〜〜」

 

おはようございます!

一色いろはです。寝起きです。

 

今日は忙しくなる予定です。

まず、朝のうちにクラスの文実が誰だったのかを調べ、話が聞けそうな相手なら、休み時間に話を聞いちゃいます。

男女1名ずついるはずですが、女子には嫌われてるし、勘違いしちゃうような男の子もめんどくさいしなぁ。

 

自分のクラスが無理なら、違うクラスかな。

まぁ男の子の知り合いはいっぱいいるし、大丈夫だよね。

 

昨日先輩は、自分がやらかしたとか言ってましたけど、具体的に何をしたかとか、やらかした理由とかは一切教えてくれなかった。

もう少し先輩の考え方とかわかれば、予想もたてられるんだけどなぁ。

でも、まだお話した時間も1時間もないし、これからだよね。

てゆーか、先輩が無駄な話ばっかりするからいけないんだよね。

 

☆今の時点での先輩情報☆

 

・口が悪いけど、たまに素直(捻くれてる?)

・たまにあざとい(デレてる?)

・昔からずっとボッチ(いじめられてたとか?)

・意外とちょろくない(黒歴史がどーのこーの)

・仕事ならなんでも?する(見た目は引きこもり)

・死んだ魚の眼(ほかのパーツはなかなか)

・葉山先輩と相互理解?(でも仲良くない)

 

他にもありそうだけど、こんな感じかな。

ここから導きだせる答えは……うん、わからん。

 

「いろはー、時間大丈夫?」

 

「ふぇ?や、やばい。やばーい。」

 

おかあさん。もう少し早く呼んでよー!

歯磨きと洗顔して急ピッチで髪・化粧を整える。

鏡の前でにっこー☆

うん。だいじょうぶ。今日も可愛い。

今日は弁当忘れないようにしなきゃ。

あーもう、せんぱいのせいだー!

今度会ったらパンチしよ。

 

「いろは朝ごはんはー?」

 

「おかあさんごめん。今日はいいや。行ってきます。」

 

おかあさんの返事は待たずに家を出る。

学校に着いてから、15分は欲しい。

朝ごはんは犠牲になりました。よし行こう!

 

結局20分くらい余裕ありますね。

文化祭の準備期間などで部活ができなかったため、今週いっぱいはサッカー部の朝練はありません。

あー来週からまた早起きだ…。

そんな事を考えながら、憂鬱な気分になっていても男の子達は構わず寄ってきます。

1番楽なのは5人くらい寄ってきたときにまとめて挨拶してあとはスルーですね。

 

「あ、皆おはよぉー♪昨日は作業手伝ってくれてありがとぉー♪」

 

はい、完璧。

あんな奴らいろはちゃんの手にかかれば楽勝ですっ!

あ、いたいた。

昨日の自称・情報通男子。

あっちも気付いた。

 

「おはよぉー♪あの噂ってさ、何か新情報ない?」

 

「あるよー!いろはちゃん調べてんの?」

 

したの名前で呼ばないで欲しい。切実に。

まぁ、今のところしたの名前を呼び捨てするのは葉山先輩だけだからオーケー。

 

「調べてるっていうかぁー、葉山先輩も殴ってないのに殴ったことになってるらしいからさぁ…。それで、先輩達がその噂広めてる人を探してるんだよねぇー。もし教師の耳に入ったら、葉山先輩が変な誤解されるかもだしぃ…。わたしも葉山先輩が誰かを殴るなんて想像できないし。」

 

昨日からいろんな人にこの噂を垂れ流している、この男子には少し釘をさしておこう。

それに周りも先輩達が探してる状況で下手にこれ以上広めたりしないはず。

 

まぁ、すでに学校中に広まってるから、あんまり意味ないんだけど。

葉山先輩を盾にするようで悪いけど、殴ったなんて噂流れても葉山先輩も迷惑ですよね。

もしかしたらそれすらも男らしいとかなるのかな。

 

「あぁー、そんなことする人じゃないもんな。あの先輩。あ、それで新情報っていうのは葉山先輩に関係ある話とない話両方あるけど、どうする?」

 

「一応どっちも聞いとこうかな。いいかなぁ?」

 

「いやー全然いいよー!任せてよー!」

 

ちょろい。

上目遣いに浮かれてないで早く話してよ、もう。

きっと先輩ならあざといの一言で終わるはず。

で、聞いた話によると、

 

・先輩が委員長に暴言吐いたあげく、手をあげようとしたから葉山先輩がそれを止めるために殴った

 

・文実でスローガンを決める際に、先輩が変な事を言って会議をめちゃくちゃにした(しかも先輩は文実の仕事をサボッてたらしい)

 

「ありがとー。やっぱり葉山先輩は悪くないんだね!あ、でもーなんか先生達が噂をとめるために動こうとしてるらしいからあんまり言いふらさないほうがいいかも…。」

 

「え!?そうなの?ヒキタニが悪いのに、先生達も余計なことするよなー」

 

「っ…。そうだねー。なんにも知らないくせにねー。あ、私ちょっといくとこあるから、またね」

 

とりあえずもう一度、釘をさしておく。

本当はクラスの委員のことも聞くつもりだったけど。

でももう無理だ。

最後の私のセリフもいつもの猫なで声なんか保てなかった。

あの男子もちょっとびっくりしてたし。

私はそのまま教室をでてトイレに向かう。

声をかけてくる男の子達にも手だけ振って応える。

トイレに着くなりすぐ個室に入った。

 

あぁぁぁームカつく。

余計な尾ひれがまた付いてる。

何も知らないくせに、何も見てないくせに!

てゆーか本当に先輩がそんなことしてたら、今頃学校から処分されてるはずなのに何でわかんないの?

 

わかってる。今さら噂は消せない。

私が何かしたところで何かが変わるわけじゃない。

私が怒ったところでどーにもならない。

むしろ、先輩には普通に関係ないって言われそう。

でも、ムカつくものはムカつくの!

 

あーダメ。落ち着かない。1限目はサボろう。

また特別棟の屋上にでも行って、ゆっくり考えよう。

 

先生達に見つからないように、授業が始まってから廊下にでる。

あんまりサボッたことなかったのになぁ…。

 

特別棟に入り階段を上がって、4日ぶりの屋上へ。

扉を開けてすぐに、1人の女子生徒と目が合う。

そのまま見つめ合って、固まってしまう。

 

見た目は、真面目そうなメガネちゃん。

でも、普通に可愛い子だと思う。

あのほわほわした生徒会長のメガネバージョン?

こんなところで授業をサボりそうなタイプには見えない。

どうしよう…気まずいよぅ…。

 

「あの…、一色さん、ですよね?」

 

「へ?あ、はいそうですけど…。1年生?ですか?」

 

「あ、私一色さんの隣のクラスの藤沢っていいます。よろしくお願いします。一色さんはどうしてここに?」

 

「あ、よろしくお願いします。ちょっとどうしてもムカつく事があってですねー。それでサボっちゃおっかなって…。」

 

派手なグループとかなら、覚えてるんだけどな。

みんな最初はグループに入れようと近付いてくるから。

結局、ちょっとしたら離れていくんだけど。

 

この子は敵だろうか。

私の名前を知っている事に関しては、驚かない。

相手だけ名前を知ってるなんて、上級生相手でもしょっちゅうだ。

ただ、こういう子達が1番分かり辛い。

地味目のグループにいそうだけど、実はトップカーストだったり。

葉山先輩のグループの海老名先輩みたいな。

余り余計な事は話さないほうがいいかも。

 

「私も一緒です。文実絡みで少しいやな事ばっかりで…。あ、愚痴っちゃってすいません。邪魔なら私が移動しますので。」

 

ん?思わぬ形で文実の話が聞けるかも。

サボってよかったー。

でも嫌な先輩がいてとかだったらどうしよう。

噂を信じてたら、結局イライラするかも。

とりあえず話してもらおう。

 

「そんな事ないですよー。わたしこそ邪魔じゃなかったかな?それにお互い愚痴っちゃったほうがすっきりするんじゃないかな?」

 

「でも、聞いてもつまらないかもしれないですよ?それに信じてもらえる話じゃないと思います。」

 

「んー?とりあえず聞いてみないと何とも言えないですけど、わたしでよければ聞きますよ?それに、藤沢さんも知ってると思うけど、わたしは女子から嫌われてるので、秘密をバラす相手もいませんし。」

 

「そんな事ないと思いますよ。私は地味だし男の子からもあまり好かれないので、正直憧れます。そういう子も私だけじゃないと思いますよ。」

 

なにこの子。お世辞かもしれないけど、これが本音ならめっちゃいい子じゃん!

 

「んー藤沢さんも普通に可愛いと思いますよ?少なくとも厚化粧でごまかして、わたしに勝手に嫉妬してくる女の子達よりは全然。」

 

「一色さんにそう言ってもらえるとすごく嬉しいです!あの、本当に私の話聞いてもらってもいいんですか?」

 

ヤバいこの子可愛い。

ちょっと照れながら嬉しそうに笑う藤沢さんはお世辞でもなんでもなくすごく素敵に見えた。

ぐぬぬ、これが天然物か…!

 

冗談はさておき、さっきから見ていてこの子が嘘をついているようには見えない。

私のように猫を被ってるわけでもないと思う。

この子なら私の事も話しても大丈夫かもしれない。

 

「藤沢さんがわたしでよければですけど…。もしよかったら藤沢さんの後でいいので、わたしの話も聞いてくださいね?」

 

「はいっ!お願いします!あ、とりあえず座りましょうか。」

 

そこから藤沢さんの話を聞いた。

 

文実に自分から立候補したこと。

委員長が相模先輩に決まり、副委員長が雪ノ下先輩になったこと。

委員長の手際が悪く、少しずつ雪ノ下先輩主導になったこと。

そして、委員長の発言で委員達がサボるようになったこと。

委員長自身も来なくなってしまったこと。

ひどい日には数人しかいなかったらしい。

藤沢さん自身もサボってしまおうかと思ったこと。

 

(噂がホントなら先輩もサボってたのかなー?でもその状況なら誰でもサボっちゃうんじゃないかな?)

 

でも、誰よりも仕事をこなす雪ノ下先輩を見て、その気持ちがなくなったこと。

あまりのひどさに葉山先輩も文実を手伝っていたこと。

でも、ある日雪ノ下先輩が無理がたたって休んでしまったこと。

無事回復してすぐ、スローガンの会議があったこと。

そこである先輩がとんでもないスローガンを提案したこと。

しかも半ば委員長にケンカを売るような形で。

その日から全員参加に戻ったこと。

そのお陰で文化祭に間に合ったこと。

形はどうあれ、その先輩に感謝していること。

そしてあの日、委員長がエンディングセレモニーの集合時間を過ぎても現れなかったこと。

探す時間を稼ぐために、葉山先輩や雪ノ下先輩、結衣先輩も協力していたこと。

葉山先輩に連れられようやく委員長が戻ってきたこと。

委員長はあまり責められなかったのに、探しに行った先輩がみんなから悪く言われてたこと。

 

「藤沢さん、そのスローガン決めのときの先輩は、文実をサボってたんですか?」

 

「いえ、1日も休まずに仕事してました。あ、雪ノ下先輩が倒れた日だけ早めに帰っちゃいました。先生の話だと、お見舞いに行ったみたいです。」

 

ん?雪ノ下先輩のお見舞い?あの先輩が?

どう考えても先輩と雪ノ下先輩が結びつかないんですけど…。

やっぱり別人かなぁ。

私が考えていると藤沢さんが続きを話し始めた。

 

「でも、その先輩、今すごく悪く言われてるんです。そのスローガン決めの後から、文実内でも少し疎まれてたんですけど。今は学校中で悪く言われてて…。それに私もずっと文実にでてたので、クラスを全く手伝えなくて…。それでクラスでも派手目な子たちに色々言われちゃって……。その子達にも色々説明したんですけど、信じてもらえなくて。」

 

「藤沢さん、その先輩ってもしかしてヒキガヤ先輩?」

 

「やっぱり一色さんも噂聞いてたんですね。でも珍しいですね。みんなヒキタニって呼び捨てにするのに。やっぱり信じてもらえませんよね…。」

 

そこまで話したところで1限目の終わりのチャイムが聞こえる。

あーずっと聞き入ってたから時間忘れてた。

さすがに、連続でサボるのはマズイよね。

 

「藤沢さん。さすがに連続でサボるのもマズイし、また昼休みにでもお話できないかな?わたしも藤沢さんにちゃんと伝えときたいことがあるんです。」

 

「わかりました。場所はここでいいですか?」

 

「大丈夫です。あと1つだけ先に伝えておきますね。わたしは藤沢さんの話を、ヒキガヤ先輩のことをちゃんと信じてますから。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「こちらこそ。わたしが怒っていたのも先輩の噂のことだったので。」

 

隣のクラスみたいだけど、一応別々に戻ることにした。

先生に一緒にいるとこ見られたらめんどくさいし。

昼休みまでの間に私も頭の中で整理しておかなきゃ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

昼休み

 

「あ、藤沢さん。お待たせしました。」

 

「いえ、全然待ってませんよ。」

 

私が屋上で見たことを藤沢さんにも話した。

先輩が委員長に対して、暴言をはいたのは事実だと伝えたときは少し悲しそうな顔をした。

私が話し終わるまで、何も言わずに聞いてくれた。

ヒキガヤ先輩と話した内容は伝えてない。

勝手に伝えたら怒られそうだし。

 

「どうして比企谷先輩はそんなことしたんでしょうか?あのスローガン決めのときも。」

 

「文化祭のためっていうのが1番しっくりきますけど。どうなんでしょう。本人に直接聞いてみますか?答えてくれるか分かりませんけど。」

 

「え?知り合いなんですか?だったら是非直接話したいです。比企谷先輩がなんであんなスローガンを発表したのか分からないですけど、もしあれがなければ、文化祭はなくなってたかもしれません。毎日出席していた人達の働きも無駄になってたかもしれないんです。だから、ちゃんとお礼が言いたいんです。」

 

「知り合いなのかなぁ。わたしも理由が知りたくて話しかけたんですけど、ちゃんと教えてくれなかったんです。先輩がお昼ごはん食べる場所は知ってるので明日一緒に行ってみますか?」

 

「お願いします。一色さんに話してよかったです。」

 

「こっちもですよ。じゃ明日の昼は教室の前で待っててもらえますか?あと、期待はしないほうがいいです。あの先輩すごいガード固いですから。」

 

「わかりました。よろしくお願いします。」

 

 

明日こそ先輩は教えてくれるかな。

分かったことはいっぱいあるのに、結局先輩の気持ち?の部分はやっぱり分からなくて。

でも、先輩が真面目に働いてた事はわかったし、先輩がいなければ、文化祭がなくなってたかもしれないのも事実だ。

 

私は文実でもなかったし、文化祭に思い入れがあるわけでもない。

屋上で寝てたくらいだし。

でもそのおかげで、嘘の噂に惑わされずにいる。

そのおかげで、その人を知りたいと思える人がいる。

知って理解したいと思える人がいる。

 

ただの興味本位かもしれない。

私が先輩のことを知って理解できたとしても、先輩からしてみればただの迷惑かもしれない。

 

でももう出会ってしまったから。

気の迷いかもしれないけど、葉山先輩以外で初めて知りたいと思える人に。

この気持ちがこの先どうなるか分からないけど、私の気がすむまでは逃しませんので。

 

 

 

覚悟してくださいね♪せーんぱい♪

 

 

 

 

 

 

 




本来ならこんなご都合主義で書記ちゃんと出会うはずじゃなかったのに。どうしてこうなった。

途中でよくわからなくなって、気が付いたらラストで、予定より早くいろはが八幡に踏み込むことを決意してしまいました。びっくりです。

感想もらえた嬉しさの勢いだけで進めたら、こうなりました。
反省はしていますので、許して下さい。

次話もよろしくお願いします。
ありがとうございましたm(_ _)m

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。