ヒム隊は、総大将を倒され士気が落ちた。とはいえポップは大将が討たれても、すぐその下の将官が指揮を取るように軍勢を指導していた。その将官が倒されたら、またその下の将官と、無秩序に戦うことは、帝国の軍隊ではあり得ないのである。
ヒム隊の副将は魔獣ケルベロスである。人語も理解し、卓越した戦闘力も持ちヒムの信任も厚かった魔獣である。
「浮き足立つな!御大将に代わり私が指揮を執る!」
その一喝と同時にモンスター兵はふたたび陣形を立て直し、徐々に士気も上がっていった。一時はノヴァ隊に押され気味であったが、ヒム隊は反撃に転じた。それと呼応し、エイミ率いる第四陣もノヴァ隊に突入を開始した。こうなると五人一組で敵に当たるのは不可能となり、ノヴァ隊は徐々に後退していった。だが救いの手が伸びてきた。レオナ率いるカール軍第三陣である。
レオナはミナカトールがポップに消されてしまったことを確認すると、鉄砲隊と弓矢隊を再編成し、やみくもに突出し戦うことを兵に禁じ、ずっと戦局を見つめていた。
「撃てえ―――ッッ!」
レオナ隊の弓矢と弾丸はヒム、エイミ隊の横腹を直撃した。この隙に乗じてノヴァ隊は体制を立て直してレオナ隊と合流した。そしてこの時、レオナとエイミの視線が合った。炎のようにエイミを見つめるレオナに対し、エイミは冷ややかだ。
「魔将エイミ!覚悟しなさい!」
エイミはレオナの言葉に顔色ひとつ変えない。絶対に負けない自信があるのか、ただ嘲笑を浮かべているだけだ。
「ベホマズン!」
エイミは負傷したヒム隊の残存兵と自軍の兵たちに最大回復呪文『ベホマズン』を唱えた。
「良いか!ヒム隊の兵も私が指揮をする!合流して陣列を組みなさい!回復呪文、蘇生呪文はいくらでも私が唱えてあげるから、全軍死ぬ気で敵に当たりなさい。後退するものは即、死をくれてやる。いいわね!」
エイミの乗るドラゴンも彼女の下命に応じるかのように、咆哮をあげる。突撃の合図かエイミはレオナ、ノヴァ連合軍にイオナズンを唱えた。凄まじい大爆発だ。そしてグリンガムの鞭を軍配とし、エイミは下命した。
「突撃――――――ッッ!」
◆ ◆ ◆
アバンとマトリフはラーハルト隊の前に立ちはだかった。かつて魔王ハドラーの全軍の前に拳聖ブロキーナと共に立った二人である。総勢八千近いラーハルト隊に気圧されることはなかった。
そして各部隊で散り散りになった兵士たちも疾走するアバンに合流し、新たな隊を自動編成する形となった。兵士たちは傷つき、歩行もままならない者も多い。
しかし、この戦いは人類の存続を賭けた戦いであることは全軍が知っていることである。兵士たちの覚悟が違った。有志隊や義勇軍の中には戦線離脱したものもいるが、今アバンの元にいる兵士たちはカール兵、ロモス、リンガイアの元兵士たちであった。動ける限り彼らは引かないのだ。
「二騎で突入する覚悟だったが、心強い味方を得た。マトリフ、あなたは彼らと共にラーハルトの兵を殲滅するのに徹底して下さい。私はラーハルトの首を取ります」
「わかった。任せておけ」
そう聞くと同時にアバンはベホマズンを唱えた。兵士の負傷は癒え、体力も全快した。
「皆のもの!苦しい戦いだが、苦しいのは敵も同様のはず。決して根負けはするな!」
「オオッッ!」
兵士たちはアバンの鼓舞に応えた。負傷も癒え、体力も回復した兵士たちの士気は上がった。
ラーハルトはそれを嘲笑して眺めていた。
「けっ、俺より強いものはいねえって面だぜ、あの若僧。ポップも似たような面していやがったな。ケッタクソ悪い!」
アバンは愛剣を抜いた。かつて魔王ハドラーを斬った剣である。
「ブロキーナ老師の受け売りだが、彼に教えてあげよう。自分が一番強いと思ったその時が滅びの始まりだと云うことを!」
魔法を唱えて、勇者の雷ギガデインがラーハルト隊に落ちる。間髪いれずマトリフがベギラゴンを放つ。ラーハルト配下のモンスター兵もさすがに被害は甚大。先制攻撃として十分であった。
「かかれぇぇッッ――――!!」
アバン隊は鬨の声をあげ、ラーハルト隊に吶喊していく。だがその前にラーハルトが一瞬にしてアバンと間合いを詰め、ハーケンディストールの構えに入っていた。
「ハーケンディストール!」
「アバンストラッシュ!」
「アバン!」
「私にかまうな!マトリフはモンスター兵を!」
アバンは左腕に少し負傷を受けた。彼は自分にホイミをかけながら馬から降りた。ラーハルトはアバンストラッシュを受けたものの、鎧の魔槍の防御力に救われた。
「久しぶりですね。バーンパレス以来ですか…」
ラーハルトの後方ではマトリフの指揮のもと、ラーハルト隊と互角の戦いを繰り広げている自軍の姿が見えていた。ラーハルトも横目でそれを見ている。
「中々アンタの兵たちもやるな。よき敵と会えたようだ」
「何故ポップに加担したのです。ダイくんの復讐ですか?」
剣を構え、アバンはラーハルトに訊ねた。
「…それも理由の一つだ…」
ラーハルトは静かに答える。
「ダイくんは、パプニカ領民に殺されようとしているヒュンケルを助けようとして凶刃に倒れました。彼も無念だったと思います。しかしこんな不毛な復讐戦争を彼が望んでいると貴方は本当に思っているのですか?貴方はダイくんのただ一人の部下でしょう。彼が貴方に仇を討って欲しいと命令を出すと思っているのですか。貴方はただ怒りに任せて暴れているだけじゃありませんか」
「…だからそれも理由の一つだと言っただろう…戦う理由は他にもあるのだ」
もはや復讐戦争ではない。彼はそう言っている。ダイの意に反しているのは彼にも分かっていた。
しかしバーン討伐後に味わった差別は耐えがたいものだった。何のために人間を救ったのか分からなくなった。彼は安らげる居場所が欲しかった。自分を必要としてくれる者が欲しかった。そして今、彼はそれを手に入れつつある。失いたくなかった。
「自分たちの安住の地を勝ち取るため…ですか?そのためには我々人間が邪魔だと…」
「しょせん、お前のような誰からもチヤホヤされる人間には分からんさ。我ら魔族やエルフ、ドワーフ、マーメイド、ホビットがどれだけ人間に煮え湯を飲まされたか。だがそんな日陰な毎日も今日で終わる。やっと人間から大地を勝ち取れるのだからな」
ラーハルトは改めて魔槍を構えた。
「さあ、おしゃべりは終わりだ…。そろそろ行かせてもらおう」
「…残念です。ラーハルト…」
「お前はバーンと対峙したとき、共に天地魔闘を食らったもの同士。そしてポップの師匠。だから敬意を表し俺とポップの合体の技で仕留めよう」
そういうとラーハルトは魔槍を天に掲げた。
「ならば私もそれに応えましょう…」
アバンは愛剣を上段に構えた。
「…ポップ!」
ラーハルトは思念をポップに飛ばした。
「…いいだろう、ラーハルト!」
そしてポップも天に右腕を掲げた。
「エビルデイン…」
黒い雲がラーハルトとアバンのはるか頭上を覆った。そして黒い稲妻がラーハルトの魔槍に降り落ちた!
「く…黒い稲妻…?」
「勇者しか使えない魔法があるのなら、また魔王にしか体得できない呪文もある。これはギガデインをも凌駕する魔界の稲妻…エビルデインだ…」
「エビルデイン…どうしてそんなものをポップが会得している…」
「これから死ぬやつに答えても始まらん。今からこの呪文を魔槍に乗せ、お前にくれてやる。覚悟はいいな」
アバンもまたギガデインを唱え、上段の剣にその威力を乗せた。
「覚悟をするのは貴様だ。ラーハルト」
「続きはあの世で言うのだな!」
「エビルデインディストール!」
「これぞ私が破邪の洞窟で得た力!」
アバンは上段の構えを執り、自らに雷を落とした!
「ギガブレイク!」
「……!」
あの竜騎将バラン、そして勇者ダイの技でもある『ギガブレイク』。アバンはギガデインを剣に乗せ、そしてラーハルトに突進した。
その時にラーハルトには不思議な光景が見えた。アバンの横、そこにはバランの姿があった。彼にしか見えない幻であったのだろう。そのバランもまた、ギガブレイクの構えのまま、ラーハルトに突進しているのである。気のせいかバランの目は哀しみに満ちていた。ラーハルトにはそう見えたのである。
「…バラン様!」
幻であるバランを見た一瞬、ラーハルトの魔槍が止まった。お互いの必殺技がぶつかろうと云うギリギリの緊張の中で、これは許されない隙であった。アバンがその隙を逃すはずもない。アバンの必殺の一閃がラーハルトを斬る!
「グアアアアアアッッ!」
黒い稲妻は空中で轟音と共に弾け散った。魔槍はそのまま地に落ち、ラーハルトは沈んだ。
「…なぜ魔槍を止めたのですか…」
倒れているラーハルトにアバンは歩み寄り、訊ねた。
「な、何のことだ。俺は知らん…」
「ならば…何か言い残すことはありませんか」
ラーハルトは、フッと笑った。
「死体となった俺の顔を袋で包んでくれ…」
「……」
「あの世でダイ様、バラン様に合わせる顔が無いのでな…」
「…いいでしょう」
「さあ、留めを刺すがいい…」
アバンはラーハルトに留めを刺した。そして約束どおり彼の顔に袋をかぶせた。アバンは勝どきをあげた。
「魔将ラーハルト、討ち取ったりィ―――!!」
アバン隊だけではなく、カール軍全隊の士気が上がった。そして魔将ヒム、ラーハルトの討ち死には、総帥ポップにも報告が入った。さすがの帝国軍にも動揺が走る。しかし帝国軍有利の状況はまだまだ覆ることはなかった。それほど兵士の戦闘力の差が大きかったのだ。
◆ ◆ ◆
時を同じころ、レオナ・ノヴァ連合軍は確実にエイミ隊に押されていた。エイミ隊の兵士はドワーフ、ホビットの種族から構成されており、一人一人が人間の力をはるかに凌駕している。ましてやヒム隊のモンスター軍団も合流しているのだ。戦闘力に天と地の差があった。そして軍団長エイミが容赦なく破壊力絶大な攻撃呪文を矢継ぎ早に唱えてくる。
レオナ隊は撤退を余儀なくされた。いつのまにかレオナ隊とノヴァ隊は寸断されており、そして運悪くノヴァには星皇十字剣を使ったツケが今ごろになって回ってきた。あれほど手になじんできていた超魔双竜剣がどんどん重く感じてきて、両腕に激痛が走る。ヒムのオーラナックルを受け止めた右足は除々に用を成さなくなってきた。彼はもう戦うどころか立っていることさえ苦しくなってきた。だが気迫でノヴァは双竜剣を振り必死に戦っていた。彼はレオナと兵士を本隊に撤退させるべく、しんがりをしていた。
「負けられない!俺たちは負けられない!ポップを倒すまで!そして、そして、姫さまを無事にご帰還させるまで…」
そんなノヴァの必死の防戦をあざ笑うがごとく、エイミは撤退の指揮を取っているレオナを標的と定めた。
「無秩序に後退するな!負傷者を優先して陣列を組みながら徐々に下がりなさい!」
レオナの指揮のもと、さほど困難な追撃をうけずに後退した。だが馬上で鮮やかな長い金髪を流すレオナは目立ちすぎた。エイミの目からはなおさらである。
「あなたの槍を寄越しなさい」
エイミはモンスター兵から槍を受け取り、柄を手になじませるように握った。左手の人差し指を自分の目線に上げ片目をつむりレオナの頭に照準を合わせ始めた。
「私たちの前に立ちはだかる者には死あるのみ。さようなら姫さま」
槍全体が怪しい光を放つ。魔法を帯びた槍をエイミは体をしならせ、レオナに向けて投げはなった!
「落ちろ!」
エイミの投擲した槍は寸分の狂いも無く、レオナの頭めがけて飛んで行く。レオナがそれに気づいた時はすでに遅かった。だがその時だった。レオナの顔に鮮血が飛んだ。
「…ノヴァ…」
「…ぐっ」
「ノヴァァァァァァァァァッッッ!!!」
ノヴァが直撃の寸前にトベルーラでレオナの前に飛んできて彼女の盾となったのだ。
「う、うう…」
槍はノヴァの腹部をほぼ貫通しており、レオナの鼻先でピタリと止まった。魔法力を帯びているので槍は高熱も発している。ノヴァはランスを自分の腹部から力任せに抜き取った。
「ぐはっ」
ノヴァの吐血が大地を染める。そしてノヴァは沈んだ。レオナは馬上より飛び降りノヴァに駆け寄った。
「ノヴァ、ノヴァ!!」
「…姫さま…ご無事ですか…」
「ええ!ええ!貴方のおかげで無事よ!ありがとう、ありがとう!」
「よかった…」
エイミはその一部始終を見ていた。レオナを助けるため自ら盾となったノヴァ。ポップと挙兵以来、冷酷無比な魔女と化していたエイミだったが、この時は違った。
「なぜ…なぜ…人が人の盾となる?ヒュンケルもそうだった。いつもダイくんたちの盾になろうとしていた…」
槍を投げた己が両手を見つめるエイミ。
「ノヴァもそうなの?ヒュンケルと同じなの?ヒュンケルと同じ心を持った人を殺そうとしていた今の自分はなに?何なの?」
「しゃべっちゃ駄目!」
「…いいえ、私はもう助かりません…」
「そんなはずないでしょ!私ベホマ使えるのだから助けてあげる!」
しかし、レオナにはもう魔法力が残っていない。ホイミすら唱えることができないのだ。ノヴァもそれは知っていた。
「…姫さま…生き延びて下さい…。そして後世に語るのです。ダイとその仲間たちの偉大さを…なぜ…ポップが狂ってしまったのかも…語り続けて下さい…。だから…姫…死んではなりません…」
ノヴァは静かに目を閉じた。恋焦がれたレオナを助けて死ぬことができた彼の顔は少し満足げに見えた。
「…ノヴァ?」
レオナはノヴァの体をゆすった。起きて、目を開けてと祈るようにゆすり続けた。ノヴァはカールに来て以来、ずっとレオナを元気付けようとしていた。笑うことを忘れてしまったレオナに笑顔をと、時には慣れない冗談をレオナに言った。その思いが通じたのか、レオナは時々ノヴァにだけは笑顔を見せるようになった。
そしてこの戦いでも、ノヴァはレオナをかばって戦い続けた。そして最後には命と引き換えにレオナを救ったのである。レオナは泣きながらノヴァをゆすり続けた。しかしノヴァはもう何も答えない。
「ノヴァァァァァ――――――ッッ!!!」
「エイミ様、敵は将を失い浮き足立っており好機。全軍突入のご命令を!」
ヒム隊副将のケルベロスがエイミを叱咤する。
「そ、そうだったわね」
(私としたことが…)
エイミは思った。ノヴァは幸せ者だと。エイミはかつてノヴァがレオナに恋をしていたことは知っていた。そしてその恋の成就を無理やりにあきらめたと云うことも知っていた。バーンとの戦いによる緊張の中で自分もヒュンケルに恋をしていたからノヴァの気持ちが痛いほど分かったのかもしれない。
そして今、ノヴァは恋焦がれたレオナを守り、そしてその胸の中で愛を打ち明けることなく死んでいった。恋焦がれたレオナが自分の死で泣いてくれている。バーンと戦った勇士の中で、ノヴァは一番恵まれた死を迎えたのかもしれない。ノヴァは幸せ者、エイミはそう思った。
そして同時に思う。自分にはもうヒュンケルがいない。彼の胸で死ぬことはできない。許されない。私の死などは悲惨なものに違いない。それでいいのだ、と。
エイミはそんな弱気を振り払うかのように全軍突入の命令を出した。レオナ隊はもはや風前の灯であった。ノヴァは死にレオナはそうすぐには立ち直れない。だが怒りが悲しみを越え出した。ドラゴンに乗るエイミを煮えたぎるような怒りの形相で見据える。
「許せない、エイミ!全隊、後退しながら陣形を整えなさい!円陣をもってエイミ隊を迎撃する!」
すぐさま各小隊に伝令が走った。この著しい劣勢のなか、指揮系統を保ち戦うだけでも賞賛に値する。それを見つめエイミは
(あんなことがなければ、素晴らしい女王となったでしょうね…。そして私は姫さまの側近として…)
苦笑して首を振るエイミ、何もかも遅い。そんな夢を見ることは、もう許されないのだ。
◆ ◆ ◆
「よし、我々も突入を開始する」
ポップは本隊である自軍の兵たちに命令を出した。
「エイミ隊は右翼、サリーヌ隊は左翼を攻めている。我々は中央突破を図り、ラーハルト隊の残存兵と合流。その後、余の号令で敵本陣に三隊一斉攻撃。全軍にそう伝えよ」
帝国軍の伝令が各隊に走った。
レオナ隊は善戦した。しかし元々の戦闘能力の差はどうしようもなく、円陣もほつれはじめた。
「ここは引きましょう!姫様!このままでは全滅です!」
そうレオナに進言する旧パプニカの騎士も無念そうである。戦況からレオナもそれを感じ、やむなく彼女は全隊に撤退を指示した。
「さあ追撃の手を緩めるな!」
エイミの容赦ない命令が出る。もはや生殺与奪は思いのままであった。全滅も時間の問題と敵味方も思ったとき、ラーハルトを打ち破った先ほどのアバン隊が駆けつけてきた。ギガデインとベギラゴンが撃たれ、さすがのエイミ隊の兵たちも突進が鈍った。その隙を逃さずレオナは、鉄砲と弓矢をエイミ隊の切っ先に一斉射撃を行った。
「ちっ」
エイミは舌打ちをした。先刻、ポップの伝令が届いたばかりでもあったのでエイミは深追いをせずにアバンとマトリフがレオナ隊を救出してその場を去っていくのも黙って見逃した。
アバンがラーハルトを倒したことはエイミの耳にもすでに入っていた。まともに戦えばエイミもアバンに敵わないと考えていたゆえだろう。破邪の洞窟を踏破したのは同じだが地力や成長の度合いが違う。
「ふん、まあいい…今に大攻勢が始まるのだから」
エイミは自軍の副将とヒム隊の副将ケルベロスに命じた。
「各隊の再編成を行ってちょうだい。陣形は突撃を旨とする剛槍の陣。編成後、各自携帯していた食料と水を取らせなさい。本隊の号令があるまでその場で待機」
「「御意」」
魔人大戦は最後の局面に入ろうとしていた。