今回の舞台はドラゴンボールワールド。
ですが、ほぼパラレルワールドの世界線です。
そこを了承して読んでいただけると有難いです。
長ったらしい前置きはここまでにして、それでは本編どうぞ!
デンライナーは次の世界を目指し、時空間を走っていた。
「どう?体動きそう?」
なのはは零と百合の様子を見に寝台車両に入った。
「動くと思います?」
「だよねぇ。百合ちゃんは?」
百合はだらしなく下がった腕を動かそうとした。
その瞬間、激痛が百合の体に走り、百合はまた腕を下げた。
「動かそうと思っても動きません!」
百合も半泣きでなのはに言った。
「ごめんごめん。全治何ヶ月なんだっけ?」
「七ヶ月と十日です」
「うわぁ…随分長いね…」
「それだけじゃないですよ。貴利矢さんや大我さんからは完全には治らないかもって…」
「そんな二人に朗報や」
すると、三人がいる部屋にはやてが入ってきた。
「はやてちゃん、朗報って?」
「ちょっと寄り道になるんやけどな、二人の同胞であるサイヤ人がいる世界があったで。とは言ってもかなり少数やけどな。それに、怪我を完全に治す凄い食べ物もあるんや」
「そんな世界…もしかして!」
「ああ、そうや。二人も知ってるドラゴンボールの世界や!」
デンライナーは時空間の空に穴を開け、その穴の中に飛び込んで行った。
「ふっ!はっ!てえやあああ!」
五百倍の重力の中で派手に動き回り、飛び回るロボットのスイッチを次々と切っていき、時には破壊もしながら一人のサイヤ人はトレーニングをしていた。
そして、全てのロボットのスイッチを切ったと同時に重力発生装置が停止した。
そして、そのサイヤ人はトレーニングルームを出て、タオルで汗を拭いた。
「あっベジータ、丁度良かった。トランクスとブラのこと見ててくれない?これから会議なのよ」
白衣を来た水色の髪の女性がベジータと呼ばれたサイヤ人に二人の子供を預けた。
「ちっ…しかたあるまい」
そう言いながらベジータは赤ん坊の子供を抱き抱えた。
「それじゃ、後は頼むわねベジータ!トランクス、あんたもいい子にしてるのよ!」
そう言いながら女性は階段を駆け上がっていった。
「フン…」
「はーい!」
そう言いながらベジータとトランクスは女性を見送った。
「パパー!遊ぼうよー!」
トランクスはベジータの服を引っ張りながら言った。
「…悟天とは遊ばないのか?」
「パパとも遊びたいー!」
「…なんだ?」
ベジータは空から電車が走ってくるのを見つけた。
「うわー!なんだあれー!]
トランクスは電車に指をさしながら言った。
「パパ、行ってみようよー!」
「…そうだな」
ベジータは赤ん坊のブラを抱き抱えながらトランクスと電車の近くまで歩いた。
「随分デカイな…」
「俺こんなオモチャ持ってないや…」
トランクスは唖然としながら電車を見ていた。
すると、電車のドアが開き、中から零、百合、なのは、はやて、フェイトの五人が出てきた。
「………」
なのは達は零と百合を支えながら歩き、時々何も無い所でコケつつ、歩いていた。
「…トランクス」
「はい」
「カカロットの所に行って仙豆を二粒持って家まで来るよう伝えてこい。良いな」
「はーい!」
トランクスは空を飛び、あっという間に空の彼方に消え去った。
そして、ベジータは零達の元に近付いた。
「貴様…サイヤ人か?」
「え?」
「サイヤ人かと聞いてるんだ」
ベジータは二人を睨みつけた。
「は、はい!」
「純血のサイヤ人です!」
零と百合は慌てて答えた。
「フン、最初からそう言えば良いんだ…カカロットが来るまで中に入って待ってろ」
そう言ってベジータはブラを抱え直し、家の方に歩き出した。
「どうした、入らないのか?」
「あ、いえ!入ります!」
「フン…」
なのは達も零達を連れて家の方に向かった。
「C…A…カプ…カプセルコーポレーション?」
「会社なんか?」
「そうだ。ここいらではナンバーワンの企業だ」
家の中に入り、ベジータは戦闘服のプロテクターを脱ぎ、テーブルの上に置いた。
「その辺りに適当に座っていろ。そろそろ来るはずだ」
「来るって、誰がですか?」
すると、五人の目の前にいきなり山吹色の道着を着たサイヤ人とトランクスとそのサイヤ人に似た子供が現れた。
「よお、ベジータ。おめえが呼びつけるなんて珍しいな。ほれ、仙豆持ってきてやったぞ」
サイヤ人はベジータに緑の豆を二粒見せた。
「そんな事はどうでもいい。さっさとそこの二人に仙豆を食わせてやれ」
「え?」
サイヤ人は零達の方を向いた。
「おわーっ、ひでえ怪我だな…ほら、こいつを食え」
サイヤ人は零と百合の二人に口を開ける様に言い、二人の口に仙豆と呼ばれた豆を入れた。
二人はその豆を食べ、飲み込んだ。
「…!!怪我が治ってる…!」
「凄い…!」
「すげえだろ。そいつは仙豆っちゅう神様の豆で、一粒食うだけで身体中の傷が治っちまう。しかも十日間何も食わなくてもよくなるんだ」
サイヤ人はソファに腰掛けながら言った。
「貴方は…?」
「オラ悟空。孫悟空だ。こっちは孫悟天。オラの息子だ」
「ど、どうも」
悟空と名乗ったサイヤ人は軽く挨拶し、悟天と呼ばれた子供はすぐに悟空の後ろに隠れてしまった。
「でも、さっきベジータ?さんがカカロットって…」
「それはオラのサイヤ人の名前だ。でも、この名前もじっちゃんが付けてくれた地球人の名前だ」
そう言って悟空は無邪気な笑顔で笑った。
「そのおじいさんは今どちらに?」
「じっちゃんなら、とっくにあの世に行っちまったよ」
悟空はそう言って上を指さした。
「えっ!…その、ごめんなさい…」
「気にすんな!もうずっと前だしそれに何度も会ってるかんな。気ぃ使ってくれてサンキューな」
悟空は特に何も気にしてない様だった。
能天気なのか、あるいは気にしないようにしているのか、その辺りはよく分からないが、少なくともその事はもう立ち直っている様だ。
「そう言えば悟空さん」
「?なんだ?」
悟空はなのはの方を向いた。
「何度も会ってるって事は、こことあの世を行き来出来るんですか?」
「ああ。あの世ってのは死んだ奴が行く場所で、一回死んで行ったことがあって、そこで界王様っちゅうこの銀河一偉え人に会って…この続きは長くなっから省略すっけど、ヤードラット星人に瞬間移動を教わってから、それ以来修行しに行ったりして、あの世とこの世を行ったり来たりしてんだ。まあ、あの世にはあんまし行かねえけどな」
「そこで、会ったりしてるんですか?」
「ああ。しかし、じっちゃんか…また今度遊びに行ってみっかな。きっと驚くぞ〜!そうなると悟天と悟飯も連れて行かねえとな…チチも連れてってやっかな」
悟空は虚空を見据えながら、祖父に会いに行く計画を想像していた。
「な、なぁ、悟空はん…」
「ん?どうした?何を怯えてんだ?」
悟空は怯えるはやての方を見た。
「悟空はん一回死んだって…」
「ああ、ラディッツの時とセルの時と…二回死んでるな。それがどうしたんだ?」
「今も…死んでるん?」
「いや、生きてるよ。一回目はドラゴンボールで生きけえって、二回目は大界王様から命貰って生きけえったんだ。その後も何度も死にかけたけんど、今もこうして生きてっかんな」
「…もうなんでもありやな…ムチャクチャやけど、生きてるんならええわ…」
はやては額をおさえながらソファの後ろにもたれかかった。
「お、おい、でえじょうぶか?」
悟空ははやての方に近寄った。
「カカロット、下手なマネはよせ。余計に悪化させるだけだ」
ベジータが悟空の肩を掴んで言った。
「?なんか悪いことしたかな…」
悟空は腕を組みながら首を傾げた。
「全くの無自覚だな…だから貴様はバカなんだ、全く」
ベジータは呆れたように言った。
「それよりも、おめえらサイヤ人なんだろ?いっちょオラと手合わせしてくれよ」
「えっ?別に構いませんけど…」
「待て、カカロット。貴様なんぞが本気でやればただではすまんだろ」
「んじゃあ、どうすんだよ?」
「ここにちょうど良く暇を持て余したやつが二人いるんだ」
ベジータは悟天とトランクスを見て、ニヤリと笑った。
「悟天、トランクス」
「なーに?ベジータさん」
「何?パパ」
トランクスと悟天はベジータに手を頭に置かれ、ベジータの方を向いた。
「あそこのお兄さんとお姉さんがお前達の遊び相手になってくれるそうだ」
「ええ!?大丈夫かな…」
「なあに、あの二人もサイヤ人だ。いざとなればフュージョンすればいいだろ」
「そうか!よーし!やるぞ、悟天!」
「うん!トランクスくん!」
そう言って悟天とトランクスは意気揚々と道着に着替え始めた。
「そういう事だ。貴様らも準備をしろ」
「分かりました」
「え?やるの?」
零は驚きながら百合の方を向いた。
「こんなチャンス二度と無いし…それに、場合によっちゃ悟空さん達の技を教えてもらえるかもしれないのよ?」
そう言う百合の目はとても輝いていた。
「そこまで言うなら…よし!やろう!」
零と百合も包帯を体から外し、百合の境界を通って動きやすい服装に着替えた。
「それでこそサイヤ人だ」
ベジータはニヤリと笑って言った。
「なあベジータ、悟天たちがやられたらオラ達も参加すっか?」
「当然だ。まあ、よほどないだろうがな…」
そして、一同は外に移動し、悟天&トランクスコンビと零&百合コンビは間合いを取って対峙した。
「おい、貴様ら」
ベジータはなのは達の方を向いて言った。
「何や?」
「どうしたんですか?」
「ブラの子守を頼んでいいか?」
ベジータはブラを抱いていた。
ブラを抱いたままでは戦うことはとても出来ないだろう。
「は、はい。よっ、こらしょっと…」
なのははベジータからゆっくりとブラを受け取り、ブラを抱き抱えた。
「これでオラ達もいつでも行けるな」
「行く必要もないだろうがな」
「ははっ、でもまだ分かんねえぞ〜」
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、いつでも良いよ!」
「準備は出来てるぜ!」
「よーし、じゃあ遠慮なく行くぞ!」
「たあっ!」
零と百合は強く飛び出し、悟天とトランクスに向かっていった。
「はああああっ!」
「てやああっ!」
悟天達と零達はお互いに拳を突き出し、零は悟天と、百合はトランクスと闘いを始めた。
「ふっ!はっ!でやぁっ!」
「うっ、うぐっ!」
「それそれっ!」
「くううっ!」
悟天とトランクスの猛攻に、二人は防戦一方だった。
「たあっ!」
「てやあ!」
「うわあああ!」
「ああああっ!」
悟天とトランクスの攻撃に二人は大きく吹き飛ばされ、二人は地面に大きく叩き付けられた。
「へへーん!」
悟天とトランクスは地上に降り、ハイタッチをした。
「お兄ちゃん達弱いよ〜、もっとちゃんとやってよ〜」
「俺たちはまだ本気なんて出してないもんね〜」
「…しょうがない…なら全力を出してやるよ…!」
「生意気な子供達にお仕置きをしないとね…!」
そう言いながら零と百合は土砂の中から立ち上がった。
「お、あいつらやるじゃねえか」
「フン、それくらいしてもらわないと困る」
悟空とベジータは四人の試合を見ながら言った。
「うおおお…!」
「はああああ…!」
すると、二人の髪は金色に点滅し始め、身体の周りにも電流が流れ始めた。
「!!カカロット!」
「ああ…ついに目覚めるみてえだな…超サイヤ人に!」
「俺が…!俺達が…!」
「世界を…!皆を…!」
「守るんだぁぁぁぁ!」
二人は身体中の力を一気に解放し、伝説の戦士、超サイヤ人へと変身した。
「これは…?」
「身体の奥底から力が溢れてくる…」
零と百合は金色のオーラを発しながら、掌を見た。
そして、拳を握り、悟天とトランクスの方を向いた。
「へへっ、すげえ気だなぁ。オラワクワクして来ちまったぞ」
「奇遇だな…俺もだ。身体が疼いてきやがる…」
「あの、悟空さん、ベジータさん。二人はどうなったんですか?」
なのははブラを抱き抱えながら二人に聞いた。
「超サイヤ人に目覚めたのさ」
「スーパー…サイヤ人?」
「もしかして、あのフリーザが唯一恐れたと言うあの超サイヤ人なんか?」
「ああ。オラ達は激しい怒りで超サイヤ人になれたけんど、あの二人はなにか別のものでなれたみてえだな」
「なんだっていい。超サイヤ人になれたのならば、俺達にとっても好都合だ」
そう言いながらベジータはニヤリと笑った。
「悟天!トランクス!」
「どうしたの?パパ?」
「選手交代だ」
「えー!これから面白くなって来る所なのにー!」
「悪いけどよ、どうやら今度はオメエ達でも勝てねえ相手だ。だから、ここはオラ達大人に任せてくれ」
「ちぇー」
「お父さん、フュージョンして闘ってもだめ?」
「お前達のフュージョンは確かに強いが、時間があまりにも短い。それに、調子にのってフュージョンが解けたら戦いどころではないからな…」
「そういう事だからよ、悪いな悟天、トランクス」
そう言って、悟空は二人の頭を撫でた。
「今我慢すれば俺が後で遊んでやるぞ?」
「本当!?」
「ああ。いやというほど遊んでやる」
「悟天にも、後で父ちゃんが行きたいとこ連れてってやっぞ?」
「本当に!?良いの!?」
「ああ、約束だ」
「ありがとうお父さん!じゃあ、頑張ってね!」
「パパも、負けないでね!」
「ああ、見ていろ」
そして、悟空とベジータは悟天とトランクスと入れ替わり、零と百合の前に対峙した。
「さてと、オラ達もなってやらなきゃな」
「ああ」
そして、二人は身体に力を込め、超サイヤ人へと変身した。
「いつでもいいぜ。かかってこいよ」
「貴様らの好きなタイミングでスタートしろ」
そう言って、悟空とベジータは構えをとった。
「はぁっ!」
零と百合は強く飛び出し、二人の元に飛び出し、強く拳を突き出して悟空とベジータを吹っ飛ばした。
「ぐっ…!」
「くっ…!」
そして、零は悟空に、百合はベジータに強く飛び蹴りをして地面に叩きつけた。
しかし、二人は地面に叩きつけられる前に高速で移動し、二人の後ろに回った。
ベジータは百合を思い切り殴って地面に叩きつけ、悟空は零に強烈な拳の一撃を食らわせた。
「くっ…だあっ!」
零はすぐに立ち直り、悟空に拳を飛ばした。
「でやああああっ!」
悟空はその拳を掴み、大きく振り回して投げ飛ばした。
「てやあああ!」
ベジータは百合に向けて凄まじい勢いで連続エネルギー弾を放った。
その間を百合はくぐり抜け、ベジータに向けて一撃を飛ばした。
「まだまだ甘いぞ!」
ベジータは百合の拳を掴んで引き寄せ、腹部に強烈な一撃を喰らわせた。
「ぐはっ…」
あまりの強さに思わず口の中の唾液が飛ぶ。
ベジータは百合を投げ離し、百合は宙に浮きながら口元を拭った。
「ほう、まだまだ余裕があるみたいだな。それとも強がりか?」
「強がりなんかじゃないさ…全然余裕ってことだ」
「ほう、言ってくれるじゃないか…ならば、こいつでどうだ!はああああ…!」
そう言ってベジータはさらに力を解放し、新たな超サイヤ人へと変身した。
「これが超サイヤ人を超えた超サイヤ人…超サイヤ人2だ」
そう言ってベジータはニヤリと笑った。
「おっ、ベジータの奴もようやく身体が温まってきたみてえだな…じゃあこっちもいくぞ!はああ…!」
悟空も力を解放し、超サイヤ人2へと変身した。
「さっきとはまたちげえんだぜ。超サイヤ人2ってやつだ」
悟空もニヤリと笑って言った。
「超サイヤ人2か…なら俺はそいつを超えてやるぜ…あっさりとな!はあああああああああ…!」
零は先ほどよりも力を身体に込め、一気に全ての力を解放した。
「はああああああっ!」
零の髪は足首まで伸び、眉毛も消え、先程よりもオーラが大きくなった。
「へぇ〜、やるじゃねえか。じゃあオラも!」
そう言って、悟空も零と同じ形態へと変身した。
「これが超サイヤ人3だ」
そう言って悟空はニッと笑った。
「だが、オレ達もここで終わるほどなまっちゃいねぇ。超サイヤ人3を更に超えた超サイヤ人ってヤツを見せてやる」
「更に超える…!?」
「はあああああっ!」
「だああああああっ!」
悟空とベジータは気を更に増幅させ、また新たな形態へと変化した。
髪が黒くなり、上半身には赤い体毛がびっしりと出現した。
「こいつが超サイヤ人3を超えた…」
「超サイヤ人4だ…ここからは俺も容赦はせん…何せこの姿になると力の制御一つも上手くいかんからな…」
ベジータはニヤリと笑いながら言った。
「なら、私達も全力で行くわ!零!」
「おう!」
百合も超サイヤ人3へと変身し、二人の元に向かって行った。
「あの零ってヤツもすげえけど、あ百合ってヤツもすげえなあ。超サイヤ人3を一瞬で習得しやがった」
「ふん、それでこそ戦闘民族だ。俺も久しぶりに疼いてきやがった。当然、貴様もワクワクしてるんだろ?」
「あたりめえさ。何も気にせず本気でやれるんだからな。オレ達も行くぞ!」
「はあっ!」
零は悟空へ、百合はベジータへ再び闘いを挑んだ。
「はあっ!だっ!でやあー!」
零は目にも留まらぬ速さで拳を何度も突き出し、悟空はその拳を掴み、零の動きを止めた。
零はその体勢を利用して悟空の腹へ鋭い蹴りを喰らわせ、悟空を地面へ向けて蹴り飛ばした。
「クッ!波ぁー!」
悟空は落下途中に体勢を整えて、腰の横で手のひらを合わせて気を溜め、着地すると同時に気を零に向けて一気に放った。
「!!」
零は慌ててその気を受け止めた。
「ぐぐっ…だぁー!」
零は辛うじてその気をどこか遠くへ弾き飛ばした。
「はぁ…はぁ…」
「やるじゃねえか。にわかものとは言えかめはめ波をぶっ飛ばすなんてな…」
「でやあー!」
ベジータと百合は高速で激しく拳を打ち合い、同時に強烈な蹴りをしてお互いに大きく離れた。
「喰らえ!ファイナルゥゥゥ…フラーッシュ!」
ベジータは大きく手を広げて手のひらにエネルギーを集め、手のひらを胸の前で近付け、巨大エネルギー波を百合に向けて放った。
「はあああああ…だぁぁー!」
百合も片手にエネルギーを集め、ベジータのエネルギー波に向けて放った。
二つのエネルギー波は衝突して爆発を起こし、黒煙が上がった。
百合とベジータは気で黒煙をかき消し、もう一度拳と拳をぶつけ合った。
「貴様、さては下級戦士じゃないな?」
「え?」
「あんなにあっさりと超サイヤ人になれたんだ…下級戦士の筈が無かろう。この俺が認めてやる。貴様等はエリート戦士だ。…だが」
そう言ってベジータは百合の腹へ強烈な一撃を入れ、百合の変身は解除された。
「がはっ…」
零も、悟空に強烈な一撃を入れられて変身を解除された。
「おめえ達はまだ慣れてなかったからな。ちょっとでも油断するとこんな風にやられちまうのさ」
零と百合の身体から一気に力が抜け、それを悟空とベジータが支えた。
そして、二人は変身を解除し、零と百合をはやて達の前に寝かせた。
「ふ、二人共大丈夫か!?骨とか折れとらんか!?」
「サイヤ人の身体はそんなにヤワではない。疲れて寝ているだけだ」
「初っ端から超サイヤ人3はやっぱキツイよな」
そう言って悟空は頭を掻きながら無邪気に笑った。
「いや、これ笑い事で済むの…?」
すると、突然空が黒い雲に覆われた。
悟空とベジータは何かに気付き、空の方を見上げた。
「危ねぇっ!」
悟空は素早く超サイヤ人へと変身し、零達を狙ったエネルギー弾を弾き飛ばした。
「ジャネンバァァァ…」
雲の中から、赤黒く染まった怪人が悟空達の前に降り立った。
「お前は…?」
「だけど…どうやら話すのは無理そうだぜ…」
「ジャネンバァ!」
怪人は二人に向かって行った。
それを見て二人は構えを取った。
悟空は怪人に拳を食らわせた。
すると、怪人の身体はブロックの様に体を崩し、悟空の後ろで身体を形成して手持ちの剣で悟空に切りつけ、頭を掴んで地面に叩きつけた。
「はあっ!」
ベジータも超サイヤ人へと変身し、怪人へ殴りかかった。
怪人はすぐにベジータの後ろへと周り、殴りかかった。
ベジータはそれを予知し後ろに気弾を放って怪人の攻撃を阻止した。
しかし、怪人はすぐさまベジータの首に尻尾を伸ばし、ベジータの首を締め上げた。
「ぐっ…」
「カカカ…」
「はっ!」
いつの間にか立ち上がっていた悟空が怪人に向けて気弾を放ち、怪人はベジータの首から尻尾を離して気弾を躱した。
「ダメだ…全く歯が立たねぇ…」
「チッ…」
「…そうや!アイツ見たことあるで、私!」
「本当!?」
「ほ、本当か!?」
悟空とベジータははやての方を向いて言った。
「倒し方も知っとるで!」
「な、なら早く教えてくれ!」
「悟空とベジータが二人でフュージョンするんや!そうしたら勝てたで!」
ここで説明しておこう。
フュージョンとは、 合体する二人が左右対称に全く同じポーズを取り、尚且つ二人が全く同じ大きさの気でやらなければならず、更に二人の体の大きさもほとんど同じでないと出来ない奥義である。
しかも、そのポーズはお世辞にもカッコイイとは言えず、劇中フュージョンを教えられた悟天とトランクスも呆然と立ち尽くす程だった。
「お…俺があんな恥ずかしいポーズを取るのか!?」
「しかたねえだろ…これで勝ったって言うんだからよ…」
「ほ、本当にこの俺があんなポーズを取ってカカロットと合体したって言うのか…?」
「ほんまやで。なんならこの二人にもさせよか?」
はやてはなのはとフェイトの方を指して言った。
「え!?わ、私達も!?」
「仕方あらへんやろ、今はそれしか手がないんやから」
「ちっ…仕方ない、やってやる!」
「サンキューな、ベジータ」
「フン…」
そう言ってベジータはその場でポーズを取り、悟空も間を取ってポーズを取った。
しかし、そんなに都合よく待ってくれるはずも無く、怪人が二人に襲いかかってきた。
「ジャネンバアアアア!」
「そうはさせないぜー!」
すると、横から一人の少年が颯爽と現れ、怪人を蹴り飛ばした。
「お、おめえは…」
「パンパカパーン!ゴテンクス様だぜ〜!」
ゴテンクスと名乗る少年は両腕を斜め左に突き出したポーズを取って名乗った。
「あれ?悟天君とトランクス君は?」
フェイトは周りを見渡しながら二人を探した。
「悟天とトランクスがフュージョンしたのがあのゴテンクスだ」
「あ、そ、そうなんだ…それにしても、随分性格が変わるね…」
「あいつらが時間を稼いでいる間にやるぞ!」
「あ、ああ!」
再び、二人はポーズの構えを取った。
「「フュー…ジョン!はっ!」」
悟空とベジータはお互いに近付きながら左右対称に腕を回し、両端に腕を引っ張りながら片足を上げ、足を伸ばしながら両手の人差し指を突き出してお互いの指を合わせた。
その瞬間、二人の身体が眩い程に光を発し、金色のオーラが二人を包んだ。
「一応私達もやっとく?」
なのはがフェイトの方を見て言った。
「わ、私もアレをやるの!?」
フェイトは戸惑いながら言った。
「ええやないか。合体は三十分位で解けるんやし、あの怪物を倒すのには充分やろ。それに…」
「それに?」
「なのはちゃんとフェイトちゃんが合体すれば間違いなく最強の魔法少女が誕生するで!」
はやては目を輝かせながら言い、なのはとフェイトは同時にずっこけた。
「まあでも、二人が戦うんだし、私達も戦わない訳にも行かないからね。フェイトちゃん、フュージョンのポーズは覚えた?」
「うん、一応見てたよ」
「なら大丈夫だね。はやてちゃん、ブラちゃんをよろしくね」
「うん。目いっぱいやってくるんやで」
「うん!」
はやてはフェイトからブラを受け取り、フェイトとなのはは充分な間合いを取った。
「「フュー…ジョン!はっ!」」
なのはとフェイトも二人と同様にポーズを取り、指と指を合わせた。
その瞬間、二人を桜色のオーラが包み込み、金色の稲妻を迸らせながら二人は合体した。
「こんにゃろー!」
ゴテンクスは怪人に殴りかかるが、怪人はその攻撃を回避し、ゴテンクスを悟空達の元へ蹴り飛ばした。
「うわあー!」
飛んでくるゴテンクスを、一人の超サイヤ人が受け止めた。
「…?」
「今までよく頑張ったね、ゴテンクス。後は任せて」
別の女性がゴテンクスの頭をポンと撫で、超サイヤ人がゴテンクスを地面に降ろし、二人はキッと怪人を睨みつけた。
「俺は悟空でもベジータでもない。俺は…」
「私はなのはでもフェイトでもない。私は…」
「「貴様を倒すものだ!」」
二人は怪人の方を指さして宣言をした。
「まさか本物のゴジータを見れるとはなぁ…そして、こっちは…ナイト、ってとこやろか。それにしても凄い魔力を感じるで…」
はやてはなのはとフェイトが合体したナイトを見つめていた。
ゴジータとナイトの周りではオーラが金色と桜色に輝いており、凄まじいエネルギーが二人の身体を駆け巡っているのが肌で感じられた。
二人の服装はほとんど同じ、メタモル星人と言う宇宙人の服と同じで、ナイトの方にはインナーが着用されていた。
二人はコツコツと足音を鳴らしながら怪人に迫って行った。
怪人は剣を持ちながら二人に襲いかかった。
ゴジータは同様すること無く、怪人が回避するよりも先に打撃を当て、回避してもその先を読んで打撃を加えた。
怪人はまだ諦める様子は無く、再びゴジータに襲いかかった。
「全く、分からないやつだ…」
ゴジータは敵が動く前に早く拳を何発を打ち、怪人の頭部を蹴り飛ばした。
「これ以上はもう好き勝手やらせないよ…バインド」
ナイトは魔法で怪人の手足を封印し、身動きを取れなくした。
「こいつであの世に送ってやる!」
「もう二度とそんな悪さはさせない為にね!」
ゴジータは両手をかざしてエネルギーを溜め、ナイトは二本のデバイスを構えて魔法を収束し始めた。
「ビッグバン…!」
「サンダーライト…!」
そして、二人のエネルギーと魔法が同時に最大まで溜まり切った。
「かめはめ波ああああああ!」
「ブレイカァァァァ!」
ゴジータは青く大きいかめはめ波を、ナイトは稲妻が迸る桜色の魔法を同時に放った。
「ガ…ガァァァァッ!」
二人の砲撃は怪人に直撃し、大きな爆発を起こし、火の粉と光の粉が舞っていた。
爆発の後には何も残っておらず、全てを消し去っていた。
「おぉ…ごっつ綺麗やわ…」
「うん…」
ゴジータとナイトはゆっくりと歩いてこちらに戻ってきた。
そして、歩きながら二人は四人に戻った。
「どうやら、歴史の修正も一緒に出来たみたいやな。とにかく、終わってよかったわ」
「歴史の修正?なんだそりゃ」
「ああ…それは話すと長くなるんやけどな…」
はやて達三人は悟空達に今何が起こっているのかを話した。
「…つまり、おめえ達は、ねじ曲がっちまった歴史を元の正しい歴史に戻すってのをやってたんだな」
「道理で、ここ最近時の界王神が騒がしいと思ったら、そういう事だったのか」
「そうなんよ。まあでも、酷いことになる前に来れて良かったわ。ただ、あの二人にフュージョンを教えられんかったのが残念やったけど」
「あの二人?零と百合ってやつか?」
「そうや。あの二人が合体したら強くなれると思うんやけどなぁ」
「そんなもの、無理にさせんでもいい。あの二人なら、トレーニングを怠らん限り大丈夫だ」
「ああ、オラもそう思う。二人に伝えておいてくれよ」
「分かった。全部終わったらまた行くかもしれんしな」
「ああ、そん時には、また闘おうな。おめえ達も一緒に戦ってくれてあんがとな!おかげで助かったぞ」
悟空はなのはとフェイトの方を見て言った。
「いえ、私達も悟空さん達と肩を並べられて光栄でした」
「またいつか会いましょうね」
「ああ。約束だ」
悟空となのはは固い握手を交わした。
そして、はやては百合と零をデンライナーに入れ、再びデンライナーは走り出した。
「じゃーなー!」
悟空と悟天、トランクスは空を駆けるデンライナーに向かって手を振った。
なのはとフェイトも窓から身を乗り出して手を振り、やがてデンライナーは空の穴へと消えていった。
「ねえお父さん、あの人達強かった?」
悟天は悟空の方を見て言った。
「ああ、アイツら二人共すげえ才能を秘めてたんだ。またアイツらと会ったら闘ってみてえ」
「お父さんそんな事ばっかり言ってるとまたお母さんに怒られちゃうよ?」
「それもそうだな!はっはっはっはっ!」
すると、空の彼方から電車が走り込んできた。
「…む?」
「何だ?また電車か?」
デンライナーのベッドで、百合と零は目を覚ました。
「…んむ…ここは?」
「よう、起きたか」
「モモタロス…?」
「二人共ずっと寝てたんですよ」
「永夢くん…?」
「他の皆は?」
零は暗くなった車内を見回しながら言った。
「皆ならとっくに寝ちまったぜ。俺も眠いし、そろそろ寝るぜ」
「お二人も、早く寝てくださいね。早寝早起きが健康の秘訣ですから」
「ああ、はい。おやすみなさい」
モモタロスと永夢は自分達の寝室に戻り、それぞれ自分の布団に潜った。
「…結局、何しに行ったんだろうね、私達」
百合は苦笑いしながら言った。
「さあな。でも、超サイヤ人になれたのは良かったな」
「うん。どんどん強くなれそうだしね」
「ああ。並の敵なら一発かもな」
「ふふ、そうね。…それじゃあ、私達も寝ましょ?」
「おう。おやすみなさい」
「おやすみ」
百合と零は再び自分の布団に潜り、眠りについた。
デンライナーは次の世界を目指しながら時空を駆け抜けて行った。
今回はここまでです。
最近、あまり時間が取れなくて継ぎ接ぎで書いているので、もしかしたら凄くちぐはぐな文になっているかもしれませんが、そこはご愛嬌ってことで。
それではまた次回!
怪獣達よ、ごめんね!メンバーはちゃんと覚えてっから!
そしてなのはとフェイトのフュージョンはほぼ妄想だァー!