時空を駆ける二人の神   作:シャイニングピッグEX

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皆様、遅ばせながら明けましておめでとうございます。

今年も宜しく御願い致します。

それでは、本編どうぞ。


出来すぎた物語(後編)

「うわああああああ!」

 

 二人は同時に叫んだ。

 

 すると、窓を割って二人の足元にレールが敷かれ、そこにデンライナーが走り込み、男とファイエル達は腕で身を守り、デンライナーは二人を連れ去ってどこかへ走り去ってしまった。

 

 「くっ…チッ」

 

 男は悔しがって舌打ちをし、ファイエル達の幻影を消し去った。

 

 

 

 二人は無我夢中でお互いに剣で斬りかかった。

 

 「やめろ!二人共!」

 

 一人の男が血を滲ませながら二人の剣を素手で受け止め、二人の剣を奪って床に叩きつけた。

 

 「あ…あ…」

 

 零と百合はお互いと男を交互に見て、座りながら後ずさりした。

 

 「二人共落ち着いて!二人は幻なんかじゃない!」

 

 「………」

 

 しかし、二人は依然として怯えるままだった。

 

 「しっかりするんだ!」

 

 男は二人の肩を強く揺すった。

 

 「今二人がこんなところで折れてたら何も守れないよ!だから立って!」

 

 「……これも…これもきっと幻なんだ……」

 

 「………助けなんて来る筈がないわ…だって……もう決まってるんだもの……」

 

 「………いい加減にしろっ!」

 

 男は痺れを切らしたのか、二人を力強く拳で殴り飛ばした。

 

 「……!?」

 

 「……え…?」

 

 「俺は幻でも何でもない!二人も幻なんかじゃない!本当に俺が幻なら!その痛みも感じない筈だ!」

 

 男は血で真っ赤に染まった拳を握りしめながら言った。

 

 二人はゆっくりとお互いの方を向いた。

 

 二人の頬から男の血が滴り、床に落ちた。

 

 零は百合の頬を触り、男の血を手でゆっくりと拭った。

 

 「……ごめん……ごめん……」

 

 零は百合の顔に触れたまま、涙を流した。

 

 「……ううん…私も、ごめん」

 

 百合は零にゆっくりと抱きついた。

 

 百合の目にも涙が浮かんでいたが、その顔は優しい笑顔だった。

 

 「良かった、二人共元に戻って」

 

 男は二人を見ながら言った。

 

 「…そう言えば、貴方は?」

 

 百合は零から離れ、男の方を向いて言った。

 

 零も男の方を向いた。

 

 「俺は火野映司。ただの旅人だよ」

 

 「火野…映司さん」

 

 「火野映司…火野映司…あぁーっ!仮面ライダーオーズ!」

 

 百合は驚いた拍子で後ろにひっくり返った。

 

 「大丈夫?」

 

 映司と零は百合の腕を引っ張って百合の身体を起こした。

 

 「あいてて…なんとか。それで、なんで映司さんがデンライナーに?」

 

 「ああ、それは、リュウタロスくんが変な男に連れ去られて、どこかに追いかけられるような物が無いかと思って無我夢中で走ってたらこいつが走ってきて…それで、デンライナーからフードを被った二人組が降りてきて『これに乗ってリュウタロスを追いかけろ』って言われて、それで走ってる内に建物を見つけてね」

 

 「あそこに着いた、って訳か」

 

 「でも、どうしてリュウタロスくんよりも先に?」

 

 「どう見ても怪しそうな建物だったし、そこに行けば元の世界に戻れるかもしれないと思って、デンライナーごと入ってみたんだ」

 

 「そしたら偶然私達を連れ去る、って形になって助けられた、って訳ね」

 

 「映司さんが来てくれて本当に良かった…来なかったら今頃…」

 

 「とにかく今はその話は後にしよう。話が本当ならリュウタロス君達もここにいる筈だろうし」

 

 二人は頷き、映司は操縦席のバイクに跨った。

 

 そして、デンライナーはもう一度同じ世界に入り、零と百合は先ほどまで囚われていたであろう建物を窓から見た。

 

 建物と思っていたそれは、空に浮かぶ大きな城塞で、全身は真っ黒で殆ど色彩は無く、頂上に大きくワシのマークの大正製薬、ではなくショッカーを象徴するワシのマークの金の像が飾られていた。

 

 「なんてデカイ城だ…」

 

 「…今絶対ナレーションに遊ばれてた気がする…」

 

 零は頭に?を浮かべながら百合の方を向いた。

 

 「何でもないわ、気にしないで。…それにしても、あの城が敵の本拠地なのかしら?」

 

 「さあ…でも、あれは本拠地って言うよりは中間地点ってところじゃないか?」

 

 「なんで?」

 

 「うーん、なんて言うか、大きいっちゃ大きいんだけど、ボスがいるようには思えなくて。まあ、殆ど堪なんだけど」

 

 「アテにならないわねぇ…」

 

 「ま、あれが敵の本拠地で、あれをぶっ壊せば終わり、とも行かねえだろうしな」

 

 

 

 しばらく走っていると、遠くの方に十数人程の人々を手のひらに乗せたオーブを見つけた。

 

 「あっ!オーブ!」

 

 「それに皆もいるわ!」

 

 オーブもデンライナーに気付き、急停止した。

 

 「無事だったか、二人共」

 

 オーブはデンライナーの中にいる二人に言った。

 

 そして、オーブは光の球体となり、デンライナーの中に入った。

 

 球体は零と百合の前に降り、ガイを中心にモモタロス達がなだれ込んだ。

 

 「だっ…小僧!てめぇ重いんだよ!」

 

 モモタロスは上に乗ったリュウタロスを下から叩いた。

 

 「先輩も重いからね!?」

 

 「おっと、そいつは悪かった」

 

 「ほらもう早う立たな」

 

 一同はどうにかこうにかして立ち上がり、服に付いた埃や塵を払った。

 

 「それで、一体何があったんだ?」

 

 零と百合は敵から告げられた真実を包み隠すこと無く全てを話した。

 

 自分達の出生も、そして既に死んで生き返った事も話した。

 

 映司、オーズの事もみんなに紹介した。

 

 「そんな事が…」

 

 「造られた生命…」

 

 「決められた運命…か」

 

 「…ある意味、俺達は呪われた人生を歩んできたかもしれません。自分から命を断ち、簡単に神様になれて、色んな冒険もして、様々な力を手に入れて…」

 

 「自分から断たなくても病気で死んで…普通に考えれば選ばれた存在なんかじゃなかった…最初からそうなることが決まっていた…それだけのことだったのに…そして…今度は大事な人を手にかけるところだった…」

 

 二人の顔には哀愁が漂っていた。

 

 「決められた運命…ボク達も似たような感じだったよね」

 

 「ああ、俺達はそう命令されていたんだけどな」

 

 「まあ、それならやることは一つ、だよね」

 

 「ああ、今回は簡単な事や」

 

 「?」

 

 モモタロス達イマジンとオーナーとナオミ以外は首を傾げた。

 

 「簡単だぜ。ヤツらをぶっ倒しゃあいいんだよ!」

 

 「大体操ってる奴を倒せば後は自由だしね」

 

 「そうとなれば急ごうぜ。いつこの二人の運命が変えられるか分からねぇ」

 

 士は椅子に腰掛け足を投げ出して言った。

 

 「そうですね。急ぎましょう!」

 

 「運転は俺に任せな。映司、お前はその城までナビゲートしてくれ」

 

 「うん。少し不安だけど、やれるだけやってみるよ」

 

 「よし!信頼してるぜ」

 

 モモタロスはいつでも乗り込めるようにとベルトを装着し、電王ソードフォームに変身した。

 

 そして、電王はバイクに跨り、デンライナーは城に向かって走り始めた。

 

 映司は電王の肩に掴まり、ナビゲートを開始した。 

 

 「しかし、フードを被った二人組…か」

 

 「やっぱり気になる?」

 

 「せや。ディケイドの時も、オーズの時も、…恐らくオーブや電王の時にも来てるのかもしれへんな」

 

 「そのフードの二人組って何が目的なんだろうね?」

 

 「今はまだなんとも言えんな。私らが知らんところで敵にも協力してるかもしれんし」

 

 「…いつか会うときは注意しないとね」

 

 「そうだね…」

 

 なのは達が話していると、操縦室から映司が出てきた。

 

 「皆さん、そろそろあの城に着きます。戦闘準備を」

 

 それを聞いた一同は頷き、デバイスやベルトを握りしめた。

 

 「行くよ、アンク」

 

 映司はタカのコアメダルと、割れたタカのコアメダルを握りしめて言った。

 

 

 オーナーとナオミ以外の全員はデンライナーから降り、空中の城の門前の広場に立った。

 

 映司はオーズドライバーを、士はディケイドライバーを、イマジン達はデンオウベルトを、なのは達はデバイスを、永夢達ドクターと神はゲーマドライバーを腰に巻き、零と百合はヒーローボールに手をかけた。

 

 「変身!」

 

 『タカ!トラ!バッタ!タットッバッ!タトバ!タットッバッ!』

 

 「変身!」

 

 『カメンライド・ディケイド!』

 

 「へへっ、変身!」

 

 『GUN FORM』

 

 「いくよ、変身!」

 

 『ROD FORM』

 

 「いくでぇ、変身!」

 

 『AX FORM』

 

 「変身!」

 

 「やっぱりこれなんだね…変身」

 

 「行くわよ、スバル」

 

 「うん、ティア」

 

 「腰に巻く理由は何なんだ…」

 

 「気分なんじゃないですか?」

 

 「カッコイイからいーじゃん!」

 

 ユーリもそれに頷いた。

 

 「大変身!」

 

 『MIGHTY ACTION X!』

 

 「術式レベル2 」 

 

 『TADOLE QUEST!』

 

 「第弐戦術」

 

 『BANG BANG SHOOTING!』

 

 「二速」

 

 『BAKUSOU BYKE!』

 

 「グレードゼロ」

 

 『MIGHTY ACTION X!』

 

 「大変身!」

 

 『Get the glory in the chain. PERFECT PUZZLE!』

 

 映司はオーズ・タトバコンボへ、士はディケイドへ、イマジン達はそれぞれの電王のフォームへ、永夢はエグゼイドレベル2へ、飛彩はブレイブレベル2へ、大我はスナイプレベル2へ、貴利矢はレーザーターボレベル2へ、黎斗神はゲンムレベル0へ、パラドはパラドクスパズルゲーマーレベル50へと変身し、なのは達はそれぞれ衣装を身に纏った。

 

 「ガイ、お前は変身しないのか?」

 

 ソードがガイの方を向いて言った。

 

 「俺は後からオーブになってこの城を破壊します。それまではデンライナーで皆さんと共に戦いますよ」

 

 「へっ、なら俺達の援護は頼んだぜ」

 

 「ええ、後ろは任せてください」

 

 ガイとソードは互いの拳を突き合わせた。

 

 「よっしゃあ!じゃあ行くぜてめえら!死んでも死ぬんじゃねえぞ!」

 

 ソードが激励を飛ばし、一同は大きく叫んだ。

 

 「おーし!てめえら!行くぞ!地獄の果てまでついてこい!」

 

 そう言ってソードは城門を蹴破り、城の中に走って行った。

 

 それに続き、ライダー達や魔法使い達、そしてデンライナーが入った。

 

 そして、零も城の中に入ろうとした時、後ろで立ち止まっている百合に気付いた。

 

 「…どうした?」

 

 「…怖いの…戦うのが…」

 

 そう言う百合の体は少しこわばっていた。

 

 「心配すんな」

 

 零はそう言って震える百合の肩に手を置いた。

 

 「俺達はどんな困難も乗り越えてこれた。決して俺一人じゃ敵わない敵だって沢山いた。けれど、今こうして立っていられるのは他ならない百合がいたからさ。大丈夫、俺達はまた勝てるさ。下がりそうなら踏ん張れば良い。落ちそうになったら飛べばいい。いつもやって来た事だろ?俺達に不可能は無い。アイツの泣きっ面を拝んでやろうぜ」

 

 そう言って零は百合の前に立ち、拳を突き出した。

 

 「…どうしてこんなに安心出来るのか、それは私にも分かんない。けれど、今一番信頼出来るのは誰でもない貴方だけよ。私は全力で飛ばすから、貴方も全力でついて来てね」

 

 「上等だ」

 

 零と百合はニヤリと笑い、お互いの拳を突き合わせた。

 

 そして、二人は電王達を追いかけた。

 

 城の中では、既にライダー達が怪人達と戦っていた。

 

 「こっちだ!二人共!」

 

 上空から声がし、二人はその方を向いた。

 

 「デンライナーの上に乗れ!少し無茶かもしれぬが、振り落とされないようしがみつけ!」

 

 ディアーチェの声に従い、二人はデンライナーの上に飛び乗った。

 

 「二人共乗ったな。よし!突撃や!」

 

 なのは達魔法使いはデンライナーと共に上の階層へと向かった。

 

 

 「はぁぁぁッ!」

 

 オーズは腕のトラクローを展開し、怪人達を次々と切り裂いて行った。

 

 一人の怪人が鉄の棒で殴り掛かってきたが、素早く右腕で防ぎ、右脚で怪人を蹴り飛ばしたその勢いで体勢を変えて前転して前に立った怪人を両腕で切り裂いてメダルの山に変えた。

 

 『SCANNING CHARGE!』

 

 オーズはオースキャナーでメダルをもう一度スキャンし、高く飛び上がった。

 

 「ハァァァァァーッ!セイヤーーッ!!」

 

 オーズは怪人の群れの中に突っ込み、大きな爆発を起こして怪人達をメダルの山に変えた。

 

 「こいつらメダルだったのか…ありがたく使わせてもらうよ」

 

 その言葉と共に体内から三枚の紫のメダルがオーズドライバーにセットされ、タトバコンボのメダルは左にあるメダルケースに入った。

 

 そして、オーズがメダガブリューを掴むと同時にオースキャナーが動いてメダルをスキャンした。

 

 『プテラ!トリケラ!ティラノ!プートーティラーノザウルース!』

 

 「おおおおおっ!」

 

 オーズは雄叫びをあげ、乱暴にメダルを掴んでメダガブリューの中にセットしてメダガブリューに飲み込ませた。

 

 『ゴックン!』

 

 そして、オーズは残りの怪人達の方に駆け出した。

 

 「はぁぁぁぁぁぁああ!」

 

 『プートーティラーノヒッサーツ!』

 

 オーズはメダガブリューで残りの怪人達を薙ぎ払った。

 

 

 「へっ、おいでなすったな」

 

 電王達は過去に戦ったイマジン達と対峙した。

 

 「どうやら過去の世界から連れてきたみたいだけど」

 

 「今の俺達は一味も二味も違うでぇ!」

 

 「そんなやつら、全然怖くないよーだ!」

 

 「だが、一個だけ変わらないところがある。何か分かるか?」

 

 ソードは剣を肩にもたりかからせながら怪人達の方に指をさし、電王達の戦闘に立った。

 

 「俺達は最初から最後までクライマックスだってことだ!行くぞテメエら!」

 

 「おう!」

 

 電王達は一斉に駆け出し、イマジン達と戦いを始めた。

 

 「おりゃァ!」

 

 ソードは剣でイマジン達を次々と倒していき、前に飛んできたイマジンを縦に斬り、真っ二つにした。

 

 「フッ、俺!参上!」

 

 ソードがポーズを決めようとした瞬間、前にイマジンが割り込んだ。

 

 「決めポーズの邪魔するんじゃねえこの野郎!」

 

 ソードはそのイマジンの頭を叩き、背中を蹴飛ばした。

 

 「はぁっ!」

 

 ロッドはまるでモリで魚を突くように敵を突いて攻撃していた。

 

 「モリ突きならやっぱり慎重に狙った方がよく取れるよね。まあ、今はそんな事も言ってられないけど」

 

 ロッドは敵の攻撃を躱しながら隙を見て攻撃を加えた。

 

 「君達はどんな料理が好みかな?煮付けも捨て難いけど、刺身も悪くないんだよねぇ。どうせ食べれないけど。あっ、それなら鍋が良いかな?」

 

 そう言ってロッドは槍を敵に投げ、そこから大きく飛び上がって槍を刺した敵に飛び蹴りを食らわせた。

 

 「どうせ食べれないんなら、料理をしてもしなくても一緒だね」

 

 ロッドは指を首を傾げながら手のひらを水平にして肩の上まで上げた。

 

 「とりゃあ!」

 

 アックスは力技でイマジン達を圧倒していた。

 

 「まだまだ足りんでぇ!そらっ!」

 

 アックスは斧で一体のイマジンを縦に断ち切り、爆発させた。

 

 「もっとかかってこんかい!」

 

 

 「それそれ〜!バァン!」

 

 リュウタロスは銃でイマジン達を撃ち抜いていき、十体を同時に撃破した。

 

 そして、後から出てきたイマジン達の攻撃もブレイクダンスをしながら躱し、撃ち漏らしをすること無くイマジン達を撃破した。

 

 「まだまだ甘いね!」

 

 

 「はぁっ!」

 

 ディケイドは復活怪人達に囲まれ、ライドブッカーを手に取った。

 

 「どうした、早くかかってこい」

 

 ディケイドは挑発する様に言い、怪人達は一斉に飛びかかった。

 

 『アタックライド・インビジブル』

 

 ディケイドはインビジブルのカードを使って透明になり、怪人達の横を通って怪人達の後ろから姿を現した。

 

 「!!」

 

 「これに懲りたら少しは進歩するといいな」

 

 そう言いながらディケイドはベルトにカードをセットした。

 

 「キシャアアアッ!」

 

 すると、後ろの方から怪人が一匹飛びかかって来た。

 

 「進歩をしろと言っただろ」

 

 『ファイナルアタックライド・ディ・ディ・ディ・ディケイド!』

 

 ディケイドは大きく飛び上がって後ろからの怪人の攻撃を避け、下に居る怪人に飛び蹴りをしてそのまま前方に居る怪人達にも飛び蹴りをし、着地すると同時に怪人達は爆発した。

 

 「上手くやれよ…」

 

 そう言いながらディケイドは上の零達がいる方を向き、そしてカーテンの中へと消えていった。

 

 

 

 

 零達は城の最上階まで辿り着き、デンライナーから飛び降りた。

 

 「やあ、待っていたよ、神の子達よ」

 

 零達の前方には、例の男が立っていた。

 

 「何が神の子だ!ふざけたことを言いやがって!」

 

 「おやおや、やはり反抗期もあるんですねぇ」

 

 「アンタの子供になった覚えは無いわ。私の親は育ててくれた親だけよ」

 

 「だがそれは実の親ではない。貴様らを育てただけのただの人間だ。血など繋がってはいない」

 

 「血が繋がっていようがいまいが関係ねぇ!育ててくれた恩があるんだ!」

 

 「ならば私にも感謝してもらわなければなぁ?貴様らに生命を与え、身体を与えた私にも。それとも貴様らは恩を仇で返す様な人間なのかね?」

 

 「ああ。お前限定でな!」

 

 そう言って零は男に向かって駆け出し、殴り掛かった。

 

 しかし、その拳は止められ、男は零の腕を片腕で拘束したまま零の腹を強く蹴り、零の顎を蹴飛ばし、零は地面に倒れた。

 

 「ごほっ…!」

 

 「貴様らなんぞいつでも殺せるからな…転生したからなんだ、簡単に強くなったとでも言いたいのか?」

 

 そう言って男は零の頭を踏みつけた。

 

 「ぐああああ!」

 

 「人間もどきが勝てるものか。この人間以下のクズめが!」

 

 そう言って男は更に強く零の頭を踏みつけた。

 

 「やめろおおおお!」

 

 百合は男の顔に向かって蹴りを放った。

 

 だが、男は百合の足を掴み、強く地面に叩きつけた。

 

 「がはっ……!」 

 

 「人間でもないのに神の名を騙るとはな…醜いにも程がある」

 

 男は零を蹴り飛ばし、百合の腹を踏みつけた。

 

 「が……っ……」

 

 「内臓をぶちまけて死ねっ!」

 

 そう言って男は百合の腹から足をあげ、勢いよく足を下ろした。

 

 「はっ!」

 

 零は残りの力を振り絞って男にタックルし、男はその場に転び、その間に百合を抱えて後ろに下がった。

 

 「チッ…クズ風情が舐めたマネを…」

 

 「へっ、言ったろ、てめえ限定で恩を仇で返すってな」

 

 ガイ達は零達に加勢しようと零達の元に走った。

 

 零はそれを片腕を伸ばして止めた。

 

 「ごめん、ガイさん、なのはさん」

 

 「ここからは私達だけでやらせて。この運命と精一杯戦う私達を、見守ってて」

 

 「…分かった。絶対帰ってこいよ」

 

 「何があっても絶対に帰ってきてね…」

 

 零と百合は後ろを向き、親指を立てて合図した。

 

 「よし!いくか!」

 

 「変身!」

 

 「変身!」

 

 『METAMORPHOSE!EX-AID RIDER TYPE DOUBLE ACTION!』

 

 零と百合はエグゼイドのヒーローボールをスピンさせ、二人の零と百合に分身し、零達はオレンジのアーマーと水色のアーマーを纏い、百合達は黄緑色と紫色のアーマーを纏った。

 

 「お前は…アーク」

 

 「久しいな、零。こう言う形で戦えるとは、私も驚いた」

 

 「俺も驚いたぜ。…ま、宜しく頼むよ、相棒」

 

 「ああ、任せろ」

 

 零と零の姿になったアークはお互いの拳を突き合わせた。

 

 アークの姿は零と殆ど変わりないが、髪や目が全て銀色になっている。

 

 如何にもアークらしい。

 

 「アンタは…?」

 

 百合は水色のアーマーを纏った金色の百合の方を向いた。

 

 「俺か?俺はゴルカ。お前の中の鬼ってとこだな。っつっても、お前の悪い心とかそんなんじゃねえよ。アークの兄貴と同じようなもんだ。どうせなら本当の姿を見せたいんだけど、今はそうも言ってられなさそうだしな」

 

 「じ、じゃあ、この闘いが終わったら貴女の本当の姿を見せてね?」

 

 「おう。さっさとあんな奴倒しちまおうぜ」

 

 「その前に一個だけ聞いていい?」

 

 「?」

 

 「どうして私達は黄緑と紫なの?これじゃ仮面ライダーダブルよ?」

 

 「いいんだよ別に。どうせこっちもダブルアクションゲーマーなんだし、気にする事はねえよ。さてと、それじゃあ待たせるのも悪いから、さっさと行こうぜ!」

 

 そう言ってゴルカは男に向かった。

 

 それに続いてアークや零、百合も男に向かった。

 

 「良いだろう、私も本気を出してやる!」

 

 そう言って男も鎧を纏い、四人に向かって行った。

 

 「ライダァァァァ!キィーック!」

 

 ゴルカの力強い飛び蹴りが男の腹部に決まり、そこからゴルカは反撃の隙を与えないように連続蹴りをして最後に蹴った反動で後ろに下がり、馬跳びの馬の様に体勢を変え、百合がそれを利用してゴルカの背中に手をつき、男の顔を思いっきり殴り飛ばした。

 

 「ナイス!百合!」

 

 百合とゴルカはハイタッチをした。

 

 「ぬうっ!この程度!」

 

 「行くぞ、零!」

 

 「よし来た!」

 

 零とアークは男の放つ衝撃波を大きく飛んで躱し、空中でガシャコンブレイカーとガシャコンキースラッシャーを構えた。

 

 『RIDER FINISH!』

 

 アークと零は空中で剣にエネルギーを溜め、着地すると同時にX字の斬撃波を放った。

 

 『DOUBLE EX-AID CRITICAL SLASH!』

 

 「はぁー!」

 

 男も手から光線を放ち、斬撃波との押し合いになった。

 

 どちらも互角で進む様子は無い。

 

 「おっと、これで防げたなんて思わない方が良いぜ?」

 

 「何故ならこれはまだ半分のエネルギーだからな、まだ余っているのだ!はぁっ!」

 

 そう言ってアークと零はもう一度斬撃波を放ち、追い討ちをかけた。

 

 「ぬっ…く…ぐああああああ!」

 

 斬撃波が男に直撃し、鎧にX字の跡が残った。

 

 「この私をここまで追い詰めるとは…だが、まだ終わりではない!」

 

 そう言って男はカプセルを取り出し、ゼノ細胞を体内に取り込んだ。

 

 すると、男の体は一回り大きくなり、全身には武器と言う武器が生成され、触手等も生えてきた。

 

 「第二ラウンド、と言ったところか…」

 

 「そうこなくっちゃな、面白くなって来やがった」

 

 「ここからは完全な真剣勝負だ!行くぞ皆!」

 

 零の言葉で四人は一斉に飛び出した。

 

 零は触手を避けながら男の懐に入り、男の体から武器を一つ奪い取った。

 

 「だりゃあ!」

 

 零は奪い取った武器で男の身体に斬りつけた。

 

 しかし、ダメージは入っておらず、零に触手が迫った。

 

 「!!」

 

 「ライダァァァァ!パァーンチ!」

 

 ゴルカがエネルギーの溜まった拳で男の腹を殴り飛ばし、男は大きく吹っ飛ばされた。

 

 「たっ!」

 

 ゴルカは飛び上がって男を追いかけ、左右の拳を組んで男を地面に叩きつけた。

 

 そして、それを下にいた百合が両足で蹴り飛ばし、ゴルカが連撃で男にダメージを与えていき、最後に地面に向けて蹴り飛ばした。

 

 男は吹っ飛ばされる中ニヤリと笑い、触手を伸ばして四人の足を掴み、自分諸共地面に叩きつけた。

 

 「調子に乗るなよ蛆虫共…貴様らになんぞ殺される訳がない!」

 

 「それはこっちも同じだこの野郎…テメエみてえなクズ野郎に負ける訳にはいかねーんだ」

 

 「言ってくれるじゃないか…」

 

 「……!」

 

 

 

 ガイ達は静かにその様子を見守っていた。

 

 「な、なぁ、なのはちゃん、やっぱり私達も手伝った方がええんちゃうんか?」

 

 はやてはデバイスを握りながら言った。

 

 「それは…」

 

 「それはダメだよ、はやて」

 

 フェイトが優しくはやての手を抑えた。

 

 「どうして止めるんや、フェイトちゃん」

 

 「これはあの二人だけの闘いなんだよ。誰かに操られた運命じゃなくて、自分で運命を切り開くための闘いなんだ」

 

 「そうだ。だからこそ、俺達は仲間として、いや、仲間だからこそあの二人を見守らなきゃいけないんだ。俺達の手出しは無用だ」

 

 「そいつの言う通りだ、小鴉。少しでも我らが手を出してみろ、一生恨まれるかもしれぬぞ」

 

 「でも…」

 

 「でもじゃない。お前の安心する気持ちは我らも痛いほど分かる。だが、今は最後まで闘いを見守れ」

 

 「…分かった」

 

 

 

 「はぁぁぁぁ!」

 

 「だぁぁぁぁ!」

 

 零達と男は死力を尽くし殺し合いをしていた。

 

 血を吐き、腕や足の骨が折れようとお構い無しに攻撃を続ける。

 

 「ごぼっ!ぐっ…」

 

 零は口から滝の様に流れる血も気にすることなく一心不乱に男に攻撃を続ける。

 

 腕が折れたなら足で蹴り、、足も折れたなら頭で頭突きをする。

 

 それ程の死闘にも関わらず体は動き続ける。

 

 ゼノ細胞だからなのか、それとも人としてのプライドが身体を動かすのかは誰にも、零自身にも分からない。

 

 だが、今は絶対に負けられないと攻撃を続けるのみである。

 

 「たぁぁー!」

 

 ゴルカも、かなりの血を身体に付けていた。

 

 鬼とも言えどこれ程の死闘となれば腕の一本折れてもおかしくない程だ。

 

 男は普通の攻撃に加え武器を装備している。

 

 身体が切り刻まれようが、全身の骨が折れようが今は動くしかない。

 

 絶対に生きて帰るためにも、そして授かった生命を無駄にしたくない、その志は誰にも負けない。

 

 「はぁっ!」

 

 アークももうボロボロで、片目を閉じながら戦っており、銀色の髪も赤くなっていた。

 

 「まだ負ける訳にはいかないのだ…まだ…」

 

 アークは使い物にならない脚を引きずりながら男に向かって行った。

 

 例え足の骨が折れても敵に当てる事は出来る。それさえ出来れば充分だ。

 

 「はぁぁ!」

 

 百合もボロボロの状態で男に蹴りを食らわせていた。

 

 両腕さえ折れてもまだ脚が残っている。脚さえ残っていればまだダメージは与えられる。

 

 四人は後ろを振り向くことなく男にラッシュを食らわせ、大きく吹っ飛ばした。

 

 「俺が、俺達が運命を変えてみせる…百合の運命も…そして他の転生者の運命も…!」

 

 『RIDER FINISH!』

 

 四人は最後の力を振り絞りボールをスピンさせ、どこまでも高く、城を突き破り、雲を追越して空高く飛び上がった。

 

 『DOUBLE EX-AID CRITICAL STRIKE!』

 

 『MAXIMUM W DRIVE EXTREME!』

 

 「はぁぁぁ…!」

 

 「これで……最後だああああああ!」

 

 ゴルカと百合は両足で、アークと零は左右片方ずつで飛び蹴りをし、勢いとエネルギーをつけて男に当てた。

 

 「ぐおおおお…!私は…私はアアアアアアアアアア!」

 

 「はああああああああ!」

 

 四人のキックは男を貫き、零達が着地して立ち上がると同時に爆発した。

 

 「俺達の…勝ちだ…」

 

 零は男の方を向いてゆっくりと言い、その直後に倒れかかった。

 

 それを見たガイが急いで支えた。

 

 それに続いてなのは達もフラフラな百合達を支えた。

 

 「あ、み、皆…へへ」

 

 「…よく頑張った。お前達は運命に打ち勝った」

 

 「百合ちゃん達は誰よりも凄いことを成したんだよ」

 

 「そっか…良かった…」

 

 そう言って百合と零はヒーローボールをブレスの中にしまってアーマーを外し、ゴルカとアークも百合と零の中に戻って行った。

 

 「これで終わったと思うな…!」

 

 後ろから声がし、一同は振り向いた。

 

 「お前…まだ生きていたのか…!」

 

 男は穴の空いた身体を引きずりながらモニターのある席へと行き、キーボードを操作した。

 

 「どこまででも貴様らを呪ってくれる…貴様らを呪われた民族の身体へと変えてやる…!」

 

 「止めろ!」

 

 「ふ…ふふ…もう遅い…」

 

 すると、零と百合の身体に電撃が走った。

 

 「うああああああ!」

 

 「ああああああああ!」

 

 そして、数秒立った後に電撃は収まった。

 

 「い、一体何を…」

 

 「貴様らの細胞はサイヤ人へと変えた…終わりのない同胞探しでもしているがいい…」

 

 そう言って男は力尽き、椅子から転げ落ちた。

 

 「………神でもなくなった、か」

 

 「だけど、ちゃんとした人間の身体は手に入れたじゃない」

 

 「そう、だな」

 

 「さあ、戻ろう。ライダーの皆も迎えに行かないと」

 

 そう言って一同はデンライナーに乗り込み、下にいるライダー達を迎えに行った。

 

 下では、ライダー達がデンライナーの迎えを待ちぼうけてトランプで遊んでいた。

 

 「お、ようやく来たか、結構ながかったな」

 

 「それじゃあ、オーズ君も頑張ってね」

 

 「はい、俺はこれで」

 

 そう言ってオーズもディケイド同様のカーテンを出した。

 

 「あれ?お前もそれを出せんのか?」

 

 「あ、いや、出せるようにしてもらったんです。例のフードの二人組に。帰れるようにって」

 

 「ふーん、そうか。お前も頑張れよ!」

 

 「はい!」

 

 そう言ってオーズはカーテンの中に消えて行った。

 

 そして、デンライナーは電王達を連れ去り、城の外へ出た。

 

 「よく頑張ったな、お前ら。まずはしっかりケガを治せよ!」

 

 そう言ってモモタロスは零と百合の肩に手を置いた。

 

 「は〜い。あいてててて…」

 

 「お、おい、大丈夫か?」

 

 「大丈夫に見える?」

 

 「見えないです」

 

 零と百合の身体は殆ど包帯でぐるぐる巻きだった。

 

 「とりあえず、安静にしとくんだぞ。動いたりしたら承知しないからな」

 

 「は〜い」

 

 「それじゃあ、ガイ君、あの城を」

 

 「ああ」

 

 ガイはオーブカリバーを掲げ、光となってデンライナーの外でオーブとなった。

 

 「シュゥワッチ!」

 

 オーブは城を宇宙まで押し出し、光線で城を粉々にした。

 

 そして、光となってデンライナーの中へ戻った。

 

 「おっ、早かったなぁ」

 

 「すぐだっからな」

 

 

 

 「それじゃあ、さくらちゃん、ありがとね」

 

 「ええ、皆さんも頑張ってくださいね!」

 

 なのはとさくらは握手を交わした。

 

 「お前らの活躍をこっから見とるからな!こっちの世界は任せときや!」

 

 「結局今回ケロちゃんは何もしてないでしょ!」

 

 「そ、そんな事ないで!ほ、ほら、怪人と戦ったやろ!」

 

 「あれは戦ったとは言わないの!」

 

 「ふふふ。またね、さくらちゃん」

 

 「はい!」

 

 走っていくデンライナーをさくらは手を振りながら見守っていた。

 

 そして、デンライナーは空に空いた穴へ飛び込み、穴は閉じてしまった。

 

 「…寂しいか?さくら」

 

 「うん、それは寂しいけど…皆戦ってるんだから、私もそんな事言ってられないよ」

 

 「なら、俺は全力でサポートするで、さくら」

 

 「うん、宜しくね、ケロちゃん」

 

 さくらとケルベロスも帰路についた。

 

 

 

 

 

 「ショッカー二十世様」

 

 「どうした」

 

 「報告します。例の城がやられたそうです」

 

 「あの城がやられただと!?…これは我らも本気を出さねばなるまいな…」

 

 「これから一層忙しくなりそうだな、ショッカー二十世よ」

 

 「ああ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 




今回はここまでです。

テコ入れはどんどんやってくスタイル。

ちゃんとネタは募集してっから安心してくれ。

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