時空を駆ける二人の神   作:シャイニングピッグEX

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今回は少し良い話(風にしたい)

例のごとく前後編になるでしょうな


ともだち

デンライナーは境界を通り抜け、次の世界へと向かっていた。

 

 「お疲れ様です〜」

 

 「おう、悪いなナオミ」

 

 「おっ、すまんなナオミ」

 

 「ありがとね、ナオミちゃん」

 

 「いえいえ〜!」

 

 ナオミはモモタロスやディアーチェ、なのはにそれぞれオリジナルブレンドのコーヒーを渡した。

 

 「零も、元に戻れて良かったね」

 

 「うん、ありがとうウラタロス」

 

 「やっぱこっちの方が良いわね」

 

 後ろの方では、百合が大人に戻った零をぐるりと見ていた。

 

 ウラタロスは零の肩を叩きながらナオミからコーヒーを受け取ってすすった。

 

 「はい、どーぞ!」

 

 「ありがとうございます、ナオミさん」

 

 そう言って零はコーヒーを受け取った。

 

 「んもー!別に敬語は使わなくたっていいんですよー!」

 

 ナオミはふくれっ面になりながら言った。

 

 「ごめんごめん、どうにも慣れなくて」

 

 零は後頭部を掻きながら言った。

 

 「ねーねーキンちゃん、そのコーヒー何が入ってるの?」

 

 リュウタロスはキンタロスのコーヒーを覗き、上目遣いをしながら聞いた。

 

 「これか?何やろなぁ?…おっ、オレンジや。今日も美味しいで、ナオミ」

 

 キンタロスはナオミの方を見て手を振った。

 

 ナオミもそれに気付いて笑顔で手を振り返した。

 

 「リュウタのは何が入っとるんや?」

 

 「何だろう?…あっ!グレープだ!」

 

 「そっちも美味そうやなぁ」

 

 キンタロスはリュウタロスのカップを見て言った。

 

 「言えば作ってもらえるんじゃない?」

 

 「そうやな。まだ今度作ってもらおか」

 

 そう言ってキンタロスはカップをテーブルに置き、いびきをかいてソファーで寝始めた。

 

 「ブレイブはやっぱり甘い物しか食べれねえのか?」

 

 大我は飛彩の食べているケーキを見て言った。

 

 「いつでもオペが出来るように万全の体制を取っているだけだ」

 

 「フッ、大概にしとけよ」

 

 そう言って大我は角砂糖が五つ入ったカフェ・オ・レを飲んだ。

 

 「オタクも人のこと言えねーんじゃねーのか?」

 

 貴利矢は大我の方を見て言った。

 

 「今日はこれが飲みたかっただけだ」

 

 「そうですか、っと」

 

 貴利矢はそう言ってキンタロスの横に座った。

 

 「美味いなこのコーヒー!」

 

 パラドは自分のカップに入ったコーヒーを見ながらナオミに言った。

 

 「ありがとうございます。気合を入れて作りました!」

 

 「だろ?ナオミのコーヒーは世界一!いや、時間一美味いんだぜ」

 

 「……」

 

 「……」

 

 「センパイ、今のは結構サムイよ」

 

 ウラタロスが沈黙を破って口を開いた。

 

 「うるせー!言われなくても分かってたわ!」

 

 「それでオーナー、次は何の世界なんだ?」

 

 「次は…おや?どうやら人間がいらっしゃらない?」

 

 それを聞いて一同は一斉にコーヒーを吹き出した。

 

 「人間がいねえだと!?どう言う事だ!?」

 

 「正確には、滅んだ、と言う表現の方が正しいでしょう。人間がいた痕跡はかなり多く見られます」

 

 「建物とか、車はあるってこと?」

 

 「その通りです、ウラタロスくん。言葉で説明するよりは見てもらった方が早いでしょうが」

 

 デンライナーは時の空間を離れ、その世界に停車し、零達やモモタロス達はデンライナーから降車した。

 

 「ここがその世界?」

 

 零は周りを見渡して言った。

 

 周りには気や草が生い茂り、何年も手をつけられていないように感じる。

 

 「…人間がいない、ってのは確かみてえだな」

 

 「あっ!なんか看板があるよ!」

 

 リュウタロスは遠くの方に小さな看板を見つけ、一同はそこに駆け寄った。

 

 看板は色褪せ、もはや地図もボロボロだった。

 

 「J…a…ジャ…ジャパリパーク?」

 

 「変な名前やのう」

 

 「もしかしたら、そう言う名前の公園だったのかもね」

 

 「寂しいな、遊びに来る人がいないなんて…」

 

 「リュウタ…」

 

 「管理人は…う〜ん?苗字のとこが消えてやがんな…」

 

 「あっ、でも名前は残ってた。…たつきさん、って人が管理をしていたみたいだね」

 

 なのははモモタロスの横で「たつき」と書かれた名前を指さして言った。

 

 「凄いよこの人。清掃とか、餌やりも全てこの人がやってたみたい」

 

 フェイトは看板を見て言った。

 

 「じゃあ、なんでこんな事に…?」

 

 「もう少し歩いてみようよ。何か見つかるかもしれないし」

 

 ウラタロスに言われ、一同は歩き始めた。

 

 だが、リュウタロスは座って景色を見ていた。

 

 「リュウタ、行くよ」

 

 「…ごめん、カメちゃん、皆と先に行ってて。あとで追い付くからさ」

 

 「…ちゃんと後で来いよ、小僧」

 

 「……」

 

 モモタロス達は先に進み、リュウタロスは一人地面に座って誰もいない公園を眺めていた。

 

 「……」

 

 リュウタロスはヘッドホンに手を当て、音楽をかけた。

 

 『いーじゃん!いーじゃん!いーじゃん!すげーじゃん?!』

 

 リュウタロスはいつもの様に他人を操ってリュウタロスダンサーズを呼び出そうとしたが、誰も来なかった。

 

 「……」

 

 仕方なく、リュウタロスは一人で踊ることにした。

 

 何だかいつもより音楽が虚しく聞こえる。

 

 「…今はいいや」

 

 リュウタロスは音楽を止め、地べたに座り、寝転んだ。

 

 空は普通の世界と同じように青く晴れ、雲はゆっくりと流れている。

 

 「…誰もいないって、寂しいな」

 

 誰にも聞こえないような小さな声でリュウタロスは呟いた。

 

 「おい、お前、こんなとこで何してんだ?」

 

 すると、熊の被り物を被った女の子がリュウタロスの顔を覗き込んだ。

 

 「…わあああ!?」

 

 「うわあああ!?」

 

 リュウタロスは驚いて女の子から飛び退いてバランスを崩して転び、女の子もその叫び声に驚いて尻餅をついた。

 

 「……」

 

 「……」

 

 「……ぷっ」

 

 「あははははは!」

 

 二人は同時に吹き出し、腹を抱えて笑い転げた。

 

 「なっ、何驚いてるんだよ〜!あっはははは!待ってお腹痛い!あはっ、あははははは!」

 

 「そっ、そっちだって転んだじゃん!あははははは!」

 

 二人は少しの間ずっと笑い転げ、その後に何回か深呼吸をして落ち着いた。

 

 「ところで、お前どこから来たんだ?この辺りじゃ見ない顔だけど」

 

 「僕?僕は、時の列車に乗ってここに来たんだ」

 

 「とき?れっしゃ?…う〜ん、トキって、鳥のトキか?」

 

 「違うよ、時間の事」

 

 「ふ〜ん…お前、名前は?私はヒグマ」

 

 「僕はリュウタロス。よろしくね、ヒグマのおねーちゃん」

 

 「ああ、よろしくな、リュウタロス」

 

 そう言ってヒグマはリュウタロスと握手を交わした。

 

 「ここには君しかいないの?」

 

 「いや、他にも仲間はいるよ。…そうだ、リュウタロスにもあの人に会わせてあげよう。きっと驚くぞ」

 

 ヒグマは笑って言った。

 

 「そんなに驚く様な人なの?」

 

 「ああ!空も飛べるし、木登りも上手いし、それにりょうりもうまいんだ!」

 

 ヒグマは目を輝かせて言った。

 

 「へぇ〜!僕も会ってみたいな」

 

 「よし!じゃあ着いてこい!」

 

 ヒグマはリュウタロスを連れて仲間の元に向かった。

 

 「そう言えば、ヒグマが持ってるその棒は何?」

 

 リュウタロスはヒグマが担いでいる棒を見て言った。

 

 「これか?これは私の武器だ」

 

 「何かと戦う事もあるの?」

 

 「ああ。セルリアンって言って…全部話した方が早いな」

 

 ヒグマは道中、セルリアンやジャパリパーク、そしてかばんと呼ばれたヒトの活躍やフレンズについて色々話した。

 

 「とまあ、こんな感じだ」

 

 「かばんって人凄いね!僕にはとても出来ないや…」

 

 「別に出来なくたって大丈夫さ。お互い違うんだしさ、お互いに出来ることをすればいい」

 

 「そっか」

 

 「…っと、着いたな。キンシコウ、リカオン、客人だ」

 

 ヒグマはキンシコウとリカオンと呼ばれたフレンズに言った。

 

 「おかえり、ヒグマ」

 

 「…そちらは?」

 

 リカオンと呼ばれた白いネコ耳の様な物を生やした銀髪の女の子は、キンシコウと呼ばれたオレンジ色の水着の様な服を来た女の子の後ろに隠れて言った。

 

 「僕はリュウタロス。よろしくね、えっと…」

 

 「あっ、私がリカオンです…」

 

 「そこで言うんじゃなくて前に出て言いなさいよ」

 

 「は、はい…でも…」

 

 「でも?」

 

 ヒグマとキンシコウは声を合わせて言った。

 

 「…そ、その、顔が怖くて…」

 

 「ええっ!?ぼ、僕そんなに顔怖い!?」

 

 リュウタロスはヒグマとキンシコウの方を交互に見て言った。

 

 「…うーん、怖いか、と聞かれたら怖くない、とは言い切れないな」

 

 「私は平気ですけどね」

 

 「そっか…」

 

 リュウタロスは肩を落として言った。

 

 「そんなに落ち込まないでよ、リュウタロス」

 

 すると、キンシコウとリカオンの後ろから聞いたことのある声が聞こえた。

 

 「…!確か、映司!火野映司!」

 

 「久しぶりだね、リュウタロス」

 

 二人の後ろに歩いてきたのは火野映司と呼ばれる青年だった。

 

 「あれ、お前達知り合いだったのか?」

 

 ヒグマはリュウタロスと映司を見て言った。

 

 「うん、ちょっと前にね。それにしても驚いたなぁ、リュウタロスが来たなんて。他の皆は?」

 

 「モモタロスやカメちゃんの事?それならどっか歩き回ってるよ」

 

 「今は一緒にいないのか〜、まあいいや。リュウタロス、ちょっと手伝ってくれない?」

 

 「良いけど…何を?」

 

 「セルリアン退治。ここ最近多いみたいでさ…」

 

 

 




今回はここまでです。


次回も張り切っていくぞ!


後書きや前書きでしょーもないこと書きたい!

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