デンライナーが穴を潜って出てきたのは、宇宙空間だった。
「え!?宇宙なの!?」
フェイトが窓の外を見ながら言った。
「困りましたねぇ…デンライナーは良くても乗客の皆さんが」
「その割にはオーナー余裕だな!」
「百合、頼む!」
「はいよ!」
そう言って百合は能力で境界を操り、デンライナーの中だけ空気が入るようにした。
そして、ほとんどが大きく息を吐いた。
「悪いな、皆。てっきりそのまま行けるもんだと思ってたからさ、ごめん」
「失敗は誰にだってありますよ」
「そうだ。気にするでない」
ユーリとディアーチェがゼロをフォローした。
「ありがとう、二人共」
「次からは行く先がどんな場所か見ないとね」
「そうだな…えっと、坂田金時」
「おいバカやめろ!その名前で呼ぶな!」
「そう堅苦しくなるなよ、土井先生」
「誰が土井先生だこの野郎!」
「早く話を戻してください」
「おっと、そうだったな」
シュテルに言われてゼロは話を戻し、案内に戻った。
「今度ばかりは流石にフォロー出来ませんね」
永夢は苦笑いして言った。
「オーブ、怪獣墓場の場所は覚えてるよな?」
「はい」
「よし。オーブと俺でデンライナーを先導するから、皆はデンライナーで着いてきてくれ」
「承りました」
それを聞いてガイとゼロは頷き合い、ガイはオーブオリジンに変身して宇宙空間でゼロと巨大化した。
そして、オーブとゼロはデンライナーの左右斜め前を飛行し、飛行速度をデンライナーの走行速度に合わせて怪獣墓場へと向かった。
すると、その道中に数体の飛行怪獣がゼロ達に襲いかかった。
「ここは俺が引き受けます!ゼロさん達は先に!」
そう言ってオーブは怪獣達の方に向かった。
「オーブ、待って!」
零はウルトラマンのアーマーを装着して宇宙に飛び出し、オーブの元に一つのヒーローボールを向かって飛んだ。
「零、お前それ大丈夫なのか?」
「子供の姿だから今は飛ぶのが精一杯だけど、ほら、これ使って」
零はヒーローボールをオーブに、ガイに投げ渡した。
「これは?」
「それを掲げて!それで分身に戦わせれば大丈夫!」
ガイは言われるがままにヒーローボールを掲げた。
『MIX HEROES!ULTRAMAN ORB × OOO RIDER TYPE GATAKILIBA!』
ヒーローボールから光と同時に音声が流れ、オーブオリジンは五体に分身した。
「オーブが五体!?」
「すごーい!」
デンライナーの中でレヴィとユーリは夢の様な展開を見てはしゃいでいた。
「これで、どうすれば…」
「後はウルトラフュージョンカードを使って!」
「!!そういう事か!」
ガイはオーブリングを通して分身達にフュージョンカードを入れた。
すると、分身達は紫、黄、青、赤に光り、身体も変化し始めた。
『フュージョンアップ!』
『スペシウムゼぺリオン!』
『バーンマイト!』
『ハリケーンスラッシュ!』
『サンダーブレスター!』
「俺の名はオーブ。闇を照らして悪を討つ!」
「紅に燃えるぜ!」
「光を越えて、闇を斬る!」
「闇を抱いて光となる!」
分身達はオーブのフュージョンアップの形態に変化し、オーブオリジンの周りで構えを取った。
そして、分身達はオリジンの方を向いて頷いた。
オリジンも分身達の方を見て頷き、デンライナーの方に戻った。
「ゥルスアッ!」
スペシウムゼぺリオンは二体の怪獣を追いかけた。
ショッカーの手により改造された怪獣達は尻尾から火球をガトリング銃の様に連射した。
スペシウムゼぺリオンは身体を回転させて左右に躱しながらスペリオン光輪を二つ放ち、残りの火球を全て切り裂いて爆発させた。
「ストビュームバースト!」
バーンマイトは虫型の怪獣が生み出した子供怪獣達を太陽の如く巨大な火球で一掃した。
「シュアッ!」
そして、怪獣の胴体を掴み、手に炎を纏わせて子供を生み出す器官を拳で一突きして粉々に打ち砕き、怪獣は悲鳴をあげた。
「オーブスラッガー!」
ハリケーンスラッシュは二本のオーブスラッガーを飛ばし、ムササビの形をした怪獣の元に飛んだ。
オーブスラッガーは怪獣の横を掠め飛び、怪獣の後ろについ
た。
そして、ハリケーンスラッシュは腕をL字に組んで怪獣に光線を発射し、怪獣に背を向けた。
怪獣はその光線を躱し、オーブの元に突撃した。
その躱した光線は二つのオーブスラッガーに反射し、怪獣がオーブにぶつかる寸前に怪獣に直撃して小さな爆発を起こした。
そして、それと同時にオーブはオーブスラッガーを頭部に戻した。
「グルルゥアァ…!」
サンダーブレスターは怪獣が放つ雷光線にも怯まず手のひらで弾き、怪獣の元に近付いて怪獣の身体を掴み、大きく振り回して投げ飛ばし、ドロップキックで追い討ちをかけた。
そして、オーブ達は怪獣達を一箇所に集め、光線の準備を始めた。
「スペリオン光線!」
「ストビューム光線!」
「オーブスラッガーショット!」
「ゼットシウム光線!」
オーブ達は必殺光線を合体させて巨大な光線にし、光線は怪獣達に直撃、爆発四散した。
そして、オーブ達はフュージョンカードになり、ゼロ達と一緒に時間を超える空間に入ってオーブの元に戻った。
「お疲れさんです」
ガイは戻ってきたフュージョンカードに一礼をし、カードホルダーにしまった。
「お、おいウルトラマンロゼ!」
「ゼロだよセンパイ」
「ゼロ、時間は分かんのか!?」
「ああ、確かめなくても分かる!地球の年だと二千九年十一月十二日!」
「それって…!」
「確か、ウルトラマンベリアルが復活した…!」
「ああ、そうだ。恐らく、そこで歴史が変わったに違いない」
「早速行きましょう!」
デンライナーはその時間へ続く穴へ飛び込み、その時間の怪獣墓場へと出た。
「おいおい…何だよアレ!怪獣と宇宙人ばっかじゃねえか!」
怪獣墓場には、沢山の怪獣や宇宙人が合体した怪獣、ベリュドラがいた。
モモタロスはデンライナーの窓から外を見て驚きながり言った。
怪獣墓場にいたウルトラマンやその時間のウルトラマンゼロも酷く驚いていた。
「ゼロが…二人…?」
「それに、あのウルトラマンは一体…?」
レオやアストラもデンライナーと共に降りてくるオーブを見ていた。
「お前は…?」
「俺の名はオーブ。ウルトラマンオーブです。未来から来ました。こちらのゼロさんも同じように未来からです」
レオとアストラはオーブと未来から来たゼロを交互に見た。
「どうやら嘘ではみたいだな。頼む、あの怪獣を一緒に倒してくれ。ダイナも来たが、俺達ではとても歯が立たない」
「どう言う事だ?昔倒した筈だろ?」
「変な地球人が現れてあの怪獣に変な細胞を埋め込んだんだ」
過去のゼロがゼロに言った。
「未来から来た俺、ってのは本当に驚いたけど、今はそれどころじゃねえからな。頼むぜ、未来の俺」
「ヘヘッ、任せとけ」
ゼロは過去のゼロに親指を立てて言った。
すると、ベリュドラが光線を出して暴れ始めた。
「マズイな、俺達も行くぞ!」
デンライナーの中でモモタロスはイマジン達に言った。
「よし!」
「うん!」
「待っとったでぇ!」
イマジン達も電王に変身し、自分達の電車を出して乗り込んだ。
すると、墓場に止まっていた飛行船も浮上し、ベリュドラの元に向かった。
「行くぜ行くぜ行くぜええ!」
「こりゃあ大量だ。一体何体釣れるんだろう?」
「何体でも構わへん!」
「お前達は、僕達が倒すから!」
デンライナーの車両からもメカが飛び出し、デンライナーはベリュドラの周囲を回りながら光線で攻撃を始めた。
「行くぞオーブ!」
「はい!ゼロさん!」
オーブはエメリウムスラッガーにフュージョンアップし、ゼロと並んで立った。
「やっぱり良いなコレ。智勇双全!」
「光となりて!ゥルスアッ!」
オーブとゼロは縦に並び、ゼロはオーブの前でしゃがみ、二人は頭部のスラッガーに手をかけた。
「ファイブスラッガー!」
二人は合計五つのスラッガーを飛ばし、ベリュドラに攻撃した。
過去のゼロとレオは二人の合体技、レオゼロキックでダメージを与え、ウルトラマンも八つ裂き光輪で、ダイナもソルジェント光線でベリュドラにダメージを与えた。
「過去の俺!お前はプラズマスパークの元に!」
「!分かった!」
「ゼロ、お前はリトラやゴモラと共に行け!」
「おう!」
レオやゼロに言われ、過去のゼロはプラズマスパークの元に向かった。
「ね、ねえ、何で今のゼロが行かないの?」
なのははデンライナーの中から外の光景を眺めながら言った。
「過去のゼロが行かんと、歴史が直らへんねん」
「小鴉の言う通りだ。あくまで我らの目的は手助け。大切な所を持って行ってはいけない」
はやてやディアーチェに言われてなのはは納得したような、してないような顔をした。
「今のゼロが倒しちゃうと、歴史が変わって今のゼロがいなくなっちゃうんだよ。その結果、タイムパラドックス、矛盾が生まれちゃうんだ」
「そっかー。じゃあ過去のゼロじゃないとダメなんだね」
「そういう事や。ましてや初戦なんや。そこを変えたら、消えなくても今のゼロじゃなくなるで」
過去のゼロはプラズマスパークのコアに手をかざした。
すると、プラズマスパークは光を放ち、ゼロのゼロスラッガーを一つの巨大な刃に変えた。
「ハッ!」
ゼロは巨大な刃、ゼロツインソードを手に取り、ベリュドラの頭頂にいるベリアルに向かって行った。
「俺は死なん!何度でも蘇る!蘇ってみせる!」
「テメエもここまでだ!ベリアル!」
ゼロはゼロツインソードでプラズマスパークラッシュを放った。
「俺は…不滅だああああああ!」
ベリアルは断末魔をあげながら怪獣墓場の溶岩の中へ消えて行った。
そして、ベリュドラは巨大な爆発を起こし、怪獣達は再び眠りについた。
「おーい!オーブ!ゼロ!戻るぞ!」
モモタロスに言われ、オーブとゼロはデンライナーと共に時空間に入った。
そして、元の時間へと戻った。
ゼロ達はデンライナーと共に光の国に向かった。
「…!光が戻ってる…!」
「と言うことは…!」
「ああ!歴史が戻ったんだ!」
ゼロとオーブは抱き合って喜びあった。
「それじゃあな、皆」
ゼロはウルティメイトイージスを装着して言った。
「ゼロさんはどうするんです?」
「俺は別行動で色んな世界の歴史を直していく。また会おうぜ」
「ええ。お気を付けて」
「ああ。お前らもな。それじゃあな!」
そう言ってゼロは空間に穴を開け、どこかの世界に行ってしまった。
「うむ、順調に仲間も集まっておるな。これならば全ての世界を元に戻すのも早いだろう」
ディアーチェは窓からゼロを見送りながら言った。
「あ、そういや色々あって聞きそびれたんやけど、零君の若返り魔法っていつ切れるんや?」
「む?そうだな、後十日と言ったところか?」
「そんなにあるの…」
零は肩をがっくりと落としてため息をついた。
「そう気を落とすな、たまには子供の姿も良かろう。子供になれるのはこの先もう無いかもしれんのだぞ?」
「そう言う問題?」
「ま、こんな経験そうそうないんやし、楽しむのも一つやで」
「そう言うんなら…少しの間この子供の姿を楽しむとするか…はぁ…」
デンライナーは地球に向かい、次の世界へと走り出した。