苦手だけど頑張ります!
ウルトラマンX2周年おめでとうございます!
零と百合がデンライナーの客室に入ると、モモタロス達イマジン四人がパソコンを囲んでゲームをしていた。
「モモタロスさん、何やってるの?ガイさんやなのはさんは?」
「おう、冷コーと百合坊」
モモタロスが二人の方を見て手を振った。
「今パソコンでゲームしてるのー!」
リュウタロスが百合の方に駆け寄って言った。
「何のゲーム?」
リュウタロスと一緒に二人は画面を覗き込んだ。
そこには一人の少女が美術館の様なマップを歩いていた。
「謎解きホラーゲームだよ。シンプルなんだけど、意外と面白いんだ」
「これのベストエンディング目指してんだけどよぉ、何度やってもバッドエンディングになるんだよなぁ」
「モモタロスが下手なんだよ〜」
「なんだ小僧テメェ!…はクリアしてるか」
「さっさとクリアするんやなぁ、モモの字」
「クソー!だぁぁー!テメエは何でそんなに早く来るんだああああ!」
そう言ってモモタロスはパソコンの前で地団駄を踏み、それをイマジン達が慌てて取り押さえた。
「ガイさん達なら、銭湯に行きましたよ」
ウラタロスがモモタロスを抑えながら零達に言った。
「銭湯?」
「はいよ」
ガイははやてにラムネを渡した。
「ん。おおきに」
はやてはガイからラムネを受け取った。
「お、似合ってるなぁ。…で、なんだそのお面」
ガイは浴衣とたぬきのお面を付けたはやてを見て言った。
「うーん、やっぱびっくりせえへんかあ」
はやてはお面を外して言った。
「驚く人いるのか?」
そんな事を話していると、なのはとフェイトの二人も銭湯の中から浴衣を着て出てきた。
「お、来たな。…お前達もか」
二人も猫と狼のお面を被って出てきた。
「どーしても驚かんね、ガイさん」
「少しは驚くと思ったんだけどなぁ」
なのはは頬を掻きながら苦笑いをして言った。
「その根性には驚いたよ、全く」
ガイは帽子を深く被り直して言った。
「へえ…」
「私達はどうしてようかしら?」
「ガイさん達が来るまでやることないなあ」
『なら君達がゲームに入ればどうだい?』
「ん?」
突然デンライナー内に謎の声が響き、イマジン達と零達は同時に上を向いた。
すると次の瞬間、イマジン達と零達六人はパソコンの中に吸い込まれた。
「どわあああああ!」
「うわああああああ!」
「わーい!リアルゲームだー!」
「うむ…この吸い込まれる感覚、悪くないな…」
「そんなこと言ってる場合じゃああああ!」
「ないでしょおおおおお!」
「皆さん!」
オーナーはパソコンの画面を覗き込んだ。
パソコンの画面にはドットで描かれた一同の姿があった。
「あいたたた…」
「ここは…」
「あのゲームの美術館…」
「だね…」
イマジン達は立ち上がりながら周りを見渡して言った。
「いたたた…」
「一体何なのよもう…」
零達もイマジン達に手を貸して貰いながら立ち上がった。
すると、先程と同じ声が響き渡った。
『やあやあ、零くん、イマジン達』
「飯原ァ!テメェ何が目的だ!?」
『別に無いよ。君達がゲームで遊びたそうだったからもっと楽しめるようにしてあげただけさ』
「てんめぇ…!」
「それで?僕達が出るにはどうすれば良い訳?」
怒るモモタロスの代わりにウラタロスが聞いた。
『ゲームと同じ。その世界から抜け出せたらクリア。元の世界にも戻れるよ』
「やけに素直じゃないか。それともなにか裏でもあるのかい?」
「さあ、どうだろうね?でも、クリアしたら出れるって事は確かだ」
「…分かった」
『それじゃあ、ゲームを楽しみたまえ』
そう言って飯原の声は途絶えた。
「よーし、じゃあさっさとクリアしちまうか!」
「そうだね。ここでうろうろしててもしょうがないし」
「体感型ホラーゲームだー!」
そう言って一同は歩き出した。
「最初の絵…この絵空事の世界ってところに戻ってくればクリアなんだよね」
百合は横に長い絵を指さして言った。
「ああ。クリアまでの道のりは全部頭に入ってるぜ」
「なら大丈夫そうですね」
「そうやな」
「おーし!じゃあ行くぞお前ら!」
「おおー!」
そう言ってイマジン達は電王に変身した。
零と百合もヒーローボールをスピンさせてオーラを身にまとった。
『METAMORPHOSE!GENMU RIDER TYPE DANGEROUS ZOMBIE!』
『METAMORPHOSE!DECADE RIDER TYPE COMPLETE!』
零と百合は仮面ライダーディケイドコンプリートフォームと仮面ライダーゲンムゾンビゲーマーを象ったアーマーを装着した。
「私が神だァ!よって私達を閉じ込めた世界はタダでは済まさないィ!」
百合は腰を限界まで後ろに曲げて叫んだ。
「モモタロスさん、一応破壊されるのは今回だけの世界なんで大丈夫ですよ。さて、と、行きますか」
「おう!」
そう言って一同は美術館を歩き出した。
すると、窓からなにかがノックする音が聞こえた。
「入ってまーす」
ソードはまるでトイレに入っている時の様に答えた。
そして、その次には、咳をする男を描いた絵が咳をした。
「風邪なの?とりあえずこれ付けて」
ガンは絵の枠にマスクを引っ掛けた。
すると、一同は絵の具が天井から垂れているのに気付いた。
「全くもう、汚いなぁ…女の子に見られたら汚いって怒られちゃうよ」
そう言ってロッドはいつの間に用意したのか、掃除道具で絵の具を全て綺麗に落とした。
「おーい、カメ公!早く行くぞー」
「はいはい、ちょっと待ってて」
ロッドは零達を追いかけ、一回の巨大な絵の所に来た。
「こっからやな。もう少し人数が居れば心強いんやがなぁ」
「あ、なら出しましょうか?」
絵に写る笑顔の女性。
それは今か今かと零達を待っていた。
(さあ、早く来なさい…ゆっくりと、ゆっくりと私達の世界に誘ってあげるわ…!)
すると、扉が開いた。
(来た…!)
「よーし、着いた着いた」
「いやー、皆可愛いねぇ」
「ウィンダムさんそのメガネカッコイー!」
「リュウタロスさんもその銃カッコイイですよ!」
「本当?ありがとー!」
「何ここ?」
「知らない…」
総勢二十名以上の人数が女性の絵が飾られている部屋に入った。
(多くない!?多すぎないこれ!?)
その顔は笑顔だが内心物凄く焦っていた。
(ちょ、人数分のバラ足りないじゃない!え!?てか本当にどっから出てきたの!?)
「あ、鍵見ーっけ!」
ガンは絵の前に置かれた鍵を手に取った。
(あ、コラ!)
鍵を取った途端、女性の顔は鬼の様な形相に変わった。
(鍵を返しなさい!)
「うわあ何何!?」
「お前怖いから消すね!答えは聞いてない!」
そう言ってガンは銃を構え、女性の絵に向けてエネルギー弾を放った。
(え?それはなしじゃ───)
絵は跡形も無くなった。
「少しは答えを聞こうよ、リュウタ…」
「えー?いーじゃん、どーせ全部壊しちゃうんだしさー」
「そう言う問題…かなあ?」
ベムスターは首を傾げながら言った。
そして、部屋を出ると、いつの間に用意されていたのか、きちんと人数分バラが置かれていた。
「よく出来てんな、このゲーム」
そう言って一同はバラを回収し、一人ずつ回復させた。
「いいか?これが0になっちまったらおしまいだ。よく覚えておけよ」
「他の人に渡したりしてもダメだからね」
「はーい」
「分かったー!」
「分かりましたー!」
「リュウタはもう分かってるでしょ」
「えへへー」
「おら、行くぞ野郎共!」
「おおー!」
「ゾクゾクするねぇ」
「ガッツさん、それ色々危ないです」
少し進むと、小さなアリが自分の絵を見たいと言い出した。
「テメエの絵か?」
ソードはしゃがみこんでアリの方を見た。
「ぼくのえ みたい」
「しょうがねぇなあ。ちょっと待ってろ」
そう言ってソードは先に進んだ。
すると、歩いている最中数本の黒い手が邪魔をしに来た。
「邪魔なんだよ!どけ!俺の必殺技!part1! 」
そう言ってソードは黒い手を全部斬り裂いた。
「これ以上邪魔するんなら手加減はしねえぞ。いいな」
そう言って一同はアリを踏まない様に進み、ソードはアリの絵を回収してアリの方に戻った。
「ほらよ」
アリは満足したみたいだった。
そして、一同は先に進もうと扉に手を掛けると、鍵がかかっていた。
「チッ、めんどくせーな」
ソードはもう一つの扉を開けて入り、アリの絵を置いて空いていた穴を塞いで通った。
「お前らは落ちねえから安心しろ。それでも不安なら飛ぶなりして越えろ」
そう言ってソードはどんどん進み、怪獣たちや零達、電王達も後に着いて行った。
続いていた部屋の中には顔が無い像と鍵が置かれていた。
「おっと、そうだった。そういやこいつを拾えばお前は襲って来るんだったな」
そう言ってソードは無個性、首が無い像の首を叩いた。
「最も、俺らに勝てる自信があるんかどうかやな」
「そんなん、こうすりゃ分かんだろ!」
そう言ってソードは緑の鍵を拾い上げた。
それと同時に無個性の像が襲いかかってきた。
「ほお、俺とやろうっちゅうんかいな。ええ度胸や。けどな、相手は選ばなアカンで!」
そう言ってアックスはデンガッシャーを振り回し、無個性の像を破壊した。
「まだまだ足りんのう!」
そう言ってアックスは顎を持って顔を捻り、首の骨の音を鳴らした。
「じゃあ、先に進もうか。ごめんねー、先輩がマイペースで」
ロッドは怪獣達の方に手を合わせてお辞儀した。
「クリア出来るなら問題ないでしょうし」
「そうだな。だから気にする事はないし、またいつでも頼ってくれ」
ゼットンとゼットン星人が答えた。
「ありがとう。後で君達にはスペシャルブレンドのコーヒーを入れてあげよう」
一同は鍵を開けて先に進んだ。
すると、次は猫の顔の様な扉と共に魚の体の様な鍵穴を見つけた。
「猫だ!かわいー!」
「これはまた斬新な仕掛けだね」
「これは見ていて飽きないねぇ」
ゴモラとバキシムは鍵穴で遊び始めた。
「よし、じゃあ二手に別れて鍵を探そうぜ」
「確かに、その方が効率も良いしね。僕も賛成だ」
「それじゃあ、俺はイマジン達とこっちに行くよ」
零は左の扉を指さし、電王達と共に左の扉に入った。
「じゃあ、私と怪獣はこっちに行くわね」
百合は右の扉を指さし、怪獣たちと共に右の扉に入った。
「さてさて、ここは一体何の部屋だ?」
ソードは扉を開いて部屋の中に入った。
すると、文字が現れ、零達はその文字を読んだ。
「なになに…かくれんぼだぁ!?へっ、おもしれぇ」
「なにか方法でもあるの?」
「なに、簡単よ。全部ぶっ壊しゃ鍵が出てくるんだよ!」
「それじゃあ鍵ごと壊れるでしょ。リュウタ、お願い」
「よーし!バァン!」
ガンは誘導弾を七発撃ち、七つのパネルに着いたボタン全てを押した。
すると、一斉に仕掛けが動き、赤い手のひらやら色々飛び出た。
「すごーい!立体感満載だね!」
ガンがそういうと同時に魚の頭の形の鍵が出てきた。
「さてと、こいつを持って行くか」
零達は部屋を後にした。
「うーん、見つからないわねえ…」
百合と怪獣達は鍵らしきものを探していた。
「バードンさん、面倒だから焼き払ってよ」
「…そうですね」
そう言って百合は炎を吐き、魚の体の鍵以外を全て跡形も無く焼き払った。
「この私達を簡単に怖がらせられると思うなァ!」
「よく燃えなかったね」
「ゲームだから無くならないんでしょう」
「じゃあ、行こうか」
百合達は部屋を後にした。
そして、合流した零達は鍵を鍵穴にはめ、次の部屋へ入った。
「ここか…めんどくせえな」
「また手分けする?」
「いや、もう謎解き飽きてきた」
「は?」
「だから…」
そう言ってソードは唇の絵の前に来た。
「確かお前はリンゴがありゃあいいんだろ?」
「そうだ。リンゴを寄越せ」
「ほらよ」
そう言ってソードは絵にリンゴを放り投げた。
「おし、行くぞ」
「ええ〜…?そんなのアリなの?」
「クリアすりゃあいいんだよクリアすれば」
「それもそうだったね…」
一同はニヤリとほくそ笑んだ。
(さて、そろそろ奴らが来るが…ん?)
仕掛け達の耳に謎のバイクの音が響き渡った。
(なんだ?)
電王達はバイクで美術館を走り抜け、不良のようにパラリラパラリラと鳴らしながら美術館で破壊の限りを尽くした。
(うわあああなんだあれ!?)
(こいつら人間か!?)
「うるせー!俺たちゃ頭を使うより体を使う方が慣れてんだよォ!」
電王達は必要なアイテムを拾いながら破壊を続けた。
(あ、あれ、ぼくのくち、ふさがんない)
見ると、青い顔の絵はロッドのデンガッシャーがつっかえ棒になって塞がらなくなっており、ロッドは全員が通った所で爆発して絵ごと破壊して手元に戻した。
ボタンが置かれた迷路は一直線の広い道へと変わり、沢山の女性の絵はほぼ灰に変わった。
すると、道中ウルトラマンXを見つけた。
「Xさん?」
「君は…零君か!良かった!」
「Xさんも無事の様ですね。とりあえず、今はここを出ましょう!」
「ああ!」
「おーし!行こうぜX!」
「おう!」
Xも飛行して電王のバイクと並んだ。
そして、破壊を再開した。
「お、おい!こんなに破壊して大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ。どうせ謎解きゲームは飽きちゃったしね」
「どうせ害は無いんだ。むしろ壊しちまえ!」
「よ、ようし!」
こうなるともう誰も彼らは止められない。
「アタッカーX!」
XはX字型の炎で、マネキン像を何度も破壊した。
周りには火気厳禁などの注意書きがされていたが、無論お構い無しである。
「オラオラオラオラァ!行くぜ行くぜ行くぜぇ!」
「俺の強さにお前が泣いた!」
「答えは聞いてない!」
「ほらもっともっと足掻いて見せろォ!」
青い人形や女の子が書かれた絵、ただ残してあるとすれば味方の美術品や使える物位しか残されていない。
「ホラホラどうしたどうしたァ!」
一同は青い人形が沢山置かれている部屋に来た。
「ゼットン!」
「はあ!」
ゼットンは部屋をぶち抜く程の威力の火球を放ち、人形達を跡形も無く消滅させた。
「ヒャッハー!」
もはや彼らにブレーキは無いのだろう。
「いやぁ〜熱いったらありゃしねぇなぁ?」
「そうですねぇ〜」
こころなしかゼットンも笑っていた。
そして、変なガスも無視し、先へと進んだ。
すると、メアリーと呼ばれる少女が現れた。
しかし、電王達はその正体を知っている。
バイクを走らせて彼女の絵を見つけ、すぐ様燃やした。
手加減など無用なのである。
「クリアすればもうなんだっていいんだよ!」
そして、おもちゃ箱の空間も抜け、一同は絵空事の世界の絵の前に来た。
「はぁー、楽しかった楽しかった」
「じゃあ、帰ろうか」
「そーしよー!」
「久しぶりに暴れたのう」
一同は他愛ない会話をしながら絵に飛び込み、現実世界へ戻ってきた。
「おや、随分お早いお帰りですね。ところで、その方は?」
オーナーはウルトラマンXの方を指さして言った。
「私はウルトラマンX。私も飯原と言う奴にこのゲームの世界に入れられていたんだ」
「一応お前は絵の中の奴じゃないよな?」
「それだったらとっくにやられているだろう」
「それもそうだね」
ウラタロスはゼットンとゼットン星人にコーヒーを入れながら言った。
「しかし、たまにはこんな風に遊ぶのもいいものだな」
「ゲームだからな。遊んでナンボだぜ、X」
「そうだな。…って誰だお前は!?」
Xは電王から戻ったモモタロスに驚いてソファーに倒れ込んだ。
「さっきのヒーローだよさっきの!先にいたのは俺達なんだからな!?」
「な、なんだ…」
「ったくよ…」
Xはモモタロスの手を借りて立ち上がった。
すると、デンライナーのドアが開き、ガイ達が戻ってきた。
「ただいま〜…ってXさん!?」
ガイはXを見て驚いた。
「何何!?またウルトラマン!?」
「何か凄い近未来なウルトラマンやん!」
そう言ってなのはとはやてはXの身体を触り始めた。
「あの二人は…全く…」
「先輩に会う度こうなりそうだな」
「そうですね」
フェイトとガイは笑いながら言った。
「何でもいいが早く助けてくれ〜!」
今回はここまでです。
Xさんかなりハッチャケてたなぁ。
そして何気に怪獣達初登場。
次回は真面目にやります。
それではまた次回!