Muv-Luv LL -二つの錆びた白銀-   作:ほんだ

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慢心の計策 01/12/23

 ユーコン基地の一角、プロミネンス計画の西側諸国の部隊に割り当てられている区画、そのなかでもアルゴス小隊やフェアリー小隊の近くに、JASRAの臨時事務室は宛がわれていた。

 このような場所に事務室を構えたのは、ターニャ個人の移動時間を最低限にしたいという思惑も少なからず影響はしているが、なによりも警護の関係からフェアリー小隊から大きく離れることは難しい。

 

 とはいえこのユーコンで処理せねばならぬ案件は、JASRAの全業務からすれば極一部だ。それもあってこの場で直接作業に当たるJASRA局員は、ターニャの現状を知る極僅かな者たちに限定されており、数も少ない。戦術機開発に携わる他部署に比較すれば、局長代理たるウォーケンの執務室といった程度の規模に収まっている。

 

 

 

 JASRAは「国連軍統合代替戦略研究機関」との名の通りに国連軍に関するとはいえ、軍組織ではなくあくまで調査・研究機関である。

 その一環として戦術機開発などにも関与する報告書などは上げてはいるが、それはあくまで戦略論に留まる。プロミネンス計画で求められているような、機種ごとの細かな要求仕様などを提示するようなことはない。

 

 つまり本来ならば、JASRAがこのユーコン基地に小なりと言えど事務スペースなど設置する必要などない。

 そもそもがJASRAからプロミネンス計画へと直接何かを提示することもあり得ない。JASRAから安保理に上げられた報告が、プロミネンス計画に関与すると判断された場合にのみ、あらためて何らかの通知が渡される程度の関係でしかなかった。

 

 それが今回に限っては、数は少ないとはいえ主要局員を連れてきてわざわざ事務室まで確保している。XM-OSの開発・運用にJASRAが第四計画に協力している、という形を取っていることもあるが、ターニャが直接ユーコンに来ることを望んだ結果であった。

 

 

 

「ふむ。一応は、片が付いた……と言えなくはないか」

 そのJASRA用の事務室、表向きにはウォーケンのために用意されたデスクで、ターニャは溜まっていた書類を処理していた。

 

 対外的には療養中という事で、ウォーケンを局長代理という形にはしているものの、ターニャ自身が直接処理しなければならない案件はやはりそれなりの数になる。常日頃からある程度はCP将校の任と並行して手を付けていたものの、それでもどうしても溜まっていくものはある。

 

「お疲れではありませんか、局長?」

「なに。貴様らが纏めてくれていた分、かなり楽ができていると言える程だ。これならばクリスマスには家に帰れる……というものだな」

 

 気遣ってくるウォーケンに対し、使い古された前線での冗談を口にできるほどには、執務も進んでいる。実際のところ、今日はフェアリー小隊の実働試験がないため丸一日書類整理に費やすつもりだったが、午後を少し過ぎたあたりで終わりが見えた。

 

 なによりも、プロミネンス計画はほぼ潰した。

 合衆国からの喀什攻略への戦力提供もほぼ通っている。

 いくつか些事は残っているとはいえ、このユーコンでなすべきことはもはや残り少ない。

 

 アラスカがソ連に租借され、このユーコン基地は国連軍に貸与されているとはいえ、ここは合衆国である。自身の執務室とは言い難いが、それでも南米産の好みの豆で一杯淹れるくらいの贅沢は許されるべきだった。

 

 

 

 

 

 

「ですがハルトウィック大佐の辞任は確実となったとはいえ、キリスト教恭順派どころか、RLFとの関連も見つけられなかったとか?」

「さすがにその辺りは痕跡も残しておらんだろう。が、もう少しばかり揺さぶって、暴発させてしまったも良かったやもしれんな」

 

 ターニャの知る「原作」においては、今年の秋口にはこのユーコン基地で大規模なテロが発生した。その際に、ハルトウィックは難民解放戦線やキリスト教恭順派と協力関係にあったはずだ。

 今のこの世界では状況が変わっているとはいえ、国土を失った軍人として、対BETA戦に全力を傾けない合衆国には思うところがあることは間違いない。

 

 ペトロパブロフスク・カムチャツキー基地での実戦運用試験に対し、反対する姿勢も示していなかったところを見るに、西ドイツ軍人でありながらも東側とも通じていることは間違いない。

 

 テロリストとも、何らかの形で連絡を取り合っていたことは、ほぼ確実だ。

 

「ああ……いや、今のままに泳がせて、西ドイツ側で調査してもらうほうが、尻尾を掴みやすいか」

「そうでしょうな。ユーコンでのテロを画策していたとはいえ、ここで接触していたような者たちは末端でしょう」

「まあ我らの手は離れたな。終わった話ではある」

 

 ハルトウィック本人からは得られずとも、その副官を尋問できればなんらかの情報は得られたかもしれないが、無理をするほどないとターニャは考え直す。

 諜報戦は畑違いな上に、西ドイツの疎開地は遠い。やるならば相手の中枢に近しい場所で仕掛けるべきだろうし、いまターニャが直接介入しなければならない案件でもない。

 

 

 

「終わったといえばイーダル小隊もですが、接収のほうは楽だったとはいえ、少々残念でしたな」

 ウォーケンが言うとおり、イーダル小隊の設備は、戦術機を除きそのほぼすべてを、第四計画へと移譲することが決定された。ハルトウィックの辞任の噂を流し、その後に合衆国からのXM-OSの提供をチラつかしただけで、ソ連はイーダル小隊を斬り捨てたのだ。

 

「コミーらしからぬまともな判断に、迅速な対応だったな。いや、むしろもっともコミーどもらしい、と言えるな」

 ソ連内部でどのようなやり取りが行われたのかに思い至り、ターニャはクツクツと哂う。

 

 もともと価値を見出していなかったのか、いつまで経ってもまともな実績を上げてこずそして数が揃えられるかどうか怪しまれる計画など、新型OSの供給と比較できるものではないという真っ当な判断だ。

 それも、すでに第三で失敗したと判断されたESP発現体の流用計画だ。党首脳部どころか、導入を検討している者たちもどれほど真剣に捉えているかすら疑問がある。

 

 プロミネンス計画という形で国連から資金も場所も提供されたからこそ進められた開発プランでしかなく、より手軽でかつ実績を示した代案があるならばそちらを選ぶの正しい。

 

 

 

「フェアリー小隊がラプターを打ち破ったのが、よほど衝撃だったということか」

「元々連邦と帝国とは戦術機運用の理念が近しいですからな。あの動きを見せられれば導入しないという判断は不可能でしょう」

「フェアリー小隊のあ奴らにこそクリスマス休暇を与えるべきかね? 帝国軍人がクリスマスの習慣を知っているとは思えんが」

 

 対BETA戦での有用性だけでなく、非ステルス機であれステルス機に匹敵した対人類戦力となるとならば、ソ連が導入に意欲を示すのも当然だ。

 シベリアに展開している部隊ならばXM1どころか刷新せずに済ませる可能性もあるが、アラスカを守護する部隊にはXM3を早急に用意させようとするのは、ソ連としては自然な動きだ。

 そこを怠った場合、ソビエト軍人としては文字通りの意味で生死にかかわる。

 

 開発主任などは少しばかり騒いでいたようだが、あの国のことだ。静かにさせる方法などいくらでもあろう。

 

 

 

「ただ、たしかに数は少ないな。よくて中隊規模、か。少しばかり期待していたが、致し方あるまい」

 

 イーダルで「生産」されていたESP発現体の数はさほど多くなかった。一個大隊は無理にしても二個中隊くらいはと願望半分に期待していたが、横浜に送ってからの各種検査結果待ちだが、まともに使えるのは10体以下の可能性もある。

 

「計画継承上の手続きを徹底する以上の価値はなかったやも知れぬな」

「ですがこれで第五推進派もある程度は納得することでしょう」

 

 第三計画の物はすべからず第四が継続・接収しなければならないという「契約」を盾に、イーダル及びその関連設備を丸ごと接収した形だが、これをJASRAの介入で正しく履行されたという実績は大きい。

 

 第四計画が破棄された場合、継続たる第五計画に対し、秘密主義の夕呼がどれだけ正しく知りえた情報を提出するかどうかが怪しまれているのだ。

 かつてソ連が提出しなかった機材や情報などを、遅くなったとはいえ第四へと移行させたという今回の実例が、第五への説得材料にもなる。

 

 

 

 

 

 

「しかし疲れているという意味では、貴様の方が顔色が悪いぞ? クリスマス休暇も返上したというが、良かったのかね?」

「ははっ、ここから帰省しようとなると、少々時間がかかりすぎますから」

 

 まだ書類は残ってはいるが、あとは軽く目を通すだけの程度のものだ。休む余裕程度はあるとターニャはコーヒーを淹れるために立ち上がり、話を変える。

 

 ウォーケンも切り替えたのか軽く笑って答えるが、たしかにこのユーコン基地から東海岸へ向かおうとするとかなりの時間がかかる。一度アンカレッジに出る必要もあり、定期便に便乗できたとして、そしてたとえ乗り継ぎが良くても少なくとも半日程度は見ておかねばならない。

 

「それに妻や息子の顔は見たいとはいえ、今帰りますと休暇はいえ要らぬ付き合いに巻き込まれそうで……」

 笑いで誤魔化してはいるが、ウォーケンの立場も微妙なところがある。

 

 ウォーケンは軍人ではあるが、順調な出世を重ねており、すでに佐官だ。一般の将校であっても政治に関わってくる立場になる。

 

 それがJASRAへの出向の形で局長補佐官となり、加えて今はターニャが表向きは負傷療養中ということもあり、局長代行だ。ターニャの局長退任後、JASRAがどういう形になるかはいまだ不透明だが、場合によってはウォーケンの役職から代理の文字が無くなる可能性もある。

 またJASRAへの出向が終わった後にはターニャの影響下で軍政に進むのではないかとも目されているが、ウォーケン自身の意向はどうであれ父親が現職の上院議員という出自もあり早期退官後に政界へとという声もあるらしい。

 

 今もなお衛士としての訓練は続けてはいるが、残念ながら前線指揮官として大隊を率いる機会はもう無いものと、本人も自覚しているはずだ。

 

 

 

「貴様が先の申し出を素直に受け取っていれば、ある程度の問題は解消できたのではないか?」

「プロミネンス計画の次の責任者、その副官でありましたか……」

 

 ハルトウィックが計画責任者を辞任、あるいは更迭されることはもはや確定事項だ。その後任は、アフリカ連合軍から誰か大佐級の者を一人計画総責任者に飾り立てておく方向で話は進んでいる。おそらくはフランスの息がかかった形で、モロッコ軍から選ばれることになるはずだ。

 だがそれはあくまで形だけの責任者であり、帝国と合衆国から佐官をそれぞれ一人ずつ実務レベルのトップに据える。そして合衆国からはウォーケンを中佐に昇進させてという形で話は進みつつあった。

 

 ただ本人の意向を問いただしたところウォーケンが断ったので、合衆国側の人事は今は未定のままだ。

 

 

 

 「先進戦術機技術開発計画」としてのプロミネンス計画はほぼ解体されつつあり、ハルトウィックも実質的に更迭が確定したとはいえ、計画そのものはまだ残っている。

 なによりもXM3に合わせた衛士育成プログラムと、戦術機のセッティングなどにおいて、各国間の情報・技術交換を主目的とした国際共同計画たるプロミネンス計画の概略は、まだまだ使い道があるのだ。

 

 その上でソビエト他、東側諸国にはまずはXM2までの習熟という形で、機動データの提出を強要する。拒否するようであれば、そもそもOSや基地設備の提供をしない。

 

「国際協力というお題目は守るためにも、最高責任者とその下に付く者たちの国籍は分けておきたいところなのだがね。衛士育成を主目的とする方向に計画を変えるとすればなおさらだ」

「西ドイツ軍が計画中枢を占めている現状は、たしかにあまり褒められた形ではありませんな」

 

 現在も一応はジョージ・プレストン合衆国陸軍准将がユーコン基地司令としては、ハルトウィックの上にいるが、それでも計画とは切り離されおり、あくまでユーコン基地内での権限に留まる。いままでもある程度はハルトウィックの暴走を抑えていたようだが、それでも基地を出られるとどうしようもなかった。

 

 

 

「あとはその上で、計画への継続参加を問うというわけですか」

「強制すべきことではあるまい? 国際協力だぞ? あくまで参加するかどうかは各国の判断に委ねるべきであろう」

 

 参加しないならそれはそれで良いと、ターニャは愉しげに嗤う。

 

 今のプロミネンス計画も、当たり前ではあるが国連加盟国すべてが参加しているわけではない。門戸は開いているというポーズを取ることが重要なのであって、実質的に特定国家を排除する形になったとしても非難されこそすれ実害は薄い。

 

 前線国家において、今後XMシリーズのOS搭載を拒絶するという選択は困難だ。たとえ類似のコピーOSを組み上げて帝国製のXM-OSを使わないとしても、その運用方針を学ぶためには、実戦を繰り返すかあるいは他国に教えを乞う形になる。

 

 ユーコンを利用することが最もコスト面で優位に立つことが予想され、それに参加しないのであれば、ただ自国の衛士の質を相対的に下げていくだけだ。

 対人類戦を見据えて合衆国から距離を取ることは、あまりに失うものが大きすぎる。

 

 

 

「しかしながら、自分がプロミネンス計画へと移籍した場合、その時は自分の後任人事で、各方面に多大な影響が出るかと」

「む……たしかにそちらの問題もあるか」

 

 ターニャ自らが淹れたコーヒーを受け取り。ウォーケンが話を戻した。

 ウォーケンがあらためてプロミネンス計画に合衆国陸軍から参画すれば、たしかに彼自身のキャリアとしては、それなりに問題は解決される。逆に、ウォーケンが抜けた後のJASRAに関する人事が再燃する。

 

 ――『アレの副官は、長生きできないし心を病む。』

 

 JASRA局長副官とは、そのように評された役職だ。

 かつてのジョン・ウォーケン、そして今のアルフレッド・ウォーケンが例外的に対応できているだけであり、局内から希望者を募ったとしても、誰も手を上げないであろうことくらいはさすがにターニャも理解はしている。

 

 

 

 さらに現在は「ターシャ・ティクレティウス」としての偽装身分の関係で、ターニャ自身がJASRA局長を続けることは難しい。療養を言い訳に、ウォーケンを局長代行に据えて誤魔化しているのが現状だ。

 これでウォーケンが退任してしまえば、JASRAのトップに空きができてしまう。

 

「それにJASRA局長の席は、香月大佐にお譲りする意向では?」

「その可能性が一番高いが、それこれ次の作戦の成否次第だな」

 

 近い将来、JASRAの局長は誰かに譲らねばならない。

 ターニャ自身は権力そのものには執着はないが、その地位がもたらす権限は必要だ。今後も続く対BETA戦を鑑みれば、ある程度人類全体の戦略を左右できる地位には残っておきたい。

 外見と偽装身分の関係でいましばらくは表に出ることが難しいが、その間はこれまで築き上げてきた人脈を使うことだけでは乗り切れない可能性も高い。そのためにもある程度はターニャの意向で制御できる者を後任に据えておきたい。

 

 

 

「喀什攻略の成否に関わらず、来年度中には第四計画は解散される。いや、オルタネイティブ計画全体が解散の可能性が高い。場合によってはJASRAが第四を吸収する形になるやもしれん」

 

 対BETA諜報という第四の目的は、ターニャと武との他世界線の知識という形で達成されている。諜報員育成としての00ユニット作成自体は達成の見込みがないとはいえ、情報自体は入手出来ているので問題はない。

 

 情報に入手経路が問題ではあるが、それも喀什攻略に成功すれば偽装の方法はいくらでもある。ESP発現体を用いた第三もそうではあるが、BETAとのコミュニケーションを客観視できる方法が極めて限定されているからだ。

 

 そして喀什攻略の結果如何によっては、「あ号標的」以外に地球上には重頭脳級が存在しないので、調査手段に関わらずBETAとのコミュニケーションを模索するオルタネイティブ計画自体を月奪還あるいは火星侵攻以降へと延期する可能性もある。

 

 

 

(先の世界線では、なぜか最後の最後で『桜花作戦』は失敗した。今回は業腹ではあるが、代替計画も予定されている。喀什は間違いなく堕ちる)

 

 G弾頼りというのが気にくわないが、合衆国から提示された代替案たる『フラガラッハ作戦』は極めて成功率が高い。いや成功するまで現有するG弾を投射し続けるといった方が近しい計画だ。

 『バビロン作戦』のようなユーラシア全域への一斉同時攻撃などではない。喀什のみに集中した攻略作戦である。

 

 合衆国はこの際に、オリジナル・ハイヴを確実に排除する方向へと動き始めている。

 ターニャの意向もいくらかは影響を与えただろうが、第四の作戦をカバーにして、合衆国は確実に喀什と墜とし、そこに貯蔵されているG元素などを含む各種BETA由来技術を専有する心積もりだ。

 

 軌道降下以外で接近する手段がない現状、一度占拠してしまえば、調査も開発も妨害される要因がほぼ無い。ユーラシアに広がるハイヴがある限り、喀什は逆説的に合衆国以外の諸国から守られているのだ。

 

 

 

 喀什はどうあれ堕ちると考え、そこに思い至ると、ウォーケンがJASRAに残ろうとする意図も読めてくる。

 

(ああ……キャリア・プランという面では、成否はともかく、今JASRAから離れることは悪手か)

 

 ルナリアン派閥などと呼ばれてはいるが、それは各国に薄く広がるもので、合衆国内においては主流とは言い難い。将官にまで昇り詰めるつもりがあるならば、今までのJASRAへの出向は、むしろキャリアの邪魔であった。

 

 しかし第四とJASRAとか計画している年明けの喀什攻略以降は状況が変わる。

 

 対外的には探査機器の試験運用として受け入れられてはいるが、そもそもがハイヴ攻略どころか、大広間にまで到達できるとさえ考えられていない。失敗することが前提の作戦であり、これに関与していたからと言って、キャリアへのマイナス面は限りなく少ない。

 逆に成功した場合には、参画していなかったことで失う名声など計り知れない。

 

 喀什攻略が成功すれば、今後どのような道に進むにしろ、それに携わったことは何物にも代えがたい利点だ。たとえ代替案の方が成功したとなったとしても、どちらにせよいま攻略計画から距離を置くことは、大きな汚点になりかねない。

 なにしろこの世界線においては横浜ハイヴが無く、いまだ人類はハイヴ攻略を為せていないのだ。最初に成功した者と、それに続いただけの者とでは、大きく意味が異なってしまう。

 

 

 

 

 

 

「いやはや、たしかに貴様に今離れられるのは困るな。どうせなら代理と言わずそのままに局長に就任するかね?」

「はははっ、ご冗談を。そうなってしまえば、局長の淹れてくださるこのコーヒーを失ってしまいまいますからな」

 

 改編されるプロミネンス計画責任者の副官というのは堅実であり悪くはないが、ハイヴ攻略には比較しようがない。ターニャとてウォーケンの失脚や停滞を願っているわけではなく、むしろ早く出世してもらい、BETAとコミーを駆逐するべく一層の努力を期待したいところだ。

 

 ウォーケンがJASRA局長に就く可能性は低くはないが、それは後いくつかの実績を積んでからになる。むしろいまの副官の位置のままに、局長を夕呼に切り替えるというのも確かに妙案なのかもしれない。

 

 

 

 喀什攻略の目途が立った今、その先を見据えるべきだと、コーヒーカップの裏でターニャは愉快気に哂っていた。

 

 

 

 

 

 




ハルトウィックの首は飛ばせたし、ラプターも連隊規模で確保できると、これで喀什攻略は完璧に違いないとデグさん安心しております。というかこの2001~2002時点で準備できるのはこれくらいが限界かなぁと。
あと最悪なパターンですが、通常の攻略が失敗しそうならば、喀什だけ限定してのG弾釣瓶打ちで「あ号標的」だけは排除する方向ですのでご安心ください?

で、イーダル関連はあまり引っ張らずにさっくり確保。どこかの片隅で自称天才のロシア科学者あたりが叫んでるかもしれませんが、人民に等しく平等なソビエト式の恩賞が待っているはずです。


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