Muv-Luv LL -二つの錆びた白銀-   作:ほんだ

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擬装の蓄積 01/11/03

 207Bの教練が終わった後、夕食を取ろうかというタイミングで武は夕呼に呼び出された。

 

(俺から急ぎの報告はないけど、何かあったっけかな……?)

 

 武がこの世界で目覚めて10日ほど。

 XM3の開発は順調だが、実のところの成し遂げたのはその程度だ。漠然とした不安、などと恰好を付けるつもりはないが、事態を好転させているなどとは間違っても実感できない。

 11月半ばにはXM3のトライアルは予定されており、すでに各方面には通達がなされている。目に見えた動きが出てくるのは、それ以降だろうとは判ってはいる。

 

「遅れて申し訳ありませんっ!」

「そういうのはいいから。それで、207Bの連中は使えそうなの?」

 執務室にいたのは夕呼とターニャだ。武は上官二人を前にして敬礼し詫びを口にするが、夕呼はあっさりと流し本題に入ろうとする。

 

「トライアルのデモ程度であれば、あと10日ほどありますから、問題は解消されるかと」

「つまり現時点では問題があるということね」

 駄目だろうとは思っていたが、やはり少しばかり逃げを打ったような報告では夕呼を納得させることはできないようだ。

 

「無理を言わないで下さいよ夕呼先生。さすがにまだシミュレータで10時間程度の連中です」

 武から見ると207Bの皆の才能は目を見張るものはある。だが実機に乗ってからの時間が少ないのが気がかりだ。

 実機訓練が可能なのは詰め込んだとしても一週間ほど。OS変更に伴う機体の調整や確認などもあるために、時間的には50時間取れるかどうかがギリギリだ。なにか機体側に問題が発生すれば、下手をすると30時間程度になる。

 

「それでも全体的には彩峰と鎧衣、あと鑑は習熟が早いです。榊がそこそこで、珠瀬と御剣が少し遅いですね。その三人も期日までには形にはなるはずです」

「へぇ? 御剣が遅いって、ちょっと意外ね」

「まあ御剣は何気に理屈っぽいところがあるので、榊同様に頭で覚えた後は習得は早そうです」

 冥夜は鍛錬の仕方を知っているから修得そのものはそれなりに早いが、実のところ努力型だ。歩兵訓練時にも、慧に体術面では並ばれる程度である。幼少の折より剣術に親しんでいたというアドバンテージが無ければ、下手をすると隊内で一番素養が低い可能性すらある。

 

「彩峰は、あいつもそれなりに身体を鍛えていたとは言いますが、それでもおかしいと言い切れるくらいには天性の物がありますよ。鎧衣に関しては本人の素養も高いんでしょうが、親父さんの教育の賜物でしょうね。衛士として突出した物はありませんが、逆に隙がありません」

 実のところ慧と尊人だけであれば、明日からでも撃震にリミッターを設定しておければ実機に乗せても大丈夫なのではないか、とまで思わせるものがある。複座型があるならば武とまりもとがそれぞれに後席に乗ったうえで試してみたいとも思うが、さすがにそこまで焦ることもないはずだ。

 

 

 

「ふむ。全般的には順調。ただし時間的余裕はさほどない、といったところか」

「その通りであります、事務次官補」

 武の報告を聞き終わり、ターニャが簡単に纏める。

 

「トライアルには今の207Bの連中を使いたいから、ちょっとくらいの無理は通すわ。シミュレータに関してはこっちの権限で確保してる。実機の方は急かしてはいるけど、あと三日は掛かるとか言い出してるのよねぇ」

「実機は週末までに来てればいいですよ。まだ基礎の段階ですから」

 クルマと同じで慣れだろうと以前の世界線では言われたが、その慣れるために機体を壊されるわけにもいかない。最低限度の技術を身に付けるまではシミュレータ漬けの予定だ。

 座学の時間が削られていることが少しばかり気がかりだが、トライアルの予定がほぼ確定していることから、それらはどうしても後に回すしかない。

 

「香月博士、トライアル後の207の扱いは、想定しているのか?」

「一応は、トライアルの実績をもって任官させ、その後もXM3のデモンストレーション部隊として独立して運用しようかと」

「ふむ……無理のないプランではある、な」

 どこか納得のしていないようなターニャだが、はっきりとは反対しない。その態度に、夕呼が問い詰めるように言葉を重ねる。

 

「事務次官補には、何か代案がおありですか?」

「今の時点ではどうとも言えんな。ただ、御剣冥夜は単体として使う方が価値が高いやもしれぬ、とそう考えていただけだ」

「確かに単体のカードとしては207の中で最も使いどころが難しいとは思いますが……」

 

「そうだな、御剣冥夜が『守るべきもののためには、全てを捨てる』とまで割り切ってくれていれば、こちらとしても使い方を考えようもあるが……今のところは具体的な使い道は思い浮かばんよ」

 どこか誤魔化すようにターニャは言うが何らかの方策は予定しているようだ。しかし夕呼にしても武にしても、ターニャを問い詰めるようなことは階級的にも難しい。

 

 

 

 

 

 

「ああそれと、だ。私の立場が決まったので、一応は貴様にも説明しておこう。今回もそうだが、XM3の公開などに伴い同行する機会も増えそうだからな」

「立場、ですか?」

 聞き返してしまうが、ターニャの立場が変わるという話は、まったく聞いていなかったために、疑問がそのまま口に出てしまう。

 

「私のというかターニャ・デグレチャフではなく、ターシャ・ティクレティウスとしての立場だな。臨時少尉の地位でJASRAへの出向という形を取ることになった」

「偽装身分ということですか……問題ないのでしょうか?」

「細かな問題は確かにあるが、この姿で70過ぎのターニャ・デグレチャフのまま、としておく方が問題だ。デグレチャフ名義で親権を得て保護している、という形にしておいた。あとは資産などの生前贈与だな。もちろん偽装ではあるものの、議会などからは認可は受けておるよ」

 

 そのまま相続してもギリギリ遺産税が掛かるほどではないがねとターニャは笑うが、武にはそれがどの程度の額なのか思いも付かない。ただ間違いなく一般市民感覚の武からすれば巨額なはずだ。

 

「正直なところ、こうなってしまっては自分の肉体寿命がどうなっているのか判断できんということもある。ターニャ・デグレチャフのままに130歳などとなってしまっては、書類の関係で日常生活さえ困難だ。ここは素直に見た目通りの年齢の人物を作っておこうと考えていたのだ」

「確かにそのままではいろいろと騒動が起きてしまいそうですね」

 

 ターシャという別人を作る方が、100歳を超えてターニャが活動し続けるよりかは、はるかに安全だろう。

 本人は認めたがらないが、今はまだターニャの派閥とでもいうべき権力集団があるから大丈夫だろうが、今後ともそうとは言い切れない。G弾の影響による若返りなどという事実が公にでもなれば、どの様な影響が巻き起こるか想像さえ難しい。

 

「それに基本的には偽装というよりは、避難民の一人を作り上げたという形だな。先の鉄原ハイヴ間引きに合同して行われた避難民保護の中、身元引受人のいないロシア系の女子をデグレチャフが引き取ったとしている。まあそのためのこの髪だ。あとは第三の遺産の振りでも匂わせておけば、勝手に裏を勘ぐる連中にも遊びのネタを提供できよう」

 

(自分自身を囮にしつつも、敵対集団への欺瞞情報の拡散か。鎧衣課長くらいにはいろいろと無茶な人だよなぁ)

 

「事務次官補のご事情は理解いたしました。今後、外では少尉殿として対応させていただきます」

 武に説明できる程度には、すでに根回しは終わり、経歴も出来上がっているようだ。裏事情も何となくは察せられるが、そこは武が介入できる領域ではない。直接的なテロ行為などの予防を考慮するくらいだ。

 

「直接の知己には説明はするがね? 徐々にデグレチャフとしての露出を無くし静かに消え去るのみ、ということだ。JASRAのほうはしばらくはウォーケン少佐を局長代行とする。私と直接会ったことのない連中向けの、看板だな」

「あ~……なるほど?」

 

 本人を前にして話すことではないだろうとも思うが、ターニャのこの目付きにしてこの態度である。たとえ見た目が少々どころか極端に若返っていたとしても、一度でも話したことでもあれば同一人物だとすぐに理解されるのだろう。

 

 

 

 

 

 

「さて、私の身分に関してはこの程度でいいだろう。ちょうどいい機会なので、今後の問題点を再確認しておくぞ」

「喀什攻略に関しては、申し訳ありません。正直なところ戦術機と軌道爆撃による力押しくらいしか、今のところ思い浮かびません」

 問題と言われて思い出すのは、喀什攻略だ。そして問題とされるほどに、その解決案が浮かびそうにはない。

 

「いや、そちらは今は良い。直近での問題は再突入型駆逐艦、HSSTを用いてのテロだな」

「ああ……それは発生するとお考えですか?」

 

 珠瀬事務次官と第四計画とを狙ってのHSSTによる基地破壊を企んだテロは、武の知るどちらの世界線でも発生はしている。ただ、現在のあまりに変わってきている状況で、テロが企てられているのかどうかすら武の持つ情報では判断できない。

 そもそもターニャのお蔭で良くも悪くも状況の変化している現状、武の持つ他世界線の情報の重要性は、どうしても下がってしまう。前回のAL世界線では武のループを証明できた佐渡島からのBETA侵攻など、佐渡島にハイヴが無いこの状況ではまったくなんの意味もなさない。

 

(いや因果の流入とか、そういうのであれば11日には何か別の問題が起こる可能性だけはあるのか)

 これはちょっと注意しておこうと心に留めて、あとでもう一度夕呼にだけは確認しておくことにする。

 

 

 

「やはり落としてくると考えられますか?」

「第四計画の妨害というのが、白銀や私の知る未来知識による予測だが……」

 夕呼の問いに、珍しいことにターニャが言いよどむ。今の時点ではHSSTを用いてまでのテロが起きる可能性が読み切れないのだろう。武としても、現状で第五推進派などがそこまで無理をして第四を物理的に排除するという意味が思い浮かばない。

 

「UL、AL世界線における横浜基地?ですか、そこへのテロ行為の要因として予想できる、というか状況が伝聞だらけですので最早妄想となりますが、それで考えうるのは第四がG元素を保有しすぎている、という事でしょうか」

 第四計画が成功しそうだから妨害する、ではなく第四計画がG元素を用いてBETA由来兵器で米国に対立する、と疑心暗鬼に駆られたのでは、と夕呼は予測する。

 

「そういう目的であれば、現在のこの白陵基地へのテロ行為という線は薄いのだが、な」

「デグレチャフ事務次官補の、存在ですね」

「そうだ。この身の不徳と致すところ、とは言いたくはないが私を邪魔に思う連中には事欠かなくてね。それに昨今一部で話題の『月の後継者』問題だ。勝手に敵を想定して、勝手に戦いを始める輩はどこにでもいるものだな」

 

 呆れたように嘆息する振りをしているものの、推測としてはありそうなところが問題だった。ターニャにしてみれば実のところ派閥形成にいそしんできた、という自覚は無い。その時々に合わせ、双方が納得できる利益の提示、あるいは損失の低減を目指して来ただけのつもりだ。

 それでもターニャの立場を危険視する集団は多く、第四に接近している現状ではテロの対象になる可能性は高い。

 

 

 

「そういえば、事務次官補ならご存知なのかもしれませんが、あのテロの実行犯って、結局どこの誰なのでしょう?」

 第五推進派が裏で糸を引いていたらしいとは聞いたものの、どういう経緯で行われたのかは武は知らない。実行犯自体も顔を見たわけでもないので、対立していると認識しにくいのだ。

 

「実行犯と目されているのは難民解放戦線(RLF)の連中だ。第五のG弾推進派の一部がお膳立てした計画を、文字通りに実行しただけだろうがな」

「難民解放戦線……ですか」

 武としても名前だけは聞いている組織だが、実態はよく知らない。

 

「まったくあのバカどもは、いったい何を何から解放するつもりなのやら。難民などおらぬというのにな」

「は? ……難民が、居ない?」

 組織の構成などの話かと思っていれば、いきなりのターニャの発言に、頭が付いて行かない。

 

「白銀、アンタの経験では難民があったの?」

「いや、難民があるとかないとか……BETAから逃げて国を失った人っていますよね? まさか、こっちじゃみんな死んでしまってる……」

 ありえないとは言い切れないところが、BETAとの戦いの恐ろしさだ。武の知る98年からの日本帝国の防衛戦など、避難できた者の方が少ない。

 

「まったく、何を考えて口走っている? 現在のBETA大戦において、難民は存在しない」

「え? 国や土地を奪われて逃げ出してる人ってたくさんいるんですよね? それこそ先日の朝鮮半島防衛だって、避難民保護のために国連軍などが動いて……」

 

「白銀、貴様も元のEX世界線では大学入学が確定していたのだろう? 少しくらいは国連について調べておけ。避難民と難民は別だ」

 呆れ返ったかのように、ターニャがわざとらしいまでに大きく溜息を付く。

 

――「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた」人々

 

 夕呼は暗記していたようで、国連の定める難民の定義をそらんじてくれる。

 

 

 

「BETAは人種や宗教政治信条などは考慮しないし、関与されない。そんなものであの土木機械共が喰らいつく人間を選んでいるのか?」

「それは……」

 神に祈ろうが仏に縋ろうが、むしろ悪魔に取引を持ち掛けてもBETAが止まることなどない。社会主義者も無政府主義者も自由主義者であろうとも、一切の関係はない。

 

 ――文民・軍人関係なくむさぼり喰らうBETAがどう差別的だというのか。

 

「つまりだ。今BETAに自国領土が奪われて避難している者は、すべからく難民ではない。彼らを救済するのは国際社会ではなく、自身らが所属する国家や組織の問題だ。国連が関与する案件ではないよ」

「租借地で亡命政府を立ち上げたり、避難民の収容とその生活の安定を進めるのは、各国政府の仕事。そしてそこには国連も国連軍も原則関与しない。内政干渉なのよ」

 ターニャと夕呼から、立て続けに「難民」の定義と現状の「避難民」の違いを突きつけられる。が法的にはどうであれ、武としては感情的には納得できない。

 

「え、でも。それって言い訳ですよね? 実際に避難している人たちからすれば、やっぱり国連にどうにかしてくれっていう声があるんじゃ?」

「そういう声はあるわね、もちろん。で、それがどうしたの?」

「いやはや各国亡命政府には、自国民の健康と安寧には、心砕いて欲しいものだ」

 あからさまなまでに偽悪的に夕呼が笑みを浮かべるが、ターニャにいたっては嘆く振りだけだ。

 

「国連からは、亡命先の租借地を提供する国と亡命政府、その仲介はしているさ。そこから先は原則的に二国間の問題であり、介入すべきではない」

 ああ誠に残念だな、とターニャはまったく感情の籠っていない声で、避難民の生活に心を砕いている態だけは示す。

 

 

 

「なにかね、白銀? 難民解放戦線の連中の心情が理解できるというのならば説明してくれたまえ。テロへの対策案の一つくらいには付け加えられるやもしれんぞ?」

 

 煽られているのは嫌でも判る。ここで激昂しても何も解決しないことも、だ。

 そして後方国家において難民として避難民を受け入れてしまったことで発生していた問題を、わずかばかりの事例であるが記憶として持っている武には、今の国連などの対応が最善ではないが「仕方がない」程度の選択なのだろうということは理解できてしまう。

 

 億の単位でユーラシア大陸から逃げ出してくる人々など、受け入れられる国家など存在しないのだ。受け入れ先を食いつぶして双方が自滅することに比べれば、元々の国家が亡命政府を樹立したうえでアフリカなどに土地を租借し、最低限の自己管理をするほうがまだしも前途がある。

 

「ちなみに合衆国は、広く門戸を開けて移民を募っているぞ?」

 合衆国は移民受け入れの姿勢はBETA大戦以前と同様に示している。

 ただ募ってはいるが誰でも受け入れているわけではない。自己資本で移住してくる資本家、そして熟練技術者や研究者など、あくまで合衆国に利をもたらす者だけを選抜しているだけだ。

 

 

 

「申し訳ありません、軽率な発言でした」

「ふ~ん? 白銀、今ので納得したんだ?」

「気持ち的には、そりゃあ納得はできてません。できませんし、最善な手段だとは思いませんが、現状取りうる手段としては他に思いつきませんよ。飲み込みます」

 

 UL世界線で見た、天元山の噴火を判っていながらも住み慣れた家に戻っていた、違法帰還者の老婆。AL世界線では強制退去という手段に頼らざるを得ず、それがクーデター派の論拠の一つとしてまで取り上げられてしまった。

 この世界線では退去勧告など出てはいないのだろうが、今後ありえない話ではない。

 

 そして武はいまだあの事件に対し、自身の答えが導けていない。

 何が正解なのか、そもそもこの類の問題に正解などないのではないかと逃げるようなことは言えるが、それにしても自分の中でどう対処すべきかの軸が作れていないと感じてしまう。生命を守るのか、尊厳を尊ぶのか、二択で済ましてしまうべきではないと思いつつも、そこから先の解決方法が浮かばない。

 

 そんな状態の白銀武が、各国の避難民キャンプなどの状態さえ知らない現状で、避難民問題の把握などできようもないし、今の立場では何らかの案を提示することなども不可能だ。

 無力なままでは何を喚いても、ガキの我儘でしかない。対案が出せずとも、話に加わるには現状認識くらいは必要だ。

 

 

 

「それで、HSSTを墜としてきそうな連中はこの世界線でも居るとして、どう対処するんですか?」

 少しばかり深く息をつき、意識をテロ対策へと切り替えて問う。

 

「AL世界線で香月博士が取った手段を、さらに拡大する、という案を想定している」

 つまりは事前に、テロリストとその協力者たちを拘束するということだ。さらに拡大という言葉に少々薄ら寒いものを感じてしまうが、そうなると武には関与出来ることは何一つない。

 最悪のパターンへの対処として、試作1200㎜超水平線砲の準備を夕呼に頼むことくらいだ。

 

「でもAL世界線ですか、そっちでも介入したことで第四の立場が……ってそうか。今回は夕呼先生からの情報で止めるんじゃなくて」

「管轄違いだが、JASRAから各方面に話は通す。先日の無警告のG弾運用の背景を探っている途中に、善意の情報提供者からの匿名の知らせを受けたとでもするさ」

 

 AL世界線では、第四の権限で頭越しにHSSTの離陸自体を止めることで事件を事前に防いだ。だがそのことが結果的に、第四への疑惑や様々な圧力となって跳ね返ってくることとなった。

 今回JASRAから情報を流すということだが、合衆国内のテロ組織の追跡など、国連機関のJASRAの担う範疇ではない。しかし別件の調査中に知りえた情報を各国の警察組織などに提供するのは、問題視されるような行動ではない。むしろ隠していれば逆に非難されるだろう。

 

「まあテロの首魁にまでは手が届かんが、末端の構成員はそれなりに潰させてもらう予定だ。ついでにあのクソ忌々しい恭順派どもまで食い散らかせれば、少しばかりは溜飲も下がるな」

 カンパニーの皆々には給料分は働いてもらうとしようと、ターニャは何かを企むように呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 




よーやくこの世界線では難民がいないことの説明追加完了~とかやっていたらマスターの話入れ損ねました。エーベルバッハ(仮)さんは登場しそうになったら話入れます。HSSTが落ちてくるかどうかは、下手をすると第三章送り……かも。

で、デグさん。相続税の緩いアメリカでも取られそうなくらいは個人資産持っていそうですが、その辺りはサクッとスルーです。


あとこのような場ですが、誤字脱字などのご報告ありがとうございます。

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