アイドルは労働者(仮)   作:かがたにつよし

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ちょっと進んだかなぁ、と。


11.王道を行けるのならば、迷わず行くべきだ。

 

 

 

アイドルとはプロダクションにおいて一労働者であると同時に、生産設備であるとも言えるのではないだろうか。

 

区の小ホールを連日借り切って行われている練習では、各種専門家である労働者の手によって私のチューニングが進められてゆく。

そして完全に調整された私に材料として稀代の作詞・作曲家による執念の作品を投入する事で、私は伝説だって生産できるだろう。

 

指先、つま先、そして髪の毛の一本一本に至るまで自身の制御下に置く。

伴奏と共に演技を開始、計算された動きは私の周りの空気さえ飲み込んで……

 

「右肘の位置が1cm高い、やり直し」

 

エラーでも吐いてやろうか。

 

 

 

専門技術委員会を抱えた事でフラッグシップ・プロジェクトの規模は大きくなったにも関わらず、増毛Pの手腕により少人数であった頃の機動性を維持出来ている。

作曲家の求める品質を確保する為には少々時間が足りないかと思われたが、杞憂だったようだ。

7月中旬には第1回リハーサルを予定していたが、専門技術委員会から上がってくる提案を順々に反映している内に、数度のリハーサルを行うことができている。

 

「学生からもよく相談を受けるが、文系の研究は”何の役に立つのか”と言う問いかけに答え辛い。こうして研究が形になるような仕事は滅多に無いので、つい力が入る」

 

そう語るのは帝大の権威。

心理学科の教授を務めているが故の切実な悩みだろう。

文系の研究は経済系を除いて、現金な市井に理解される事は少ない。

もっとも、鼻の下が伸びているので真剣味が半減しているが。

 

「最近の大学はそんな事まで気にしなければならないとは、難儀なものですな」

 

増毛P、貴方が学生の時に就活で耳にタコが出来るほど尋ねられなかっただろうか。

いや、年齢を考えると就職氷河期真っ只中かもしれない。

もっと恐ろしい面接が蔓延っていた時代だ、あまり触れないようにしよう。

 

「私からしてみれば”何の役に立つか”を考えるのは私の役目であって、貴方の役目ではない。研究者は研究に専念し、その成果をどう使うかは我々経営者に任せて頂きたい」

 

増毛Pが高度な経営手腕を持っていそうなのは想像できるが、貴方は未だ経営者ではない。

出世に憧れるのは構わないが、現実は見失わないよう留意されたし。

 

「そう言ってくれる人間には中々出会えなかった。この仕事は良い仕事だ。今後とも続くようなら是非お願いしたい」

 

「今後続くかはウチの安曇玲奈の活躍次第、すなわち今この仕事における貴方方の働きぶり次第というわけです。よろしく頼みますよ、先生?」

 

煽っている、そう受け取られてもおかしくはない挑発的な増毛Pの台詞。

しかし、煽っているのは日本銀行券の扇子、そよぐ風は権威の自尊心をくすぐる。

増毛Pと握手をする彼が好戦的な笑みを浮かべ、上唇と鼻が近づく。

研究費を目の前にした学者は怖い。

 

帝大の権威は委員会の下へ戻ると、なにやら怪しげな提案を始めた。

実に結構な事だが、人間の限界を超えるような提案でない事を祈ろう。

人間工学を専攻している者も居る事だ、関節駆動の限界を踏まえた演技に落とし込んでくれるはず。

 

議論モードに入った委員会を横目に、私はステージを降りて客席に腰掛ける。

労働者の憩いの時間、休憩だ。

意識を飛ばして寝る事も可能なのだが、委員会の面々が活発に議論している為、突然私にボールが飛んでこないとも限らないため、それは選択できない。

むしろ、委員会に所属する面々の専攻を表面だけでも良いので勉強するための時間に当てるべきだろう。

学士号も未取得な私では、ダブルドクターすら所属する委員会の会話は暗号にも等しい。

幸い、委員会のおじ様方は自著とはいえ大学生向けの基礎専門に値する参考書を快く都合してくださる。

 

「熱心ですね」

 

これは作曲家の先生ではありませんか。

どうでしょう、"World Wonders"の製作状況は。

スケジュールより幾分か前倒しできております。

 

「スケジュールは勿論の事、やはりフラッグシップ・プロジェクトの表現方法について、驚くばかりで全く付いていけません」

 

まぁ、今までの仕事と見た目が少々異なるのは事実だろう。

芸能というのは人の感情で飯を食う仕事であるが故、工業製品のようなサービスの作り方はあまり見かけない。

とはいえ、先生の仕事は出来上がったモノが先生の要望に応えられているかどうかを確認すればよいだけなので、その部分だけを切り取れば普通の仕事と変わらないのではないだろうか。

 

「作っているモノを見ていると、私の望み通り、いえ、私の望み以上のモノが出来ていることが分かります。しかし、その作り方が全く分かりません。安曇さんは今も勉強されていますが、今後のアイドルはこのようなプロデュースが主となるのでしょうか」

 

まさか。

多種多様な才能が畑から取れるのではないかと錯覚するほどのこの世界だ。

「アタリが出るまで新人をプロデュースする」という、フラッグシップ・プロジェクトの対極に位置する考え方が最も効率が良い以上、1人に資本をつぎ込むこの手法は流行らないだろう。

業界内では比較的アイドル投資しているとされている346プロダクションですら、私以外はアイドル個人の才能に頼るプロデュース方式を取っている。

765プロダクションについては言わずもがな、だ。

だから、先生も作詞作曲と言う自分の世界に自身の持ちうる才能を余すことなく注ぎ込んでいただきたい。

貴方のような「持てる人間」にとっては勉強は足かせにしかならない。

それは私のような無才の人間が何とか御飯を食べていくためのものだ。

 

 

 

***

 

 

 

ホール内は薄暗い為、人の出入りがあると直ぐに分かる。

扉の外から眩しい明かりが差し込むためだ。

しかし、誰が入ってきたかまでは相当接近しないと分からない。

今入ってきた人間が、346プロダクションの制服である蛍光緑のジャケットだと気づいたのは、彼女がかなり近づいてからであった。

 

「あぁ、先生。進捗はさっき見ていただいたとおりだ。コメントがあれば後日まとめてメールでいただけるとありがたい」

 

千川さんを迎え撃つかのように私のところに来た増毛Pが、傍の作曲家に帰るよう促す。

作曲家も仕事があるようで、次の進捗報告にお邪魔するとだけ言い残してホールを後にした。

 

「今の方は……?」

 

「そうだ、現在はフラッグシップ・プロジェクトの新曲を担当してもらっている」

 

「帰してしまって良かったんですか」

 

「構わない。それに、他人が居る所で346プロの内情を話すわけにもいかん」

 

防諜面で気を使ったのか。

スパイ物は国家間のそれしか流行らないと思っていたが、最近は産業スパイが流行しているらしい。

ステージ上で議論している専門技術委員会が残っているが、彼らは特殊な人種である為その心配は必要ない上、1度議論をし始めるとしばらく戻ってこない。

 

「それで、何の用だ。武内の女」

 

「ま、まだ女じゃありません!」

 

あ、まだなんだ。

 

 

 

14名の新人アイドルをこの短期間に次々デビューさせているシンデレラプロジェクトは、四半期末の経理と並ぶ程の繁忙期であり、猫の手も借りたいほどであったはずだ。

そこからアシスタントとはいえ千川さんをこの場に寄越すとは、武内Pが残業で自分の首を絞めてでも欲しい何かがあるのだろう。

 

全く以て心外ではあるが、武内Pはフラッグシップ・プロジェクトのプロデュース方法や表現がシンデレラプロジェクトのアイドルに悪影響を与えると考えているらしい。

前回、フライト・コンバットの収録における"Ace, High."のライブシーンをいきなり見学に来た結果、私への接触禁止願いが出されたという。

であれば、千川ちひろに事前に情報を集めてもらう事で、シンデレラプロジェクトへのダメージを低減しようとしているのだろう。

"World Wonders"のリハーサルとその練習方法が、シンデレラプロジェクトへの打撃に繋がるとは思えないが、

 

「随分分厚いけれど、歌詞ですか?」

 

私がペンライトで照らしながら開いていた書籍を指して問う。

残念ながら、歌詞は300ページ越えのハードカバーで製本される事はないだろう。

これは私が専門技術委員会で飛び交う謎言語を理解する為の教科書の一つ、脳科学に関する入門書だ。

人間の五感に入力された刺激が、脳内の電気信号や化学物質に変換され、感情を生み出すまでの過程が分かりやすく記載されている。

フラッグシップ・プロジェクトに欠かせない一冊だといえるだろう。

 

「……」

 

武内Pには見せてはいけない表情だ。

100年の恋も一瞬で冷めることを保証しよう。

 

「……安曇さんには本当に無いのですか。なりたい自分や表現したい自分といったアイドル像が」

 

以前、フライト・コンバットの収録後のデブリーフィングでもその質問があった気がする。

しかし、再度質問するという事は、あのときの回答では納得いただけなかったということだ。

幸い、此処には他のアイドルは居ない。

もう少しオブラートを取っ払ってもいいだろう。

 

「そういった"アイドル像"は、それで輝ける才能を有する人間だけが持つことを許されているのでしょう。残念ですが、私にはその才能がありません。ですから、"アイドル像"もありません」

 

人は、才ある者を応援する。

前世でも、娘を差し置いて娘と同じくらいのアイドルを応援する同僚すら居たのだ。

自分や自分の近親者には居ない才ある存在が、自分の応援で脚光を浴びれば、自分が成功したかのような錯覚を覚える。

 

千川さん、貴女なら分かるのではないだろうか。

貴女が346プロダクションで幾ら働いたところで、貴女に声援は入らない。

しかし、貴女が応援しているアイドルに声援が入る事で、報われたと感じた事はないだろうか。

 

「しかし、私は事情により仕事としてアイドルを務めることになりました」

 

ここまではかつての回答の言葉を変えただけで、同じことを言っている。

千川さん、延いては武内Pとの不毛な問答を終わらせる為には、この続きを言わねばならない。

 

「高価値労働者になるべく研鑽を積んでいた私には、アイドルとして輝けるものがありませんでした。だからといって、アイドルの仕事が出来ないわけではありません。無いなら作れば良かったのです」

 

ビデオカメラを回しておけばよかったと後悔している。

それほど、千川さんの表情は貴重であったのだ。

 

 

 

「"アイドル像"を作ることはフライト・コンバットの仕事を進める中で決まった。765プロを相手に回してなお映えるアイドルなど、作りでもしない限り居ないからな」

 

考え事をしているのか、それとも思考が停止しているのか、一時的に反応を失った千川さんの隣に1席空けて増毛Pが腰を下ろす。

 

「この路線は"売れた"。当然といえば当然だ。既存のアイドルはファンの求める輝きを売り出す"Business-to-consumer"思考だが、我々は作品の作り手が求める存在を作り出す"Business-to-business"思考だ。アイドルはファンの前へ露出する手段を直接的には持たず、映像作品や音楽作品といったものを経由する以上、避けては通れないが見向きもされなかった道に目をつけた」

 

才ある人間は自我が強いものだ。

アイドル達が自分のアイドル像を売り出したいのと同様、クリエイター達は自分達が作り上げた作品を売り出したいと考えている。

クリエイターは個性的なアイドルというピースを、自分の作品というパズルに詰めて行くが、ピースの形を選べない以上完全に収まる事はない。

彼らはどこかで妥協を強いられていたのだ。

 

「アイドル像は1人に1つだが、クリエイターは1人で複数の作品を作る事ができる。だったら、消費者へ売り出すモノを考えるのはクリエイターに任せた方がいい」

 

消費者が望む輝きは彼らが用意してくれるのだ。

であれば、彼らの話を聞き、考え方を理解して、彼らの望むアイドルであることが私のアイドル像である。

 

「それは、"アイドル"なんですか?」

 

「元々アイドルの定義なんて曖昧なものだ。誰かが"アイドルだ"と言えば誰であろうとアイドルなんだよ」

 

全国一千万人のアイドルに向かって喧嘩を売るような台詞だ。

近頃は声優や俳優、果ては政治家にまでファンが付く。

強ち間違いではないだろう。

 

「それで、新曲のリハーサルでも見に来たんだろう? だったら見ていけば良い」

 

増毛P自ら開示するという積極姿勢に千川さんがたじろぐ。

しかし、当の増毛Pは全く気にせず専門委員会に声を掛け本日最後の通し練習の準備を進めていた。

MV版ではなく、ライブ版の方を行うという。

 

「良いのですか、こっちは夏フェスで使う方ですよ」

 

「構わん、見せてやれ。真似しようと思っても、我々以外にはこの手段は取れない。むしろ、心配するべきは千川の前で君が失敗する事だ」

 

厳しいお言葉。

演技も完成されているわけではないのだ、それらしく歌う事はできても、本番のそれには及ばない。

それを理解して頂いた上で、聞いていただきたい。

 

 

 

***

 

 

 

「新曲を見せて頂いてありがとうございました。また、フラッグシップ・プロジェクトの考え方も分かりました」

 

是非武内Pに伝えて頂き、増毛Pとの不毛な争いを終わらせて頂けると幸いだ。

こちらから貴女達に何かアクションを起こすつもりは毛頭無い。

あくまでも一商売敵程度に考えて頂く方が健康的だ。

 

「でも、アイドル像を"作れる"のもひとつの才能だと思います」

 

そうだろうか。

誰もやっていない事は確かだが、これは誰もが出来る事なのだ。

ただ、自分の感情や他者とのしがらみ等で雁字搦めになりやすい現代人にとっては、少々取り辛い道なのかもしれないが。

 

「やろうと思えば、千川さんだって出来ますよ」

 

ルックスだけ見れば下手なアイドルよりも上なのだ。

やり方次第では十分アイドルになれる素質を秘めているだろう。

 

「そうかもしれません。けれど、それを出来ると言える貴女は、やっぱり私たちの"恐るべき敵"です」

 

 

 

千川さんがホールを出た後、撤収する専門技術委員会を他所に、増毛Pは椅子で一息ついていた。

そんなに疲れることだっただろうか。

346プロに広く顔が利くとはいえ、所詮は華奢な女性なのだ。

広すぎる額に厳つい顔をくっ付けた増毛Pと話す彼女の方が負担が大きいのではないだろうか。

 

「いや、ちょっと武内が羨ましかっただけだ」

 

好いてくれる異性が居るというのはイイものですしね。

それも千川さんのように器量良しであればなおさらだ。

アイドルでないというのも、炎上に繋がる心配が無くてよい。

未だ武内Pが手を出していないとは思わなかったけれど。

 

「違う、奴のプロデュース方法だ。あぁは言ったものの、輝ける"アイドル像"を売り出す方が正攻法だ」

 

なんだそんなことか。

私達の手段が搦め手である事は間違いない。

搦め手の中では比較的シンプルな手段を用いているつもりだが。

 

「武内は王道を走る、遮二無二走り続ける。そんな奴の下には何故かいい人間が集まってくる。以前のアイドルも、今のアイドルもそうだ」

 

以前のアイドルは存じ上げないが、今彼が担当している14人はいずれも粒揃いの原石達だ。

そう遠くない時期にトップアイドルの一角を占めることになるだろう。

 

 

 

「こっちは未開の地を君や委員会の知見と言う地図で進んでいるというのに、武内のようにただひたすら走るだけでゴールにたどり着ける人間は、あぁ、畜生。全くもって羨ましいものだ」

 

 

 

***

 

 

 

その日、346プロダクションアイドル事業部の会議室は物々しい雰囲気に包まれていた。

普段は温和な事で知られる今西部長ですら、ピリピリした感情を隠せていない。

 

「時間だ。これより夏フェスのセトリ決めを行う」

 

346プロ恒例、夏のアイドルフェスのセットリストを決める会議である。

自身の担当アイドルが一番映えるポジションを確保する為に、各プロデューサーがしのぎを削る場である。

もっとも、以前までは此処まで緊張する事はなかったのだが、何もかもをぶち壊しかねない新人アイドルとそのプロデューサーの所為で剣呑な雰囲気となった。

そのプロデューサーは私の隣で数多の突き刺さる視線をものともせず、挑戦的な笑みを浮かべている。

 

346プロダクションのハイエンドを謳うアイドルは、持ち歌があまりにも異質である事から当初夏フェスから排除する案も挙がっていたほどだ。

私自身、少なからずその案に期待したところがあったが、当然の如く却下された。

丸井財務部長。

数少ない増毛先輩のシンパである彼は、フラッグシップ・プロジェクトを抜きにした稟議を見た瞬間、P達に「この案が346プロに最も利益を与えるものか」と問うた。

今西部長とは異なり、痩せ型で180cm近い身長とこけた頬にギョロリとした目を持つ丸井部長は、不気味な迫力を纏っている。

増毛Pを抜きにしているという脛に傷がある状態で稟議を持っていった我々は、一瞬息を詰まらせてしまい、未決裁の状態で稟議を付き返される事になった。

 

「部長級となると、君達が何を考えているかくらい大体予想は付く。あぁ、稟議の通し方は増毛君が一番上手だ、彼に学びたまえ」

 

スゴスゴと引き下がった我々は夏フェスにフラッグシップ・プロジェクトを追加した後、稟議書の校正を増毛先輩に依頼する破目になった。

我々の面子を潰せた増毛先輩は極めて上機嫌であり、今日の会議においても笑みを絶やしていない。

 

「フラッグシップ・プロジェクト及びフロント・フラッガーはどこに配置されても問題ない。安曇玲奈の魅力は配置如きで損なわれはしない」

 

第1企画のシンデレラガールズで取り囲まれても構わない。

そう取っても差し支えない彼の言葉は、第1企画のプロデューサー達を大いに刺激した。

彼らが挑発に乗って高垣さんやブルーナポレオンでサンドイッチにしてくれれば良かったのだが、相手は765プロオールスターズとすら渡り合った安曇玲奈である。

346プロが誇るトップアイドル達のPでさえ躊躇した。

 

見るに堪えない論争の後、"お願い!シンデレラ""輝く世界の魔法""ススメ☆オトメ~jewel parade~"の3曲のセンターとバーターで高垣さんが"こいかぜ"とMCで"Ace, High."を挟む事になった。

冬フェスで全体曲のセンターを既に務めていたため交代予定であったが、フラッグシップ・プロジェクト対応で続投となった形だ。

あくまでも346プロのトップは高垣さんであるという意思表示でもある。

まだ第1企画はプロダクショントップアイドルの座を奪われるわけにはいかないと考えているようであった。

また、346プロ内で唯一安曇さんと飲みに行った実績もあり、彼女の押さえ役として(勝手に)期待されているようだ。

安曇さんと一緒に飲むことになったのは私のお願いからであり、申し訳ない気持ちで一杯になる。

 

"Ace, High."は解決したが、フラッグシップ・プロジェクトの曲は1曲だけではない。

先日、ちひろさんに情報収集に行ってもらった新曲、"World Wonders"が残っている。

ちひろさんの話では"Ace, High."ほど場が荒れない曲であるという情報だが、油断は出来ない。

 

なるべくなら、こちらも第1企画に引き取って欲しいところであったが、当の第1企画のP達はこちらを見ていた。

曰く、1曲は第1企画で引き取ったからもう1曲は第2企画で何とかして欲しい、と。

第2企画とはいえ、アイドルは私のところのシンデレラプロジェクトと増毛先輩のところの安曇さんのみである。

実質、シンデレラプロジェクトの誰かを当てる以外に方法が無い。

 

では誰を当てるか。

まず思い浮かんだのは島村さんであった。

安曇さんのアイドルとしてはあまりにも極端な考えに触れてもなお自分を見失わない彼女であれば、大丈夫なのではないかと。

しかし、島村さんの持ち歌はニュージェネレーションズとしての"できたてEvo! Revo! Generation!"のみである。

渋谷さんや本田さんまで当てて良いかと考えると、難しいと言わざるを得ない、が。

 

 

 

「シンデレラプロジェクトとしても、1曲はぶつけたいと考えています」

 

隣で増毛先輩が目を剥き、ほぅ、と息を漏らした。

怖いので止めて頂きたい。

 

「プロジェクト曲なら、"GOIN'!!!"なら、"World Wonders"の後に持ってきてもらって構いません」

 

アイドルとは、夢を追う少女達の輝きだ。

それを作る事が常態化することを、私は望まない。

第2第3の安曇さんが現れる前に、王道も素晴らしい事を示す必要があるだろう。

 

 

 




コミケ受かりました。
作者はいつも通りガルパン島ですが、アイマス合同誌にも1p寄稿する予定です。
なので、ただでさえ落ちている更新速度が更に落ちます、許してくださいなn(ry

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