合宿2日目、マカオとロメオは昨日と同じメニューをこなした後、ナツとロメオは肉弾戦、つまりは格闘を使った修行を行っている。
ちなみにマカオは昨日と同様魔力を使い切って倒れている。
一方ゼレフはスティングとファントムから戻ってきたローグに体内のラクリマと肉体を融合させることに集中していた。
「まずは君たちのラクリマに自分の魔力を込めるんだ。確かホワイトドライブとシャドウドライブだったかな、その容量で魔力を上げながらラクリマに流すんだ。」
「…えっと…こんな感じすかね?」
スティングはホワイトドライブの一歩手前で止めた状態でゼレフに聞く。
「うーん…ちょっと魔力の流れが急すぎるかな。あ、ローグ君はいい感じだね。」
「何ぃ!?」とスティングが驚いてローグを見ると勝ち誇った顔でスティングに
「俺のほうが覚えは早かったようだな、スティング」
見事に煽ってきたのだ。それに腹が立ったのか、ムキになりながら魔力の流れを感じ始めた。
「うん、いいね、その状態を保ったままラクリマが体内で溶ける感じをイメージするんだ。ラクリマの結晶が全身にいきわたるように…」
段々体内への意識が深まっていくスティングたちは沈黙した状態で目をつむっていた。
「そのまま…溶け切ったのを感じたら一気に魔力を上げて、今度はドラゴンフォースのイメージだ。」
「ムムム…ハァ!…うわ!」
「ヌゥ⁉」
双竜ははじかれたように体が起き上がった。
「うーん、失敗したようだね…。まあ初めてじゃそこまで行くこと自体が珍しいから焦らなくても大丈夫。さ、もう一度。」
ゼレフの合掌で双竜は再度挑戦し始めた。
「いいかロメオ、マカオとロメオの炎の特性は違うのはわかってるか?」
ロメオはわからないと首を振った。
「マカオの炎は『消えない』だ。どんなに水をかけられてもどんな強い風が吹いても消えない、それがマカオの炎だ。
そんでロメオの炎は『調和』だ。どんな魔力でも炎で包み込み、ロメオ自身の魔力に変えてくれる。それがロメオの炎だ。兄ちゃん曰く、結構珍しいんだってよ!」
「そうなのか!これなら俺、ナツ兄みたいにS級魔導士になれるかなぁ!」
目を輝かせながらロメオはナツを見つめる。そしてそれにこたえるようにナツは笑顔で
「おう!お前なら絶対なれるさ!けどそれにはまずはでっかくなんねえとな!」
「うん!俺ナツ兄みたいにでっかくなってS級魔導士になるんだ!」
ナツとロメオはまた格闘法を練習し始めた。
「ナツーこっちのかまどもお願い―」
ミラの声につられてナツはかまどに火を入れる。
「これでいいか?」
「うん!大丈夫!ありがとうナツ、おかげで助かっちゃった。」
今日はミラが合宿メンバーにカレーをふるまうことになったのだ。
ライスとカレーをエルフマンの5倍はある鉄鍋に入っている。なぜこんなに多いのかは、怪獣の肉1体分を余裕で平らげるほどの腹を持つ魔導士が5人もいるのだ。それなら仕方ないというようにこのような大きな鉄なべを用意したのだ。
案の定ナツ達全員が腹いっぱいになってちょうど食べつくした。
ルーシィたちはその光景を引きつった顔で見ていたようだった。