ハイスクールストラトス 風紀委員のインフィニット   作:グレン×グレン

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ラグナロク編のエピローグが難産だった……っ

でもかけたよ!!


放課後のラグナロク 10

 

 転移に対して、ロキはさしたる抵抗すら見せなかった。

 

 むしろまったくもって当然といわんばかりに、堂々とそれを受け入れる。

 

「随分と余裕だな。想定の範囲内というわけか」

 

 バラキエルが代表して聞けば、ロキは当然といわんばかりに嘆息する。

 

「どちらにせよ貴殿らは邪魔をするのだから当然だ。それに、ここまで来たのならば会談をしようがしまいがオーディンには退場してもらうしな」

 

「貴殿は危険な考えに取りつかれているようだ」

 

「それはこちらのセリフだ」

 

 最早問答は無用とばかりに、ロキは会話を打ち切って魔方陣を展開しようとし―

 

「……なるほど、どうやらさらに面白いことになってきたぞ?」

 

 唐突に、視線を別の方向へとむける。

 

 その視線を見れば、そこにはいくつもの転移用魔方陣が展開されていた。

 

「……なるほど、どうやらあいつらはそうすることを選んだということか」

 

 ヴァーリがいやそうにつぶやく中、魔方陣からいくつものISが転移される。

 

 そのISの搭乗者の姿を見て、一夏は顔を苦痛にゆがめる。

 

「お前も来たのか、箒!」

 

「ああ。隊長からの指令で、彼を援護するように言われてな」

 

 そうさらりと返す箒の視線の先には、一人の男がいた。

 

 唯一ISをつけずに現れたその男には、イッセーたちも見覚えがあった。

 

「あんた、確かネバンの騎士だった転生悪魔!」

 

「覚えていたか。ホグニという」

 

 そう返すホグニは、冷たい視線を彼らに向けた。

 

「やはり本格的にアースガルズと組むか。……離反してくれたマスターネバンには感謝しないとな」

 

 そういうと、ホグニは二振りの剣を引き抜くと、それをロキへと突き付ける。

 

「アースガルズの悪神ロキ。アースガルズに報いを与える前哨戦として、貴殿の首をもらい受ける」

 

「神を相手に元人間風情がよく吠える。その愚行の罪、貴殿の首でもらい受けるとしようか」

 

 そう返答するロキは、何の躊躇もせずに魔法を放つ。

 

 一つ一つが並の上級悪魔の全力に匹敵する一撃。それが十を軽く超える数で一斉に放たれる。

 

 それに対して、IS部隊は即座に散開するが、ホグニは一歩も動かない。

 

 当然、そんなことになればすべてが彼へと直撃し―

 

「……なんだ。神といえどこの程度か」

 

 ホグニは、涼しい顔でそれを受け止めた。

 

 その光景に唖然とするのはイッセー達だ。

 

 今の一撃は赤龍帝の鎧といえど無傷では済まないだろう。少なくとも、あれを平然と耐えれるのはレヴィアぐらいだ。

 

 まさに神の力といっても過言ではない出力、だが、それをホグニは平然と耐えた。

 

「……その耐久力、貴殿は神器を持っているようだ。聖書の神も面倒なまねをする」

 

「聖書の神が与えし力を持つ人間が悪魔となるか。自分でいうのもなんだが、実に混とんとした世界だと思うがな」

 

 顔をしかめるロキに口元をゆがめながら、ホグニはそのまま視線をヴァーリにも向ける。

 

「そういえば、禍の団であるにも関わらず現政権と手を組んだ馬鹿がいたな。ついでに制裁を加えておくようにマスターネバンから言われていた」

 

「ふん。あの屑と共闘するなどという選択肢はない」

 

 心底いやそうにヴァーリが吐き捨てるが、それに対して禍の団側からは冷たい視線が返ってくる。

 

「何あの自分勝手なやつ。集団行動もできないの?」

 

「ほっとけよ、所詮はチンピラ魔王だろ」

 

「にしたってよぉ? よりにもよって裏切った身内と共闘とか面の皮が厚いよなぁ」

 

「恥知らずなだけだろ」

 

 堂々と罵倒してくるIS乗りに大して、ヴァーリは苛立たしげな表情を浮かべる。

 

「……ちょうどいい。白龍皇を愚弄するがらくた使いにお灸をすえるのもいいだろう」

 

 そういうと、ヴァーリは魔力を収束すると躊躇なくIS乗りへと放つ。

 

 対IS戦を考慮した、拡散性をもった一撃。それはISの絶対防御すら間に合わず搭乗者を抹殺するだけの破壊力を持っていた。

 

 だが、彼らは一切慌てない。

 

 それぞれが弾幕の薄いところに回り込むと、装備している剣や盾で残りの魔力弾を弾き飛ばして攻撃をしのぐ。

 

 その光景にヴァーリは興味深そうに見据える中、箒は冷たい視線をヴァーリへとむける。

 

「……この程度か。所詮力をふるまわすことしかないチンピラではこの程度か」

 

 その言葉とともに、箒はヴァーリへと切りかかる。

 

 その身にまとうISは、他のメンバーの物とは違っていた。

 

 まるで金属でできたウェットスーツのようなそれは、これまでのISとはまったく違う。

 

 そして、そのISを身にまとった箒は二振りの剣を呼び出すと、そのままヴァーリへと切りかかった。

 

「まったく、俺は俺の好きにやっているだけだというのに、どいつもこいつもいろいろと動いてくれて迷惑だな」

 

「迷惑なのはこちらの方だ。あの女と同じで、お前のようなものが周りを無意味に苦しめていく!!」

 

 その動きは、千冬に比べれば大したことはないだろう。

 

 だが、箒はヴァーリと互角に打ち合っていた。

 

 放たれる拳や魔力をその二刀で弾き飛ばし、そして半減に力すら弾き飛ばす。

 

「ヴァーリ!?」

 

「箒!!」

 

 イッセーと一夏が割って入るために動こうとするが、しかしそれより早くロキの魔法砲撃が放たれ、二人は回避に専念する。

 

「我を無視するとはいい度胸だ! だが、それをなすには実力がいるぞ!!」

 

「ああもう! 一夏くんもイッセーくんも、いまはロキたちに集中!!」

 

 レヴィアは牽制の砲撃を放ちながら、二人に命令する。

 

 幼馴染である箒のことが気になる一夏の気持ちはわかるが、しかしそんな余裕もない。

 

 ゆえに、あえて命令という形で一夏の意識を切り替えさせる。

 

「……くそ! あとで話があるから死ぬんじゃないぞ!!」

 

 一夏もそれを理解して、ロキに意識を定める。

 

 そして、それを見たロキもまた唇をゆがめた。

 

「なら我もそろそろ本腰を入れよう。……ゆけ、我が子達《●》よ!!」

 

 その言葉とともに、フェンリルの後ろの空間が歪む。

 

 そして、そこから現れるのは巨大な狼と巨大なドラゴン。

 

 それは、まさに化け物。フェンリルを一回り小さくしたような狼が二匹。蛇のようなドラゴン十数体。

 

 その姿を見て、その場にいた者たちが大なり小なり驚きを現す。

 

 それは、小さくなってこそいるがフェンリルとミドガルズオルムだった。

 

「量産型というものだ。実力は本家に劣るが、しかし並の上級悪魔では倒せんぞ?」

 

 その言葉とともに、一斉攻撃が放たれようとして―

 

「―その前にやることをやっとくニャン♪」

 

 次の瞬間、グレイプニルがフェンリルを拘束する。

 

 そして、その瞬間を人類統一同盟は逃さなかった。

 

「……一斉砲撃!!」

 

 そのとたん、放射能をまとった弾丸が、一斉にフェンリルに向かって放たれる。

 

 戦闘は、初手から大きく激戦となって始まった。

 




敵(レヴィア)からも味方(人類統一同盟)からも評価の低いヴァーリ。

ですが考えてもみてください。

養父の望みともいえる和平を台無しに仕掛ける行為に手を貸しておきながら、所属組織である禍の団ではなく敵対している三大勢力に共闘を持ちかける。










あれ? こいつ敵味方の区別ついてないんじゃね? 自由すぎね?

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