ハイスクールストラトス 風紀委員のインフィニット 作:グレン×グレン
はい、ついにいかにハードモードかが説明されます
篠ノ之箒。ISを開発した篠ノ之束の実の妹。
古流武術篠ノ之流を鍛錬しており、日常生活においては剣道部で鍛錬を積み、大会で優勝したこともある女傑でもある。
そんな彼女が、第三次世界大戦とともに行方不明になっていたことを知るものは少ない。
ましてや、彼女が人類統一同盟のれっぺいになっているなど想定でいた者はほぼ皆無だっただろう。
「自分でも因果な来歴だとは思っている。だが、私は今お前の敵だ、一夏」
そう告げる彼女は、一夏のしる箒とは大きく異なっていた。
もっと感情的だったはずの彼女の表情は非常に冷静であり、クールといっても過言ではない。
その変貌が信じられず、一夏は呆然と首を横に振る。
だが、彼に襲い掛かる衝撃はこの比ではなかった。
「これでも苦労したんだぞ? 手引きのためだけにIS学園に入学するのも、姉さんを誘い出すのもなかなかに骨が折れた」
「……は?」
今、彼女は何と言った?
IS学園に入学? 姉さんを誘い出す?
そんな馬鹿なと思い、だがその表情は真剣で―
そんな一夏を見かねたのか、レヴィアが一歩前に出て箒をにらみつける。
「つまり君はこういったわけだ。……IS学園の襲撃犯の1人だと、認めるんだね?」
「ああ。主犯といってもいいだろうな」
レヴィアはそれに静かにうなづくと、躊躇することなく腕を振る。
その動きに合わせて莫大な魔力が放出され、蛇の形をとって箒へと襲い掛かる。
一夏と箒の関係はわからない。だが、少なくとも相当仲の良かった関係なのだけはわかる。
なら、当然千冬の関係者でもあるはずで、そもそもIS学園には子供が多いのも分かっていたはずだ。
それを躊躇なく強襲させる輩に、遠慮をする必要はかけらもなかった。
「おい、箒―」
「大丈夫だ」
カバーに入ろうとする黒いISを手で制し、箒は放たれた魔力をそのまま受ける。
……そして、無傷で其の場に立っていた。
「ISの防御力じゃない、神器かい?」
「それを素直に答えるとでも?」
さらりと流しながら、箒は再び戦闘を仕掛けようと神器を構え―
『た、大変ですレヴィア様!!』
その時、通信から大声が響いた。
そして、その漏れ聞こえた声ですべてを判断したのか、敵のISは全員が動きを止めていた。
「……どうやら本命は成功したようだ。引くぞ」
「ああ。これ以上の戦闘は必要ないな」
そういい合いながら、ISは宙へと浮かんでいく。
「まて!! 本命とはどういうことだ!?」
「それならそいつに聞くといい。すべてはもう手遅れだがな」
その言葉を最後に、箒たちはわき目も降らずに離脱していく。
見れば、すでに旧魔王派との戦いも趨勢が決し、戦線はこちら側に傾いていた。
ならば最低限の安全は獲得できたとし、レヴィアは護衛のために結界を展開しながら、すぐに通信に返答する。
『どうした! いったい何があったんだい!?』
そして、その返答はあまりにも予想外の者だった。
『く、クーデターです! ネバン様がクーデターを起こし、アグレアスを乗っ取りました!!』
その言葉に、全員が息を呑んだ。
その映像は、全勢力に対して堂々と見せつけられた。
いまだ黒煙が消えぬアグレアスを後ろに、ネバンは堂々とその姿を見せる。
「初めて見る者もいるだろうから、自己紹介をさせてもらう。余は、真なるアスモデウスの正統なる後継者であるネバン・アスモデウスだ」
その幼い外見からは想定もできないオーラを纏い、ネバンは堂々と宣言する。
「余たちは、惰弱たる現魔王と大王から冥界を解き放つべく立ち上がった有志である!!」
こぶしを握り、ネバンは声を荒げる。
「欲を持ち、人々を欲望の道へと進む我々が、欲を節制する天界及び教会との和平はあり得ない!! それはもはや惰弱だ」
現政権を切って捨てるネバンは、そして静かに首を振る。
「現政権は、その弱体化をどうにかするすべをとうの昔に開発しながらも、それを余たちに秘匿し隠してきた。それがこれだ」
そういって取り出すのは、悪魔の駒。
だが、それは兵士でも騎士でも僧侶でも戦車でも女王でもない。
「諸君らもうわさには聞いていただろう、王の駒がこれだ。能力は、クイーンを数十倍以上上回るほどの全能力の強化である」
その言葉に、映像を見ている者たちは驚愕する。
それだけの強化があれば、誰もが上級悪魔クラスの戦闘能力を得ることができるだろう。少なくとも、今までとは比べ物にならない圧倒的な力が手に入る。
そこからくる動揺を察したのか、ネバンは少しの間黙っていた。
そして、その動揺が静まるのを見計らって口を開く。
「他種族に頼らずとも、この王の駒を量産していれば、悪魔は強大な力を手に入れて、三大勢力の戦争にも勝利したであろうことは想像に難しくない」
そして、それゆえにネバンは許せない。
「にもかかわらず! 惰弱たる現政権はこれを製造することなく秘匿し、あまつさえ天界との和平という惰弱なことをしている! これは、まさしく我ら悪魔という存在に対する裏切りである!!」
心からの怒りの表情を浮かべ、ネバンは現政権を弾劾する。
「余がこれを手にした以上、もはや諸君らを弱弱しいままにはせん。少しでも早く量産体制を確立し、真なる悪魔たちのすべてに行き渡らせることを約束しよう」
そして、同時にネバンは転生悪魔たちにも意を示す。
「そして、世に与する転生悪魔たちはその時点で中級悪魔に立ち位置を固定する。そしてその立場に見合った待遇を約束しよう。少なくとも多くの愚者どもとは違い奴隷扱いは決してしない。奴隷は奴隷として別で集めることを約束しよう」
そういい、そしてネバンはまっすぐな視線を通信機器へとむける。
「ゆえにその一環として、我々真悪魔派は禍の団へと所属する。そして、人類統一同盟とともに尊く輝くあの銀河へと羽ばたこう」
ネバンはそういい流れ手を広げる。
「そして、人類統一同盟はあまねく銀河に植民地を増やし、我らは彼らを欲望の渦へと導く。それが悪魔の本懐と信じるがゆえに!!」
そして、ネバンは隣に立つフードの男に手を差し伸べる。
「そして、その在り方は真なるルシファーに認められている。さあ、顔を見せるといい」
「OK! おじいちゃん久しぶりの顔見世に緊張してるよぉん」
そんな、一切緊張を感じさせない声で、男はフードと仮面をとる。
銀の髪と瞳をもつ初老の男。
だが、その存在は冥界にとって極めて重大。存在そのものが畏敬の塊といってもいい。
「やっほーん! おじいちゃん知ってる人はどれぐらいいるかなぁん? 旧ルシファーの息子、リゼヴィム・リヴァン・ルシファーだよん? 今はネバンちゃんの女王をやらせてもらてるぜい!!」
そういってVサインを見せる男は、まさしく真なるルシファーの後継者。
かつての再戦の時代から生きているもので、彼を知らないものなど一人としていない。
そう、彼こそルシファーの実の息子。三人の超越者の最後の1人。
「俺ちゃん、ネバンちゃんの目的に賛同させてもらったよ。あまねく銀河に悪意を振りまいて堕落させるって、すっごいワクワクドキドキするねぇ」
そんな子供のような表情を浮かべながら、リゼヴィムは大きく手を広げる。
「君たちも、一緒に楽しまねえかい? 今なら新型の駒ですぐに並の中級悪魔をボコれるほどにまでパワーアップできるぜ!!」
にやりと、リゼヴィムは哂う。
「力がないせいでいろいろ鬱屈がたまってねえかい? 一度でいいから自分の弱い連中をボコりたいと思ったことはねえかい? 好き勝手に奪って暮らしたいと思ったことはねえかい?」
それは、多くに人が一度は本能的に考えてしまうことだろう。
そして、それは階級差ゆえに立場が大きく変わる冥界ではより強いはずだ。
「俺が、認めよう。ルシファーの正当たる末裔である俺が認めよう。……俺たちとともにくれば、いつの日かそれは必ず訪れると」
そういうと、リゼヴィムは茶目っ気たっぷりにウインクすらしてのけた。
「さ、思う存分パワーアップして俺つえーしようぜ?」
「そういうことだ」
そして、リゼヴィムに場を譲ってもらい、ネバンは再び映像越しに聴衆を見渡す。
「さて、つまりはそういうわけだが……」
ネバンは、どこか夢をあきらめない子供のような表情を浮かべると、その手を差し伸べる。
「我々は、悪魔の駒の材料の生産設備を手に入れた。いずれ、悪魔の出生率を考慮すればすべての悪魔が強化される」
その目に浮かぶのは、あくまで悪魔の発展と進化。
それを誰もが信じさせる表情で、ネバンは心から告げる。
「さあ行こう、尊く輝く銀河に、悪魔を刻み込むために!!」
1 敵勢力増大
2 悪魔内部分裂
3 悪魔の駒生成不可能
4 リゼヴィムじいちゃん早くもフルスロットル
5 事実上の内部不正もろバレ。
……以上四つの理由により、三大勢力ハードモードです。
ネバンは正真正銘このために出したといっても過言ではありません。シャロッコにしてもよかったのですが、どうせならアスモデウスもだしてみようと思いまして。
これにより悪魔側はものすごい勢いで大打撃を受けました。勢力として大幅に弱小してしまったといっても過言ではありません。
ちなみにリゼヴィムですが、異世界ではなく異星に向けて悪意をフルスロットルに向けているとお思いください。まだ見ぬ宇宙へさあ行きたいのです。