ハイスクールストラトス 風紀委員のインフィニット   作:グレン×グレン

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本作品は、基本的に双方ともにある程度魔改造が基本となっております。

・・・さすがに跡形もなく、とはいかないように努力しますがそういうわけにもいかないのはリメイク前の作品を見ればよくわかるかと


月下校庭のエクスカリバー 2

 そして教会との会合の日。レヴィアは無理を言ってはなし合いをする隣の部屋でスタンバっていた。

 

「ふむ、会話の内容もこれなら聞こえるね」

 

「いや、最初から中にいればいいだけの話だろ?」

 

 一夏は特に考えずにそういうことを言うが、しかしレヴィアはちっちっちと指を振る。

 

「それはダメだ。あくまで話し合いは教会のエージェントとリアスちゃんのだからね。眷属以外が部屋にいては、不機嫌になるだろう?」

 

「それなら最初から聞かないって選択肢ないのかよ、レヴィアさん」

 

 最近だいぶ慣れていた松田が、タメ口でレヴィアに尋ねるが、しかしそこでもレヴィアは指を振る。

 

「ちょっと嫌なことがあってね。ほら、リアスちゃんもまだまだ子供だし、相手も子供みたいだから。感情的になって揉めたら大変だろう?」

 

 レヴィアがいるのはすなわち、リアス・教会双方に対する安全装置だ。

 

 ここで二人が揉めてそれがきっかけで三大勢力の戦争再開だなんて笑えない。

 

 そう、三大勢力での戦争なんてやってはいけないのだ。

 

 そんなことになれば、間違いなく三大勢力は共倒れだろう。よしんばどれかの勢力がまともに機能しても、ほかの神話体系に狙われて滅ぼされるのがオチである。

 

 ゆえに、戦争が勃発しかねないこの現状は警戒する以外の何物でもないのだった。

 

「さて、それでは彼女たちはどうするんだろうね」

 

 そういって視線を向けるのは、朱乃に連れられて入ってきた三人の教会の人間だった。

 

「ふむ、全員ミスコンにでも出れそうなレベルの美少女だな。しかも三人ともタイプが違うとは驚きだ」

 

 元浜の眼鏡がきらりと光りあほなことを言うが、しかしそれに誰も突っ込まない。

 

 それほどまでに、三人が三人とも目を疑うような美少女なのだ。

 

 ISは第三次世界大戦勃発前までは基本的には軍用ではなくスポーツとして扱われていた。そのため、選手にはある程度の美しさが求められている。

 

 彼女たちは三人ともその要求ラインを余裕で通り越しているようなものだ。

 

 だが、それは消して見掛け倒しではない。

 

「できるなアイツら。誰一人として隙が無い」

 

 一夏が目を鋭くして観察する。

 

 そう、あの場にいる三人には隙が無い。

 

 同年代であそこまで鍛え上げるのは困難なレベルだっただろう。真ん中の一名は少し隙があるが、しかしそれでも松田や元浜では一人では倒せないだろう。

 

「あ、話し合いが始まりますよ?」

 

 蘭が気が付いた時には、すでに話が始まっていた。

 

『お初にお目にかかりますわ、グレモリー次期当主、リアス・グレモリーさん。私、英国教協会から派遣されたエージェントのセシリア・オルコットと申しますわ』

 

『ご丁寧にどうも。改めて、この地を治めるリアス・グレモリーよ。後ろに控えているのは私の眷属たち・・・イッセーは知っているわね?』

 

 真ん中に座るセシリアを名乗る少女と、リアスが言葉を交わし合う。

 

 彼女たちの一人がイッセーの昔馴染みで、昨夜イッセーの家に来ていたのはすでに知っている。

 

 下手をすればその場で殺し合いが勃発してもおかしくない状況だったが、イッセーの両親が何も知らないことを察したのかあの場では収めてくれたようだ。

 

 そして、話は本題に入る。

 

 かつて最強クラスの聖剣として名高かった聖剣エクスカリバー。

 

 今は七つに再鍛造されたそれのうち、現存する六つの半分が盗まれたというのだ。

 

「オイオイ! そんな簡単に盗めるものなのかよ!?」

 

「普通に考えて難しいね。今はエクスカリバーの使い手は全員見繕えている。つまり所有者を倒すなり殺すなりしてるってことだからさ」

 

 いろいろおどろく松田に、レヴィアは表情を険しくして応える。

 

 最強クラスの聖剣であるエクスカリバーの使い手は、上級悪魔にも匹敵する高水準の実力を持っていることと同義だ。

 

 確かにエクスカリバーは七分の一に弱体化している。また使い手の素質があるものが、必ずしも剣の使い手として優れているわけでもない。しかしそれでも脅威であることに変わりはないのだ。

 

 それを倒すということは、各種勢力でも上位側の存在が出てきているということだ。

 

『犯人はわかっているのかしら』

 

『ああ、下手人は神の子を見張るもの(グリゴリ)の幹部、コカビエルさ』

 

「は?」

 

 青い髪の少女の言った犯人の名前を聞いて、レヴィアは思わず大きな声を上げた。

 

『あら? なにか音が聞こえなかったかしら?』

 

『ネズミでもいるのだろう。もう少し掃除をきちんとしておくといい』

 

 栗毛の神の少女と青い髪の少女がいぶかしむが、しかし勝手に納得してくれたようだ。

 

「れれれレヴィアさん。驚きすぎ驚きすぎ」

 

 元浜が口元に指をあてていさめ、レヴィアは照れくさそうに笑うと頬を書いた。

 

「ごめんごめん。あまりにも驚きの名前が出てきたからね」

 

「でも、おかしいですよね」

 

 レヴィアが謝る中、蘭は不思議そうに首をかしげる。

 

「神の子を見張るものなら、当然自分の領地ぐらい持ってるはずです。なんで悪魔の領地になんて逃げ込んだんでしょう?」

 

「その神の子を見張るものと揉めて追い出されたとか? いや、そんな状態でエクスカリバー盗むなんて喧嘩売るようなことするわけないか・・・」

 

 元浜と一緒になって考え込んでいるが、しかし答えは出てこない。

 

 だが、この微妙な情勢で厄介なことをしてくれたことだけは間違いない。

 

 それを考えると、できる限りしっかりと動いた方がよさそうだ。

 

「おいレヴィアさん。なんかやばいこと言ってるぞ?」

 

「ああ、確かにこれは・・・」

 

 話を進めていると、今回戦闘を担当するのはセシリアたち三人だけらしい。

 

 神の子を見張るものに所属する最上級堕天使を相手にするには、いささか不安の残る構成だろう。

 

 まるで死を恐れているように思えない姿に、一夏は苛立たし気に奥歯をかみしめる。

 

「死んで来いって言われてるようなもんだろうが。そんなに神様ってのは偉いのかよ・・・っ」

 

「偉いんだよ。それが宗教ってものさ」

 

 レヴィアは紅茶を飲むとあっさりと答える。

 

「宗教とは、心の支えにして人生の意味にして正義の定義だよ。当然聖職者を名乗るのならそれが当然。死ぬことを恐れることはないよ。正しく生きてきたのなら、死後の幸せが保証されてるんだから」

 

 そういいながら紅茶を飲み干すと、レヴィアは苦笑する。

 

「だから厄介なんだ。定義されている正義を胸に戦っているから、時として平然と凶行に走りかねない―」

 

『そうか、では私に浄化されるといい』

 

 ・・・・・・・・・

 

 沈黙が走った。

 

『アーシアに触れるな!』

 

『何のつもりだ? 信仰を持ちながら悪徳にまみれた存在になったものを浄化しようというのだ。天からほめたたえられることこそあれ、とがめられることはないだろうに』

 

 そして、どんどんエスカレートしていった。

 

 レヴィア達は顔を見合わせた。

 

「よし、いこう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突如壁が粉砕され、その直前まで口論していたイッセーとゼノヴィアは慌てて振り向いた。

 

「な、な、なんだ!?」

 

「敵襲か!? どういうつもりだリアス・グレモリー!」

 

「ふはははは! リアスちゃんは関係ないよ君たち!」

 

 誇りを振り払いながら現れるのは、セーラ・レヴィアタン眷属。

 

 その姿を見て、ゼノヴィア達は警戒して後ろに下がる。

 

「セーラ・レヴィアタン! 旧レヴィアタンの末裔か」

 

「何てこと! コカビエルを倒しに来たと思ったら、魔王の末裔とも戦うことになるなんて! アーメン、これも神の試練ですか!」

 

 ゼノヴィアとイリナは即座に戦闘態勢をとるが、しかし1人冷静なものがいた。

 

「あら、やはりおりましたのね」

 

「気づいてたのか」

 

 別の部屋にいるのに存在に気づいていたことに、一夏は警戒心を上げて腰を落とす。

 

 だが、セシリアは首を振るとそのまま腰を下ろしてお茶を飲み始める。

 

「私は戦いませんわよ。というより、一応止めましたからね」

 

「何を言うかセシリア! 信徒として信仰心を持つものが悪魔に落ちぶれているのを黙ってみている気か?」

 

 ゼノヴィアがにらんでくるが、しかしセシリアは逆に睨み返す。

 

「仮にも領主に無理難題を押し付けに来た上に、その眷属を殺すなど戦争再開の引き金になりますわよ? 私は没落したとはいえ貴族ですので、そのような下賤なまねには興味がありませんわ。責任を取って私が取り押さえなければいけませんので、ゼノヴィアさんもイリナさんも剣を収めなさい」

 

 その言葉に、一同の空気が弛緩する。

 

 悪魔側としては好都合な言葉だ。なにせ、エクスカリバー使いを二人も同時に敵に回せば、少なくない数の被害者が出てくることは容易に想定できるからだ。

 

「それと兵藤さんでよろしくて?」

 

「え、あ、はい」

 

「貴方ももう少し宗教について勉強なさいな。宗教を重要視しないこの国の人には理解できないかもしれませんが、他国でそんな発言をすれば、集団リンチを受けてもおかしくありませんわよ」

 

「あ、どうも」

 

 しかも、イッセーの方の叱責もきちんとしてくれている。

 これはなかなか常識人ではないだろうか。

 

 そう思ったのだが―

 

「文化的に後進であるとはいえ、戦火に包まれてないこともあり相応に水準の高い国家にいるのですから、もう少し水準の高い人物になるのが責務というものですわ。・・・我がイングランドのように上質な国家となるのは無理でも、やりようはいくらでもありますのよ?」

 

 ・・・最後に無自覚に挑発をぶちかましてきた。

 

「いや、世界メシマズランキングトップ独走じゃねえか、イギリス」

 

「一夏くん! メッ!」

 

 慌てて止めるが、セシリアの額に青筋が浮かんだのは誰もが見て取れた。

 

「・・・あらあら、我が国の合理的軽視をどうしようもないとか、第二次大戦で人のことを鬼畜などとおっしゃっただけあって野蛮な人柄が日本の特色なのかしら?」

 

「・・・食事を馬鹿にするやつが大したことあるとは思えないけどな。っていうか、いつの話してんだよこら」

 

「ちょっと!? なんで君たちが戦意むき出しにしてるのさ!!」

 

 どうしたもんかとレヴィアは頭を抱えたが、しかしそれよりもなおひどいことになってきた。

 

「面白い。じゃあ、少し模擬戦でもしてガスを抜くのはどうかな?」

 

 その言葉共に、部屋中に大量の剣が現れる。

 

 そしてそれを生み出した男は、いつもでは考えられないほど目の座った表情を浮かべていた。

 

「・・・失敗作としては、ぜひ成功作がどれほどのものか味わってみたかったんだ。さっきから勝手なことばかり言ってるんだし、それ位の代償は必要だろう?」

 

 木場祐斗は、冷笑すら浮かべて聖剣使い達をにらみつけた。

 




セシリアがだいぶ大人になっているのですが、まあ、彼女もかなり揉まれたのです。


この作品での魔改造は

1 レヴィアふくむD×D勢

2 第三次世界大戦

・・・この二つでお送りしています。

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