ノゲゼロ夫婦が異世界へ来たようですよ?   作:駄作者

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取り敢えず感想で指摘してくれるのは良いのですが、我儘を言わせて貰うと、出来れば何処が、どの様に、どういった感じで面白かったとかの感想も欲しいです……
(´・ω・`)


問題児様方は一筋縄では行かないようです。

「ジンぼっちゃーン! 新しい方を連れて来ましたよー!」

 

 箱庭の外壁を繋ぐ階段前で待つ少年に黒ウサギは手を振り駆け寄る。

 

「お帰り、黒ウサギ。其方の四人が?」

 

「はいな、こちらの御五人方がーーー」

 

 黒ウサギは後ろに振り返るとカチンと固まる。

 

「え? あれ? もう1人いませんでしたでしょうか? 少し目つきが悪くて、かなり口が悪い、全身から〝俺問題児!〟って感じのオーラを放ってる殿方が」

 

「ああ、十六夜なら〝ちょっと世界の果て見てくるぜ!〟と言ってあっちに駆け出して行ったぞ」

 

 リクはそう言うと十六夜が向かった方角を指さす。

 

 黒ウサギはそんなリクたちに問いただす。

 

「なっ何で止めてくれなかったんですか?」

 

「俺が止めた所であいつが止まると思うか?」

 

「うっ……でっ、ですがそれなら黒ウサギに何故教えてくれなかったんですか!?」

 

「【回答】十六夜から黒ウサギに黙秘するように言われた」

 

「嘘です、絶対嘘です! 実は面倒くさかっただけでしょう御四人さん!」

 

「「「うん」」」

 

「……事実、嘘は言ってない」

 

 1人不服そうに頬を膨らませながら言うなか、3人は頷く。

 

 黒ウサギは前のめりに倒れる。

 

「たっ、大変です! 〝世界の果て〟にはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が」

 

「幻獣?」

 

「はっはい! ギフトを持った獣を指す言葉で、〝特に世界の果て〟付近には強力なギフトを持ったものがいます。出くわせば最後、人間では太刀打ち出来ません!」

 

「あら? それじゃあ彼はもうゲームオーバー?」

 

「参加する前にゲームオーバー?……斬新?」

 

「十六夜は箱庭の厳しさを教えるが為に必要な犠牲となったのだ」

 

「冗談言っている場合じゃありません!」

 

 ジンは事の重大さを必死に伝えるが、四人中三人は叱られても肩を竦めシュヴィに至っては首を傾げている。

 

 黒ウサギは溜め息を吐きながら立ち上がる。

 

「はぁ……ジン坊っちゃん。申し訳ありませんが、御四人様の御案内をお願いしても宜しいでしょうか?」

 

「わかったよ。黒ウサギはどうする?」

 

「問題児様を捕まえに参ろうと思います。事のついでにーー〝箱庭の貴族〟と謳われた。黒ウサギを馬鹿にした事を骨の髄まで後悔させてやります」

 

 黒ウサギはそう言うと怒りのオーラを噴出させ、黒い髪を淡い緋色に染め上げると、外門の柱の高い位地まで移動して水平に張り付く。

 

「一刻ほどで戻りますので、皆さんはゆっくりと箱庭ライフを御堪能くださいませ!」

 

 そして門柱に亀裂が入るほどに踏みしめ全力で跳躍し弾丸のように飛び去ったのだった。

 

 一連を見ていたリクはシュヴィに尋ねる。

 

「なぁシュヴィ……本当に精霊の反応が無いのか?」

 

「【肯定】黒ウサギには獣人種(ワービースト)に分類出来る精霊の反応は無い」

 

「どう言う事だ?」

 

「【返答】黒ウサギから得られる数値は極めて高く獣人種(ワービースト)では分類が出来ない、どちらかと言うと第六位の天翼種(フリューゲル)に相当する。さらに精密な検査次第では持っと高い可能性もある」

 

「……何だそれデタラメ過ぎだろ……」

 

 リクはそうつぶやくと、黒ウサギが去って言ったほうこうを見詰める。

 

 そして何か閃いたようにシュヴィに話し掛ける。

 

「なぁ……その検査のついでに〝生殖機〟を調べるのは可能か?」

 

「……? 【肯定】直接接触した上での検査だからそれに乗じて調べる事は可能」

 

「ーーッ!?……そうか」

 

 リクはそう言うと飛鳥達とジンの話もある程度すんだらしく、五人は箱庭の外門を潜るのだった。

 

 

 

 

――――――…………

 

 

 

 

 箱庭二一〇五三八〇外門・内壁

 

 リク、シュヴィ、飛鳥、耀、ジン、三毛猫の五人と一匹は石造りの通路を通り箱庭の天幕に出た。

 

 五人と一匹の頭上に眩しい光が注ぐ。

 

 遠くには巨大な建築物と空覆う天幕を見る。

 

『お嬢! 御天道様が見えとるで!』

 

「……本当だ。外からだと箱庭の内側何て見えなかったのに」

 

 空の上から見た時は、箱庭の街並みは見えなかった。にもかかわらず都市の空には太陽が確かにあった。

 

「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんです。それにあの天幕は太陽の光を直接受けれない種族の為に設備されてますから」

 

「(うわぁ吸血種(ダンピール)とか泣いて喜びそうだぞ)」

 

 リクは内心でそんな事を思っていると、飛鳥が皮肉そうにジンに話し掛ける。

 

「そう……つまりこの世界には吸血鬼でも住んでいるのかしら?」

 

「えぇ、居ますけど」

 

「……。そう」

 

 飛鳥は複雑な顔をする。

 

 そして五人と一匹は身近にあった〝六本傷〟の旗を掲げているカフェテラスに座る。

 

 すると注文を取るために店の置くから素早く猫耳の少女が飛び出てくる。

 

「いらっしゃいませー。ご注文は何にしますか?」

 

「えっと……紅茶を四つと緑茶を一つ。後、軽食にコレとコレで」

 

『ネコマンマを!』

 

「はいはーい。ティーセット五つにネコマンマですね」

 

 ……ん? と飛鳥とジン、リクとシュヴィは不可解そうに首を傾げる。そんな中、耀は信じられないとばかりに猫耳の店員を凝視する。

 

「三毛猫の言葉、分かるの?」

 

「そりゃ分かりますよー私は猫族何ですから。お歳のわりに随分と綺麗な毛並みの旦那さんですし、ここはちょっぴりサービスさせて貰いますよー」

 

『ねーちゃんも可愛い猫耳に鍵尻尾やな。今度機会があったら甘噛みしに行くわ』

 

「やだもーお客さんお上手何ですから♪」

 

 猫耳娘は長い鍵尻尾を揺らしながら店内へと戻る。

 

 その後ろ姿を耀は見送ると嬉しそうに笑い三毛猫を撫でる。

 

「……箱庭ってすごいね私以外にも三毛猫の言葉が分かる人がいたよ」

 

『来て良かったなお嬢』

 

「ちょっと待って。貴女ひょっとして猫と会話が出来るの」

 

 珍しく動揺する飛鳥に耀はコクリと頷く。ジンも興味深いのか質問をする。

 

「もしかして猫以外でも意思疎通が出来ますか?」

 

「うん。生きていれば誰とでも話しは出来る」

 

「ほぉ。それは凄いな」

 

「【質問】それならあそこにいる野鳥とも会話は可能?」

 

「うん、きっと出来……る? えっと、鳥でだと雀や鷺、不如帰とかには話した事があるし……ペンギンが行けたから多分大丈夫」

 

「ペンギン!?」

 

「う、うん。水族館で知り合った。他ならイルカ達とも友達」

 

 リクとシュヴィは雀やペンギンと言う言葉に疑問を浮かべたが何かしらの鳥だと言う事は理解した。

 

 そんな中で、耀の声を遮る様に飛鳥とジンが声を上げる。

 

 恐らく2人はそれらの言葉の意味が理解出来てるのだろう。

 

「し、しかし全ての種と会話が出来るなら心強いギフトです。この箱庭において幻獣との言語の壁はとても大きかったりしますから」

 

「そうなんだ」

 

「はい。一部の猫族やウサギのように神仏の眷属として言語中枢を与えられていれば意思疎通は可能ですけれど、幻獣達はそれそのものが独立した種の一つです。同一種族か相応のギフトがなければ意思疎通は難しいと言うのが一般です。箱庭の創造者の眷属である黒ウサギも、全て種とコミュニケーションを取ることは出来ないはずですし」

 

「それだけじゃない言語の壁を越えられたら情報の幅が広くなる場合によってはギフトゲームの情報をいち早く入手出来たりその他のコミュニティの情報やゲームの勝率等が上がる可能性もあるからな 」

 

「そう……春日部さんは素敵な力があるのね。羨ましいわ」

 

 笑い掛けられると、耀は困ったように頭を掻いた。対照的に飛鳥は憂鬱そうな顔で呟く。耀にリク、シュヴィは飛鳥と数時間しかあっていないが、それでもその様子は彼女らしく無いと感じた。

 

「久遠さんは」

 

「飛鳥で良いわ。よろしくね春日部さん」

 

「うん……。それで飛鳥はどんな力を持ってるの?」

 

「私? 私は酷いものよ。だって」

 

「おんやぁ? 誰かと思えば〝名無しの権兵衛〟のリーダーである、ジン君ではないですか。今日はオモリ役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」

 

 品の無い上品ぶった声にジンは振り返ると、ピチピチのタキシードを来た2m以上の大男がいた。その男は不覚にもジンが知っている人物だった。

 

 ジンは顔を顰めて男に返事をする。

 

「僕らのコミュニティは〝ノーネーム〟です。〝フォレス・ガロ〟のガルド=ガスパー」

 

「黙れ、この名無しめ。聞けば新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。名と旗印の無いくせに未練がましくコミュニティを存続させようなど出来たものだーーそうは思いませんかい、そちら様方」

 

 ガルドと呼ばれた大男は五人が座っていたテーブルの空席に勢いよく座る。飛鳥と耀そしてリクは愛想笑いを浮かべ、相手の失礼な態度に冷ややかな態度をとる。シュヴィに至っては何時もより感情の無い覚めた目でガルドを見ている。

 

「失礼ですが、同席を求めるならまず氏名を名乗って一言添えるのが礼儀では無いかしら?」

 

「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ〝六百六十六の獣〟の傘下である「烏合の衆の」コミュニティのリーダー……って誰が烏合の衆だゴラァ!!」

 

 ジンの横槍にガルドは怒鳴り声を上げる。その姿は口が耳元まで大きく裂け肉食獣の様な牙が覗いており、激怒しながらギョロリと剥いた瞳をジンに向けた。

 

「口を慎め小僧! いかに俺が紳士で通っていても許せねえ言葉はあるんだぜ?」

 

「森の守護者だったころならたしかに礼儀で返したでしょう、ですが今の貴方は二一〇五三八〇外門付近を荒らしている獣にしか見えない」

 

「ハッ! そう言う貴様は過去に縋る亡霊と変わらねぇだろうがッ。自分のコミュニティがおかれた状況を理解できてるのかえェ!?」

 

「ハイ、2人ともストップ、ストップ」

 

 邪険な2人をリクはそう言って制する。

 

「事情は余り分からねぇけど、2人が仲が悪いのは分かった。それを踏まえて質問したいんだが」

 

 リクはそう言うとガルド=ガスパー出なく、ジンを鋭く睨み付ける。

 

「なぁジン……ガルドが指摘してる事といい、ジンのコミュニティの状況、()()()()()()()()()()()が俺達に事情を話してはくれないか?」


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