マイペースな夜鳥さん(仮題)   作:倭ねこ

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とうとうモンスター転生を書く側に手を出してしまった。どうなっても知らんぞ私……

主人公は二十歳くらいの女の子です。

長さ…はどうでしょう。慣れてないのでよくわかりません。


それでもよければ、以下からどうぞ。


1:それは突然に

気づけば森の中にいた。

 

 

 

……ここは何処だろう。

自分の部屋で寝てたはずなのに。

 

 

……自分の部屋ってどこだっけ。

そう言えば、自分の名前もわからない。

好きなものとか、いろんな知識とか、そういうのは覚えているのに。

 

……取り敢えず現状を確認した方がいいかな。

 

 

起き上がろうとして……既に立ち上がっているのに気づく。立ったまま寝てた?そんな器用な事出来た記憶はないんだけど……多分。

 

 

「(…………あれ)」

 

 

寝起きでぼんやりしていた視界に焦点を合わせて……首を傾げる。視線がやたら高い。はて、身長は平均位だった……はず。いや、そもそもそんなレベルの高さじゃない。ぼやけた視界でも森の中っぽく見えたが、どうやら木の上に居るようだ。足元がスースーする。

 

なんとなく視線を下に向けて―――

 

 

 

「(……なにこれ)」

 

 

 

視界の下半分を埋めるフワフワの羽毛。

金色で綺麗……綺麗だが、そうではない。

なぜ自分の体に羽毛が生えているのだ。

その下に見えた脚も人のものではない。鋭い爪の生えた、猛禽類のそれである。

 

恐る恐る脚に意識を向けると……動かせた。

そっと持ち上げ、力を込める。指(?)が自分の意思で動く。

 

今度は腕に意識を向けると……バサリと音がした。

更に動かす。バサリ、バサリ。

辺りに羽根……だけでなく、なにやらキラキラとしたものも舞い散る。また、そうすると視界に翼も映るわけだが……

 

 

「(普通の羽根……じゃないなぁ)」

 

 

……自分が人間でなくなっていることにまず驚くべきだと思うが、不思議とそういう気持ちや未練といったものはなかった。私は元の暮らしが好きではなかったのだろうか。それとも、覚えてないだけで実は死んでしまってたのかもしれない。

そもそもろくに記憶が無いので確かめようもないが。

 

それはそれとして、見えた翼は羽毛の集合ではなく……翼膜があり、それを覆うように羽毛が生えている、というものだった。また、なにやら刃物の様に光を反射する硬そうなものが翼に沿って生えている。

これもまた、自分の意思でバラバラに動かせた。感覚としては指に近いだろうか。

 

 

「(……この姿、知ってる……それに、この場所も)」

 

 

記憶にある姿と重なり、確かめようと水場に向かう。そういえば特に意識しなかったが、私の体は何の違和感もなく翼を広げて飛び立つ事が出来た。不思議と体の構造がわかっているようだ。

 

『この姿の』モデルになった生物らしく、それなりにスピードは出しているが風を切って飛行する音はとても静かだ。なるほどこれはよほど警戒していなければ不意打ちをくらってしまうのも無理はない。

 

 

 

 

ほどなくして水場に着く。…記憶が正しければここは通常『今の私』のような存在はあまりやってこない所だ。水草や背の高い木に生る実を食んでいた自分より遥かに巨体の先客達が私に驚いて逃げ去っていったが、別に襲う気もないので気にせずに川を覗きこむ。

 

 

映ったのは、道化師が被る帽子のような羽冠、美しい金色をした胸元の羽毛、深い藍色に包まれた翼、赤く鋭い瞳を持つ、フクロウのような姿。

 

------“夜鳥”ホロロホルル。またの名を、幻惑の魔術師。

 

モンスターハンターというゲームシリーズに登場する、睡眠と混乱を巧みに操り外敵を仕留める、鳥竜種のモンスターだ。

 

 

 

「(……なんだけど、なんかちょっと違うなあ)」

 

 

 

まず、翼。記憶よりだいぶ大きいし、翼爪も比例して大きい。

尻尾を見ると------首が180°後ろに回った、これは流石に驚いた-----三つ又ではなく四つ又だ。

羽冠の色も、金色味が強い。試しに頭を振るってみると、先ほど翼から散った鱗粉とは違う鱗粉がキラキラと舞う。それを被った草が、周りに溶け込み、見えなくなってしまった。

 

“朧隠”と呼ばれる二つ名個体の持つ特徴に相違ない、が

 

 

 

「(でもそれ以外は普通のホロロホルルと一緒だね、主に色が)」

 

 

 

そう。朧隠なら、もっと全体的に金と赤味が強いはずだし、何より翼膜と尾の色が黄昏色なのだ。

だがこの姿は、羽冠以外は通常種と同じ色に包まれている。

 

朧隠へ変異してる最中なのか、はたまた違う変異をしているのか…

 

 

 

 

まあ、いいか。

 

「(わからない事考えてても仕方ないし。現状確認は済んだ、今度は戦えるようにならなきゃ)」

 

 

ここだといつハンターがくるかわからない。少し水を飲むと、邪魔がはいらなそうなところに移動すべく、私は再び飛び立つ。

 

自分でも驚くほど冷静だしこの状況に順応してる気がするが、これもまた、「考えても仕方ないから」と結論付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(…んん、こんなもんか)」

 

ゲーム内で見られるモーションを参考に体を動かす。

 

翼爪を振り回したり、低空飛行や垂直降下、睡眠音波を発射したり。

朧隠が使う鱗粉カッターや翼の叩き付け攻撃、回転タックル等も試した。

 

流石に戦う為の動きとなると最初はうまくいかず戸惑ったが、しばらく素振り(という表現が適切かはわからないが)をしていれば徐々に思い通りに動けるようになった。

 

過程も理由もわからないが、モンスターになってしまった以上ここはもう弱肉強食の世界。自分の身を守る事はもちろん、自分の食事だって自分の手で確保しなければならないのだから。

 

大きな鏡などあるわけがないので客観的に確認が出来ないが、獲物を狩るくらいならなんとかなるだろう。

てかホロロホルルって肉食であってるのかな。フクロウなら小動物を狩って食べるはずだし。こっちだとマッカォとかかな。あるいはオルタロスとかの虫か。

 

 

 

「(どちらにせよ狩らなきゃ始まらない。ちょうど素振りで小腹が空いて来たし、今度は獲物相手の実戦練習といってみようか)」




呆れる程冷静で適応力高い主人公
理由は……カンガエルノメンドクサイカラナイナンテイエナイ

転生させたいモンスター候補ほかにもいたので誰で書くかとても悩んだ。


ちなみに場所は古代林です。本文に書き損ねた。

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