狼少女と精霊   作:抹殺完了

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第6話 士道とプリンセス

「俺は…お前を否定しない」

 

誰も居ない学校…たった二人しか居ない学校そのある教室内で、少年はダンと地面を踏み締めながら目の前にいる少女に言った。

 

その言葉に少女は眉をひそめながら少年から視線を逸らす…初めてだこんな事を言われるのは…厳密には同じ精霊以外の話だが、何時もあの空に飛ぶ変な奴等モンが言う『メカメカ団』に常に自分の事を全て否定された…だから私は望まない剣を振るってきた、今までずっとただ否定されるのが嫌だから…

 

「………っ」

 

だが…目の前にいる人間は今まであったどの人間とも違う

 

「シドー…シドーと言ったか?」

 

「あぁ」

 

彼は自分を否定しなかった…まるでモンだ、彼女も自分の事を否定せずに肯定してくれた、初めてだこんな人間は

 

「本当に私を否定しないのか?」

 

「本当だ」

 

「本当の本当か?」

 

「本当の本当だ」

 

「本当の本当の本当か?」

 

「本当の本当の本当だ」

 

「……ふん」

 

間髪入れずに答えるシドーに参ったのか、髪をくしゃくしゃとかき向きを元に戻す。

 

「誰がそんな言葉に騙されるかばーかばーか」

 

精一杯の強がりを言い、シドーが何かを言う前に言葉を紡ぐ

 

「まぁ……だが…どんな魂胆があるか知らないがまともな会話をしようとしてきた奴は二人目だ……」

 

「二人目?」

 

「うむ、シドーに会う前に良く私に話し掛けて来た精霊がいるのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『二人目?士道の他に会った人物がいたって事?しかも精霊…』

 

シドー…士道と精霊 識別名 プリンセスが居る学校の上空に其れはあった

 

其れの名はフラクシナス

 

ラタトスク機関と呼ばれる秘密組織が誇る最新鋭空中艦である、その空中浮遊艦は不可視迷彩を使い姿を隠している。

 

 

精霊の対処には二通りの方法がある

 

一つ目 武力による制圧

 

これはAST、DEM社そして世界共通の方法だが…精霊自体強力な為非常に困難を極める。

 

そして二つ目此れがラタトクス機関が用いる方法…対話による空間震災害の平和的な解決である。

 

その具体的な方法こそ、今学校にいる士道…五河士道だ。

 

更に具体的に言えば、精霊に恋をさせ『デレ』させるのだ

 

そうする事で精霊の力を封印する事が出来る、つまりラタトクスと言う組織の理念を達成するには五河士道と言うごく普通の高校生が必要不可欠なのだ。

 

これはラタトクスにとっての戦争 デート・ア・ウォー

 

そして精霊達に生きる道を示す デート・ア・ライブになる。

 

 

その空中浮遊艦 フラクシナスの司令官『五河琴里』は好物のチュッパチャプスを咥えながら神妙な顔で呟いた。

 

『士道その精霊について聞いて頂戴』

 

通信機から士道の小さく分かったと言い、プリンセスに話し掛ける。

 

「なぁ…その精霊について教えてくれないか?」

 

「むぅ…本当は私がシドーに色々聞こうと思ったがまぁ言い」

 

頬を膨らます彼女だが直ぐ様元に戻り、少しニコニコしながら士道に自分に良く話し掛けて来た奇妙な精霊について話した。

 

 

『……ありがとう士道、その子が言ってた精霊は『フェンリル』よ』

 

「フェンリル?」

 

『えぇ…奇妙な挨拶に獣の耳と尻尾で分かったわ…まぁ確かにこの子の言う通り変な精霊よ』


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