狼少女と精霊   作:抹殺完了

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第4話 モンと狂三

人が滅多に来ない路地裏、其処に二人の美少女と数体の血で真っ赤に染まって居る『人間だったもの』が転がっていた。

 

話は少し遡る、狂三とモンはガラの悪い男達に囲まれてしまい程度の低いナンパをされていた、狂三はこの事態を如何しようかと隣に居るモンに声を掛けようと隣を見る。

 

「………」

 

威嚇は幸いしてはいないが…其れでも非常に危険だ、此の儘では街のど真ん中で殺しかねない…其れは不味い非常に不味い、下手をすれば厄介な事になる。

 

「お兄さん方…もしかしてわたくし達と交わりたいのですの?」

 

つまりはこの男達を人目につかない場所で始末してしまえばいい、狂三とモンは幸いな事に人を殺す事に躊躇いはない。

 

そうして狂三は妖しい笑みを浮かべながら男達に言う、当然ながらその笑みは先程モンに見せた表情とは比べ物にならないが。

 

その言葉を聞いた男達は少しの間ポカンとするが、直ぐに元の調子に戻り色めき立つ、対して心配そうに服の端を掴むモン。

 

全く…こう言う所がいちいち可愛いのですわと心の中で言う、最初に会った時の様な残虐な彼女だったらどれだけ楽だったのだろう…いや、其れは其れで手は焼くだろうが。

 

「大丈夫ですわモンさん」

 

服を掴むモンの身体を優しく抱き締め彼女にしか聞こえない音量で耳元で呟く、囁けば彼女はくすぐったそうにしながら身をよじる。

 

「でも…」

 

「大丈夫ですわモンさん、あの殿方達に身体なんか触れさせませんわ」

 

「うん…」

 

モンは恥ずかしそうに小さく頷く、其れに答える様に狂三は微笑み其の儘男達に向き直る。

 

「少し場所を変えませんこと?ここですと人目に付いてしまいますわ」

 

また男達は色めき立ち、狂三とモンを囲う様にしながら路地裏に入って行った、暫く歩けば袋小路になっていて半ば二人は追い詰められた様な格好となった。

 

男達のリーダーらしき人物が一歩前に出るその表情は下劣だった。

 

「それじゃあ早速」

 

そう言い手を伸ばし止まった

 

「おい…ヤラねぇのか?なら俺が…」

 

「おい…あれ……」

 

手を伸ばしたまま止まった男を訝みそのまま、二人に手を伸ばそうとして隣にいる男に止められ良く見てみる。

 

男の首筋から赤い何かが噴水の様に出ていた……あれは………血?

 

「何で?」

 

何で目の前にいる友人の首筋から血が吹き出ているんだ?

 

呆然とする男達を尻目に男の首筋を噛み千切り殺したモンは無感情に彼等を見ながら肉を噛みそして飲み込んだ。

 

食うのに値しない程不味い肉だった、そう頭の中で思いながら次の獲物達に狙いを定めそして獰猛な狼の様な表情をして男達に飛び掛った。

 

其れから男達は数分も経たずにゴアめいた肉片になっていた、フェンリルと呼ばれている彼女にとってこの様な事は赤子の手を捻るよりも簡単な事なのだ。

 

「全く…あんまり散らかしては駄目ですわよ?」

 

狂三の声と共にゴア肉は地面に否影に吸い込まれていく、これは狂三の天使の能力の一つだ。

 

「其れにこの殿方達はわたくしが食べようと思っていましたのに」

 

残念そうに言う狂三だが其れは噓だ、この男達は食うには値しない小物だと…だが彼女は食べようとした、モンが食べるより自分が食べた方が良い。

 

彼女はもっと良いものを食べた方が良い…だからこそ自分が彼等を食べるようとしたが…彼女よりも速くモンが動き男達を食い散らかしてしまった。

 

「でも…狂三が食べたらお腹壊しちゃうよ?アタシは身体丈夫だから大丈夫だけど…うぅ不味かった」

 

ゲンナリとするモンを見ながら狂三は微笑む、内容は物騒極まりないがモンの暖かい表情につい緩んでしまう。

 

……わたくしがこんな子と一緒に居ても良いのでしょうか?

 

ふとそんな事を頭に過る………いやモンさんはわたくしに付いていくと言って下さった…この自分勝手なわたくしに…だから良い……一緒に居ても

 

「モンさん…」

 

俯いていた顔を上げ自分の大切な人を見ようとするが当の彼女は居なかった…文字通り影も形も

 

「えっ……」

 

混乱する頭で何とか考える…自由奔放な彼女だが勝手に居なくなる様な事は無い、其れこそDEMが言う『消失』でもしなければ

 

「……あぁ」

 

忘れていた、彼女も自分と同じ精霊なのだつまりただ…ただただ単純に消失して臨界に行っただけなのだ。

 

「はぁ……わたくし…モンさんに依存しているかも知れませんね」

 

一安心しながらポツリと呟く

 

「出来る限り早めに此方に来て下さいまし?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グワッハハハハハ‼︎」

 

「な……何よ…此処⁉︎」

 

準精霊と呼ばれる存在の彼女はこの不自然な空間に困惑する、確かに自分は臨界のいたって普通の空間に居たはず……なのに目の前にいる正体不明の準精霊か分からない存在に襲われ、そしてこの不気味な空間に居た。

 

空に人が居て自分達がいる地には誰も居ない、そして空も地面も白黒だった

 

「グググググ…この空間はキリングフィールド・ジツ、コロス・ニンジャクランが造った固有結界見たいなジツ…と言ってもグググ……分からないか」

 

そう正体不明の化け物が可笑しそうに不気味な笑い声を出す、たったそれだけで肌が粟立つ。

 

「グググググ……さぁてニンジャはアイサツをしなければならないな…だが……グワッハハハハハ‼︎ウチはニンジャでは無い!だがニンジャのジツが使える‼︎グワッハハハハハ‼︎グワッハハハハハ‼︎」

 

何が楽しいのか化け物が狂った様に笑い続ける…逃げないと!

 

「逃げないと…」

 

そう直ぐに背を向け何処に逃げるべきか分からないが無我夢中に飛ぶ……

 

 

「ドーモ初めまして、モンです」

 

必死に逃げていた筈なのに目の前に化け物が不気味な笑みを浮かべながら、訳のわからない挨拶をして来た。


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