狼少女と精霊   作:抹殺完了

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第2話 ドーモ、ナイトメア=サン

「メカメカ団?」

 

パワードスーツを着た女の子 鳶一折紙は首を傾げる

 

「貴女達の事だよほらメカメカしてるし集団だし」

 

「……私達はAST」

 

「アイスクリーム・タクティクス?」

 

「アンチ・スピリット・チーム、貴女達精霊を殺す者」

 

「あら物騒」

 

「精霊よりマシ…何故貴女は邪魔をする?プリンセスとは関係ない筈」

 

「関係あるさ同じ精霊だし」

 

「そう…」

 

言うや鳶一折紙は自分の獲物を構え土煙漂う場所へ掛ける、その速度は尋常では無く並みの……いや人間が到底出せない速度で接近。

 

「グゥゥゥ⁉︎」

 

精霊 フェンリルに到達する前に彼女の腹は金属で出来た腕に殴られていた、そして鳶一折紙は宙を舞い地面を2〜3回バウンドする。

 

遂に土煙が晴れた…其処には灰色のペイントを施された無骨なロボットと肩に乗るフェンリル…彼女が居た。

 

「ガゥ…手加減はした筈、ふふいい子いい子」

 

敵対者に慈悲なき攻撃を喰らわせ倒した後、彼女は威嚇の様に吼えた後殴った状態のまま静止するロボットの頭部を愛おしく撫でる、此れがフェンリルの恐ろしい所であり厄介な所でもある。

 

何処からともなくこのロボットは出現し、フェンリルを守り敵対者を迎撃する…其れをASTは『守護者(アイギス)』と呼びフェンリルの形を持った奇跡『天使』と断定していた。

 

「鳶一‼︎」

 

上空から悲鳴の様な叫び声が聞こえたと同時にフェンリルとその背後に居るプリンセスに意味の無いミサイルや銃弾が殺到する、先のプリンセス戦での消耗の所為か火力は先程よりも無いが…其れでも充分な火力だ。

 

「『クーガー』‼︎」

 

フェンリルが叫ぶ、クーガーと呼ばれたロボットはフェンリルが必要と感じている行動を瞬時に理解し、直ぐさま二人の精霊の前に立ちはだかり盾となった。

 

ミサイルの直撃による連続した爆発と銃弾が襲うが等のクーガーには傷一つ付いておらず、逆に背中に担架しているマシンガンを取り出し反撃を開始した。

 

「ッ‼︎全員退避‼︎」

 

「さて…大丈夫かいお姫様?」

 

攻撃を開始したクーガーの後ろにいるフェンリルがプリンセスに対し無事かどうか聞く、プリンセスは巨大な剣を消し好意的な表情を此方に向ける。

 

「おぉ!『モン』ではないか!うむ勿論無事だ」

 

「其れは良かった、今の内に逃げると良いよアタシも直ぐ逃げるから」

 

「ありがとうだ!モン!今度お前が言っていた『デェト』に行こう!」

 

そう言った後プリンセスはこの場から消えて言った、隣界という所に消えていったのだ。

 

「さて…とアタシも逃げるとするか」

 

その言葉に反応する様にクーガーのカメラアイが光り、地面に向けマシンガンを撃ち更に手榴弾を投げAST達の視界を遮る。

 

その間にクーガーは腰部にあるスラスターを吹かしながらフェンリル…モンを拾いながらその場から逃走していった。

 

 

 

 

 

 

「うまく巻けたかな?」

 

フードに隠しているケモミミをピクピクと動かしながらモンが呟く。

 

「全くもぉーほんとメカメカ団は鬱陶しくて敵わないよ、と言うかアタシ達精霊が何をしたのさ…」

 

ケモミミをペタリと倒しながらそんな事を言う、確かに自分達精霊は現界する際に色々と壊したりしているけどだからって、命を狙われるのは正直たまったもんじゃない。

 

「全くですわね、私達は良い迷惑ですわね」

 

「…!」

 

背後から声を掛けられたモンは垂れたケモミミを直ぐに立て、尻尾もブンブンと振る。

 

と言うのも声を掛けてきた人物は彼女が好きな精霊だったからだ、彼女は背後を向き断片的な記憶を頼りにしながら奇妙な挨拶をした。

 

「ドーモ、ナイトメア=サン。モンです」


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