狼少女と精霊   作:抹殺完了

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第1話 乱入

「おーおー派手にやってるねー」

 

愉快そうに言う彼女は半壊したビルの上に居た、灰色のフードを深く被りビルに座る若い女の下半身には黒いおおよそ人間には無いであろう大きな尻尾があり彼女が人間で無いという事は明白だ。

 

「おっと…あの子は確か……お姫様かそして空を飛んでるのはメカメカ団、全くけしからんぞメカメカ団!女の子に寄ってたかって!羨ましい!」

 

台無しである

 

彼女がいるビルの少し離れた場所では黒髪の奇妙なドレスを着た女の子が刃幅の巨大な剣をパワードスーツを着て空を飛ぶ複数の女に向け刃を振るう。

 

一振りでまるで暴風の様に砂が舞き上げられる、そんな嵐の様な攻撃をパワードスーツの集団はその攻撃をかわしながら、銃やミサイル等で回避するがドレスの少女はその場で動かずに剣を振るう。

 

その攻撃でミサイルは少女に到達する前に爆発され、銃弾も弾き飛ばされた。

 

「何時見てもお姫様は強いな〜、しかも可愛いし」

 

その戦闘行為をビルの上から足をブラブラとしながら鑑賞をしているが、そんな最中彼女は不可思議な人物を見かけた、明らかにこの戦場に不釣り合いな学生が居た。

 

このままあの男子学生が新鮮なお肉になって定価250円位でスーパーに売られてしまう…其れは駄目だ食品衛生的に駄目だし何より一般人が死ぬのは絶対に駄目だ。

 

其処からの彼女は速かった、何時もはマイペースな彼女だがこの様な場合だと人一倍速いのだ。

直ぐさま立ち上がり着ていたフード付きジャンバーを脱ぎ捨てる、すると……彼女の頭には黒い獣の耳が!そして服も離れた場所で戦っているお姫様の様な青いドレスを着ていた!

 

摩訶不思議だが彼女は気にも留めずに戦場に向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

PPPPPP‼︎

 

男子学生のポケットに入っている携帯が鳴る、先程迄異様な静けさを醸し出していた為その音は一際大きく聞こえ、其れが膠着状態になっていた戦闘の再開させる音となった。

 

パワードスーツを着た女の子と奇妙なドレスを着た女の子が同時に駆け出し己の獲物を振るう。

 

獲物同士がぶつかる前に彼女達の頭上を影が覆い尽くす、現在の天候は晴れだ其れこそ雲ひとつ無い…ならこの影は?

 

「なっ…!」

 

「なにっ⁉︎」

 

二人は咄嗟に攻撃を中断しその場から退避する、その直後二人が居た場所に何かが降ってきた、相当な重量だったのだろう凄まじい音と土煙を上がる。

 

微かに男子学生の悲鳴が聞こえたが……

 

「一体…何が?」

 

咄嗟の判断で回避したパワードスーツの女は目眩がする頭を振りながら、何かが落ちた場所を見る、其処には土煙で良く見えないが微かに見えた…見えてしまった。

 

彼女の額に大粒の汗が垂れる、状況は最悪と言っても良い。

 

ただでさえ強力な精霊『プリンセス』が居るにも関わらず更に厄介な精霊が現れてしまった。

 

その精霊は比較的大人しい精霊と言える精霊が現界する際に発生する『空間震』も余り大きな規模では無いが……

 

そん中未だ晴れぬ土煙の中から新たに入って来た侵入者らしき人物の声が聞こえてきた。

 

「ドーモ、メカメカ団の皆さんそしてお姫様、私はあなた達が言う所の『フェンリル』です…ガゥ」

 

フェンリルと自ら名乗った精霊は未だ見えぬ敵に対し威圧的に威嚇した。


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