それぞれの戦う理由   作:ふぃりっぷす

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もうとっとと原作キャラぶち込んでいきますか、このまま書いててもダラダラ続きそうですし。

では今回も宜しくお願い致します。


嵐山隊

【ボーダー基地・嵐山隊室】

 

ボーダーは年に大体3回ほど新入隊員が入ることになっている。

 

入隊方法としては主に2つ。

 

一つは試験や面接が必要となる一般公募。

 

隊員の多くはこれを受けて入隊することになっており、俺と清隆は試験をパスして、美奈ちゃんはトリオン不足で不合格だったがそのままオペレーターとして入隊した。

 

もう一つはスカウト。

 

三門市近辺だけではなく、全国各地に飛び回り、才能のある人間を発掘している。

 

諒などはスカウトされて、はるばる九州からここまでやってきたというわけだ。

 

さて、そして今俺は9月入隊の新入隊員絡みの事務仕事を嵐山隊の隊室でやっている最中だ。

 

呼び出された時間よりちょっと早めに着いてしまったが、早めにやれる仕事は済ませてしまおう、とすでに隊室にいた充と賢の3人で、できる範囲で仕事を片付けていた。

 

この2人は同じ広報の仕事をしているからというだけではなく、入隊も同時期だったので仕事以外にも割と交流があったりする。

 

「こっちの書類終わったから、充、チェック頼んだ」

 

「はい。……うん、大丈夫そうです。こっちのも確認お願いします」

 

「おう。……ってか賢はまだ終わらないのか?」

 

「いやいやいや! こんなに書類あるのに何でそんなに早いんですか!?」

 

「バカ野郎。お前らが表立ってワイワイやってる裏で俺は毎度こんな仕事をやっているんだ。そりゃいくらか早くはなるさ。つーか今日くらいお前も一緒に書類に苦しめ」

 

「ひでぇ!」

 

「酷くはないだろ。充を見ろ。きちんとこなしてるだろうが。あ、充。これオッケー」

 

「どうもです」

 

「遅くなってごめんなさい」

 

書類に目を通しながら賢をからかっていると、生徒会の用事で遅れてきた綾辻が駆け足で隊室に入ってきた。

 

「あっ、綾辻先輩! 聞いてくださいよ。雄也先輩がいじめるんですよ!」

 

「バカ野郎。愛の鞭だ。ありがたく受け取れ」

 

「あ、古賀隊から一人来てくれるって話だったけど春日くんだったんだ」

 

「あぁ、ごめん、綾辻。清隆じゃなくて」

 

「ちょ――な、何を言い出すの!」

 

賢のついでに綾辻もからかっておくと、面白いように顔を赤くしながら声を上げた。

 

「まぁまぁ落ち着いて落ち着いて。からかってるだけだから」

 

「性格悪いよ!」

 

「自覚してる」

 

いやー、人をからかうのって楽しいなー。

 

とかなんとか平和なやり取りも適当に区切りをつけ、4人で書類と格闘を始めた。

 

生徒会でもこういう仕事をやっているのだろうか、綾辻はテキパキと片付けていた。

 

俺も充もそれなりの速度でこなしていたが、さすがに綾辻には敵わない。なお賢(以下略)

 

2時間もすると、山積みだった書類もほぼほぼ片付いていた。

 

「ようやく終わりましたね」

 

「はぁ~……」

 

「お前が一番作業量少なかったはずなのになんで一番疲れてんだよ……」

 

「頭脳労働向きじゃないから仕方ないじゃないですか」

 

「このくらいの書類はさっさと処理できるようになれ。そういや嵐山さんと木虎は来ないのか?」

 

「二人は広報のお仕事で今日はいないの。だから古賀隊にヘルプを求めたんだ」

 

「なるほど。なぁ、綾辻」

 

「どうしたの?」

 

「清隆じゃなくて悪かったな」

 

「しつこいよ!!」

 

いや、ホント性格悪いな、俺。

 

「はっはっは。まぁ頑張れ。俺は綾辻も応援している」

 

「”も”? ”も”ってどういうこと!?」

 

あ、余計なこと言ってしまったかもしれない。

 

「いや、な。教室にいるとたまに清隆のこと聞かれるんだよ。あいつなんか知らないけどオペレータからやたらモテるよな」

 

「歌歩ちゃんなの!?」

 

綾辻は徐々に詰め寄ってくる。

 

「はっはっは。黙秘権を行使する」

 

「ちょっと! 春日くん!」

 

笑って流すつもりだったが、気付けば両肩を掴まれ激しく前後に揺さぶられていた。

 

さすがに頭がぐわんぐわんするし、何より顔が近くて恥ずかしいし止めさせないといけない……つか充、何食わぬ顔でお茶すすってんじゃねーよ、止めろよ。

 

「落ち着け綾辻。つか顔近い」

 

そう言うと、綾辻はあわてて手を離し、ごめんと一言謝ってきた。

 

「……ったく」

 

「……ねぇ春日くん?」

 

「ん?」

 

「那須さんとか香取さんじゃなくてごめんね?」

 

そうきたか! ちくしょう!

 

「なんでそこで玲や葉子の名前が出てくる!?」

 

「いや、そういうことなんじゃないかなー、と思って」

 

「そういうのじゃないって……」

 

「でも今名前で呼んだよね?」

 

「色々あったんだよ……」

 

「ふーん」

 

ものすごくニヤニヤした、したり顔でこっちを見てくる。

 

「ニヤニヤするなよ……ったく、さすがに俺だって人からの好意にくらい気付いてるよ」

 

「えっ? そうなの!?」

「マジっすか!?」

 

綾辻や賢の認識では、どうも俺はラノベ主人公よろしくな鈍感な男のようだ。

 

例えば綾辻の好きな清隆に関して言えば、確かに異性からの好意に対して恋慕とかそういった意味に受け取っていない。誰がどう見てもわかるようなアプローチを受けているにもかかわらずそうなので、何と言うか人としての心を一部失ってるんじゃないか疑惑すらたってくるような奴だ。だが、そんな奴と一緒にいることが多いからといって、俺も同じと言うわけではないのだが。

 

「いや、わかるでしょ……特に葉子のあれは」

 

「あー……確かに……」

 

「玲に関しても他の女の子の話持ち出すとあんまりいい顔しないし、心辺り色々あるし、もしかしたら、ってことはあるけど……どうしてこうなったのやらわからないし、これからどうしよう、って感じだよ」

 

「モテる男は辛いね」

 

「うるさい」

 

正直な話、今までだって年齢相応に好きな子がいたりもしたし、そういったことに興味がないわけではない。

ただ、2人から同時に好意を向けられるとどうしたもんか、となってしまう。

どちらに関しても嫌いではないし、むしろどちらともに好意すら持っている。だからこそ悩みの種なんだよな……。

 

「でも春日先輩がモテる理由は何となくわかりますよ」

 

「そうそう。雄也先輩イケメンですからね! 入隊のオリエンテーションのときだって、清隆先輩と2人で女子隊員の視線掻っ攫ってましたし」

 

「顔も確かにそうなんだけど……やっぱり佐鳥くんはまだまだだね」

 

「どういう意味ですか!? 綾辻先輩!?」

 

「賢、なんか口開けば開くほど馬鹿に見えるからそろそろ落ち着け」

 

「雄也先輩ひでぇ!!」

 

これだから賢は……と思いながら、残りの仕事を済ませにかかった。

 

そんな中、入隊する新入隊員の名簿を纏めていると1人気になる隊員がいた。

 

座学は特に問題ないのだが、体力試験はあまり思わしくない。その上、最も重要視されるトリオン量が基準に満たない奴がいた。

 

本来なら落とされるはずなんだが……不合格者のも紛れ込んだのか? と思いながらよくよく見てみると、備考欄に「推薦者:迅悠一」の文字。

 

こいつに何かあるのか?

 

「三雲修」……か、とりあえず覚えておくか。

 




ようやっと名前だけですがメガネくん出てきましたね。長かった……。

次回も宜しくお願い致します。

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